有象無象妖怪譚   作:命楼

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 久しぶりの投稿です。パソコン君がお陀仏になったのでiPhoneからの投稿なので誤字があると思うゾ。あとガバガバな文章だけどいつか手直しするかもしれないです。


第六話【行いはそれに見合った結果が起きる】

「おぉ!こっちに来るのは久しぶりじゃないお兄さん!いやぁ酒屋にばっかり行っててこっちに来ないからお礼も何もできないじゃない!」

 

 耳を劈く大声。そのおかげで隣の奴がビクりと驚き品に向けていた顔を上げ辺りを警戒し、俺の眉間には皺が寄った。

 

「何故お前が酒屋に行っているのを知っている。それと礼とはなんだ」

 

 酒屋から二人並んで歩く事数分、市場に着いてまず最初に向かったのは八百屋だった。何を買おうかと見定めていたその時店の奥から声が響き顔を上げ向いた先に立っていたのは何度か顔を合わせた事がある女であった。

 言いたい事があるという風だが先に聞きたい事がある。何故俺の行動を知っているのか、そこのところを聞きたい。

 

「この前店同士の会合があったんだけど酒屋の息子が『うちには結構来てるぞ』って話をしててね。こっちにはあまり来ないって知ったんだよ。酒ばっかりじゃ身体を壊すよぉ?まぁ妖怪だから壊すも何もないんだろうけど」

 

 その一言から話は広がり俺が話した事やらどの位の頻度で来ているのか、色々な事が話されたらしいが何故俺の事で話が広がったのか。

 こういう話しが人伝に広がりあのデカい家の妖怪大百科にこういった話や噂が載るのかもしれんな。何とも言えん気持ちだ。

 後、妖怪も身体を壊す事はあるのだが…まぁいい。

 

「それで、礼というのは?もしや前に助けてやった礼の事か?」

「そうそれ。その事なんだよ」

 

 身に覚えがないわけではない。あの時の事だろうかと思い聞けば当たっていた。

 

「あの時あんたに助けてもらってなきゃあたしは死んでいたかもしれない、幼い我が子を残してね。だけどあんたがいてくれたおかげで助かった。助けてもらった恩がまだ返せていないんだよ」

「別に恩を売る為に助けた訳じゃあないのだが」

「それでも助けてくれたじゃないか。恩はちゃんと返さないと」

 

 恩と言われてもなぁ……あの時は自分の為に助けた訳であってだな。だがそう言おうにも憚られる雰囲気。何と言えばいいのか。

 

「ここは素直に貰っておいた方が良いんじゃないですか?」

 

 どう言い出そうか悩んでいれば後ろから声が掛かる。やはりここは素直に受け取るべきなのだろうか。

 

「おや?お兄さんの連れかい?美人さんじゃない」

「あぁ連れだ、ただのな。それじゃあ素直に貰おうか」

「よしきた!」

 

 礼という事で安くしてもらった上におまけまで渡された。以前の酒代で財布の中が心許なくなっており買う量についてあれこれと考えていたのだがこれは思わぬ収穫だ。

 

「おまけまで貰えるとはありがたい」

「また来てくれよあんた!」

「おうそれじゃあな」

 

 大量の野菜の入った袋を手にし次に向かったのは肉屋。ここでも八百屋の様に助けられた恩だと貴重な牛や鶏に加え猪等の肉を安く買い込む事ができ思わず笑みが浮かんでしまう。その様子を見たのか。

 

「にやにやして大丈夫ですか?」

 

 と心配されてしまった。心配されたと書けば此方を気遣ってくれているのかと思うだろう。じとっとした目を向けられていたので実際は文の最初に「頭が」と付いていたのだろうと容易に分かる。本来の性格が出てきたと喜ぶべきなのだろうか、馬鹿にされていると怒ればいいのか。

 だが食料だけでこれ程の量になるとはな。重くはないのだが両の手が塞がってしまうのはいただけない。

 俺たちなら買い込むだけ買い込んでも重くはないだろうと当たりを付けた。結果的に当たっていた訳だが重さしか考えず荷物を持つ事で手が使えなくなる事を失念していた。

 何故両手が塞がるという考えに至らなかったのかと今更悔やんでも仕方ないのだが。あぁ畜生。背負子でも持って来れば良かった。

 

「何処かで買うしかない。いやこれ以上出費は抑えたいところ。まだ米やら調味料やらを買い足して荷物は増えるだろう」

 

 帰り道に何があるか分からないのだから此処は買って然るべき。それに出費と言っても先の買い物で安くしてもらっている。その分で買えるだろう。倉庫に放置している背負子もかなり古い物でいつ壊れるか分からないのだからここで買い替えても良いだろう。

 

「考えは終わりましたか」

 

 思考を終わらせると同時に声を掛けてくる居候。前にもあったが悟り妖怪の血が流れているのではないだろうか。

 

「背負子を買おうと思う。帰り道で何があるか分からないからな」

 

 近くの道具屋で頑丈そうな背負子を買い荷物を縛り付ければ両手が自由となった。追加で米に調味料、卵や何やらも買い背負子に乗せて縛る。この時間僅か一刻。

 

「他には?」

「買いたい物ですか?特に思い付きませんね。持ってこれる物は殆ど持って来ましたから」

「それじゃあ飯にするか」

「いいですね」

 

 早く済ませる事はできたが昼はもうとっくに過ぎて客は疎らになり空いている頃だろう。やはり飯というのは五月蝿い中でするものではなく静かに味わうものだと思う。知り合いの殆どは騒ぐか絡んできて駄目だ。古道具屋のあいつや寺子屋の教師くらいだ、次に竹林の白髪。

 大量の荷物を背負う姿がどう見えたのかは分からないが見知った奴らにどうしたのか何処かに行くのかと話しかけられた。中には危険な妖怪に目を付けられ幻想郷を出て行こうとしているのかとも言われた。

 基本的に酒屋と酒場、それからつまみになる物を買いに行く位しか人里に来ない為に他の店についてはさっぱり分からない。何処の店で食べるか聞いてみたところ。

 

「半年程前にお店ができたらしいんですよ、なんでも外から迷い込んだ人間が開いたとかで。大陸の方から伝わってきた料理や大陸よりももっと遠い場所の物まで揃っているらしいです」

 

 物珍しさに連日客が絶えない程混んでおり、一月経った頃に予約制なるものを導入。今から予約すると二ヶ月待たなければならないという。

 今は如何か知らないが昔は大陸の物がこの国に来る事は滅多になかったと記憶している。しかも此処は幻想郷、そう簡単に出入りできない場所故に外以上に仕入れが大変な筈だ。他の物を代用として使用するか流れて来るのを待つしかないが、流れて来るのを待つのは現実的ではない。

 客の数を調整する考えに至るのは必然だろう。

 

「予約しても二ヶ月も待つ事になる、そんな話を出してきたという事は何かあるのだろう?」

「そうです。なんとその店の予約券がここに」

 

 やはりと言うべきか何と言うか、予想した通りになった。懐から取り出した財布の中から掌程の大きさの模様が付いた板二枚を自慢気に取り出した目の前の女。

 

「……」

「何か反応してくださいよ」

「済まんな、そういった事にはあまり慣れていないのだ」

「……そうですか」

 

 面倒事に首を突っ込む程の物好きではないのだ。

 先の表情から一変、しょぼくれだし何とも言えない気持ちになった。少し前にも此の様な気分になったな。

 

「あぁ、なんだ。その予約券とやら良く取れた物だな。どういった経緯で手にしたのだ」

「経緯、ですか?二ヶ月前の事なんですけどね、暖かくなり始めたある晴れた日にあの方が来たんですよ「数ヶ月前に新しく開店した店が珍しい物を出すから取材に行く」と、私はこの時友人の河童と将棋を指していまして相手にするのも億劫で適当に相槌を打っていたらいきなり腕を掴まれて「一緒に行ってくれるの?一人で行くのも寂しかったから助かるわ」ってこちらの了承もなく連れて行かれたんですよ。あの方はいつもそうだ、私の事を考えない。無理矢理用事に付き合わされたり、騙されたりなんてことはよくありまして」

 

 経緯を聞いていた筈が途中から愚痴に変わってきた。あの姉ちゃんはいったい何をしているのやら。その事に関して無関係な此方が愚痴を聞かなければいけないのか甚だ疑問だ。話を適当に聞きながらこう考えている間も口は止まる事を知らないのか愚痴を吐き出し続けている。

 

「ここ最近で一番酷かったのは定時連絡会での事、正確に言えばその後の宴会での事なんですけどね……内容は言いたくないので省きますが、あれは本当に酷かったです。大勢がいる前であの様な事を強いるのはやりすぎですよ。良識を持った大天狗様が止めてくださったおかげで事なきを得ましたが」

「不満が溜まっているのは分かった。まぁなんだ、大変だな」

「そうなんですよ。あ、経緯でしたよね?何処まで話しましたっけ?」

 

 愚痴ちゃってすみませんと少し顔を赤らめて恥ずかし気に謝られ気にしていないと返す。山の天気の様にころころと表情が変わる奴だ。

 

「連れて行かれる所で終わっているぞ」

「あぁそうでしたね。えぇと、そうこちらがいいと答えていないにも関わらず連れて行かれたんですよ。今は休憩の時間だがらこうしているがもう少ししたら哨戒に戻ると伝えても大丈夫だとしか答えてくれなくて無理に拒絶する事もできず渋々人里まで来たのです。まぁそのおかげで珍しい物が食べれて予約もできたんですけどね」

「そうか良かったな」

 

 どうせ一緒に行かないかと問われた事を確認もせずに頷いたのだろう。

 

「本来なら誰かと行く予定ではなかったのか?その券も二つある様だし」

「別に誰かと行こうとは考えてはいなかったですね、二人で行ったから券を二人分貰っただけなので。あの方は予約日に来れるか分からないと言って私にくださり誰かと行けばいいと」

 

 それから時が経つ内に誰に告げる事もせず券の事を忘れていたのだがあの事件があり荷物を纏めている途中で見つけて持ってきたと。

 

「今知り合いに会うのは拙いですし無駄にするのもあれですからね。一緒に行きましょう」

「それじゃあ御言葉に甘えさせてもらうか」

 

 海を越えた先の料理など数百年生きていても目にする事のない物だ。しかも美味いと評判が良い。悪い事の後には良い事があると今まで生きてきて実感していたが今回は本当に運が良い。

 

「場所が分からないから案内は任せた」

「はい、それではこっちです」

 

 背負子を背負い直す。また始まった愚痴を聞いたり此処最近の天狗事情を聞きながら店へと向かって歩いていく。

 




4045文字、iPhoneにしては良く書けた(自画自賛)
時間がないので前書きと本文と後書きが全く文字数が少ない(言い訳)
2015年10月25日。追記。文章を更新し4001文字に。
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