有象無象妖怪譚   作:命楼

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一週間ぶりの投稿です。1月14日5時14分、114514、良い世!来いよ!(世界平和)


第十七話【竹林での死闘】

 天狗の姉ちゃんが晩飯を食べて帰りどれ程経ったか、疲れと怠さで酒を飲む気も薄れたので寝る事にした。

 其れしても、立つ鳥跡を濁さずでは無いのか。色々と濁していきやがってと思いながら立ち上がり寝床へと向かう。

 

「今日はもうお休みですか?」

「体調も優れぬ、掃除で疲れる、馬烏がやってくる。此れで飲んでも酔うに酔えない、酔っても気持ちの良い酔い方は出来ないだろうからな」

 

 酒は嗜む物、嗜む事が出来ぬなら意味が無い。惰眠を貪るのも体調が悪いのなら意味が無い。よって早々に寝て改善を試みた方がマシだ。

 

「何かあれば起こしてくれ、其れじゃあな」

「お休みなさい」

 

 重い身体を動かして暗い廊下を進んで行く。自室の戸を開け布団を引いて眠りに就く。今日も疲れた、明日は疲れぬ一日を過ごしたいのだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早起きは三文の徳という諺がある、何でも早起きすれば其の分だけ利益があるらしいのだが。本当に徳があるのだろうか。

 

「其の時間何もせず無駄に時間を過ごしたとして其れは利益足り得るのか?」

 

 其の疑問に答える者は居らず静かな部屋に静寂が訪れる。俺は此の無駄な時間が利益に通じているとは思えない、ただ惚けているだけなのだ利益に成る訳がなかろう。怠慢が利に成るのなら俺は死ぬ其の時迄怠慢な生活を送り続ける。何が言いたいかというと徳になるかは早起きした其の時間に利益を生み出す行動をしたかどうかなのだ。早起きし行動すれば三文の得、に変えるべきだろう。

 まだだ、まだ日は昇らない。昨日早くに眠りに就いたのだがまさか日が昇る前に起きてしまうとは。規則正しい生活をさせられている事で一定の時間眠ると起きてしまう身体になった事が此の様な弊害を生むとは。灯篭に火を灯し其の光をぼんやりと見つめて早一刻、更に無駄な思考を長々として一刻。未だ日は昇らず暗闇と静けさが辺りに広がるのみ。

 

「目も冴えてしまった、いや少し眠気がするが眠りに就ける程ではないだけだ。如何すれば良いか」

 

 此処最近新しい本を手にしておらず所持する本も粗方読み終わってしまったしまい読む気にならない。

 ああでもないこうでもないと考えていると腹から音が鳴る、其れと同時に空腹感がやってきた。飯には早いが何か食べるか?朝飯が食べられなくなる。軽く食べても生活習慣の乱れだとか言われてしまうかもしれん。

 

「狼と名乗るのだ鼻は良い筈、匂いで気付かれてしまう。だが此の空腹を抑えるのか?時間もまだあるのだ時間も潰せるし空腹も満たせる」

 

 如何するかと少し考えたところで立ち上がる。考えれば考える事に腹の音と空腹感が増していく、空腹感は痛みにも似たものに感じる様になってきた。自由に生きるのが俺なのだ居候が何だ。

 

「思い立ったが吉日、善は急げ。人間は良く言ったものだ」

 

 部屋を出て廊下を進み台所、冷蔵庫から肉やらを取り出し準備を進める。

 軽くだ、軽く食うだけなら問題はない。

 

 

 

「其れで、大丈夫だと考えて食べたと?」

 

 

 

 結局夜食を摂った事がバレてしまった。軽く食べた事で朝飯は食べる事が出来るだろう、しかし軽く食べようと匂いで気付かれる対策になる訳が無くバレてしまった。寝起きの頭では其処までに考えが回らなかったのが敗因だろう、何故バレないだろうと思ったのか其の時の俺を小一時間問い詰めてやりたい。

 

「話をきちんと聞いていますか?」

「あ、はい」

 

 だが正座をさせられ説教を受ける事になるとは、朝から説教を受けるのも嫌だが更に固い床の上で正座をするのは精神的にも肉体的にも辛いものがある。

 

「…………はぁ、朝からこんな事を言わせないでくださいよ」

「すまん」

「もう良いですよ、早く朝ご飯にしましょう。食べられますよね?」

「大丈夫だ」

 

 足が痺れ始める前に終わって良かった。此の後何時もの様に飯を作り食べた。

 

「其れで、体調の方は?」

「おう一日休んだからな、体調は万全だ」

「なら今日は大丈夫ですよね?昨日の分まで頑張ってきてください」

 

 説教は直ぐに終わったが直ぐには怒りは収まる訳がなく、頑張って疲れて果ててこいと言われ飯を持たされ準備が出来れば早々に家から叩き出されてしまった。

 

 

 

 

 

「此れを如何思う?」

「いきなり如何だと言われても話が見えないのだけど……」

「此れだからガキは困る」

「お?喧嘩売ってるのか?買うぞおい」

 

 

 

 

 

 影闘ばかりでは飽きてしまうので今日は只管走ろうと重い汗水垂らして野を超え川超え山を超え、腹が減ってきたので一旦止まったのは竹林であった。手頃な大岩を背凭れにして飯を広げようとした所でやってきたのが此奴であった。此奴も此処の連中の例に漏れず姿形は十五にも満たないであろうガキ其の物だが中身はかなりの歳を食っているそうだ。俺の倍以上生きているらしいが死んでるのか生きてるのか良く分からん状態なのだから歳も何も無いのだろう。

 

「其れで何の用だ」

「いやな、偶々会ったんだ一緒に飯でも食おうかとな」

「飯?別に良いが」

 

 隣に腰掛けたガキ、いや女は背負っていた袋から弁当箱を取り出して食べ始める。飯を食おうと食わないであろうと変わらないというが飯が無い生活は味気無いらしく人里の彼奴に注意されてからはこうして飯を無駄に食っているそうな。お前が今如何いった存在なのか一度説明された事があるが分からない事しか分からなかった記憶がある。ん?此れは前にも言ったか?何時言ったのだったか。

 

「其れって確かデジャビュって言うんでしょう?」

「既視感の事だな、いや一度言った事があるのだ其のデジャビュではない」

 

 きちんと意味を理解してから言葉を使え此のモンペが、いや指貫袴だったか。

 

「私の事を不老不死と言うのなら、不老不死の意味をきちんと理解してほしいものだけど」

「煩い、知らんのだから仕方無かろう」

「説明したでしょうが」

「俺にも理解出来る様に説明しないお前が悪い」

「ハナから理解する気が無いのだから、真面目に説明する意味が無いと思うのよ」

 

 そう軽口を叩く女、だが口が悪くとも其の食べ方には品があった。素行は悪いが偶にこういった育ちが良いのだろうと思わせてくる言動が多々有る。其れが如何してこうなったのか。

 

「何?」

「お前の食べ方はなかなか綺麗なものだと思ってな」

「あぁ、扱いはあれだったけど其の辺りはしっかりと教育を受けて……何言わせんのよ」

「お前が勝手に喋っただけだろう」

 

 昔を懐かしむ様に語り出したかと思えば非難の視線を向けてくる。俺が何をしたというのか。

 

「……御免」

「なんだ、いきなり語り出して怒ってしおらしくなって。情緒が不安定過ぎやしないか?」

「踏ん切りが付いたと思ったんだけどねぇ、そうはいかないみたいだ……」

「本当に如何した?」

 

 いきなり語り出す女。悪い物でも食べたか?頭でも打ったか?医者に診てもらえ。

 

「不変な私には無意味よ」

「でも腹は減るし疲れるのだろう?可笑しなものだ」

「私は変わらないけど食べた物は私じゃないもの、腹に収まっても何時かは消え去る。そうすればお腹は減るし力も出なくなる」

「変な所で律儀な身体だなぁ」

「ほっとけ」

 

 不死身の生物にも避けられぬものがあるのだと知った瞬間であった。前にも教えられた気がするが酒の席だった故に覚えていない、何か良い事を言ってやった筈だが何を言ったか。聞いても教えてくれないのには理由があるのだろう。

 

「前に会ったのは随分前だけど、元気だったの?」

 

 当たり障りのない問い掛け。

 

「まぁ元気だったさ、相も変わらず食って寝て飲んで寝て」

「何時か本当に身体を壊すわよ?」

「壊さない様に酒の量には気を使っている。だが他はそうはいかないのが悲しい所」

「他?もしかして又変なのに絡まれて飲まされてる訳?」

「俺に力が有れば如何にかなるのだが毎度毎度面倒な奴に連れて行かれてしまう」

 

 逃げるに逃げれず飲まされる。俺より酒に強いという鬼を代わりに誘ってほしいものだ。奴等なら喜んで飲み干してくれるだろう。鬼と闇との酒飲み合戦、無様に倒れる奴は何方か。

 

「其方は如何なんだ?何か変わった事は?」

「変わるも何も私は、まぁいっか。こっちは相も変わらずのんびりして案内して殺し合ってるだけよ」

「最後が余分過ぎるだろうに」

 

 此奴は、いや此奴等は不変なのを良い事に常日頃から殺し合いを行っている。比喩ではなく、互いが互いを殺し殺される正真正銘の殺し合いだ。目の前で下半身をぐちゃぐちゃにされたお相手が生きた侭燃やされる際に発した絶叫を、俺は将来何百年経とうと忘れないだろう。

 

「あれは本当に済まなかった。まさか近くに居るとは思ってなかったから」

「居ると分かっていてあんな体験をさせてくる奴が居れば、其奴は頭が可笑しいんだろうな」

 

 そういう奴とは未だに遭った事はないな、逢いたくはないが。

 

「そういえばあれがあんたとの初めての出会いだったのか……」

 

 憂いを帯びた顔で其の様な事を言う白髪によってしんみりとした雰囲気が辺りに立ち込める。だが。

 

「其の前に出会っているぞ」

「……………………え?」

「だから其の前に出会っていると」

「ど、何処で?」

「確か二百年前だったか。竹林にやってきた所で血の匂いを感じて近付いてみたら其処にお前が居た。此れが最初の出会いだ」

「え、全く身に覚えがないのだけど」

「お前は竹で串刺しだったからな、此方へ意識を向けている暇がなかったのだろう」

「ちょっと待って、其れって何時よ。竹で串刺しにされたのは何度もあるから何時だか分からない……」

 

 あの時のお前は死ぬ一歩手前で悶え苦しんでいたな。地面から真っ直ぐに生えた竹に突き刺さる女、未だにひくひくと痙攣していた。腰を抜かしてしまってもし仕方ないだろう。

 股から身体を貫き口から飛び出す竹、猟奇的な物が出来上がっていた。其れを作り上げた奴が居ない所を見るに帰った後だろう。時折ズュリズュリと肉が擦れながら少しずつ下へと落ちてきていた、竹を血で染めながら。其れを見た俺は猟奇的な光景に戦慄し、此れを行った奴が近くに居るかもしれんと心底震え上がり逃げ出していた。

 

「多分其の後は痛みか血が出過ぎたかで死んで蘇ったんだろうな」

「自分がやられてる所を事細かに説明されると何だかムカつくな、彼奴は絶対に殺す」

「生きるも死ぬも無いだろうに」

 

 肉食獣を想わせる獰猛な笑みを浮かべ口元に犬歯を見せる、何時でも逝けると威圧感を辺りにばら撒く白髪。其の所為で小動物たちが逃げていく足音が聞こえた。

 

「グピャッ!い、いきなり殴る奴が居るか!?血が、おい此れ拙い位出てるんだけどぼーっとしてき────」

 

 ────ドサリ。其の場に倒れる女。濃厚な殺気に当てられ思わず殴り倒してしまったが直ぐに復活するだろう。少なくなった弁当の残りを全て食べ、隣に置いてある弁当箱の肉を頂く。

 弁当箱をしまっていると女の身体が燃え始め消え失せた、其の代わりに少し離れた空中に炎が生まれ中から出てきたの先程の女だった。

 

 

「うぅ……此処で死ぬ事になるとは、今度の死因は何だ?出血死?いや脳が壊れたから?」

「知らんがな、ご馳走様」

「って私の弁当の最後の一品が無いのだけれど」

「お前が燃やした」

「弁当箱は平気なのに!?」

 

 私今怒ってますと背後に炎を侍らせる女。そう怒るな鳶に油揚げを攫われたと思えば良いだろう。

 

「まさに其の言葉の意味になったのだけど」

「火事になるから止めろ、又彼奴に怒られるぞ」

「あ、はい」

 

 彼奴の事を出せば直ぐに炎を消してくれる、やはり大事な友達には弱い様子。相も変わらず仲良しな様で何よりだ。

 

「か、からかわないでよ!」

「まぁ良いだろう?仲良き事は良きかな、ホッホッホッホッホッホッ」

「何だかジジ臭いはね」

「そういうお前は白髪が相俟ってババ臭いぞ」

 

 二人して笑う。今は此の様に話しているが少し前の此奴では信じられない事だ。此処まで友好的に成った一因は俺なのだが、此の話も何時か日記に記してみよう。

 

「そういえば此処に来る時に汗水垂らして息を切らしてやってきてたけど、如何したの?もしや追われてるとか?」

「追われていれば飯など食って暇が在る訳ないだろうに、俺は平穏を望んでいる事を知っているだろう?」

「如何だか、争い事は避けたい面倒事は逃げたいと言ってはいるが何かと首を突っ込んでいる奴が言っても信憑性がない」

 

 俺が自ら首を突っ込む事など滅多にない、巻き込まれる事が殆どだ。

 

「鍛錬だ鍛錬」

「鍛錬?」

「最近身体が鈍ってしまい力が落ちたからこうして運動しているのだよ」

「鍛錬ねぇ、似合わない事此の上ないじゃない?理由は知らないけど、どうせ何時もみたいに馬鹿な事考えてるんでしょ?」

「今度は其の頭に拳じゃなくて蹴りをお見舞いしてやろうか?竹林の奥までぶっ飛ぶ位に強く蹴ってやるぞ?」

「ケツから炎ぶち込んで汚ねぇ花火にしてやるよ!」

 

 此の後無茶苦茶殴り合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人喧嘩中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 始まった妖怪対不老人の因縁の対決。不老不死の特性上復活してくるのが此の上なく厄介だ、全てを燃やし尽くさんばかりの炎が厭らしく攻めて来て近付く事が出来ない。そう攻めてくるのなら此方も手段を選ばすぬ。特攻を仕掛けた事で身体中に火傷を負う羽目になったが、何とか近付き宣言通り頭に蹴りを入れる。防ごうとした腕毎叩き潰し吹っ飛ばす。蘇る白髪が攻撃に転じる前に再度近付き殴り飛ばし、又殺す。作業が始まった。

 殺した回数が五十を超えた辺りで動かなくなった女、如何やら気絶したらしい。此れは俺の勝ちだろう。辺りは俺の攻撃と女の炎によって竹はへし折られ吹き飛ばされ燃えていた。女を放置するのも悪いと思い肩に担ぎ竹林の奥の医者の所に向かう。火傷用の薬を受け取った。女は放置した。

 

「其れじゃあ帰りますか」

 

 迷ってしまいそうな竹林を荷物を持って走り出す。今夜は何を作ろうか、今日は魚が食べたい。

 家に帰ると燃えてぼろぼろになった服と身体中の火傷に対して正座をさせられ説明する羽目になった。




5538文字通り、普通だな。

・主人公殺しまくりとか残酷やろ。
 まぁ妖怪だし、多少はね?そもそも白髪が殺し殺される事に「生きてるんだ」って感じてるから友人として付き合ってるだけだゾ。それ以前に殺す気でやんないと死ぬ事前提で攻撃してくる奴とまともに戦えないってそ一言。
・竹林の奥の医者の所に置いてきて良かったのか?
 今出来る最大限の嫌がらせ。
・不老不死の設定が可笑しくない?
 ゲームをプレイしても設定とか深く考えたり考察しないから、良く分かんないです(シューティングやりたいだけ勢)
 蓬莱人の不老不死って不変だけど疲れたりするから「肉体は変わらないけど食べ物とかは体外の物。体外から吸収した物は自分じゃないから変わっていき、体内から消える」っていう認識だゾ。
 不老不死についての意見欲しい…欲しくない?東方関連のスレ漁ろうかなぁ俺もなぁ。
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