某傘社の研究者、過労死する。
その後、転移先の世界で鬼舞辻無惨と出会う。
〈作者からの一言〉
よくよく考えてみれば、無惨様にバイオハザード産の生物兵器に与える=鬼に金棒状態じゃね?的なことを思った今日この頃。
でもまぁ、鬼滅の刃の世界だしなぁ(遠い目)。
鬼舞辻無惨という男は、人間ではない。
本人曰く──自身は『鬼』と呼ばれる存在なのだが、元々は人間だったらしい。
ただ、色々あった末に鬼舞辻無惨という男は『鬼』と化したのに加えて、太陽の光が害となる体質となってしまったためか、太陽光を克服した上で不老不死となることを目指しているらしく、そのために配下の鬼を増やしていると語っていた。
ちなみに、『鬼』と化した存在は人間の血肉を欲するようになるものの、鬼舞辻無惨の名前を発した『鬼』は即死する呪いが掛けられているとか。
そんな鬼舞辻無惨の言葉を聞いた俺は、思わずこう思った。
いやそれ、ほぼほぼ吸血鬼じゃね?と。
と言うか、無惨の立ち位置が完全に何かしらのラスボスじゃねぇか。
そう思いつつ、鬼舞辻無惨の話を聞いていた俺だが──その際、彼の口から出たとある単語を聞いた瞬間、大きく目を見開いていた。
それは、彼が『青い彼岸花』と呼ばれる植物を摂取したことが原因で『鬼』と化したという事実で、その事実を知った俺は思わずある植物のことを思い出していた。
そう、我が師がTウイルスを発見するに至った大きな要因の一つである『始祖花』の存在を。
もし仮に、『始祖花』がこの世界にも存在しているとしたら──それはそれでこちらとしても好都合だ。
それに、鬼舞辻無惨というクライアントを満足させるためには十分すぎる程の材料だ。
なら、こちらとしてもその力を利用するしかないな。
「Mr.無惨──君は適合すれば強大な力を得る反面、強い毒性を持つ花に興味はないかい?」
俺がそう言った瞬間、鬼舞辻無惨はその話に分かりやすく興味を示したようで、話を続けろとばかりの表情になっていたため、俺は一先ず第一段階は突破したのだと感じ取っていた。
この手の輩は、こういった胡散臭い部類の与太話に非常に興味を持つ反面、非常に警戒心が強い上に周囲の存在をあまり信用してはいない。
だからこそ、言葉選びと言葉遣いは慎重にしなければならないのだ。
そう考えつつ、彼に対して『始祖花』や『始祖ウイルス』の存在を匂わせるかのような顔付きになる俺。
案の定、それを見た鬼舞辻無惨は俺の雰囲気とその話が気になったのか、そのままこんなことを言った。
「──それはつまり、『青い彼岸花』に匹敵する植物があるということか?」
「その『青い彼岸花』に匹敵するかは分からないが、その花は俺の知る限りだと恐るべき力を秘めた花だな」
『始祖花』の存在を匂わすようにそう言ったところ、ますます興味を持ち始めた様子になる鬼舞辻無惨。
あぁ──自身の話に対して誰かが真剣に聞いていることに対し、喜びを抱くような感覚はいつぶりだろうか?
こんな感覚は、数年前に我が師ジェームス・マーカスに褒められた時以来だな。
そう考えつつ、話を続けるように喋り続ける俺。
「その花──『始祖花』は主にアフリカのとある遺跡にしか咲かない花でな、そこから採取されたウイルス──まぁ、要は目には見えない小さな生き物の原型と言ったほうが良いだろう」
「なるほど──その『始祖ウイルス』とやらは、人間にとっては強い毒となるということなのか」
「あぁ、それに『始祖ウイルス』をベースに様々なウイルスを開発することが可能だが──どうする?」
ますます『始祖花』や『始祖ウイルス』に対する興味を持ち始めている鬼舞辻無惨に対し、悪魔の囁きとばかりにそう言う俺。
日光を克服した上で、完全な不老不死となることを望んでいるあの大人のことだ。
きっと、『始祖ウイルス』の力でこの現状が変わることを期待しているに違いない。
俺としても、『鬼』と呼ばれる生命体と『始祖ウイルス』を使った実験が出来るのなら、それこそ万々歳な案件と言っても過言ではないだろう。
それに──そこから新たなウイルスが生まれる可能性も無きにしろあらずだ。
だからこそ、俺は研究者としてお前の力と権力を最大限に利用させてもらうとしよう。
「だが、『始祖花』はそのアフリカの遺跡でしか育たない植物でな、無理に運ぼうとした場合に枯れる可能性があるからこそ、非常に貴重な植物とも言えるだろうな」
「──何だと?」
俺が焚き付けるかのようにそう言うと、鬼舞辻無惨は分かりやすくピクリと反応していた。
その顔には、『始祖花』という需要な情報を流したくはないと言わんばかりの表情が浮かんでおり、それを見た俺は彼がその話に完全に食い付いたことに対してニヤッと笑っていた。
あのスペンサーと同じように鬼舞辻無惨が不老不死に固執するからこそ、こういった反応を見せるだろうと予想していたが──このような反応を見せる彼ならば、良い関係性を築ける可能性は高いな。
そう考えつつ、俺は彼に向けて続け様にこう言った。
「あらゆるコネを使って『始祖花』を輸入しようとしても、日本に運ばれてくる頃には完全に枯れ果てていると思うが──どうする?」
フッと笑いながら俺がそう言った瞬間、鬼舞辻無惨はこの機会を逃してはいけないと思ったようで、俺の提案に対して完全に乗っかる姿勢を見せていた。
それを見た俺は、そうなると思っていたとばかりに更に口角を上げていた。
一方、その言葉を聞いた鬼舞辻無惨はしばらく何かを考えるかのような顔になると、俺の方を真っ直ぐ向きつつこう言った。
「それはつまり──現地でしか育てられない、と言うことか?」
「むしろ、そう思っておいた方が良いだろうな」
俺がそうキッパリと言うと、鬼舞辻無惨はより一層『始祖花』を欲しいと思ったようで、目をこれでもかと大きく見開いたかと思えば、その泥船に乗る賭けをしようと思ったらしく、俺と同じようにニヤッと笑っていた。
ついでに言えば、何かしらの解決策を思いついたのか──俺に対してこう提案するようにこう言った。
「──なら、現地に研究所を作ると言うのは?」
「出来なくはないと思うが───それなりに莫大な金は掛かるぞ」
「そのぐらいの金のことなど、どうでも良い」
あっさりとそう言う彼の瞳には、『始祖花』に対する執着が見え始めていて、その様子を一目で分かった俺はこう思った。
コイツ、何かしらのコネを使って『始祖花』からウイルスを採取するつもりなのだと。
ならば、そのウイルスの研究者である俺はその賭けに全力に乗ろうじゃないか。
そう考えながら、俺は鬼舞辻無惨に向けてこう言った。
「──そうさ、その言葉を待っていたんだ」
交渉成立と言わんばかりに俺がそう言うと、お互いにヴィランとしての笑みを浮かべる俺と鬼舞辻無惨。
そんなわけで、俺と鬼舞辻無惨はお互いにwin-winな関係を築くことに成功し、一先ずは『始祖花』を栽培した上でウイルスを抽出する方向性にすることを決めたのだった。
【悲報】
鬼滅世界にて、最悪なコンビが爆誕した模様。
ちなみに、本作の世界では『始祖花』は存在している設定です。
ただし、立ち位置としては超絶マイナーな植物なのだとか。