有象無象妖怪譚   作:命楼

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六日ぶりの投稿です。ほんへは一週間ぶりの投稿。ほんへ以外の投稿は二週間以上間隔空けて投稿する事にしたゾ。


第十六話【烏天狗と夕食、時々暗躍】

 烏天狗の姉ちゃんが持ってきた話はそこそこ、いやかなり重要な話であったが当事者ではない俺からするとそうなのかとしか思えなかった。俺にも被害が出るとは分かっているのだが家財道具を安全な場所に移しておこうとしか考えが浮かばん。まぁ如何にかなるだろう。

 

 其れにしてもだ。

 

「お前は何時迄居座っているつもりだ?帰らなくても良いのか?」

「え?居ては駄目ですか?」

 

 居座る気でいるのか。

 

「仕事は無いのか」

「今日の仕事は天魔様から伝えて来いと言われたので無いんですよ此れが」

 

 にへらと笑い茶菓子の煎餅をバリボリと食べる居座り天狗。こう見ていると威厳のある誇り高い種族なのかと疑ってしまう。

 

「常に気を張っているとか疲れるじゃないですか?其れに私はそういうタイプではないですし」

「其れは分かる」

 

 仕事が無いのなら家に帰って新聞でも作っていれば良いのではないか?先程も言ったが俺の事は載せるな。

 

「ケチ〜」

「何とでも言え」

「悪魔!吸血鬼!花妖怪!鬼!閻魔!スキマ妖怪!」

「鬼の名を出しては拙いですよ!」

「平気だって平気平気。こんな所まで来る理由も無いしね」

「鬼が俺の事を探して近くまで来たことがあったがな」

「「え!?」」

 

 どの鬼なのかは知らないがな。

 

「そ、其の話を是非お話ししてもらっても!?いや変な事を書いたら殺されるか……」

「物分かりの良い奴だ」

 

 天狗は鬼には頭が上がらない。大昔妖怪の山は鬼が支配していたという話は有名な話だ。今は鬼が消え去り代わりとして天狗たちが山を納めている。鬼が好き勝手していた時から細々とした仕事を請け負っていた事で其の役目を請け負うことは必然だったのだろう。他に纏めるモノなど河童位しか居ないのだし。

 

「お前たちは鬼と遭った事があるのか?」

「えぇ、其れは、まぁ……」

「私は生まれて間も無い頃に居なくなったと言われたので残念ですが」

「残念?貴方はあの方々の事を知らないからそんな事が言えるんですよ。一度絡まれたらどんな目に遭わされる事か……」

 

 ぶるりと身体を震わせた姉ちゃんの顔には影が掛かっていた。何かされたのだろうが触らぬ神に祟り無し、詮索するのは控えるか。

 暇なら家でのんびりとしていろ。

 

「お客に対して其の態度は如何なものでしょうか」

 

 家主に対して其の態度は如何なものでしょうか。此方の事を考えずに居座るのは頂けない。

 

「実はまだお昼の方を食べていなくてですね、あのぅ……宜しければ作ってほしいなと」

 

 お帰りは俺の後ろの戸を潜り廊下を進んだ先だ、とっとと帰れ。

 

「有益な情報を持ってきたじゃないですか〜!其れなのに空腹な女の子を放り出すなど男のする事ですか!此の甲斐性無し!!」

「ぎゃーぎゃーと喚くな」

「此方は此処で食べる気満々で来たんですからね!」

「勝手に其の気で来たのが悪いだろう」

「私を其の気にさせた原因でしょう!」

「いいや違うね」

「分からず屋!」

「姦し烏」

「木偶の坊!」

「捏造記者」

「えぇっと、卑怯者!」

「お前が言うな」

 

 話をしていた筈が何時の間にやら悪口の言い合いになっていた。お前の分を作るのは腹立たしいから嫌だ。せめて金を払え。

 

「守銭奴!」

「出歯亀」

 

 

「もう止めにしませんか?」

 

 

「え?」

「んあ?」

「こんな事をして何の解決になるというんですか。貴方も一食位良いじゃありませんか」

「ぃや〜い怒られてやんの〜」

「貴方も人の家で勝手知ったる様に寛がない」

「あ、はい」

「金を要求するのなら私が払いますから」

「いや、良い」

「そうですか、其れでは食事にしましょう。無意味な会話で無駄な時間を使ってしまいましたから」

「「はい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三人料理中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居候の手によって問題は解決に導かれ三人揃って料理に取り掛かった。三人並ぶと其処其処広い筈の台所が狭くなる。

 

「頼む」

「其れじゃあ此れを」

「此れは如何する?」

「特には無いですね」

「適当が一番悩むのだがな」

「すみません。重ねて此れも」

「乗せておく」

「頼みます」

 

 

 

 

 

「何で目を合わせず短い言葉だけでこう遣り繰り出来るんですか!?」

 

 

 

 

 

「ッ!?」

「耳元で喚くな」

「あぁすみません。いや其れどころではなくて!」

 

 天狗の姉ちゃんがまた叫び出した。烏何故泣くの、烏の勝手でしょう。

 

「静かにお願い出来ますか?」

「煩いぞ静かに喋れ」

「あ、はい。二人の遣り取りを見ていたのですがね」

 

 観察を行っていないで手を動かしてほしいものだ。

 

「貴方もですよ」

「すまん」

「良いですか?料理を作っている間二人の事を見ていたのですが。そして気付いたのです、二人の言葉が余りにも少ないと!」

 

 だから煩いと言っているだろう、静かに喋らないというのなら其の羽根全て毟り取って人里で売るぞ。

 

「やれるものならやってみろ〜!誇り高き烏天狗は下級妖怪如きに遅れは取らん!!って何言わせているんですか!すいません煩くしました此れからは気を付けますだから痛い痛い!」

 

 此奴は乗りが良い、だが煩い。仕置きとして羽根を掴み少し力を込めるが逆に煩くなってしまう。

 さっさと話せと羽根を触った手を洗う。

 

「毎日きちんと洗ってますよ〜烏天狗なだけに烏の行水なんて事もありません。話は戻りますが、言葉数が余りにも少ない。なのに其れだけで通じ合っている、其れだけでは無く二人の動きに淀みが無いのです。噛み合った歯車の動きの様でした」

 

 そう言われても、何が如何なのか分からず居候に目を向けるが向こうも分からないといった顔で此方を見ていた。お前もか、俺もだ。

 其の様子を見てにやにやとし始めた姉ちゃん。何か良からぬ事を企んでいる顔だ。

 

「其れじゃあ此れを」

「其れでは此れを」

「だから私を置いて料理をしないでください!私だけ除け者みたいで寂しかったんですからね!」

 

 火を通し飾り付けを終わらせた物から順番にお膳に乗せ始めるとまた喚き出すが無視を決め込む。話さず飯を粗食する為だけに口を動かし帰れ。

 

「如何思いますか〜弱い癖に自分の事を見下す男って」

「貴方の行いの結果なのは分かっていますね?なら自分の言動を省みてください。もし分からなければ天魔様に包み隠さず話す事をお勧めします」

「私に死ねと?」

 

 何時でも此の騒ぎ様なのだろうか。お偉方に目を付けられでもしそう、いやもうされているか。

 

「私は可愛いので許されます。可愛いは正義だと外の世界から来た天狗が言っていました」

 

 そんな事で許されていれば世界は今頃頭の中が御花畑な世界か崩壊した世界に成っているだろう。

 此奴が可愛い?確かに顔良し見た目良しと来ているが性格が破綻してしまっているのが駄目だ。居候の爪の垢を煎じて飲ませてもらえ。

 

「此の娘の方が良いって可笑しいですよ〜性格は破綻していませんし。私は烏天狗で其方は白狼天狗。出世していき良い役職に付けるのは私の方が上なのに〜」

「私を引き合いに出さないでくださいよ」

 

 お前に足りない物を一つずつ上げていったら昼が過ぎ夕方に変わってしまう、其れ程に欠点がある。

 一方居候は堅物な所があるが、基本素直に言う事を聞く程に従順。だが芯が通った考えを言葉に出せる。家事も出来る。見た目も良い。

 

「お前が勝てる所が無いな。嫁に貰うなら何方か聞けば九割の男が居候を選ぶ」

「でも一割いるんですよね!?」

「一割しかいないのだかな」

 

 膝を抱えて座り床にのの字を書き始めた烏は放っておき盆の上に料理を乗せて運んでいく。

 二人で並べていると後ろから置いて行くなという声が掛かるが付いてこない奴が悪い。

 

「女の子の扱い方として間違ってますよ〜プンプン!」

「女の子という歳では無いだろうに」

「幾ら歳を重ね様と心は何時迄経っても少女なのですよ」

 

 バチコーンと片方の目を閉じて指をチョキの形にして目に近づける姉ちゃん。あぁウインクとピースサインだったか、直ぐには分からんな。普通はパチリとするものなのだが勢いのあるのは間違いでは無いのか?良く分からんな。

 

「何時でも何処でも元気発剌!」

「喧しい」

「其れじゃあ食べましょうよ!いただきま〜す!」

「「……いただきます」」

 

 ガツガツと勢い良く飯を食い始めた姉ちゃんに続いて俺たちも食べ始める。此処に居るモノは性格もそうだが食事の摂り方も違う。居候は偏りがない順繰りに食べていっている、真面目な性格が表れている。天狗の姉ちゃんは一つの品を米と一緒に摂り次に向かう偏り食べ。俺は居候の同じで満遍なく食べる三角食べ。

 

 

「お代わりです!」

「分かりました」

 

 早い、考え事をしている間に早くも二杯目を要求していた。遠慮も無い此の姿勢に居候は眉一つ動かさずに飯を装う。慣れているのだろうか。

 

「いやぁ美味しいですね〜。自分で料理したというのもあるのでしょうが、久し振りにしましたよ」

「ん?普段からはしないのか?」

「料理なんて食堂で摂れますからね。数十年もしてませんでした」

 

 だからか、手付きや動きがぎこちなかったのは。株が下がったな。

 米が山の様に装われた茶碗を受け取り残ったお菜を片しに掛かる。此の侭行くと三杯目をお代わりするやもしれん。

 

「食堂か、便利なものだな天狗生活は」

「そうですよ〜。仕事さえきちんと熟せば良いだけですから。共有施設ですが食堂で食事が摂れ、大浴場では広いお風呂に入れます。其の時洗濯物までやってもらえますから楽ですよ」

「其の所為で自分一人では家事を行えない天狗が出て来て問題になっていますがね。小さい時から一通りの事が出来る様に教育が行われる様になりましたから改善には向かっています」

 

 便利になる様にしていく事で問題が起こる。大変な事だな。

 

「食事を部屋へと運んでもらっている天狗も存在しまして、引き篭もってずっと出て来ない奴が居るんですけどね〜。其奴は『部屋にトイレも風呂も完備している良い部屋に住んでるから外には一生出ない』と馬鹿な事を言ってるんですよ〜」

 

 笑っちゃいますよね〜、と言われても別に其奴の勝手なのだから知らん。俺も仕事が無ければ引き篭もってしまうかもしれんしな。

 

「もう一杯!」

「はいはい」

 

 やはり三杯目に行ったか。良くもまぁこんな短時間で食べれるものだ。

 

「烏天狗ですから」

 

 烏天狗だから如何したと言うんだ。あれか?飛ぶのが速いから食べるのも早いと言いたいのか?全く関係性の無い二つではないか。

 

「其れは冗談で、本当は用があるのを思い出したんですね」

「おい。暇なんじゃなかったのか」

「忘れてたんですよ〜。いやぁ人使い、いや妖怪使いの荒い方たちですよ全く」

 

 食べる勢いが更に激しくなり掻き込む様は些か品に欠ける。其の儘一心不乱に食べ続け此方が食べ終わると同時に食べ切った。ご馳走様とデカイ声で言うと立ち上がり玄関に向かっていく。俺たちもご馳走様と声に出しお盆を手に持ち台所へと向かう。

 台所へと向かった居候の後を付いていく前に姉ちゃんを呼び止める。

 

「あぁちょっと待て、一つ聞きたい事がある」

「何でしょうか?急いでいるのですが」

「其れはお前の所為だろうに。一つだけなんだがな。お前、何を企んでいる」

「……如何いう意味でしょうか?」

 

 お前、いやお前たちが何を企んでいるのかは知らないが好きにやっていても良い。だが俺に被害が来ない様にしてくれ。

 

「善処します」

 

 そう言い残し帰って行った。何かあると感じたがやはり情報を伝えに来ただけではなかったか、カマを掛けてみて正解であった。

 

「善処する、か。巻き込まれるんだろうなぁ……」

「如何しましたか?何か言われたとか?」

「飯の恩は何時か返すとさ」

 

 さてさて、此れから如何なる事やら。一月共同生活を送れば済む話では無くなるのだろうという漠然とした予感だけがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場面切り替わり中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伝えてきましたよ〜、序でにご飯まで頂いちゃいましたよ」

 

「仲ですか?そうそう聞いてくださいよ〜。料理中にですね、短絡的な言葉だけで会話し合ってまして。然も互いに互いの言いたい事を理解して瞬時に動いて凄いの何の」

 

「あぁはいそうですね、正に以心伝心でした。十日も経たずに其処迄の信頼関係が出来上がっているとは」

 

「何度か顔を合わせているとは聞いていましたよ、あくまで顔見知り程度だと。然し本当に其の程度の仲だったのか気になりますね〜元から深い仲なのかも」

 

「分かっていますよ、支障が出ない様全てが終わってから聴き出しますって。其れにしても、彼はなかなかに面白い方ですよ。人間の方に情報を取られてしまった事がありましたが、まだ隠している事がありそうな気がしました」

 

「?あぁ記者としての勘と女の勘の両方ですかね。あ、そうだ。此方が何かしよっとしているだろうと言われてしまいました。正確には分からないが何となく何かを企んでいる、其の程度でしょうがね」

 

「全貌が分かったとしても流れに身を任せなければ其れこそ手痛い目に会うと分かる筈ですから大丈夫、いや分からなければイレギュラーな行動をするかも……本当に伝えなくても宜しかったですか?」

 

「分かりました。利用するのは良心が痛みますが此れも向こうの為ですしね、精一杯努力していきます。其れでは」




5211文字、普通だな。
新年明けいやぁキツイっス(素)てか新年になってもbiim兄貴の動画が来なくて寂しい…寂しくない?兄貴の生存は確認してるけど忙しいんやろなぁってそ一言。
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