86-エイティシックス-DIE NEUE THESE 作:ふそう
■【機体諸元】全長20メートル
■【概要】レギオンがまだギアーデ帝国の制御下にあった時代、海軍力に乏しいギアーデが敵国による海上からの攻撃を阻止・沿岸航路の封殺・敵国の周辺海域における海上封鎖を主目的に開発した、回遊型自走魚雷。
原子力推進を採用し、通常時は回遊するか海底に着底して待機しているが、艦艇や船舶の接近を感知すると自走を開始して目標に突入し、破壊する。
"死体を物として扱う事を謗られる国家はあれど、其れが死刑囚や犯罪者の死体となれば、其れを良しとする者達はいる"
"豚や鶏に人権を与えぬことを、非道と謗られた国家はない"
"故に、言葉の違う誰かを、色の違う誰かを、祖先の違う誰かを、罪人や人の形をした動物と定義したならば、その者達への抑圧も迫害も虐殺も、人倫を損なう非道とは見なされなくなる"
"『ヴラディレーナ・ミリーゼ軍団兵戦争回顧録』より一部抜粋"
"著者:ヴラディレーナ・ミリーゼ"
"日本語訳出版年:西暦二〇四五年 共通紀年十五年"
"出版:東京公論社"
"レーベル:東公文庫"
「戦場を見に行こう、レーナ。
六年前、ミリーゼ姉弟と養子達の父親。
サンマグノリア共和国空軍・野戦空軍のヴァーツラフ・ミリーゼ准将は、十歳になったヴラディレーナを連れて、要人輸送機を八十六州上空に向かわせた。
本当なら妻マルガレータや、ラディスラフや養子達も一緒が理想的だったのだが、マルガレータはミロスラフを産んだばかりだし、子供達も学校の関係で全員の都合がつかず、ヴラディレーナと父娘二人旅になってしまったのである。
「・・・戦争を、しているのでしょう?お父様?」
「ああ、そうだよレーナ。だけど、それと一緒に、戦争よりも恐ろしく酷い事を此の国はしているんだよ」
ヴァーツラフは共和国正規軍の数少ない生き残りだった。
彼と彼の麾下にある将兵達が祖国防衛の為に前線で奮闘した末、戦傷を負って首都の軍病院に迄後送され、ベッドの上で生死の境を彷徨っている間に、愛する故国を統べる大統領オーギュストは、彼等と其の祖先達が守ってきた矜持を踏みにじる大統領令を発していた。
グランミュールの向こう側に取り残された一億を越す人民と将兵を見捨てただけでなく、グランミュールの此方側に暮らす人民達の一部、即ち有色種を"治安上の脅威"だとして身柄を拘束し、追い出し、閉じ込め、そして戦わせる。
意識を取り戻して暫く、"特別警察行動"と称する人間狩りに参加を命じられた国防野戦警察の友人から見せられたボディカメラの映像は、今でも脳裏に焼き付いている。
シャリテ市郊外の、ありふれた地方都市で起きた事件の映像。
人間狩り要員の足しにすべく、SNSやオールドメディアに呼び掛けさせて召集した志願民兵達は、其の多くが自らの粗暴や怠惰で職を失ったり、手に出来なかったが故に裏社会に身を投じた経験を持つ新白銀種の荒くれ者や、皇帝になる前のオーギュスト・ド・プリムヴェールの狂信者達ばかり。
組織だった行動に必須な教育もなく、何よりも彼等に与えられた任務は、同じ人民をありとあらゆる武器を以て追い立てるという代物だった。
元からモラルなど持ち合わせていない様な連中故に、どの部隊でも略奪・暴行・殺人が横行し、有色種が合法的に蓄えていた資産や財産を巡っての醜悪な同士討ちさえ少なくなかった。
ヴァーツラフは覚えている。
二人の子供達が見ている前で、彼等の両親と祖父母を笑いながら嬲り殺し、其の様子をSNSで生配信していた新白銀種のケダモノ達の醜悪な顔を。
姉らしき少女の悲痛な慟哭を。
妹らしき少女の凍りついた表情を。
今でもヴァーツラフは覚えている。
あの子達は一生、新白銀種とサンマグノリア共和国を、其の悪意から守りきれなかった古白銀種を許すことはないだろう。
「やめさせなければ・・・この様な事は、一日でも早く・・・」
◇
ミリーゼ父娘を乗せた輸送機はヴァーツラフの指示で、ヴラディレーナに八十六州の現実を見せる為に高度を大きく下げて飛行する。
グランミュール山脈の雄大な大自然には目を輝かせていたヴラディレーナだったが、八十六州の大地に拡がる灰色の世界を目にした途端、其の表情は陰鬱な、或いは神妙な其れに変わってしまった。
時刻は夕暮れ。
セレナークティカ側では、大都市から小さな村に至る全てが光の洪水となって夜の輝きを放つ準備をし始める時間だ。
でも八十六州はどうだろう。
無政府地帯に住むエイティシックス達に見せつけるかの様に文明の輝きを煌々と放っているのは、国防野戦警察が管理するラヴィ・ミュールと強制収容所群のみだ。
山脈とラヴィ・ミュールに挟まれた、特別警察行動でセレナークティカから追い立てられて来たエイティシックス達の強制収容所群は、かつて其処にあった都市や町村をそのまま転用したものである。
其の際、其処に住んでいた住民達は皆纏めて強制収容者扱いされた。
中には新白銀種の住民もいたが、新白銀種至上主義を掲げるオーギュスト・ド・プリムヴェールの政権が彼等に慈悲を与える事はなかった。
絶対的強者を自負する彼等に言わせれば、古白銀種や有色種が多数派を占めるギルマンティス側に住んでいる新白銀種は、セレナークティカを捨てて自ら負け犬の道を選んだ愚か者であり、『好き好んで雑色地に住んだお前らが悪い』のである。
収容者達による、闇夜に紛れての密会を防止するために常時電力が供給される強制収容所群とラヴィ・ミュールを越えた先は、夜になれば大部分が完全な暗闇と化す。
戦前からの火力発電所や原子力発電所は稼働しているが、造られた電力の安定供給先は地対地・地対空電磁加速砲台や
送電網が生きている地域でも、夜間電力消費を抑える為に電力が使えるのは日中の数時間だけだと言う。
各地の都市や町村に張り巡らされていた送電網は祖国にして同胞だったサンマグノリア共和国と新白銀種人民達による娯楽化された爆撃で破壊され、寸断されている。
復旧に必要な資材や技能を有する者がいても、二十四時間三百六十五日
夕暮れの大平原に拡がる、爆撃孔だらけで人気の感じられ無い田園地帯、森林地帯、都市、町、村。
其の中に少ないながらも点在する、確かな文明の灯り。
神妙な表情で窓の外を見つめるヴラディレーナの姿に、ヴァーツラフは小さく微笑んだ。
"賢い子だ"
"言葉で尽くして教えずとも、こうして見て学んで、考えてくれる"
"あの子達も、きっと"
ヴァーツラフはヴラディレーナを残して静かに座席を立つと、操縦室へと向かった。
「此のまま後方戦争地帯を通過して、
操縦桿を握る、新白銀種の正副操縦士と機関士達に告げた。
普段はセレナークティカ領域内のみで空軍が経営する航空貨物輸送や格安航空のパイロットとしてしか飛ばない新白銀種の彼等だが、古白銀種の大佐の命令に軽く頷いた。
「了解です大佐」
「ミリーゼ大佐、ですが、前線戦争地帯上空は飛行制限空域ですよ?」
「何、問題ないだろう。ヴォルーハ川を越えて
レギオンは機械だが昼行性だ。
其れはレギオンが電気で駆動している為だ。
常時はレギオン支配域最奥部にいる
当然、太陽が沈む夜間は発電出来ないから、行動出来ないまま撃破されるのを避ける為、夜戦は避ける傾向があるらしい。
"本音を言えば、ジャガーノートや歩兵達とレギオンとの戦闘の苛烈さを見せたいが、流石に娘の身の安全には変えられないからなぁ・・・"
ヴァーツラフは苦笑しながらも思った。
ただ、前線戦争地帯ヴォルーハ川西岸の、破壊されたジャガーノートやレギオンの残骸集積所は見せられる筈だ。
戦前からサンマグノリア共和国軍が運用していた、前線での弾薬補給や鹵獲を行なうことを目的とする無人支援機〈M101バーレット〉によって戦場から運ばれてきた、戦闘で破壊されたジャガーノートやレギオンの残骸を原材料とする、二十四時間稼働する兵器製造工場へと運び込む為の集積所。
其処に山のように積み重ねられたレギオンの残骸を見れば、賢いあの子なら戦闘の激しさを自ら想像し、過酷さに思いを馳せてくれる筈だ。
「大佐、本機は間も無くバルタ線を越えて、前線戦争地帯上空に入ります」
その時だ。
けたたましい警報音が操縦室に鳴り響いたのは。
「前方より、急速に近づく二つの飛翔体を確認!?」
"バカな"
"
"まさか、新型か?レギオン自ら、従来の射程を上回る新型対空ミサイルを開発したというのか?"
"いけない、レーナ!!"
ヴァーツラフがヴラディレーナのもとへと操縦室から駆け出した瞬間、超高速で飛来した地対空ミサイルは要人輸送機の機首と左翼部に正面から突き刺さった。
其れまで対空自走砲型と呼ばれていたシュタッヘルシュバインが、
其のきっかけを作った
◇
其の光景を、工場から新品のジャガーノートを受領して基地に帰投する途中の、ある戦隊の戦隊長が見ていた。
「なあデュラハン、今飛行機が・・・」
「ほっとけほっとけ。どうせ
「救助に行く・・・、お前達は先に基地に帰っててくれ」
◇
ヴラディレーナが目が覚めると、辺りは火の海だった。
飛行機事故において、機体後部は衝撃を受けにくく、燃料タンクからも距離がある為に生存率が高いとされる。
機体後方の座席に座っていたのが、彼女の生死を分けたのだ。
両手をついて上体を起こして座り込み、周りを見渡す。
何もかもが燃えていた。
父も、一緒に乗っていた筈のパイロット達も、何処にいるのかわからない。
『誰か生き残りはいないか!?』
飛行機の残骸に囲まれながら、ヴラディレーナは初めて映像の中でなく眼前で動くジャガーノートの姿を見て、おそるおそる、手を上げて、振ってみた。
其の手をガンカメラで捉えたジャガーノートが、残骸を踏み越えながらガシャガシャと音を立てて歩み寄ってきた。
『大丈夫?怪我はないか?』
人の声と言葉が問うて来るが、自分よりもずっと大きい、其れも大砲や機関銃を載せた機械が炎に照らされながら近づいてくるのは、やはり怖い。
声もなく縮こまっていると、コックピットが後ろに跳ね上がり、人影が立ち上がった。
現れたのは、血の様な赤い髪の、黒縁の眼鏡を掛けた理知的な細身の、二十歳そこそこの青年だった。
◇
燃え盛る墜落現場からヴラディレーナを救助した青年の名を、ショーレイ・ノウゼンと言った。
「・・・不思議なお名前」
「ああ、帝国でも父さんの一族しか使っていない珍しい姓らしいから。"ショーレイ"って名前もね」
戦前の大型ショッピングモールを転用した前線基地近くにある、古白銀種の院長先生がいる戦前からの救急病院で検査してもらった後の基地への帰り道で、ショーレイは苦笑しながら肩をすくめた。
「"レイ"でいいよ、言いにくいだろ?一族じゃ伝統的な名前らしいんだけど、サンマグノリアじゃどうにも馴染みが薄くってね」
「サンマグノリアの人じゃないの?」
「俺の父さんと母さんはギアーデ帝国の出で、俺と弟二人はサンマグノリア生まれなんだ」
弟の一人はヴラディレーナと同い歳位で、もう一人は七歳位だと言うショーレイは、笑っているのに酷く寂しそうで、懐かしそうで、苦しそうで。
その眼差しは、何処か遠くを見ていた。
ヴラディレーナが其の視線の先を追うと、其処にあった光景に息を呑んだ。
今はジャガーノートの駐機場になっている其の場所から見る夜空は無数の星が煌めいていて、巨大都市リベルテエガリテで見るのとはまるで違った。
「会ってないの?」
「・・・うん、帰っちゃいけないから。そういう決まりなんだ」
強制収容所から徴兵されてジャガーノートに乗るエイティシックスも、随伴歩兵役のエイティシックスも、彼等に拾われた軍属扱いのエイティシックスにも、原則として一日の休暇もないのだという事を、ヴラディレーナは此の時初めて知った。
道路を歩いていると、進行方向からM101バーレットの隊列が姿を現した。
彼等が引っ張っているのは、戦場から回収してきた沢山のレギオンの残骸。
ショーレイに乗せて貰った、ジャガーノートよりも遥かに強そうな其れが、ヴラディレーナが生まれて初めてみるレギオンの姿だった。
◇
ショーレイは、ヴラディレーナの為にチョコレートを持ってきてくれさえもした。
戦前に製造された、十年単位での長期保存を目的に製造された保存食だが、代用チョコレートしかないセレナークティカの其れとは異なる、本物のカカオ豆とココアバターと砂糖が使われた、正真正銘本物のチョコレートだ。
此れが此処では客人に対する破格のもてなしだと言うことは、幼いヴラディレーナにも察せられた。
「お父様とお母様が・・・」
「ん?」
「サンマグノリアは、
私達
なのに、なんでレイお兄様は私を助けてくれたの?」
子供の真っ直ぐな疑問をぶつけられたショーレイは、困った様な顔をした。
ヴラディレーナにはまだ難しすぎる様な訊いた時に、誤魔化さないでちゃんと答えてあげようとしてくれる、周りの大人達の顔だった。
「・・・そうだな・・・。確かに、セレナークティカから追い出された俺達や、深東部・・・今で言う八十六州に住んでいた人達は今、色々と酷い事をされてる。
強制収容所には自由も尊厳もないし、難しい言葉で"無政府地帯"とか呼ばれてる場所では、
其れは誰にも許されないし、絶対に許してはいけない事だ。
新白銀種の大勢からそういう事を、俺達を含めた八十六州の人達はされている。
新白銀種からは古白銀種の人達を指して"生ける死体"だとか、俺見たいな有色種は"豚"とか"鶏"とか、"人間以下の動物の死骸"だとか言われてるし、呼ばれる時も名前ではなく、番号だ」
ショーレイの黒い瞳に刹那、深く冷たい怒りが閃いて、呑み込む様に代用紅茶が注がれた自分のマグカップに口をつけた。
「其れでも、俺達は此の国で生まれて、此の国で育ったサンマグノリア共和国の人民だ。
番号でもなく、名無しでもない。
ちゃんと名前のある、一人の人間だ」
其の言葉は、ヴラディレーナの耳に静かながらも決然と強く聞こえた。
「今の此の国は絶対に認めないだろうけど、だからこそ、其の事を俺達は証明しないといけない。祖国を護って戦うのは共和国に暮らす人民の義務であって、誇りなんだと。
賤しい仕事なんかじゃないんだと。
だから、俺達はこうしてレギオンと戦っているんだ。
戦って、守る。
守りきってみせる。
・・・口先だけ達者なクズと同じに成り下がってたまるかってね」
ヴラディレーナはぱちぱちと瞬いた。
"戦う"
"守るために"
"証明するために"
でも、あんな大きくて強そうな、怪獣みたいな機械と戦うなんて。
「怖くないの?」
「そりゃあ、怖いさ。誰だって怖い。・・・でも、戦わないと、生き残れないから」
ショーレイは肩をすくめて笑って、ふと満天の星を見上げた。
漆黒の夜空を埋め尽くして煌めく星の瞬き。
「俺は死ねない。死ぬわけにはいかない。必ず生き残り続けないといけない。そうすれば、いつか、弟達にまた・・・」
其の時見た、ショーレイの真摯な横顔と言葉を、十六歳になったヴラディレーナははっきりと覚えている。
彼女の為の迎えの飛行機がグランミュールの向こうから来たのは、一週間後の事だった。
ショーレイが戦隊長を務める戦隊の指揮管制官が古白銀種で、ヴァーツラフの親友のカールシュタールの甥に当たる人物で、カールシュタールが輸送局局長の古白銀種クレランボー中将の後輩だったという幸運の連続によって、彼女は八十六州からセレナークティカへと帰還出来たのだった。
◇
ヴラディレーナからの問いかけへのシンエイの答えは、一瞬の自失から醒めたばかりかの様な、呆然とした響きが残っていた。
「・・・ショーレイ・ノウゼンは、俺の兄です」
「やはり・・・そうでしたか。・・・じゃあ」
会えないと言って、会いたがっていた。
生き残り続けて、必ず会うんだと誓った弟達。
シンエイ・ノウゼンは、其の、弟達の一人。
「生き残り続けて、会いたいと、あの方はそう仰っていました。シンエイ・ノウゼン少佐・・・お兄様とは、お会いになれましたか・・・?」
懐かしさと万感で言葉を弾ませたヴラディレーナに、早くも常の冷徹さを取り戻した声音でシンエイは告げた。
「死にました。五年前に」
あ・・・。
「すみません・・・少佐」
「ああ、いえ」
短く返された。
本当にどうでもよさそうな声で。
六年前の夜に、二人の弟達について語っていたショーレイの様子からはあまりの温度差に、ヴラディレーナは戸惑った。
誰かの死には馴れてしまった、そんな、感覚や感情の麻痺とは違う、何か冷ややかな沈黙。
何を言ったものかと声を掛けあぐねていると、シンエイの方から静かに口を開いてきた。
「兄が言っていた二人の弟のもう一人は、ザンエイ・ノウゼンと言います」
「ザンエイ・ノウゼン・・・」
ショーレイ、シンエイに次いで、此れまた珍しい名前を、ヴラディレーナは素早く流暢な筆記体で書き留める。
「俺とは三歳下で、今年十二歳になりました。生まれつき右足が悪いのでプロセッサーではありませんが、軍属の雑務係としてずっと俺について来てくれています」
ジャガーノートプロセッサーには、前線基地所属の軍属としてではない、専属の世話役が一人つく事がある。
シンエイの弟ザンエイは、そうした世話役の一人として此れまで従軍してきた。
そして、兄であるシンエイが、戦場でレギオンと戦う傍らで弟の面倒を見てきたのだ。
「そうでしたか・・・」
「そして、俺達二人は兄を探しています。貴女の命を助けた兄を、此の五年間、ずっと」
ヴラディレーナは首を傾げた。
既に戦死したショーレイを、其れを知って探しているという事は。
「お兄様のご遺体を・・・ですか?」
微かに笑う気配がした。
「・・・いいえ」
笑う、ではない。
どちらかといえば、嗤うに似た其れだった。
けれども、もっとしんと冷えた、凄絶な迄の鋭利さ故に目を奪われる、鋭くとも危うい氷刃の様な。
或いは狂気の様な嗤いだった。