ダンジョンに強さを求めるのは間違っているだろうか |迷宮神聖譚《ソード・オラトリオ》 作:ベル虐サイコ〜!!!
雷光が辺りを照らした、雷轟が極彩色のモンスターを穿ち、それでも突き進んだ。
何者にも侵されることなく、何者にも阻まれることなく、その雷光は全てを斬り裂いた。
「『俺らの勝ちだ―――阿呆』」
その声はどこかベル以外の声も混じっていた、それを見ていた一同は声すら出ないくらいの衝撃を受けていた。
ベルの魔法、それは分かる…だか、あの威力は確実にリヴェリアの魔法第一階位魔法【ウィン・フィンブルベトル】と互角の威力と範囲だった。
それに…そもそもベルが長文詠唱の魔法を有していたことすら知らなかった一同、そして何よりも、
(つまり――あれは魔法じゃない?じゃあ何?ベルは一体何を使ったの?)
『精霊』――神時代より前に、人々と共にモンスターに立ち向った英雄達を語る上では欠かせない者達。
その歴史の介添え人である精霊、その頂に立つ『大精霊』ジュピターを従える下界の未知、それがベル クラネル。
『精霊』の力は元来、決して少なくない代償を払う事でようやく扱える代物、それをベルは代償無しで扱う事が出来る。
それは何故か?
それは『精霊』が『器』を選んだのではなく『器』が自身の力に見合う『精霊』を選んだのだ。
それが意味するのは――――『ベル・クラネルは大精霊の受け皿となれるだけの素質を身につけている』と言う事。
つまり―――
「たかが一介の精霊如きにやられる程
『アアアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!』
凄まじい悲鳴が、先程までの醜くも美しい極彩色の表皮はどこえやら、その皮膚は完全に壊死させられていた。
雷霆の力によって身体は硬直し、その身には大きな傷が刻まれていた。
精霊の力を凌駕した、その力はまたしても精霊である。
【
それは精霊の【
つまり、大精霊ジュピターに対して雷属性にて右に出る者は居ない事を意味する。
レベル7と言う下界の中でも最強格の器と、雷霆の二つ名を冠する大精霊が共に力を合わせるということは即ち――
―――
「アイズ、少し離れていろ。後は俺が殺る」
その言葉はどこまでも冷たく、でもアイズに向けられる視線はどこまでも優しい。
まるで誰かを彷彿とさせる様な…。
―――お父さんみたい
そう思った、何だか懐かしい…、そう思ってしまう程に彼が…ベルが頼もしく思ってしまう。
「うん…、ベル!気をつけてね」
「ハハ!これはいよいよ怪我は出来ないな!!(そう思うだろ?ジュピター)」
『
(そうだな、そうだったな)
ベルは目を瞑りながらジュピターと会話をする、どこまでもお互いを信頼しきっている。
「きっとこれが本当の理想の
「行こう――【
そう唱えると、ベルの【
ミスリルとしての力、圧倒的魔力吸収率を誇る金属の力を持って『雷霆の力』を強化、
刀神 ヘファイストスと
凡人やそこらの天才如きでは武器に振るわれるどころが武器にすら拒絶されてしまう…が、ベルの場合は違う。
武器に認められ、尚且つ振るう側となった者、その剣士としての強さは最早語る必要すらないだろう。
その一振りが今、満身創痍の敵を前にしてようやく、満を持して抜刀された。
―――――――――――――――――――――
ベルが現在発現しているスキルの内3つ。
【
・全
・全技法習得可能
・
・戦闘時、発展アビリティ『
・戦闘時、発展アビリティ『
・休戦時、発展アビリティ『
・任意発動、効果は以下の通り。
・龍種に対して攻撃力超高域強化
・戦闘時、全
・発動時、常時『体力』と『精神力』が低下し続ける。
ファルナを刻まれた時に発現
【
・血統覚醒、権能獲得
・精霊との対話可能
・精霊炉の使用可能
・魔法スロット不要の魔法顕現
【
詠唱文 [
・全
・全状態異常耐性、
・
【
・
・解放時、全
・能力補正はチャージ時間に比例、チャージ可能時間はレベルに比例、想いの丈にて効果上昇。
・味方の戦意上昇とステイタスバフ、敵の戦意下降とステイタスデバフを発生させる大鐘楼の鐘を鳴らせる。
スキル発動中、魔法スロット不要の特殊魔法顕現
【ジェノス・アンジェラス】
・超広範囲の音波攻撃
・連続発動不可、次弾再装填時間5分
レベル2時に発現
―――――――――――――――――――――
『ァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!貴方ガ!!!貴方ガソウナノネ!!!貴方ガ雷霆ナノネ!!!!欲シイ!貴方トアリアノ
再び穢れた精霊の下に魔力が収束していった、そして詠唱を完成させようとしていた。
そんた時、警戒の『け』の字すらも感じさせない程、いっそこの場には不適切な程の笑みすらも浮かべるベルに対して、その場にいた全員が畏怖の念を感じざるおえなかった。
「おいおい、此の期に及んで魔法勝負かよ、しかも
ベルはおもむろに左手を前に突き出し、詠唱を始めようとしていた。
精霊の魔法は魔法では無い、大地の魔力を吸収することで少ない魔力量で魔法を行使することが出来る。
それがあの穢れた精霊の魔法威力を大幅に向上させる、だがそれと同じく、ベルもまた魔法威力を大幅に向上さる事が出来る。
「『【
『【サンダー・レイ】!!!!!!』
蒼白い光沢を放つ雷剣を横に置いて、ベルはその魔法を行使する、それに対抗するが如く穢れた精霊もまた少し遅れて魔法を放つ。
勝利の女神は―――
―――またしてもベルに微笑む。
轟々たる雷光が穢れた精霊の全身を飲み込み、そして穿った。
奇声ともとれる悲鳴は、生物であれば誰もが最後に放つ断末魔だった。
穢れた精霊の身体は徐々に自壊していき、極彩色の皮膚は段々と炭化していった。
強大な魔力を有する穢れた精霊の力が徐々に失われていき、それでも最後にベル達に一矢報いようと詠唱を始める。
『【
超高速で紡がれる歌を前にベルは右手に握っていた雷剣を強く握る。
「今、終わらせるからね―――【
その光沢が徐々に雷剣へと移り、その雷剣は白い光を帯びた大剣へと変わる。
その瞳の色が変わった、
ベルはその場を飛び出した。
白い光を帯び、勝利の鐘を鳴り響かせ、穢れた精霊を消し去る為に、その力の全てを注ぎ込んだ。
時間に数秒後、たったそれだけの
命の危機を感じだった穢れた精霊は、更に魔力の吸収を早め、その力を増幅させた。
精霊の力は魔法とは違う、精霊は大気中の魔力を吸収することで魔法の威力を格段に上げることができる。
それは
その力を遺憾無く発揮しようとする穢れた精霊は、魔力を大量に吸収、それでも
確かに、『魔導』のアビリティよりも精霊炉の方が空間魔力吸収率は確かに上だった、それは都市最強の魔道士 リヴェリア・リヨス・アールヴを持ってしてその綱引きに勝つのは不可能と言わしめる程だった。
だが、それは精霊も同じ、『階位』に於いても、そして冠する名でも負けている穢れた精霊では、雷霆の大精霊ジュピターの精霊炉に対抗するのは不可能。
故に初めから勝敗は決まっていた、後は負け方だけだった。
大敗北か、少しでも抗うかの僅かな差しかない選択肢だけしか、元より穢れた精霊にはなかった。
そして穢れた精霊が選んだのは―――
『【ライト・バースト】』
その一撃は閃光の如き砲撃は大地を抉りながらもベル達のいる50階層出入り口へと向かっていた。
その前に立ちはだかる傑物が一人、ベルは目を閉じ、精神を揺るがすことなくその一撃を放った。
「【
その一撃は閃光の砲撃を相殺した、もう穢れた精霊に次手はなかった。
そして穢れた精霊は気付いた、まだ自身の命を脅かす不快な鐘の音が鳴り響いていることに。
決して鳴り止むことのない大鐘楼の鐘は一人の少年の影と共にこちらに近づいていた。
「ごめんなさい、俺じゃ貴方は救えない、だから…せめていい夢を見て下さい―――【ファイアボル卜】!!!!」
慙愧の念を抱きながらベルは最後の魔法を放った、純白の魔法陣を形成しながら、とどめの一撃を刺した。
その最後の一撃を持って穢れた精霊は完全にその全身を炭化させるに至った。
「ごめんなさい、俺がもっと強ければ、救えたかもしれませんね――――――」
――――――ありがとう、優しい人よ。貴方のおかげで私は救われました。深い穴の中で、この魂を穢されるだけだった私を、貴方は確かに救ってくれました――――――
気付いた時には涙が溢れていた、さっきまでのモンスターへと苛立ちは消え去り、その温かな光のみがベルの周りに漂う。
その光に手を伸ばしながらベルは彼女の事を染み染みと感じていた。
「すみません、そしてありがとう」
モンスターへの苛立ちは消えない、だけどあの精霊は僕に「救われた」と言ってくれた、今はそれだけを噛み締めよう。
目の前に残る小さな欠片を拾い、僅かに残る光を拳の中へと優しく包み込んだ。
―――――――――――――――――――――
ベル?どこに行ったの……。
突然ベルは極彩色のモンスターの元へと駆け出した、純白の魔法陣を形成しながら、最後のとどめを刺そうとしていたのだろう、それは分かっていた。
白い大火がモンスターを飲み込み、極彩色のモンスターは完全に消え去った。
なのに……、ベルは泣いてるの?何で…何で泣いてるの?何か痛むところがあるの?それともあのモンスターを倒したのが悲しかったの?何で…何で……何で………。
気付いた時には私は駆け出していた、ベルの下へと、処女雪を思わせる白髪の少年の下へと。
そこには灰燼の丘が築かれており、モンスターの炭化した肉体がそのモンスターの終わりを知らせたいた。
そこにはベルがいた、優しい笑みを
何で?何でベルは笑ってるの、嫌!!私にはそんな笑み向けないくせに!!!!何で?何でベルは笑うの?やめて!!
まるで駄々をこねる子供のように、アイズはその金眼を僅かに潤ませながらベルの下へと駆けた。
するとその気配に気づいたかのようにベルはアイズの名を呼んだ。
「アイズ、どうしたの?」
「ベル?何で―――」
その瞳は深紅の瞳へと変わっていた、いつもの異色双眼の瞳とは違い、まるで鮮血のような赤を宿した瞳へと変わっていた。
「(目の色が違う…いや、今はそんな事を気にしてる暇じゃない)ベル…、何で…泣いてるの?」
アイズの心配を他所にベルはあっけらかんとしながら答えた。
「さぁ?分かんない、俺も何で泣いてるのか分からないけど、まあ何でもいいでしょ!!それより皆の所に戻ろ!どうせアイズの事だし、皆には何も言わずに飛び出したんでしょ?」
「んな?!それは…そう…だけど、そもそもはベルが悪い…訳じゃないけど……」
ベルの言葉にアイズは小さく文句を言う、その文句をレベル7と元々の高い聴力をもって拾い上げる。
ベルはアイズが自分を心配してくれたのだと知り、「まあ、しゃあないか」と思いながらアイズの頭を優しく撫でる。
アイズは一瞬びっくりしたが、すぐにそれを受け入れた。
(やっぱり、温かい…それに優しい)
この温もりが私は好きだ、ベルがくれる優しさが…だからこそ、それを私以外に向けるのはやっぱりモヤモヤする。
そんなアイズの心配を他所にベルは頭を撫でるのをやめ、皆のいる方へと足を運ぶ…その瞬間、ベルの左腕に何か柔らかい物が当たる、そして左腕には金髪金眼の少女が抱き着いていた。
「え?」と思わず声に出してしまったベルだが、流石に今回は許されるよね?と思いながらアイズに聞いた。
「アイズ…、何で腕にくっついてるの?」
「ベルが…遠くに行っちゃうから……」
「俺は……
それはズルい、そんな事を言われたら離さないわけには行かない、でも…ベルはそしたらまた誰かを助ける、それは良いこと、だけど……。
「嫌…もう少し、こうしていたい」
「はぁ~、分かったよ(こうなると聞かないしな、でもこうなると狒々爺がなぁ〜)」
『ベル〜〜〜!!!今じゃ!!!抱くのじゃ!!この
こんの狒々爺は!!!隙あらばこれである、だから僕は嫌いなんだよ、こう言う
ベルは僅かに眉間にシワを寄せると、それに気づいたアイズがまるで縋るようにベルに聞く。
「ベルは…嫌?私が一緒に居るのが…」
「そんなことないよ、ただ一身上の都合でね、この手の状況が苦手なんだ……特に
『この
(阿呆か〜〜!!!そもそもアイズにはいつか素敵な相手が出来るんだ!!僕はその相手に対して後方兄貴ヅラをするのが夢なんだ!!!それにアイズに手を出したら神様とリヴェリアに怒られるだろうが〜!!!)
そんな問答を繰り返しながらベルとアイズはフィン達の下へと帰還した。
そして待っていたのはまたしても問答であった。
「アルゴノゥト君、あの魔法は何???」
「あれは何ですか?!普通に出してましたけど私達は一度も見たことがありませんでしたよ!!」
「わたくしとしてもとても気になります!!どうかベルさん、答えて下さい!!!」
ティオナにレフィーヤ、そしてアリシアからの質問攻めにベルは苦笑しながらも答えを探した。
「精霊の力です〜」なんて答えられる訳もなく、そもそもここにいるロキ・ファミリアの中でジュピターの存在を知るのは主神ロキと三首領のみ、つまりここで話せば必ず厄介なことになる(
その為、ベルは絶賛フィンとリヴェリアに助けを求める視線をガッツリ送るが、それをフィンは笑いながら見て見ぬふり、リヴェリアは頭を抱えながら「話してやれ」とでも言わんばかりの視線を送る。
そんな中、ベルの左腕を今も尚独占するアイズが一言、その一言はベルにとっては助け船…になるはずもなく。
「私も…知りたい…だから教えて、ベル」
「えぇ〜、そんな〜」
「ベル…、私達はファミリア、だから隠し事はなし!!」
「そうだそうだ〜!!」
「そうですよベルさん!!」
「答えて下さい、ベルさん!!」
アイズの一言に便乗するようにティオナやレフィーヤ、アリシアが反応する。
そんな中、フィンがベルに助け舟を出す。
「今はダンジョンの中だ、これ以上の
フィンの一言に三人は諦めた顔をする、そんな中でもベルの隣でその左腕に文字通りしがみついている少女が一人、絶対に聞き出すといった顔をしていた。
そんな中ベルは心の中で猛烈に叫んでいた。
(ファミリア内で隠し事なしって、それアイズが言う?!僕らに絶対に少なくない隠し事をしてますよね!?)
これはアイズ自身の問題、それに触れるのは避けないと思っていたけど、流石に今回は許されるだろう。
アイズの魔法【エアリエル】、その力はどう見ても精霊の力、それも大精霊に類する者の力と見て良いだろう。
僕の見立てだとアイズは
兎にも角にもアイズが大精霊の力を持っていることを知っているベルにとっては「それ、お前が言うか?」状態である。
今すぐにでも、その可愛い面を一発チョップしてやりたい所ではあるが、そんな事をすればアイズ過激派(
そんな中、一人のハイエルフが僕に言う。
「ベル、ここまで来たらもう言うしかあるまい、安心しろ、そんなんで態度を変えるファミリアではないことぐらい、お前もわかっているだろう?」
「……はい、分かったよリヴェリア、
リヴェリアの一言にベルは煮え切らない思いをなんとかこらえ、頑張って納得する。
それを聞いた三人はガッツポーズ、アイズは隣でしてやったりといった顔をしていた。
そろそろアイズが邪魔に感じてきたベルは、今回の仕返しとしてアイズに一矢報いることにした。
そうしてベルはアイズの耳元に唇を近づけると、アイズはキョトンとした顔でベルを見つめた。
そんなアイズに対して囁く様にいった。
「――そんなに我儘言ってたら
「――――――えぇ?!ちょ…ベル?!///」
アイズはその頬を赤く染め上げ、ベルは「してやったり」と文字通りのドヤ顔をかましていた。
それを見ていた一同は「何やってんだ、あれ」といった顔をしていた(山吹色のエルフは鼻血を出していた)。
どうだアイズよ、これが兄貴の力よ、お見逸れいったか!!!!まぁ今回はこの辺にしておいてと。
(そう言えば目の力ずっと使いっぱだったわ!!これ特殊な力はないけど見え過ぎて嫌なんだよね)
『じゃあ何で使ったんだ?そもそも要らんかったろ』
(使ったんじゃなくて勝手に出てきたの!!俺は悪くない)
そんなコントを繰り出しながら僕らは地上に向かった、アイズは終始その頬を赤らめながら僕の隣をずっと歩いていた、なんで?
【ロキ・ファミリア】遠征終了、これより地上に帰還する。
―――――――――――――――――――――
ベルのスキル4/5
【
・神威無効化
・耐性獲得
・耐性強化
・特攻強化
・精霊種に対して超特効
・
・魔法スロット不要の魔法常時顕現
【ファイアボル卜】
・速攻、付与魔法の二つの性質を併せ持つ
・雷と炎の
レベル2時に発現
≪深紅の瞳≫
・特殊効果なし
・単純によく見える、ただ見え過ぎて平時で使うのは普通に辛い為使わない。
・この技術を身に着けたのかつてアルフィアに「お前のその目だけがうざい、くり抜いてやりたい」と言われ、怖すぎて目の色を変える為にジュピターと毎日のように協議した結果、目の色だけを変化させるに至った。
その時のアルフィアは妙にご機嫌だった。
―――――――――――――――――――――
「暴れ足りないよ!!まだまだ行けたのにィ!!」
「あんなは何時まで騒いでるのよ」
「えぇ~だってせっかく
51階層…そして50階層で遭遇した新種のモンスター、その戦闘で多くの武器を…そして多くの物資を失った
部隊を二手に分けて帰還する事となる。
「悔しいよ!まだ行けたのに!!」
「んなら何であの時ウルガを使ったんだよ?あれがなきゃティオナだって今頃暴れられてたのに」
「にしても何だったんすかね、あのモンスターは」
ティオナの声にベルが呆れ気味に言う、そんな二人を見ながらラウルが疑問を挺した。
それに反応したティオネが胸の谷間から一つの魔石を取り出した。
「不思議な点は多々あったけどね、これがあれば少しは分かるでしょ!」
それはティオネが服と肌を代償に捻りとった魔石、それを自慢げに見せていると、それを遠巻きで聞いていたレフィーヤが身体を身震いさせていた。
そんな中、姉のことなど何のその、魔石を手にして光を仰ぐようにしてティオナはその魔石を見た。
「変な色〜、普通の魔石は紫紺色なのにねぇ~」
そんな事をしているとアイズの隣で苦しそうに荷物を抱えていたリーネがとうとう音を上げて膝から崩れてしまった。
それを見たアイズが手を差し伸べようとした時、べートの罵声が響いた。
「雑魚に手を貸すなんて時間の無駄た、せいぜいお前は雑魚を見下してろ、お前はそれで良いんだよ」
その一言がアイズの頭に強く刻まれた。
ベート ローガさん、典型的な…いや、過度なまでの実力主義者、だから私や、私達よりもレベルの上な
でも…、ベートさん程じゃないけど、私も他の団員達からは遠慮されている。
(私って怖がられている?!)
「こらクソ狼!アイズに指図しないでよ!!」
「うるっせぇな馬鹿ゾネス、アホみたいに突っ込んで装備溶かされたクセして何言ってんだ!!
ティオナとベートの咆哮が飛び交い、それをレフィーヤがなだめる、これがいつもの遠征帰り、もう見慣れた光景であった。
そんな中一人、なんだか浮かれない顔をしているアイズにベルは声をかけた。
「どうしたんだアイズ、何か悩んでるのか?」
「ううん、そうじゃないんだけど…」
ベルは私達とはまた違う、ロキ・ファミリアの中でも唯一のレベル7、そして都市最強の一角に類する実力、世界の中でも三人しか居ないレベル7、それはある種『神』とすら思う人達も居るだろう、それ程までにその三人は圧倒的なのだから。
「私って怖がられてるのかな?」
アイズの言葉を聞いて、ベルはクスッと吹き出した、それを見て「なんで笑うの」と言いながらアイズはベルの背中をポコポコ叩いた。
遠巻きに見ていればそれは仲のよい兄妹そのものだった。
そんな茶番を繰り広げていると、突如壁から咆哮が飛び交った。
それを見たベートやティオナは戦闘の準備をするが、それを見てラウルが一喝。
「二人とも…、上層では下の者に経験を積ませるために戦闘は――」
――程々に!!
そんなラウルの言葉を聞いて、二人は構えを解き、大人しく見守っていた、何かあればすぐに助け出せるように。
「進行方向にミノタウロス…大群です!!!!」
「ほら、ベートが五月蝿いから怒られたじゃん!」
「るっせ、俺のせいじゃねぇだろ!!」
「ラウル!今後の為だ、お前が指揮を執れ」
リヴェリアの一声にラウルは瞬時に戦術を具立てた、その間も今にも飛び出しそうな三人、ベート、ティオナ、ティオネに視線を飛ばした。
「空気、読んで下さいね!!」
「大丈夫、大丈夫」
「分かってるわよ」
「
そんな三人の、いや悪魔の声に、ミノタウロス達は涙を流しながら撤退した。
「え?!逃げた?」
「はぁ?テメェらモンスターだろうが!!」
「不味い!!上には行かせるな、上層には下級冒険達が居る」
ミノタウロスは逃げた、リヴェリアが大声で焦るように迎撃指示を出した。
だが、そこにいた誰も動くことはなかった、雷轟を鳴らしながら閃光の如き速度で上層への階段の前に立ち塞がった一人少年が居たからだ。
「【
その一言と共に地を走る雷轟がミノタウロスを鏖殺してしまった。
それを見ていた一同は既に呆れていた、50階層での一幕から「もう隠したってしゃあないしな、どんどん使ってこう!!」と言って精霊の力を馬鹿みたいに連発していた、それでも
これにてロキ・ファミリアは帰還した。
―――――――――――――――――――――
「ん~~、二週間ぶりの地上だぁぁあ」
ティオナの声に皆も歓喜する、二週間、それが彼らがダンジョンに籠もっていた時間だった。
「ほんとに、誰も犠牲が出なかったのは奇跡っすよ…良かったす」
ラウルはその身を窶れさせながら言う、片腕にはまだ包帯をつけており、その悲惨さが目に浮かぶ。
ここは摩天楼施設「バベル」、唯一モンスターを生み出すことが出来る
かつて
そして時代の流れと共に衰退を繰り返していたオラリオはいつしか冒険者達の集う都市へと変わっていた。
ここは迷宮都市オラリオ、未知と冒険に満ちた都市。
「やっと返ってきたァーー」
そのオラリオの中でも他の建物とは一線を博している建物が一つ、それは黄昏の館、僕らの
「私は肉を頬張りたいな〜」
「あはは………」
「私はシャワーを浴びたいわねぇ!!」
各々がダンジョンで溜まった欲を発散させとうと思いに耽っていると、奥の方から道化が一人…いや、一柱。
「み〜ん~~な〜〜〜〜、お帰りぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」
馬鹿みたいな大声で僕らを出迎えるのはロキファミリアの主神 ロキである。
そんな主神が飛び付いた相手は……、レフィーヤであった、レフィーヤは嫌がりながらも皆に助けを求めるが、誰も彼もが「いつも通り」と言った風貌でその行為を見ていた。
「皆、無事やったか?良かったわ!!」
「ああロキ、今回も犠牲者はなしだ、到達階層の更新は出来なかったけどね、詳細は追って報告させてもらうよ」
「ん~~、了解や!」
フィンは今回の遠征の経緯を簡潔に話す、それを聞いたロキも、笑いながらフィン達の帰還を喜ぶ。
「お帰り、フィン」
「ああ、ただいまロキ」
そんなロキだが、それでも決してレフィーヤの胸を触るのを辞めない。
そんなロキに対してティオナが一喝。
「ロキ〜、レフィーヤが困ってるから離れてくんない」
「ん~~、悪いな、愛しの
――にしてもレフィーヤ…胸、ちょっと大きくなったんとちゃう?」
親父である、女神なのに親父である、ただの変態親父であった。
「ちゅうかティオネ、それフィンの腰巻きやろ!なんや自分まさかポロリしたんか?な、どうなんや」
「五月蝿い、暑苦しいから寄って来ないでよ」
ああ、騒がしいのに何故か落ち着く、帰ってきたんだ、私達の「
「ん~~、アイズたんお帰り――
「うん、ただいまロキ……」
そんないつも通りの会話をするアイズの肩をロキは突くように触る。
――ちょっと身体ズキズキ痛むなぁ、ちゃんと休まなあかんよ――――――リヴェリア!!」
(バレた…、ベル達にもバレてないのに。仕方のない神様だけど…、それでも神様なんだよね。)
地上に帰るまでの道中、常に前線で戦っていたアイズの身体はかなり疲労していた。
それもそう、何せ常に風を纏って無理をし続けているのだから。
私はそんな事を考えながら周りの荷物を運ぶのを手伝おうとすると。
「アイズさん!片付けは僕らがやりますから」
「アイズさんはお先にシャワーを!!」
「え……でも…」
「大丈夫です!順番ですから」
私はそんな言葉を受け取り、ティオナ達と共にシャワーへと向かう、そんな中ベルは私達とは違い周りの団員に頼られながら荷物を運ぶのを手伝っていた。
仕方の無いことだ、あの子はいつも周りを気遣っている、そんなあの子と私達では対応の違いがあって然るべきなのだ。
幾らベルが口下手だからと言ってファミリアの皆がベルを誤解しているのではなく、むしろベルを尊敬し敬っている、それでも下の者達に決して驕ることなく優しく出来るのはベルの生来のお人好しのおかげ。
何故か心の中にモヤモヤが残る、ベルは誰にでも優しく出来る、ベルにとっては当たり前の事、私に優しくするのも、他の人に優しくするのも。
ベルにとって
―――――――――――――――――――――
アイズ達は大浴場の一番風呂を堪能していた、アイズは少し悩んでいたが、そんな事も忘れてゆっくりとお風呂に浸かった。
少々、少なくないレフィーヤの尊厳を代償にアイズ達は浴場を後にした。
そしてアイズは毎度の如く、遠征の帰りは必ずアイズが一番最初にステイタス更新を行っていた、それは最早恒例であり、他の団員も「アイズさんが最初!!」という謎の暗黙の了解が出来ていた。
アイズはロキのいる神室へと向かい、ドアをノックする、中から「入ってえぇで〜」と言ういつもの呑気な声が響く。
アイズはドアを開け中にはいる。
「アイズたん!!いつも通り一番やでぇ!!」
「うん…、早くやって」
ぶっきらぼうにアイズは答える、これは仕方のない事、本来であれば神様をここまで粗末に扱うのはあり得ないが、なにぶん中身が親父なのであまり尊敬されていない。
この
アイズは服を上だけ脱ぎ、その豊満な胸を隠しながら椅子に座る。
ここでもまたエロ親父が出るロキだったが、アイズの良心(殺意)のナイフによって正気を取り戻し、受け取ったタイプの先端を人差し指で突いて血をにじませる。
そのままアイズの背中に血の指を走らせる。
そして刻まれたファルナが白い光を放って、アイズの今日までの軌跡が数値としてそのステイタスに加算される。
「これがアイズたんのステイタスやで〜」
ロキの気の抜けた声と共に、紙に写された自身のステイタスを見て、アイズは戦慄した。
「オラリオには下級冒険者と上級冒険者の2つがあってな〜、そこからまた第三級、第二級、第一級とあってな〜、その中でも第一級のステイタスでその中でAランクのアビリティが三つもあるのに…、自分…えらい顔しとるでぇ」
そんなロキの言葉すら、アイズの心には聞こえていなかった。
自身の力が…、確実に停滞している、レベル5になってからもう既に三年、全くと言っていいほどステイタスが伸びていない。
これが意味することとは―――
――ここが私の限界。
「ありがとう、ロキ」
「そんな前のめりで走っとったらいつかコケるでぇ!」
ロキの言葉は既にアイズの耳には入っていなかった。
アイズは自身のステイタスの写しとにらめっこをしながら廊下を歩く。
すると、目の前から白髪の青年が現れる。
「ベル?」
「どうした?アイズ、そんな辛気臭い顔をして…」
「ベル?私は強くなってると思う?」
アイズの質問の意図が分からなかった、僕にとってはアイズは出会ったときから比べればかなり成長したと思う。
技に然り、心に然り、それは既に六年前とは全く違う、でもアイズの目を見て分かった。
焦ってる、何でかは知らないけど。
「強くなってるんじゃないか?俺にはオッタルさんの様に相手のレベルを正確に測る変態
そう?本当にそう思う、私は貴方の隣に立っていられると思う?その答えは否、誰もがきっとそう言うだろう。
ベルが一番強いのは一人で戦う時、守るものがあり、それでいて一人で戦える時。
私は足手まとい、そんなの嫌!!!私はベルと一緒に戦いたい!!これからも一緒にいたい!!だから…、私は強くならなきゃいけない。
「そうかな?それじゃ後でね、しっかりと話してもらうから」
「はぁ〜、そうだったな、ここまで来たらもう濁すことは出来ないしな」
そう言うとベルはロキの神室へと入っていった。
「来ましたよ、神様」
「おう、待っとったでぇ〜、ほんじゃ始めようか〜」
ベルは上着を脱ぎ、椅子に腰を掛けてロキがステイタスを更新する。
もう見慣れた光景、最初の頃はセクハラが酷かったロキも、既に六度のランクアップを果たしたベルの一撃を喰らえば、下手したら送還されかねないのでやめる。
「それにしても…、ベルたんはホンマに着痩せするタイプやな〜、グヘグヘヘ」
「神様、斬りますよ?」
「?!冗談やん!本気にしないでな〜、な?」
そんな茶々を入れ合いながら、ベルは少し重苦しそうに口を開く、ロキもさっきまでのおちゃらけた気配を引っ込め、ベルの言葉をしっかりと受け止める。
「神様、俺…
「えぇよ、ベルたんが自分で決めたんやったらそれで、うちはそれに賛同するでぇ〜」
ロキはそう言いながらベルにステイタスの写しを渡す、ベルはそれを受け取って仏頂面でそれを見つめた。
❑❑❑❑❑❑
ベル クラネル
レベル7
ステイタス
力:B704⇒B711
耐久:C664⇒C671
器用:S937⇒S976
敏捷:SS1076⇒SS1108
魔力:S989⇒SS1001
幸運:D直感:E斬撃:D連撃:E覇撃:I威光:I
≪スキル≫
【
【
【
【
【
≪魔法≫
【
【
【
❑❑❑❑❑❑
「こりゃまたエラい上がり方したな〜、これ見たらアイズたん血涙流すで〜」
「ハハ、アイズの場合は少し焦りすぎた、今回の遠征でもフィンに怒られてましたしね」
「そりゃな〜、あんなに無茶しとったらな…、だから任せたでぇ、アイズたんの事」
「はいはい、毎度毎度同じ事を…分かってますよ神様、それより神様も来てください!!僕はこれから事情聴取を受けるので………」
「そやったな!!ほんならウチもベルたんのことを庇ってやらんとな〜!!」
「頼みますねぇ〜神様」
最後に隠されたスキルが何か?んなもん皆分かっとるやろがい!!!
ベル君の魔法についても触りだけ解説を…。
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・馬鹿、チート魔法である、アルフィアと同じ魔法ではあるが少し性質が違う、完全封殺の為、ベルの魔法の威力は三割程度まで落ちる、そうしたらファイアボル卜なんて本当にクソ雑魚に………ならないんですね!!!アルゴノゥトと合わせると馬鹿みたいに火力上がるので!!!
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・チート、完全なチート魔法。効果は超広範囲布陣結界とバフ付与の2つ。超長文詠唱である、基本使わん、そんなに使う機会がないし、普通に他人にバフかけるんだったらその分の魔力全部スキルのアルゴノゥトの火力上昇に振ったほうがいい。出さなくてもいい、出したらほぼ勝確のクソ魔法。この魔法の存在を知るのはロキとフィンのみ。
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・空間断界魔法と味方にはバフを敵にはデバフを与える、断界魔法なので完全に外界とは切断される。その為これを使うのは背水の陣の時のみ、そして味方と敵の力量差が激しかった時のみ、ちな長文詠唱。
以下の2つは基本使わん、皆が忘れた頃に出すわ!!それじゃ次回までお楽しみに〜。