ONE PIECE 救済を求める神父   作:ヴァンプッシュ

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第九話 計画の始動

 

ハチノスにある新しくできた巨大な髑髏岩の会議室にロックス海賊団の幹部たちが円卓を囲んでいた。

 

ジョンが宝箱を蹴りながら不満そうに言う。

 

「金が減ってきた」

 

リンリンはケーキを頬張る。

 

「食料も足りないねぇ」

 

シュトロイゼンも頷いた。

 

「船員が増えた分、補給量も倍以上だな」

 

王直が地図を広げる。

 

「このままじゃぁ数か月で底を突く計算だぞ?どうする?」

 

ロックスは椅子にふんぞり返ったまま笑う。

 

「俺たちは海賊だぞ?至極単純…奪えばいい」

 

シロウは飲んでいたエルバフ産の紅茶を置いた。

 

「誰からですか?」

 

ロックスは一枚の書類を机へ放る。

 

「これだ。面白ぇ情報つきだ」

 

 

国際慈善連盟寺院「フットコロニー」

 

世界政府加盟国にも支部を持つ巨大宗教組織である。

 

表向きの事業は* 孤児院運営* 貧民救済* 医療支援* 災害支援*などを掲げる慈善団体であるがマーロンが並べた資料には裏で仕入れた情報が載っていた。

 

「半年調べた。設立当時から寄付金の七割が行方不明になってる」

 

王直も続ける。

 

「加盟国の王族、天竜人、武器商人、全員の資金洗浄に利用されているみてぇだな。多分何割かは自分の懐にでも入ってそうだな?」

 

シキは煙を吐く。

 

「慈善ってのは看板だけか」

 

ニューゲートは腕を組む。

 

「ガキや堅気を食い物にするのはどこも変んねぇな」

 

シロウは静かに資料へ目を通す。

 

「……なるほど。他にも孤児院へ送られるはずの寄付金、病院建設費、難民支援金、全て裏金へ変わっています」

 

ロックスは笑う。

 

「つまりだ。この盗まれた金を俺達が盗む」

 

ジョンが大笑いした。

 

「ガハハハ!最高だ!」

 

しかしシロウは静かに首を振った。

 

「一つ条件があります」

 

全員がシロウを見る。

 

「本当に保護を受けている孤児や病人や一般人から支援金などのお金を含め彼らには一切危害を加えないで下さい」

 

ロックスは黙って聞いていた。

 

「狙うのは裏金の金庫の中身や資金管理責任者が扱っている帳簿、それだけにして下さい」

 

ロックスは数秒考えた後、笑った。

 

「ヴォハハハ!分かった。お前が納得するならそうしたらいい」

 

 

数日後…フットコロニー本部。

 

巨大な寺院では修道士たちが祈りを捧げていた。

その地下深くには豪華な金庫室があり、そこでは上級の修道士や貴族たちが帳簿を確認している。

 

「今月も問題ありません」

 

「寄付金は全て別口座へ」

 

「天竜人への送金も手配は完了しています」

 

「よろしい、では各員片付けて持ち場へ戻れ」

 

その時、寺院全体の天井が揺れた。

 

ドゴォォォォン!!

 

ロックスが屋根ごと落ちてくる。

 

「よぉ…クソ修道士共!テメェらの金をもらいに来たぜ!」

 

ロックスが襲撃をかけた時と同時に、シロウは静かに孤児院へ向かっていた。

 

突然来た見知らぬ青年に子供達は警戒して震えている。

 

「安心してください。私達は皆さんを傷付けません」

 

修道女が恐る恐る尋ねる。

 

「…本当に?」

 

シロウは顔や腕、足にアザが所々ある少女を見て優しく微笑む。

 

「ええ。まずは、ここから離れた場所へ避難しましょう」

 

ニューゲートとステューシーが子供たちを誘導し手際よく負傷者を運び出していく。

 

子供達を誘導していたシロウは床のくぼみがおかしい事に気づき確認すると扉がついていた。

 

シロウは他の船員達と床下にあった地下通路に降りていくとそこには、広い空間があり、棚にはそれぞれ仕分けされているのか金や財宝がたんまりとあった。

 

その光景にジョンは目を輝かせていた。

 

「金だぁぁぁ!!財宝もたんまりだぜ!?」

 

山のようなベリー硬貨に宝石、証券、裏帳簿が並んでいた。

 

リンリンは金塊を片手で持ち上げる。

 

「重いねぇ!これだけで数千万ベリーはするだろうね?」

 

カイドウは酒樽まで担いでいる。

 

「うまそうな酒もあったな。持って帰るか」

 

シキは笑う。

 

「ジハハ!最後に全部吹き飛ばしてやる」

 

その時、一人の司祭がシロウへ叫ぶ。

 

「君達は悪だ!私達を誰だと思ってる!このお金や物資は恵まれない子供達への寄付金で…!」

 

シロウは足を止めた。

 

「渡していないからここにあるのでは?全て分かっていますよ?このお金は、本来あなた方を信頼し寄付した人々が、困っている誰かのために託したものです」

 

「それを私腹を肥やすために使う者たちの手に残しておくことは、私にはできません」

 

「…おんどれ!(こやつらワシらのこと全部知ってるのか!?)」

 

司祭は全てばれている事に言葉を失う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司祭達を無視し全ての裏帳簿を押収し、裏金だけを運び出したロックス海賊団だったが孤児院や病院、寺院そのものにはほとんど被害を出さず、その場を離れた。

 

海へ戻る途中、ロックスは大笑いする。

 

「ヴォハハハハハ!金も手に入った!それに世界政府の面子も潰せたな!」

 

シロウは静かに答える。

 

「この資金は船の維持だけでなく、救助した人々への支援にも使わせてください」

 

ロックスはニヤリと笑う。

 

「好きにしろ。俺は海賊団の維持費以外に金に興味はねぇ」

 

ジョンが慌てて口を挟む。

 

「オイオイ!シロウ!まさか全部じゃねぇだろうな!?」

 

一同は思わず笑った。

 

ロックス海賊団は「奪う海賊」だったが、その夜彼らが奪ったのは、善意を食い物にして蓄えられた裏金だけだった。

 

『寺院を閉じよ!!奴らを絶対に逃すな!』

 

ズシィン!!

 

突如島内に流れた放送に驚くまもなく、入り口に鉄柵がおりて退路が塞がれた。

 

「閉じ込めるつもりかい!ぶっ壊すからどきなぁ!!」

 

リンリンは自身の能力…ソルソルの実で命を与えた帽子の形を槍へと変えて前方へ放った。

 

それはエルバフの槍を模倣した自身の技、その名も…

 

「"威国"!!」

 

ドゴォオン!!!

 

放たれた攻撃は鉄柵に直撃し、円形に削りながらも海を抜けても止まらず近くの岩山まで削り取った。

 

破壊した門を潜るとそこは寺院の正門だが、数百人の修道士と武装した僧兵たちが道を塞いでいた。

 

全員が十字槍や杖を構えている。

 

先頭へ立つ老司祭が叫ぶ。

 

「止まりなさい!!その寄付金は我らが神へ捧げられた聖なる財産です!」

 

ロックスは鼻で笑った。

 

「神?知らねぇな。そんなモンはこの世にゃぁいねんだよ!」

 

老司祭は怒鳴る。

 

「なんと罰当たりな!?貴様らは悪魔だ!救いの金を奪うなど許されない!」

 

その瞬間、シロウが静かに前へ出た。

 

「一つだけ、お聞きします」

 

老司祭は睨む。

 

「何だ貴様は!?誰の許しを得t」

 

シロウは手元の帳簿を開く。

 

「三年前の西の海"ヘーレンル王国"への寄付金二十億ベリー、支援物資到着……ゼロ」

 

ページをめくる。

 

「翌年、東の海の孤児院の建設費十五億ベリー。こちらは複数建てられる予定でしたが実際に完成した孤児院は…一つ」

 

さらにめくる。

 

「戦争被害難民医療支援、十二億ベリーの予算はありましたが、薬の購入記録及び物資提供は無し」

 

静まり返る。

 

シロウは老司祭を見つめた。

 

「このお金はどこへ消えたのですか?老師祭殿?」

 

老司祭は答えない。

周囲の若い修道士たちがざわつき始める。

 

「…そんな馬鹿な」

 

「本当なのか?」

 

「嘘であろう?」

 

すると、一人の僧兵が叫んだ。

 

「騙されるな!奴らは海賊だ!神を冒涜する悪魔だ!」

 

一斉に武器が向けられる。

 

ロックスは笑った。

 

「オイオイ、痛い所突かれてキレてんのかよ?」

 

シロウは右手を上げる。

 

「皆さん、武器を納めてください」

 

ロックス海賊団全員が止まる。

 

「この方々は敵ではありません」

 

ジョンが驚く。

 

「はぁ?何言ってんだよシロウ!」

 

カイドウも眉をひそめた。

 

「戦わねぇのか?」

 

「ええ。一部ではありますが事業自体を正しいと信じているものもいるようですが、裏のことまでは知らないようです。降伏するなら命の保証は致しましょう」

 

しかし、一人の狂信的な僧兵が叫ぶ。

 

「騙されるな!神の敵を討てぇ!!」

 

僧兵達の槍が一斉にシロウへ突き出される。

 

その瞬間。

 

ガキィィン!!

 

ニューゲートの薙刀が槍を受け止める。

 

「グララララ。話してる最中だろ?。話は最後まで聞くもんだぜ?」

 

さらに別方向から矢が飛ぶ。

 

シキが剣で叩き落とす。

 

「ジハハハ!空気読めよ」

 

リンリンが笑う。

 

「ママママ!暴れていい?」

 

ロックスが肩を鳴らす。

 

「もう十分話したろ。好きに暴れろぉ!!!」

 

その時。

 

シロウがロックスの前へ立つ。

 

「ロックス、まだです」

 

ロックスは眉を上げる。

 

「何だ?邪魔するなよ?」

 

「彼らを倒しても、真実は伝わりません」

 

ロックスはため息をつく。

 

「面倒くせぇ。どうしたいんだよ?」

 

シロウは微笑んだ。

 

「少しだけ、お付き合いください」

 

シロウは若い修道士たちへ向き直る。

 

押収した裏帳簿を高く掲げる。

 

「これは皆さんの寺院の会計帳簿です。ですが、ただの帳簿ではなく聞いた通り"裏"の帳簿です。皆さん自身の目で確かめてください。もし私が嘘をついているのであれば、この場で私を殺していただいていいです」

 

『はぁ!!??』

 

その言葉にロックス達は頭を抱えるほどおかしな事を言ったシロウに呆れた。

 

「馬鹿かお前は!?そんな事に命かけんな!」

 

「…またシロウの悪い癖が出たわね」

 

「どうしようもねぇなあいつ」

 

「お前だけには言われたかねぇだろうよ、王直」

 

シロウは若い修道士達に向け続きを話す。

 

「ですが、もし本当だったなら皆さんが守ろうとしているものは、本当にあなた達の信じる『神の教え』なのか…それを確かめて下さい」

 

その言葉に、前列の若い修道士たちの動きが止まる。

 

老司祭の顔からは余裕が消えていた。

 

ロックスはその様子を見て、不敵な笑みを浮かべる。

 

「ヴォハハハ…相棒。お前は本当に剣より舌の方が強ぇな」

 

シロウは穏やかに微笑み返した。

 

「できることなら、剣は抜かずに済ませたいものです」

 

しかし、その場の空気はなお張り詰めたまま。

シロウが帳簿を掲げ、真実を語ると、若い修道士たちの間に動揺が広がった。

 

「…本当に」

 

「私たちは騙されていたのか…」

 

一人の青年修道士が、ゆっくりと槍を地面へ置く。

 

「私は……戦えません」

 

その言葉を皮切りに、

 

カラン……

 

カラン……

 

次々と武器が落ちていく。

 

「……」

 

「わ、私は…真実を知りたい」

 

「その帳簿を見せてください」

 

若い修道士たちは道を開き、静かに頭を下げた。

 

シロウは穏やかに微笑む。

 

「ありがとうございます、皆さんなら、きっと正しい答えを見つけられます」

 

しかし、その光景に老司祭の表情は怒りに染まっていた。

 

「愚か者ども!!神を疑うというのか!」

 

すると、その背後にいた幹部修道士たちが一斉に武器を構えた。

弓の他にはピストルやライフルも取り出し構えていた。

 

「帳簿を奪え!」

 

「海賊どもを殺せ!!」

 

「口封じだ!!」

 

その叫びを聞いた若い修道士たちは愕然とする。

 

「口封じ…!?」

 

「まさか…そんな!!」

 

「い…嫌だ!?」

 

老司祭は構わず命じた。

 

「撃てぇ!!」

 

ドドドドドン!!

 

銃声とともに無数の銃弾がロックス海賊団へ降り注ぐ。

 

ロックスが不敵に笑う。

 

「もう遠慮はいらねぇな、シロウ?今度は止めんなよ?」

 

シロウも静かに頷いた。

 

「はい、お付き合いいただきありがとうございました。私は降伏した若い修道士達を守ります」

 

最初に飛び出したのはニューゲートだった。

 

薙刀を一閃。

 

ドォン!!

 

衝撃だけで修道士たちの前列が吹き飛ぶ。

 

「ぐぁぁあ!!」

 

「グララララ!死にてぇやつからかかってきなぁ!!」

 

シキは空へ舞い上がる。

 

「ジハハハ!数だけはいやがるな!」

 

飛ぶ斬撃が武器ごと使用者を正確に切り裂いていく。

剣は折れ、槍は砕け、体は真っ二つになった。

 

「武器が!」

 

「壊された!」

 

「死にたくなぁぁい!!」

 

リンリンは大笑いしながら駆け出す。

 

「ママママ!死にたくないなら戦場に立つんじゃないよ!アホンダァラァァ!!」

 

巨大な拳が地面を叩く。

 

ドゴォン!!

 

衝撃で修道士たちは吹き飛ばされ打ちどころが悪いものは即死していった

 

カイドウは金棒を軽く振るう。

 

ブォン!!

 

風圧だけで矢の雨を吹き飛ばした。

金棒を振るうだけで小石は弾丸に、岩は砲弾に変わり僧兵達を片付けていく。

 

「弱ぇ。肩慣らしにもなんねぇな」

 

 

バーベルは鉄錨を地面へ突き立てる。

 

「ガハハハ!」

 

石畳が盛り上がり、幹部修道士たちの足場を崩して動きを封じる。

距離が近ければ近接で殴り倒しながら倒していく。

 

ジョンは素早く幹部たちの背後へ回り込み、帳簿を奪おうとした男の手を拳で弾いた。

 

「財宝は返さねぇ。それはもう俺たちの戦利品なんでな?」

 

 

その頃、シロウは最後尾に立ち口封じにと始末されそうな若い修道士たちを庇っていた。

 

飛んできた矢を剣で弾き、倒れた者は抱えて安全な場所へ運ぶ。

 

若い修道士が驚く。

 

「なぜ…」

 

「私たちはあなたを止めようとしたのに」

 

シロウは穏やかに答えた。

 

「皆さんは騙されていただけです。間違いに気づき自身で正しい道を選んだのです。命を落とす理由にはなりません」

 

その言葉を聞いた老司祭は激昂した。

 

「この偽善者めぇぇぇ!!」

 

老司祭は隠し持っていた拳銃を抜き、若い修道士へ向けて引き金を引こうとする。

 

「裏切り者は死ね!!」

 

その瞬間――

 

キィン!!

 

シロウの剣が銃を弾き飛ばした。

 

銃は宙を舞い、遠くへ転がる。

 

シロウは老司祭の前に立った。

 

「がぁ!腕がぁぁ!!」

 

「……もう終わりです」

 

「お、おのれ!!」

 

老司祭はなおも殴りかかろうとするが、シロウはその拳を受け止める。

 

「あなたが守っていたのは、信仰ではありません…己の地位と私欲に塗れた利益です」

 

老司祭は膝をついた。

 

周囲の幹部修道士たちも、ロックス海賊団の圧倒的な力の前に次々と武器を捨てていく。

 

ロックスは戦いの終わった広場を見渡し、豪快に笑った。

 

「ヴォハハハ!!もう終わりか。あっけない抵抗だったな?」

 

シロウは若い修道士たちへ帳簿を差し出す。

 

「この寺院を今後どうするかは、皆さんが決めてください。私たちは去ります」

 

青年修道士は深く頭を下げた。

 

「…海賊の方にこんな事を言うのは変かと思いますが、ありがとうございました」

 

ロックス海賊団は裏金を積んだ荷車を引きながら寺院を後にする。

その背後では、若い修道士たちが真実と向き合うための新たな一歩を踏み出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロックスの死についてですが、どちらかお選びください。それによって書き方を変えようと思います。

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