「デメテル、よこせ」
世宇子対雷門、4-3で世宇子が勝っているが安心は出来ない
前半で実力を見せつけ4点取ってリードしたが、後半から3点も追い上げられている
雷門は今までの試合を、基本的に格上の相手にリードを奪われるも、試合中に急激なレベルアップを起こし相手の戦術を破って、一気に捲るという勝ち方をしてきている
雷門は逆境における成長速度が半端なく、決してチームの誰も勝ちを諦めない良いチームだ
状況から見れば、既に雷門の勝ちパターンに入ってしまっている
「カオスが来るぞ、道を塞げ」
「早い、抜かれた?!」
此方のシュートは入らず止められてしまう、雷門は俺達の動きを攻略し始めていて、急成長により実力差も縮まってきているからゴリ押しももう難しくなっただろうな
他の奴らはこの状況に飲まれてしまっている、ケミカルアイで周囲を見渡せば世宇子の選手達は急激に追い上げられたせいで負けるかもしれないというイメージが頭に浮かび調子が落ちてきている
「分身ディフェンス、何?!」
「ブレイズゾーン」
俺と照美のせいではある、俺達はチームを引っ張り過ぎてしまったのだ
俺達に従っていれば良い、俺達に従っていれば勝てると思考を止めているから、俺達二人が追い込まれているという状況に世宇子は不安を感じてしまっている
逆に雷門はボロボロの癖に闘志が漲っているし調子が良いな、雷門は逆境での戦いに強い
常に不利と言われながら戦って来ているから、雷門の選手達は折れないし、例え折れそうになっても円堂というチームの柱がしっかりしているから、最後まで諦めない
「キラースライド」
「コイルターン」
「ザ・ウォール」
このままだと俺達は負けてしまうだろうな、世宇子の選手達は雷門の様に勝ち目の無い戦いに必死に食らいついたりはしない、勝ち続けて来たから泥臭く戦う経験が無い
世宇子は戦意を失い最後まで戦わずして負けを受け入れてしまう可能性が高い、今は勝っているからまだ戦えているが逆転されてしまったら世宇子はどうなるのか
「邪魔だ」
「3つの技をテクニックとフィジカルのみで突破された?!」
「カオス先輩はアフロディ先輩と並ぶ世宇子の神、あの人の進撃は誰にも止められない」
俺は負けたくない、全国大会の決勝だぞ?
ここで勝てば日本最強だ、俺は勝ちたいね、他の奴らが負けを受け入れても俺は受け入れられない
ここで負けて雷門の引き立て役になんぞなるものかよ、主役は俺達世宇子だ
いや、世宇子じゃない、俺と照美だけだ
今の世宇子では役に立たない、照美も闘志を失ってはいないが自分でも存在すると思わなかったヘブンズタイムの弱点が存在して、雷門にバレている事で本来の威力が出せないかもしれない、それにゴッドノウズではマジン・ザ・ハンドは破れない
照美は普段から自信家の癖に、メンタルをやられやすい
表面上は平気な顔をしているが、内心自分の技が破られた事にショックを受けている
いつも本人が勝手に立ち直るし回復も早いが、残りの試合時間を考えると回復が間に合うか分からん、俺が一人で戦うしかない
「行くぜ、円堂ぉ」
「スパークリングバスター」
赤いオーラを纏ったシュートがゴールに迫り、円堂と魔神が迎え撃つ
「マジン・ザ・ハンド」
「弾けろ」
「っ・・・」
円堂は魔神の掌で赤い光弾を受け止めるが、光弾が弾けて爆発する
何とか止める事は出来たが、魔神の手にはヒビが入っていた
やはり、通常のスパークリングバスターだと、一押し足りないみたいだな
円堂の動きを観察して、未来を予測する
「読めてたぜ、円堂」
円堂が誰にパスするかを事前に読み切り、ボールをパスされた半田の元に先回りしてボールを奪う、次はあれでやるか
「スパークリングバスター」
俺は赤い光弾を再びゴールに向けて発射するが、ゴールと光弾の前に壁山が割り込み壁を作り出す
それぐらいなら問題なくぶち抜けるぜ、俺はシュートに向けて走る
「やらせないっす、ザ・ウォール」
「カオスがボールに向けて走っているぞ!」
俺はスパークリングバスターに追いつき、赤いオーラを纏った右足でシュートを蹴ってエネルギーを追加チャージしてシュートする
一人シュートチェイン技だ
「スパークリングバスター」「剣」
壁山の作り上げた壁を容易く破壊し、ゴールへと迫るシュート
「マジン・ザ・ハンド」
円堂は魔神の手で受け止めるが、更なる威力を追加されたスパークリングバスターは魔神の力でも勢いを止めきる事は出来ずにジリジリと円堂の身体をゴールへと押し込んでいく
円堂は押されながらも左手も出して両手で掴み、俺のシュートをゴールに入れない様に踏ん張るがその技は爆発すんだぜ
「おおおおおお、止まれえええええ」
「弾けろ」
俺の起爆指示と同時にシュートが爆発し、爆炎がゴールを包む
審判ですらシュートが決まったのかを確認出来ずに、スタジアム全体が煙が晴れるのを待った
煙が晴れるとシュートはゴールに入らず、円堂の両手の中に納まっていた
その姿に観戦客達の歓声が上がった
「止めたぞおおおお」
俺は渾身のシュートを止められたショックもあったが、起爆の瞬間見えた光景を思い返していた
あの時、円堂の背後に魔神がもう一体現れ、二体の魔神の手で爆発を抑え込んでいた
様子を見るに円堂は気付いていない、ケミカルアイで見た所後から出てきた魔神も、最初の魔神と同じぐらいのステータスをしていた事から、あの瞬間は最低でもマジン・ザ・ハンド二回分のパワーがあった
二体の魔神を完成させれば、パワーは更に上がるだろうな
「マジに進化早すぎだろ、円堂」
またも俺は円堂の動きを読んで、パス先に先回りを狙うがここで俺に問題が起こる
「ぐっ、あ」
ケミカルアイの限界が来て解除され、目に痛みが走り円堂の動きを追えなくなり、その隙に円堂がドリブルで俺の脇を抜けられてしまう
ケミカルアイで見た情報が、俺の脳が処理しきれなくなったんだ
元々後半は常時発動して、敵味方全ての動きを読んでいたから無理はしていた
ケミカルアイは常時発動ではなく、必要になったタイミングで使い、使い終わったら直ぐに解除して脳を休ませる使い方なんだ、途中からは俺と円堂のみを対象にして発動していたが、円堂の進化が予想以上だったせいで、読み取れた情報量が多すぎて試合終了まで持つと思っていたのが持たなくなってしまい限界が来て、ケミカルアイが強制解除された
この試合中はもう発動出来ない、この試合中に再発動するには、脳を少し休ませてエナドリを飲んでエネルギー補給しないと無理だな
「「「イナズマブレイク改」」」
ちっ、俺がケミカルアイの反動で動きが止まっている間に円堂がボールを持ち込んで、豪炎寺と鬼道と共に連携シュートを放ち、ポセイドンはギガントウォールを使って止めようとしたが破られゴールが決まった、まずい同点に追いつかれた
「カオス、大丈夫かい?」
「目のデメリットだね?、僕がだらしないばかりに君に負担を掛けてしまった」
「後は休んでいてくれ、僕が決めてくるよ」
照美が雷門のブロックをドリブルで突破していく、時にヘブンズタイムを織り交ぜながら照美は円堂と対峙する
「勝つのは、僕達だ!!」
「ゴッド、ノウズ改」
迫る照美の渾身必殺技、この試合で一番の火力が出ているな、目を使わなくてもわかるくらい普段穏やかな照美とは思えない気迫を感じた
「マジン・ザ・ハンド」
「改」
この試合の中何度も奇跡を起こして来た雷門、そのキャプテンである円堂はこの試合中に戦いながらマジン・ザ・ハンドを完成させた男だ
それだけじゃない、俺しか気付かなかったが、マジン・ザ・ハンドを元に新しい技の兆しを見せた、まだ完成させて30分も立っていないのに派生技にも手を伸ばすのは、才能が溢れすぎてるぜ
今回も円堂は奇跡を起こし、マジン・ザ・ハンドを進化させゴッドノウズ改を止めきった
後から試合の映像を見ながら、思い返してみれば雷門の急激な進化は、試合開始時格上との戦いで揉まれた事によって、ゲームとかで言う経験値を大量に獲得していた事が原因だった
過去に俺も格上との戦いで、自分の中で何かが成長した感覚を感じた事がある、今思えばあれが進化の感覚だったのだろう
雷門は俺達世宇子とのレベル差が激しかったが、試合の中で俺達に迫り、追い越していったのだ
世宇子もポセイドンの様に必殺技を進化させた奴がいたが、全体的に成長の伸びが低かった様に思う
「バカな、僕達が、負けるのか?」
「まだだ、ゴールに到達させなきゃいい話だろっ」
俺はボールを持って上がろうとする円堂の行く手を塞ぐが、いつの間にか円堂のサポートに下がって来ていた鬼道と風丸にボールをパスし、俺のブロックを抜いていく
「カオス、お前を含めた世宇子の選手達は圧倒的な強さを持っている」
「だから、チームプレーよりも個人技に頼る傾向があり、自信のある自分のポジション外の仕事をしない」
「お前たちが攻めてくる時には、基本的には一人で持ち込み、一人でシュートを行う」
「俺達がDFを突破する時、地割れを起こすDFと、技を二発同時に使うDFこの二人を同時に攻略しなければならないと思っていたが、実際には中央の突破を選ばない限り同時にブロックしに来る事は無く、サイドから進めば片方のDFしかブロックに来なかった」
「つまりは担当するポジションやエリア内しか動かない、オフェンスの際もお前やアフロディが指示を出さない限りは、シュートを打つストライカー本人が直接ボールを持って前線に上がりシュートを撃つ」
「今このタイミングもだ、一人が止めに行けば自分は行かなくてもいい、何故なら二人で止める意味が無く、一人で充分だと考えているから止めに行かなかった」
「このカウンターの局面で、お前しか円堂を止めに来なかったのが証拠だ」
「こうして話している間にも円堂を止めに来ているが、一人づつでしか来ておらず自分の担当エリアから離れたら、追ってこない」
「チームプレーを避け、個人プレーしかしない個人主義」
「フィールドには11人いるが、実際には個人が個人の力しか発揮しない、そんな物チームとは呼べない」
「アフロディとカオスという支配者による指示が無ければ、個人戦しか出来ない」
「それが世宇子の弱点だ」
鬼道によって語られた世宇子の弱点、間違っていない
元々世宇子は、チームプレーが出来ないチームでは無かった
俺と照美がチームに加入した時、俺達のが強くて周りとの実力差が有り過ぎてチームのバランスが崩れた
照美はその雰囲気と強さでキャプテンの座を手に入れた、俺は実力差を埋める為にケミカルアイを使用した特訓を施して強化した、当時は経験のある監督がおらず世宇子サッカー部は生徒主導のサッカークラブの様なものだったので、俺達がチームに過干渉するのを誰も止めなかったのだ
その結果、俺達と他のメンバー間で上下関係が出来てしまい、単純に俺達の言う事は従う、これが徹底されてしまっている、ある意味俺は監督の様な位置になってしまったのだ
従っていれば強くなれるし、試合にも勝てるから自己判断するよりも俺達に従う方が楽だからだ
チームプレーに関しても、俺達が上に立ってしまった事で俺達の指示が優先になってしまい、自発的な味方へのフォローや、息を合わせたパス回しが出来なくなったがそれでも勝ててしまうから問題になっていない
グラサンも監督をやっている以上この問題には気付いているだろうが、解決するには今のチームを作り直さなければならないから大会中には出来なかった
だからこそ、俺は新世代を育てる事にした
世宇子を俺達に依存しない、新しいチームを作り変える為に
照美ともこの問題を話し合っていたが、キャプテン本人がこんな問題をチームに話す事は出来ない、というか俺が止めて代わりに俺が裏でコソコソ進めていた
例えるなら、神を信仰する人々に、今まで恵を与えてきた神本人が、人々に対してもう神に祈らないで自立してね、恵も減らすね。なんて言える訳がない、俺達的にも最悪チームから追い出されてサッカー出来なくなるのも困るからな
円堂は前線に辿り着き、一之瀬と土門と共に必殺技を使う
ザ・フェニックスだ、前半では止められたそのシュート、今回は更に豪炎寺によるシュートチェインが重ねられ威力を増しており、後にファイナルトルネードと名付けられたその技はゴールキーパーポセイドンを迫力と威力で戦意を奪い、ゴール前から逃亡させた
当然守る者の居なくなったゴールにシュートが決まり、雷門の5点目が決まり逆転となった
世宇子に関してオリジナル設定を入れました
カオスとアフロディが入部後、チームに干渉した結果
他のメンバーが二人に遠慮する様になり、力の差を感じていつの間にか二人の言う事聞いてればいいやって空気が生まれてしまいました
アフロディも統率するのに楽だと放置、カオスも気付いてはいたものの自分達が強ければ問題ないと無視、自分達に並んだり超えようとしないのでどうでもいいって所もありましたが
弱点になるまで悪化していた事に気付いたのは、影山が監督就任後でアフロディとカオスと影山でチームの今後の話し合いをした時です
影山が世宇子の監督になり神のアクアを用意したのは、戦力の平均化の目的もありました
カオスがチームに対して辛辣というか、あんまり期待していないのは
自己判断で仲間のフォローにも入らない、指示が無ければ自分のポジションの仕事しかしないので、仲間として見ていないし自分自身もこのチームには合わないと思っているから
例外はアフロディのみです