紅と青の光が、二人の背中から大きく広がった。
レミリアの紅い翼は、夜空を裂くような鋭さを持ち、美鈴の青い翼は、未来の流れそのものを掴むように揺らめいていた。
その瞬間――
滅びの未来の怪物が、怒りと恐怖の混じった咆哮を上げた。
「■■■■■■■■■■!!」
未来の炎が燃え上がり、虚無が渦を巻き、光が弾ける。
影が静かに言った。
「二人の願いが一致したことで――
未来の核は“翼”を与えた。
これは、未来を切り拓く力だ」
パチュリーが息を呑む。
「未来そのものを……切り裂ける……!」
咲夜が震える声で言う。
「二人なら……本当に……未来を変えられる……!」
◆
怪物は、もはや“形”と呼べるものではなかった。
未来の炎をまとい、虚無を背負い、光を喰らい、絶望そのものが巨大な影となって立ちはだかる。
その姿は――
紅魔館が滅びる未来の象徴。
レミリアが翼を広げた。
「美鈴……行くわよ」
美鈴は拳を握りしめ、青い翼を広げた。
「はい……お嬢様」
二人は同時に飛び出した。
◆
滅びの怪物が黒い腕を振り下ろす。
未来の炎が奔流となって襲いかかる。
レミリアが叫ぶ。
「美鈴、上へ!」
美鈴は未来の流れを掴み、炎の軌道を“曲げた”。
炎は怪物自身へと戻り、その胸を焼いた。
怪物が苦悶の咆哮を上げる。
レミリアは紅い翼を広げ、空間を切り裂くように突撃した。
「紅魔館を滅ぼす未来なんて――
私が許さない!!」
紅い魔力が怪物の肩を切り裂く。
美鈴は青い翼を広げ、未来の流れを拳に集めた。
「未来は……選べます!!」
拳が怪物の腹を貫いた。
光が爆ぜ、怪物が後退する。
◆
だが――
美鈴の体が大きく揺らいだ。
レミリアが振り返る。
「美鈴!!」
美鈴の足元は完全に透明になり、膝から下が“存在していない”ように見えた。
未来が削られ、存在が限界に近づいている。
美鈴は苦しげに笑った。
「大丈夫……です……
私は……まだ……ここに……」
レミリアは美鈴の手を掴んだ。
「美鈴……お願い……
もう戦わないで……
あなたが……消えてしまう……!」
美鈴はレミリアの手を握り返した。
「お嬢様……
私は……お嬢様と未来を歩きたいんです……
だから……戦います……!」
レミリアの瞳が揺れた。
「美鈴……!」
◆
影が静かに言った。
「レミリア。
美鈴の未来は、もう限界だ。
このまま戦えば――
美鈴は“未来から消える”」
レミリアは震えた。
「そんなの……嫌……!
美鈴がいない未来なんて……!」
影は続ける。
「だが――
二人の願いが一致した今、
未来を変える“最後の方法”がある」
美鈴とレミリアは影を見つめた。
影は告げる。
「未来を確定させる最後の一撃は――
二人の願いを重ねた“未来の翼”で放つ一撃 だ」
レミリアは息を呑んだ。
美鈴は拳を握りしめた。
「お嬢様……
一緒に……!」
レミリアは美鈴の手を強く握った。
「ええ……一緒に!」
◆
滅びの未来の怪物が咆哮し、空間が崩れ始める。
未来の炎が燃え上がり、虚無が渦を巻き、光が弾ける。
影が叫ぶ。
「二人とも――
今が最後のチャンスだ!!」
レミリアと美鈴は、紅と青の翼を大きく広げた。
未来の核が輝き、二人の願いが光となって集まる。
レミリアが叫ぶ。
「美鈴!!」
美鈴が叫ぶ。
「お嬢様!!」
二人の声が重なった。
「未来は――
私たちが選ぶ!!」
紅と青の光が融合し、巨大な翼の刃となって放たれた。
滅びの未来の怪物へ向かって――
最後の一撃が走る。
◆
世界が震え、空が裂け、未来そのものが悲鳴を上げる。
怪物が咆哮した。
「■■■■■■■■■■!!」
刃が怪物の胸を貫き、未来の炎を断ち、虚無を切り裂き、光を解き放つ。
紅と青の光が爆ぜ、滅びの未来が崩壊していく。
影が呟いた。
「……これで……未来は……決まる……」
怪物は最後の咆哮を上げ、未来の断片となって消えていった。
◆
紅と青の光が世界を包み込む。
未来の核が静かに脈動し、紅魔館の崩れた空間がゆっくりと再構築されていく。
だが――
レミリアは気づいた。
自分の手を握っていたはずの美鈴の手が、薄く、軽く、消えかけていることに。
「……美鈴……?」
美鈴は微笑んだ。
「お嬢様……
未来……守れましたね……」
レミリアの瞳が大きく揺れた。
「美鈴……やめて……
消えないで……!」
美鈴の体は、光の粒となって揺らぎ始めていた。
未来の代償が――
ついに訪れたのだ。