互いの秘密を打ち明けた二人は、しばらく無言で海を眺めていた。
宴の笑い声が遠くから聞こえる。
ロックスが突然口を開いた。
「なぁシロウ。良い機会だから一つ聞きてぇ事がある」
シロウは視線を向ける。
「何でしょう?」
「お前…俺をどう思ってる?」
シロウは少し考えた。
「そうですね…初めてお会いした時は、世界を敵に回してでも自分の信念を貫こうとする危険な方だと思いました」
ロックスは吹き出す。
「ハッ!間違ってねぇな。色々壊したし数え切れねぇくらい壊して来たからな」
「ですが、今は違います。あなたは誰よりも仲間を見ていて、誰よりも自由を求めています。そして誰よりも、不平等を嫌っている」
ロックスは鼻で笑う。
「…買い被りだ」
「私はそうは思いません」
ロックスは立ち上がり、夜空を見上げる。
手に持った酒瓶を傾けるが中身が入っていなかった。
空かよって嘆き、ビンをその辺に放り投げる。
「俺はよ…ガキの頃から思ってた。なんで生まれだけで偉い奴と、そうじゃねぇ奴は奴隷になって逆らえなくなるんだってな」
「なんで天竜人は好き勝手して笑ってる?なんで奴隷は鎖を付けられる?それら全部が気に入らねぇ」
拳を握る。
「だから壊す。世界そのものを俺のこの手でリセットすんだよ!」
シロウは静かに聞いていた。
「ですが、壊した後の世界は誰かが導かなければなりません。世界の人口は四つの海合わせても膨大です。手が回りきらないでしょう」
ロックスはシロウに振り返り当然のことのように言う。
「だからお前がいるんじゃねぇか?俺には人を導くなんて柄じゃねぇし俺は前へ進んで壊して支配することしかできねぇ」
「邪魔なもんは全部俺がぶっ壊す。その後に誰を助けるか、何を残すか。それはお前が決めろ」
シロウは少し驚いた表情になる。
「私に…選択させるのですか?」
ロックスは笑った。
「お前は俺なんかより頭がいいし、俺より人を見てるから任せられる」
シロウは静かに目を閉じた。
「…責任重大ですね」
ロックスは豪快に笑う。
「逃げるなよ?」
「もちろんです」
シロウは諦めたように…いつもの事だと穏やかに笑った。
「船長ーーーー!!」
その時、遠くから大声が響く。
振り返ると、リンリンが巨大なケーキを片手にこちらへ走ってきていた。
「こんな所にいたのかい!宴が終わっちまうよ!」
その後ろにはカイドウ、ジョン、シキ、ニューゲートが続いて歩いて来た。
「酒が足りねぇ!残りはどこにあんだ!?」
「奪った宝の分け前がまだだ!シロウ!配分決めようぜ!当然俺が8割もらうかからな!!」
「ジハハハ! 二人だけで何を企んでやがる!俺も混ぜろよ!」
「グララララ。船長達がいねぇと宴が締まらねぇ。あいつら永遠と飲み明かすぞ」
ロックスは呆れたように笑う。
「ったく、すぐ見つけやがるなこいつらは」
シロウも小さく笑った。
「皆さん、本当に自由ですね」
ロックスは歩き出す。
「戻るぞシロウ」
「えぇ…そうですね戻りましょうか」
数歩進んだところで振り返る。
「シロウ…さっきの話。俺が死んでも忘れるな?」
シロウは真っ直ぐロックスを見る。
「世界は必ずひっくり返る。その時、お前はお前のやり方でやれ」
「…ええ。約束します。私は夢のためにも止まらず進み続けます」
ロックスは満足そうに笑い、肩を組む。
「よし!今日は飲むぞ!ヴォハハハハ!!野郎ども飲み直しだぁぁ!新しいやつも高いやつも空けるぞ!」
『おおおお!!』
『流石船長!太っ腹!!』
仲間たちの笑い声が夜のハチノスに響き渡る。
この夜交わされた約束は、誰も知らない。
しかし後にロックス海賊団を知る者たちは、「ロックスの隣には、常に一人だけ特別な存在がいた」と語ることになる。
その存在こそ、ロックスが唯一「相棒」と呼んだ、シロウだった。
ロックスの死についてですが、どちらかお選びください。それによって書き方を変えようと思います。
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助ける
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助けない