有象無象妖怪譚   作:命楼

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三日ぶりの投稿です。これで最後だゾ。本来は十二話だったものだけど文字数が多いから分割しました。丁度半分で切れなかったから文字数が少ないからお兄さん許して!


第十二話【割愛】

「──其れで俺は言ってやったんだよ。『お前は弱い者虐めしか出来ない腰抜け野郎なのか?』って」

「え〜そんなこと言って大丈夫だったの〜?」

「そりゃもう凄いのなんの、鬼の形相で睨んできた。だから其れで手を出したら其奴の程度が知れるなって一言付け加えれば自分から引いてくれたよ『弱者に用は無い、とっとと消えな』ってな。捨て台詞を吐いてどっか行ってくれた時は本当に心の底から助かったと歓喜したさ」

 

 笑いあり涙あり感動ありの博麗の巫女の冒険譚を所々端折り出来るだけ短くなる様に話したのだがかなり時間が掛かってしまった。まぁ知っている限りの事とはいえ一人の人間の生涯を語るのに時間が要るのは当たり前なのだがな。

 俺が話し終えれば向こうが友達の話をする、其れに返す様に今度は此方も知り合いの事を話す。更に相手も面白い話をしてくるので俺も地獄で鬼に絡まれた時の事を愉快に話してやった。あの時は其処まで頭が良くない奴が相手で助かった、プライドがデカイ奴はやり過ぎない程度に煽れば簡単に乗ってくれる。

 

「周りから見れば命知らずの皮を被った計算高い策士だとか勘違いされてそうだけど〜お兄さん視点からだと臆病なのに危ない道を自分から自分から進んだくせにおっかなびっくり進んでるのが分かって面白いね〜」

「本当に稀にだが自分から首を突っ込む事位はあるさ。だが殆ど巻き込まれる俺の身にもなってくれ、臆病にもなるさ」

 

 昼になり食われるのは御免だと飯を半分分けてやる事になった。握り飯だったおかげで箸を交互に使うという面倒な事にならずに済んだ。其の後も暇を潰す為に只管話し続け其の内容は様々で昨日食べた物から思い出、果ては九死に一生を得た時の話などで長い時を生きている俺たちならではの時間の消費の仕方だ。

 

「それじゃ〜今度は私の番ね〜。今度は何話そうかな〜」

「急がんでも良いぞ、時間は有る」

 

 あれにしようかこれにしようかと悩む姿は姿相応の小娘に見えるが油断していると後ろからバッサリとやられてしまう。其の所為で過去に大変な目に遭っている。

 

「そうだ〜!昔お兄さんの事を聞いてきた妖怪が居たの〜」

 

 俺?俺の事を聞いてきた?

 

「そうだよ〜、もう何十年も前の事だから忘れてたよ〜。蜜くれるあの方くらい強いんじゃない〜?妖力が凄かったも〜ん!」

 

 大妖怪並の強さ?一体誰だ?大妖怪の知り合いなど……知り合いというよりかは顔見知り程度の奴なら其処其処いるが。

 

「どんな奴だったか覚えているか?顔、髪色髪型、喋り方、他にも細かく教えてくれ」

「お兄さんには恩もあるから教えてあげる〜まぁ殆ど覚えてないんだけどね〜。背はね〜お兄さんより頭一つ小さくて髪は金髪で腰くらいまであったかな〜?それから〜……覚えてないな〜」

 

 金の髪を持つ大妖怪、思い当たる節が幾らかあるが態々俺の事を聞いてくる意味が分からん。此処数百年は会っておらず、注目される様な事をせずに生きてきたのだ。

 

「あ〜!後、角があったよ〜!思い出した思い出した〜」

 

 …………………………………………角?

 

「角?」

「そう角〜」

「何処からどんな形の角が生えていた?」

「どこからって〜おでこだよ〜。真ん中に真っ直ぐ伸びた赤いのが〜」

 

 おいおいおいおい。其れって、もしかして、あくまで可能性の話だが。

 

「鬼じゃねぇか!」

「あ〜初めて会ったけどあれが鬼か〜通りで危険だと思ったわ〜」

 

 しかも知り合いかもしれない。金髪の鬼など彼奴を含めて十数人、女に限れば数人しか知らん。逃げた事か?逃げた事を今でも恨んでいるのか?いやお前が逃げろって言うから逃げたのだが、もしや鬼ごっこか?鬼だけに鬼ごっこだとでも思っていたのか?

 

「お兄さん大丈夫〜?顔色が悪いけど〜?」

「大丈夫、ではない。いや角があるだけで鬼と決まった訳では」

「鬼って言ってたよ〜。後は特に何も言ってなかった〜」

「…………」

「お兄さんの事しか内容を覚えてなかったけど思い出せたよ〜。顔色悪いけど本当に大丈夫〜?」

 

 確か妖怪の山は元は鬼が統治していたのだったか、居候から何か言って……いや無理だ。随分前に地底へ追放されていて関係が切れているかもしれんし話を聞いてくれるかも怪しい。地底にいる筈の鬼が地上に出てくる事自体異常だ。出会って即殺されるかもしれん。

 

「まぁ今考えても仕方ないか。俺に危害を加えてくると決まった訳でもない。名指しなのが気になるがまぁ大した用は無いだろう」

「お兄さんって有名なの〜?」

「有名ではない、一部の妖怪と顔見知りなだけだ」

 

 そうでなくては困る。名が広まるなど勘弁してほしい。

 

「私の友達も知り合いもみ〜んなお兄さんの事を知ってるよ〜?この女誑し〜」

「此処には我が強いのと個性が強い女しか居ない、俺は静かでお淑やかな女が好きなんだ」

 

 人里の守護者?頭が少し堅いのが無ければな。大和撫子は幻想どころか空想と成り果て消えてしまったのだろうか。

 

「静かに生きるとかつまんな〜い!明るく騒いで生きる方が楽しいし〜」

「お前が思うんならそうなんだろうな、お前の中だけだが」

「なんだと〜!」

 

 其れで今話す番はお前なのだが、もしや鬼に尋ねられた事で俺に代わるのか?

 

「そうだよ〜それじゃあお兄さんどうぞ〜」

「まぁ良い話はまだある。其れで、何を話したんだったか。まだ話していないのは……」

「お兄さんってどの話でも殆どまともに戦わないで逃げてるけど真剣に戦った事あるの〜?」

「んあ?さてどうだったか、幾度か在った筈だが。あぁ異世界へ迷い込んだ時は自分から進み出て戦いに参加したぞ」

 

 身寄りの無い俺に手を差し伸べてくれた其の恩を返す絶好の機会だと渋々参戦したのだが良いだろう。

 

「異世界〜?話して話して〜!」

「分かったから騒ぐな、話は逃げん。先ずは迷い込んだ経緯から話すべきか。あれは今から数十年も昔の事だ、友が外から流れてくる物に興味があるからと無縁塚に行くのに付いて行ったのだがな──」

 

 

 

 

 

 

 男妖昔話中…

 

 

 

 

 

 

「──崩れ落ちる城の中を重たい荷物を背負って走り出した。其れは其れは険しい道程でな、崩れ落ちる城の瓦礫が降ってくるし、暴走した力が紫電となって空を走ってくるし、崩れ落ちる城は闇の中に飲まれていくしで何時死んでも可笑しくない中を只管走り続けた。此処を生き延びたとしても此の世界は闇に飲まれると言われていたから元の世界に早く帰りたいと思いながらも此の世界を滅ぼされたくないという気持ちもありどうにか出来ないかと走りながら考えていた」

「背負ってる女の子に対して荷物とか重いとか言うのはダメでしょ〜?どうせ重かったのは勝手に持ち出した物の所為なんでしょ〜?」

 

 確かに其の通りなのだが。報酬が欲しいだけ貰える分からなかったし敵の物だから盗める物は盗んでも良いだろうと思ったのだ。先に褒美は好きなだけやろうと言われれば仲間の元に辿り着いていた。

 

「成功するか分からなかったがどうにかなるかもしれない方法を思いついた俺は背負っている女を飛空艇で待機する仲間に投げ渡した。此れは仕方ないだろう、気絶している仲間など邪魔以外の何物でもないのだからな。取って来いと言われていた良く分からない物凄い力を宿した宝玉を手にし城の方へと踵を返した」

 

 遠くから『ヤメロォー!』だとか『死ぬなぁー!』だとか言われたが此れくらいしか思い付かなかったのだからしょうがない、其れに死ぬ気など毛頭無かった。何とかなると気楽に考えるしかなかった。

 

「城の半分程を飲み込むまでに肥大化した闇の前に辿り着いた俺は手に持つ宝玉の力を解放した。宝玉から溢れ出した神聖な光が視界を遮り肌を焼くが其れを堪え闇の中央へと投げ入れた。光をも取り込もうとする闇の中心へと飛んで行った其の瞬間──」

 

 ──大爆発。膨大な光は食われながらも其の闇を消し飛ばし辺りが光で包まれた。相殺する二つの力の爆発の中心地の近くにいた俺の身体は熱により焼かれ衝撃に叩かれ意識を失った。

 

「目が覚めた時俺は無縁塚で倒れていた。身体中に出来ている傷が夢では無いという事を証明していた」

「お兄さんって結構無茶するんだね〜」

「無理しなきゃならんかったからな。選択の余地が無いのだから腹を括るしかない」

 

 最後くらい軽く別れの挨拶でもしたかったのだが。あの神に『元の世界に帰る方法がある』と言われ戦う代わりに元の世界に送ってくれと約束を交わしていたが手を貸してもらう事なく帰ってきてしまった。命を賭けて戦ったのに彼奴らしか良い思いをしていないので向こうの世界に行った時には戦いで活躍した時の報酬を貰い帰ってこよう。

 

「それでも凄いや〜。私なら自暴自棄になって暴れてるよ〜」

「お前は喜んで戦ってそうだが」

「別に暴れたり殺したりするのが好きな訳じゃないからね〜。気に入ったものを壊したり虐めたりするのが好きなだけで〜」

 

 どっちにしても駄目だ。

 

「でも盗んだ物が有るから良かったじゃないか〜」

「あぁ少しだけとはいえ金銀財宝だ、数年間働かなくても生きていけたのは楽であったな。そろそろ帰るか」

「いつの間にか日が落ち始めてるね〜」

 

 辺りは何時の間にやら夕焼けによって染まり夜の訪れを告げていた。

 

「それじゃ〜バイバ〜イ!」

 

 手を振りながら飛び立つ蟲に手を振り見えなくなった頃に冷えた身体を再度温め荷物を持ち家に向かって走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男妖疾走中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさい、今日は怪我してないですね」

「あぁ、流石に今日は乱入してくるモノがいなかったからな。それじゃあ飯を作ろうか」

「はい」

 

 家に帰り飯を作る、異世界に滞在している時も勝手が分からなかったがこうやって生活を送っていたな。

「どうしました、笑ったりして。今日は何かありましたか?」

「大した事はないのだが、昔の事を思い出してな」

「そうですか」




3923文字。は?(声だけ迫真)こんなんじゃ作品になんないよ〜。窓側行って書きまくれ。
鬼:数十年前に地上に出てきて主人公の事を聞いて回っていた謎の妖。此の時点で主人公と蟲妖怪は知り合っている。金の髪は腰まであり角が額から一本生えている。主人公の事を聞いてきた理由は不明。
異世界:別次元の世界。とある神が作り上げた世界で神が統治していたが色々あって争いが起き恩を売る為に主人公は戦いに参加し、なんやかんやで其の世界を救った。
主人公は正規の兵ではないのでちまちまとした事を行っていたが最後の最後で大事な役に任命された。
2015年12月12日追記。タイトル編集。十三話を十二話へ。
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