紅魔館の魔力炉――その中心に浮かぶ“未来の核”は、紅い光と青い光が混ざり合い、脈動していた。
まるで、巨大な心臓のように。
美鈴が一歩近づくたびに、未来の断片が周囲に散り、滅びの未来と救いの未来が交互に揺らめく。
レミリアは震える手で美鈴の腕を掴んだ。
「美鈴……お願い……行かないで……
あなたの未来が削られるなんて……そんなの……!」
美鈴は振り返り、優しく微笑んだ。
「お嬢様。
私は……大丈夫です。
未来が削られても……私は、ここにいます」
レミリアの瞳が揺れた。
「“今”はいても……“未来”にいなくなるかもしれないのよ……
そんなの……耐えられない……!」
美鈴はレミリアの手をそっと握り返した。
「お嬢様。
私は……お嬢様の未来を守りたいんです。
だから……行かせてください」
レミリアは唇を噛み、涙をこぼした。
「美鈴……どうして……
どうしてそんなに優しいの……!」
美鈴は微笑んだ。
「門番ですから」
その言葉は、静かで、強かった。
◆
影が一歩前に出た。
「紅美鈴。
未来の核に触れれば、未来は“確定”する。
だが同時に――
お前の未来は削られ始める」
美鈴は影を見つめた。
「……どれくらい、削られるんですか?」
影は答えなかった。
レミリアが叫ぶ。
「答えなさい!
美鈴の未来を……どれだけ奪うつもりなの!」
影は静かに言った。
「未来の削れ方は……“願いの強さ”に比例する。
紅魔館を強く救おうとすればするほど、
美鈴の未来は短くなる」
レミリアは崩れ落ちそうになった。
「そんな……そんなの……!」
美鈴は影に向き直る。
「……それでも、私は選びます」
影は目を細めた。
「覚悟はできているようだな」
美鈴はうなずいた。
「はい。
私は……紅魔館を守りたい。
みんなの未来を守りたい。
そのためなら……私の未来が少し削られても……構いません」
レミリアが叫ぶ。
「構うわよ!!
私は……あなたがいない未来なんて……絶対に嫌!!」
美鈴はレミリアを抱きしめた。
「お嬢様……
私は、消えません。
未来が短くなっても……私は、ここにいます。
お嬢様のそばに」
レミリアは震えながら美鈴を抱き返した。
「美鈴……お願い……戻ってきて……
絶対に……戻ってきて……!」
美鈴は静かにうなずいた。
「はい。必ず」
◆
美鈴は未来の核の前に立った。
紅い光と青い光が混ざり合い、未来の断片が渦を巻く。
燃える未来。
消える未来。
救われる未来。
そのすべてが、美鈴の手を待っている。
影が言った。
「紅美鈴。
未来を選べ」
美鈴は深く息を吸い、未来の核へ手を伸ばした。
「私は――
“救われる未来”を選びます」
その瞬間、光が爆ぜた。
美鈴の体から未来の光が溢れ、紅魔館全体が震えた。
レミリアが叫ぶ。
「美鈴!!」
美鈴の手が未来の核に触れた。
未来が――動き始めた。