静かなる門番と歪む運命   作:肩幅ひろし

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第22話 紅と青の翼、未来を切り裂く

 紅と青の光が、二人の背中から大きく広がった。

 

 レミリアの紅い翼は、夜空を裂くような鋭さを持ち、美鈴の青い翼は、未来の流れそのものを掴むように揺らめいていた。

 

 その瞬間――

滅びの未来の怪物が、怒りと恐怖の混じった咆哮を上げた。

 

「■■■■■■■■■■!!」

 

 未来の炎が燃え上がり、虚無が渦を巻き、光が弾ける。

 

 影が静かに言った。

 

「二人の願いが一致したことで――

 未来の核は“翼”を与えた。

 これは、未来を切り拓く力だ」

 

 パチュリーが息を呑む。

 

「未来そのものを……切り裂ける……!」

 

 咲夜が震える声で言う。

 

「二人なら……本当に……未来を変えられる……!」

 

 

 

 

 怪物は、もはや“形”と呼べるものではなかった。

 

 未来の炎をまとい、虚無を背負い、光を喰らい、絶望そのものが巨大な影となって立ちはだかる。

 

 その姿は――

紅魔館が滅びる未来の象徴

 

 レミリアが翼を広げた。

 

「美鈴……行くわよ」

 

 美鈴は拳を握りしめ、青い翼を広げた。

 

「はい……お嬢様」

 

 二人は同時に飛び出した。

 

 

 

 

 滅びの怪物が黒い腕を振り下ろす。

 

 未来の炎が奔流となって襲いかかる。

 

 レミリアが叫ぶ。

 

「美鈴、上へ!」

 

 美鈴は未来の流れを掴み、炎の軌道を“曲げた”。

 

 炎は怪物自身へと戻り、その胸を焼いた。

 

 怪物が苦悶の咆哮を上げる。

 

 レミリアは紅い翼を広げ、空間を切り裂くように突撃した。

 

「紅魔館を滅ぼす未来なんて――

 私が許さない!!」

 

 紅い魔力が怪物の肩を切り裂く。

 

 美鈴は青い翼を広げ、未来の流れを拳に集めた。

 

「未来は……選べます!!」

 

 拳が怪物の腹を貫いた。

 

 光が爆ぜ、怪物が後退する。

 

 

 

 

 だが――

美鈴の体が大きく揺らいだ。

 

 レミリアが振り返る。

 

「美鈴!!」

 

 美鈴の足元は完全に透明になり、膝から下が“存在していない”ように見えた。

 

 未来が削られ、存在が限界に近づいている。

 

 美鈴は苦しげに笑った。

 

「大丈夫……です……

 私は……まだ……ここに……」

 

 レミリアは美鈴の手を掴んだ。

 

「美鈴……お願い……

 もう戦わないで……

 あなたが……消えてしまう……!」

 

 美鈴はレミリアの手を握り返した。

 

「お嬢様……

 私は……お嬢様と未来を歩きたいんです……

 だから……戦います……!」

 

 レミリアの瞳が揺れた。

 

「美鈴……!」

 

 

 

 

 影が静かに言った。

 

「レミリア。

 美鈴の未来は、もう限界だ。

 このまま戦えば――

 美鈴は“未来から消える”」

 

 レミリアは震えた。

 

「そんなの……嫌……!

 美鈴がいない未来なんて……!」

 

 影は続ける。

 

「だが――

 二人の願いが一致した今、

 未来を変える“最後の方法”がある」

 

 美鈴とレミリアは影を見つめた。

 

 影は告げる。

 

「未来を確定させる最後の一撃は――

 二人の願いを重ねた“未来の翼”で放つ一撃 だ

 

 レミリアは息を呑んだ。

 

 美鈴は拳を握りしめた。

 

「お嬢様……

 一緒に……!」

 

 レミリアは美鈴の手を強く握った。

 

「ええ……一緒に!」

 

 

 

 

 滅びの未来の怪物が咆哮し、空間が崩れ始める。

 

 未来の炎が燃え上がり、虚無が渦を巻き、光が弾ける。

 

 影が叫ぶ。

 

「二人とも――

 今が最後のチャンスだ!!」

 

 レミリアと美鈴は、紅と青の翼を大きく広げた。

 

 未来の核が輝き、二人の願いが光となって集まる。

 

 レミリアが叫ぶ。

 

「美鈴!!」

 

 美鈴が叫ぶ。

 

「お嬢様!!」

 

 二人の声が重なった。

 

「未来は――

 私たちが選ぶ!!

 

 紅と青の光が融合し、巨大な翼の刃となって放たれた。

 

 滅びの未来の怪物へ向かって――

最後の一撃が走る

 

 

 

 

 世界が震え、空が裂け、未来そのものが悲鳴を上げる。

 

 怪物が咆哮した。

 

「■■■■■■■■■■!!」

 

 刃が怪物の胸を貫き、未来の炎を断ち、虚無を切り裂き、光を解き放つ。

 

 紅と青の光が爆ぜ、滅びの未来が崩壊していく。

 

 影が呟いた。

 

「……これで……未来は……決まる……」

 

 怪物は最後の咆哮を上げ、未来の断片となって消えていった。

 

 

 

 

 紅と青の光が世界を包み込む。

 

 未来の核が静かに脈動し、紅魔館の崩れた空間がゆっくりと再構築されていく。

 

 だが――

レミリアは気づいた。

 

 自分の手を握っていたはずの美鈴の手が、薄く、軽く、消えかけていることに。

 

「……美鈴……?」

 

 美鈴は微笑んだ。

 

「お嬢様……

 未来……守れましたね……」

 

 レミリアの瞳が大きく揺れた。

 

「美鈴……やめて……

 消えないで……!」

 

 美鈴の体は、光の粒となって揺らぎ始めていた。

 

 未来の代償が――

ついに訪れたのだ。

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