駄文です、ですから暇な時でもああ、こんなのあったんだな程度の気持ちで読んでください。
皆さん鋼鉄の咆哮というゲームを御存じだろうか?
船体を決めて武装やエンジンを配置して理想の戦艦を作り戦うという海戦ゲームであるが、そのゲームの目玉として『超兵器』というものがある。
主に第二次世界大戦前後の兵器が出る中、70ノット以上の速度で航行する超高速戦艦だとか、双胴戦艦にこれでもかという程巨大砲を乗っけまくった超巨大戦艦や技術的にまだ無理なレーザーやらビームやら反物質砲やら重力砲を搭載したレーザー戦艦、果ては空飛ぶ円盤に大陸を割る波動砲を乗っけた僕の考えた最強の戦艦さまが敵として出てきて暴れまわりプレイヤーを容赦なく殺しにくるゲームである。
無論プレイヤー側も段々と普通の領域からボクノカンガエタサイキョウノセントウカンへと変貌していくのだが(でも最強の裏ボスが某アンゴルモア大王モドキの恐怖の大王イカなのはいつものこと)。
さてここまで説明したが、私は現在進行形で海の上に立っている。
もう一度言おう海面に水の上に両の足で立っているのだ。
海面に映る自分の姿は明らかに女性のそれで、しかも背中にはゴツイ大砲がのっかている。
いやこれ鋼鉄の咆哮関係ありませんけに、これ海戦ゲームはゲームでも艦〇れのほうですけに。
「艦これ」 正式には艦隊これくしょんというブラウザーゲームなのだが、可愛い女の子達が第二次世界大戦の戦艦やら空母やら駆逐艦を模した武装を背負い(これをゲーム中では艤装というらしい)艦娘となって海からくる謎の敵、深海棲艦(みんなのアイドルヲ級やほっぽちゃんはここ)を相手に戦う人気ゲームだ。
今私の姿は傍からどう見たって艦娘そのものだが、自分の記憶の中で今の姿をした艦娘は一人たりとも存在しない。
申し遅れました、私
いやはや、現実は小説よりも奇なりと申しますけどこれはないでしょ?
さっきから混乱して主語が私やら自分やら丁寧語だったり語尾にけに?なんてついて絶賛言語中枢が混乱に陥っていますがさてはて、これから一体如何しましょう?
だって今の私は超とってもとってもとってもと~ってもめんどくさいものになってしまったのだから。
<超巨大戦艦ヴォルケンクラッツァー(初代)>Lv1
ステータス
耐久850
装甲500
火力900
雷装0
対空300
対潜0
索敵100
搭載0
回避30
運10
速度 高速
射程 超々々長
スロット数8
1 80㎝3連装砲
2 80㎝3連装砲
3 80㎝3連装砲
4 80㎝3連装砲
5 レールガン
6 レールガン
7 ミサイルVLS
8 パルスレーザー
最早出るゲーム間違えてますねこれ、普通艦娘は最大4スロットで一部の敵が5スロットの中8スロット、しかも兵装は明らかにオーパーツレベルの代物ときた。
もうこれ戦艦じゃなくて海上要塞レベルの装甲に火力、これ削りきれるのかと疑いたくなるような耐久力に表記されていないが防御重力場に電磁防壁まで備えている。
どうして分かったかと言うとこう頭の中で自分の姿を思ったら手元に空中ディスプレイが出てそこに上記のスペックが乗っていた。
どうやら頭の中で念じるとこうして直ぐにステータスが表示されるらしい、ためしにより詳細なものをと念じるとゲーム知識以上のことが表示されるが、素人知識ではちんぷんかんぷんであり兎に角分かる範囲で言えば、ここが仮に艦これの世界だったとしてもこの有り得ないスペックならば深海棲艦に襲われても何とかなる程度の力はあるということだ。
単純に見て元の世界でボス相当に位置する鬼や姫と付く敵と比べても尚圧倒しているのだから、間違っても道中の雑魚と戦って早々轟沈することはないはず。
そうなると現状の自分を把握した私は次の行動を考えた。
1 これは夢に違いないから覚めるまで待つ:Aこんなリアルな夢があるか。もしんばあったとしても夢の世界ならばより積極的に行動すべきです。
2 テンプ〇乙な展開であるからさっさと鎮守府なり艦娘と合流して艦これ世界をきゃっきゃっうふふすべし。
Aそもそもここは何処なんですか?地図も何にもわかんないのにはどうしようもないでしょ。
3 取りあえず考えても仕方がないからお腹がすいたしとにかく探すだけでもしてみようぜ。
A消極的判断による行動は自身の可能性を狭くしますよ。でも動かない事にはどうしようもないですね
4 そもそもこのAはだれ? A妖精です
「というか決めたのなら動きましょう。善は急げです」
ぴょん、と空中ディスプレイの中から手のひらサイズの人形が飛び出し私の肩に止まるといきなりそう言ってきた。
「あ、あ~はじめまして?」
「はじめまして。
肩に立っている自称妖精さんは見た目は今の艦娘となった自身の姿を艤装の部分を省略してそのまま三頭身にしたような姿であり何処となく気の強そうな気配を感じた。
因みに今の私の姿だが銀髪ロングのスレンダー巨乳であり白いスベスベの肌に何処となくドイツの軍服を思わせる黒い服、スカート部分にはレールガンが格納されているバインダースカートと底の厚いハイヒールに腰の部分で艤装と連結され大和型の艤装と扶桑型の艤装を足して二で割った形をしている。
「で、妖精さんはなんなのですか?」
「ですから申し上げた通り当艦の管制人格、つまりあなた様の僕ということになります」
「いまいち理解できないけど艤装とかについてる妖精さんみたいなものと考えていいですか?」
「そう捉えてもらって構いません。何せ私一人であなた様の通常航行から戦闘行動、果てや日常生活のありとあらゆる所で補佐しお仕えすることを主命といたしております」
つまりはお手伝いさんという事だ。私はそう理化したし納得した、多分違うんだろうがいまはそんな些細なことはどうでもいい。
でも二次創作系の妖精さんて某人類は〇退系のカタコトかそれか妙に腹黒かったり男らしくてダンディーな喋りだったりするが、うちの妖精さんは普通に喋っている。
「妖精さんは普通に喋るんですね」
「普通、かどうかは分かりかねますがしかしこちらの方がコミュニケーションを取る際は便利かと。それとも別の話し方がお好みでしょうか?」
「いや、そのままでいいよ。普通にしてくれる分には問題はないからね、何事も」
「何事もですか、しかしあなた様は現状その“ふつう”というものでは無いのではありませんか?現状私とあなた様はだけの状況でいささか困惑しているようではありませんか」
「僕たちは何時も道に迷っている、だから前に進もう」
「何の歌詞ですかそれは?」
「ん?黒歴史」
こうして私は妖精さんというカワイイ道連れが出来たことで海へと乗り出したのだ。
この小さくカワイイ妖精さんは管制人格と言うだけあって、実に見事に私をサポートしてくれる。
最初どう動けばよいのか分からなかった時、足を前に出す様に頭の中で思うだけで勝手に進みますと教えてくれ、船としての基本動作である右回頭、左回頭、増速や減速からの止まり方、バックでの航法や艦娘ならではのドリフトターンに跳躍、文字通り水面を蹴って進む航法など艦娘にとって基本的な動作を丁寧に教えてくれた。
「...以上が基本的な動作になりますが巡航航行中若しくは戦闘中は私が航行を制御いたしますのでご安心を。ご自分で針路を決めたい時や戦うときはご心配なさらずに。あなた様は思う存分にどんどん撃ちまくっちゃって下さいませ」
と彼女がいる限り航行については心配はない、これで私一人だったと思うとぞっとしない。きっと今でも動かし方が分からずにうんうん悩んでいるに違いない。
そうこうしている内に陸地が見えてきた、やはりヴォルケンクラッツァー図体デカいくせに島風より早いからな。多分金剛やビスマルクなんか見たら目玉向いてすっ飛ぶくらい驚くからな元の大きさは。
実際全長1㎞にも迫る物体が海上を猛スピードで進んでたら誰でもビビはず、少なくとも私はそう思う。
「前方に陸地を発見しました。レーダーに映る影から島かと思われます」
「ちょっと休憩しよう。流石に馴れてないことで思った以上につかれたよ」
「左様ですか、ではあそこの入り江に艦を止めましょう」
妖精さんが指を指した方向には島を半月上に抉った形の入り江があった。半月の丁度先端部分が波に対する壁になっているから入り江の中は比較的波が立っていなくて穏やかそうだ、これなら安心して停泊できる。
「警告、島の影から船影を確認」
思い入り江に針路を向けようとしたその時、妖精さんの声に反応して自分でも島の影丁度日が傾いて暗くなっている部分に目を向け相手の姿を確認する。
「パターンより深海棲艦と断定、数は6、戦艦2、重巡2を確認。現在戦闘態勢を取りつつこちらに接近しています」
異形の敵、深海棲艦。
それは深海魚と機械に人を混ぜ合わせたような姿をしある日突然人類の目の前に現れた。
その目的は不明であり、ただ分かっていることは人類と艦娘の敵であるというだけである。
「応戦します。砲雷撃戦用意、他に艦影は?」
「現在ソナー及びレーダーの索敵範囲を拡大...確認できず。申し訳ありません島の影にいたためレーダーには映らず発見が遅れました。お詫び申し上げます」
「他に敵はいないんだね?大丈夫、寧ろ入り江に入る前に気づいてよかった。あんな狭い中じゃあ満足に動けなくなっちゃうからね、妖精さんがいて助かったよ」
「お気遣い痛み入ります。しかし、このままでは管制人格妖精の名折れ、私の方でも戦闘のお手伝いをさせて頂きます」
妖精さんはそう言うと手元に妖精さんサイズの空中ディスプレイをだして操作しそれが終わると私の意識は途端に後ろから引っ張られたと思ったら気が付いたら体が宙に浮かんでいた。
「これは!?妖精さん一体...」
「スフィアシステムで御座います。本来ならば架空量子演算領域内に作る模擬動作用のシステムなのですが、私の方で少々アレンジ致しまして戦闘用に改良しました」
宙に浮かんでいる自分の姿に戸惑いつつも、今の私はクルクルと回天する透明な球体の中にいた。その球体の面一つ一つが透明なディスプレイで向こう側を映しつつ様々な情報を私に伝えてくる。
「今私どもは量子演算領域内の架空人格としてアバターを構成。平たく言えば俯瞰視点というもので現状を説明できるかと思います。このスフィア領域内では全ての情報をあなた様はダイレクトに感じ取り脳神経パルスよりも早く現実の肉体を動かすことができます。またこの空間は超高速回線の中にありますから今感じているものと体感時間には大幅なズレがあり、これを利用して攻撃の瞬間を知覚してからの迎撃や回避など余裕で行えます」
つまりゲームでよくあるキャラクターのそのままの視点がプレイヤーのそれではなく、プレイヤーはそこから一歩引き俯瞰しゲームをプレイする、しかもクイックタイムモドキと同じことがいま私の身には起こっているのだ。
「すごい!妖精さんこんなこと出来るんだ」
「お褒めに預かり恐縮です。しかし、あなた様も私もこれが初めての戦闘、くれぐれも油断なさらぬようお気を付け下さい」
「言われなくとも!」
今の私は架空領域の私がそうと思うだけで既に行動は終わっている状態。
「分かってるって!!」
つまり、撃つと決めた時すでに砲弾は、発射されているのだ。
艤装が展開しその圧倒的なまでの火力が砲塔の旋回と照準をほぼ同時に終わらせている為正確な弾道を描き相手に突き刺さる。
先頭に戦艦2隻を置いた複縦陣で進んできた深海棲艦の周りが突如としてはね、間欠泉の様に吹き上がる波飛沫と同時に戦艦2隻分の残骸も宙を舞う。
元の世界そして艦これ世界でも最強の砲は46㎝砲であるが、私がいま装備しているこれは80㎝3連装砲4基12門、その火力はまさに空前絶後といってよいだろう。
いま放った砲弾の内当たったのは6発、4発と2発づつであったがそれで二隻の戦艦が吹き飛んだ所を見ると私の主砲の威力は規格外だ。
砲撃の効果はそれだけではない、当たらなかった砲弾も殆どが至近弾でありその衝撃に一番後方にいたはずの駆逐艦イ級は胴が真っ二つに折れ撃沈。
重巡も今の衝撃で中破したもようだ。
その一部始終を私はスフィアの中で砲弾が直撃して装甲が軋みを上げ捲れあがりついに耐え切れず内部に抉りこまれる音を聴き、爆発の衝撃で上がった残骸がどう空中を回ったかを肌で感じ、やろうと思えば飛んできた残骸を掴むことさえできた。
たった一回の砲撃で6隻からなる艦隊を壊滅に追い込まれた生き残りの重巡は尻尾を巻いて逃げ出そうとする。
「逃がさない!」
腰のバインダーが跳ね上がりレールガンの砲身を両手で掴んだ。
海上の上に立ち止り島の影に再び隠れて逃げようとする深海棲艦に対し波の揺れの影響で中々照準が定まらない。
「妖精さん、サポート」
「波の揺れ補正よし地軸及び磁気の影響クリア目標をロック、エネルギーチャージ完了撃てます」
「いっけえええええええ」
トリガーを引くと同時に超高電磁圧で飛ばされた砲弾は岸壁をくり貫きその先の重巡に見事命中、島の向こう側で撃沈を知らせる轟音と黒煙が上がった。
「敵の排除を完了。お疲れ様です、最初にしては中々の戦いっぷりでございました。あっぱれでございます」
「ありがとう、それもこれも妖精さんのお蔭だよ。これからもどうかよろしくお願いします」
「こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
こうして、私ことヴォルケンクラッツァーと妖精さんが艦これ世界でその狼煙をあげたのであった。
つづかない