君に見せたいこの世界   作:しきょーかい

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白き海の彼方へが復刻したので初投稿です
俺はソーンズが好きだ(唐突)
ローグでの安定感が違う。デストレッツァ(至高の技)ぶん回そうぜ!

自己満でしかないですが、感想をくれると狂喜乱舞して鏡鉄道のターン短縮します
目指せ66ターン



第1話

 

闇に包まれた世界。

この時代は何処であろうと魔物たちが跋扈し、闇の地を支配する闇竜を討伐しない限り、終わることはない。

自分もそんな時代に生きている一人だ。

あと少しで、そんな時代に生きていた一人になるが。

 

体の先から熱が消えていく。

水などとうに出し切ったものだと思っていたが、不思議と涙が止まらない。溢れ出てくる。

終わりたくはない。が、終わりから逃れる方法はない。

次第に重くなっていく瞼を開くことも難しい。

……力を抜いて、目を閉じた。

 

 

 

———

 

 

 

柔らかい。

暖かい何かが、優しく頭を撫でる。

と思えば、冷たい何かが頭に乗せられた。濡れた布だ。

目を開く。

 

「目が覚めたのですね」

 

パチパチと、木の弾ける音を響かせる焚き火にあたる4人の姿が目に入った。

 

「リンが行き倒れてたアンタを救ってあげたんだよ。私は放っとけばいいって言ったのにね」

「この時代に、そのような軽装で出歩くとはな。余程の自信家か、余程の馬鹿か…」

「……。」

 

散々な言われようだが、事実なので言い返さない。

赤髪の少女と金髪の青年は警戒し、こちらを睨みつけている。

一人離れた場所で立つガル人と、桃色の髪をした優しい声の持ち主は気付いているようだが、止めようとしない。

闇の時代は魔物が至る所に居るため山賊は少ないが、闇に包まれて薄暗い中で活動する山賊が0という訳では無いのだ。

当然の警戒に申し訳なく思いつつ、起き上がろうとした。が、優しく諌められた。

 

「まだ寝てても大丈夫ですよ。火の番は任せてください」

 

純白のドレスを着た、桃色の髪をした女性。

先程の優しさは彼女のものだと理解した。

その声に逆らうことなく瞼を閉じ、再び意識が遠のいていく。

 

 

 

———

 

 

 

「すみませんが、私達は先に行きます」

 

そう言った女性に対し、静かに頷く。

むせ返るほどの濃い植物の香りの中でも、目の前に立つ4人は淡々と作業をしていた。

何のために、と問うた。

 

「この世界に光を取り戻すために」

 

そう言うと、4人は片付けの終わった野営地から遠ざかっていく。

と思うと一人のガル人が、こちらへ寄って来た。

 

「……。」

 

干し肉と塗り薬。

どちらも冒険者には必需品だ。

ありがとう、と礼を言うとガル人は一度大きく頷き、女性たちの方へ戻っていった。

 

 

 

———

 

 

 

彼女たちとの出会いから数日。

酒場で数人の仲間を募り、世界を旅した。

 

「シィ〜ザァ〜?もう一度私に言ってみないかい?斧より剣の方が?何だって?」

「シビィラ殿は分かっておらぬ、剣の方が斧よりも格好良い。今の人は一撃必殺よりも味方を守る姿に惹かれると本にも載っているぞ」

「ちょっと、あんたはどう思う?斧と剣、どっちが格好良いと思う?」

 

時には配達、時には納品、時には戦闘。

この闇に包まれた世界を回すのに必要不可欠である職業、冒険者として堅実に働いていた。

仲も深まり、良い関係を築けていると思う。

彼女らの仲は分からないが。

 

旅に出て1ヶ月、店売りの装備では成長に追いつけなくなり、自らの手で武器・防具を制作し始めた。

出来の悪い短剣を作り、仲間に笑われ、ムキになって素材とエレメントを全て溶かしたのはいい思い出だ。

更に1ヶ月、3匹と二人の賞金首を狩った。それでも慢心せず依頼をこなし続ける。

堅実な働きが評価され、上がり続ける名声。

三王から光の巫女達と共に闇竜を討つよう要請が来るまで、時間はそうかからなかった。

 

「……はァ?双短剣って…まぁ、分からなくはないけど…」

「ふっ…惚れた弱みは大きいようだな」

「今ここで自慢の甲冑ごと頭カチ割ってやろうかい?」

 

自分達以外にも、複数の冒険者が関門に集まっている。

二人とも緊張しているのか、場を和ませようとふざけた話をしていた。双短剣こそ至高なり、圧倒的速度と技巧によって全てを屠る……闇夜に潜む暗殺者が嫌いな男は存在しない。実際に狙われる側はたまったものではないが、そこにはロマンがある。短剣でなく双短剣を選んだ理由は格好良いからだ、手数が2倍なら処理も2倍。恐ろしく素早い乱撃は誰であろうと見逃してしまうだろう。

他愛もない話をしていると、ガコンと関所の扉が開いた。

 

「さて、行くとしようかね。一筋縄じゃいかないだろうけど、ビビってちゃ進めないし」

「私が皆を護ろう、死んで魔物どもの糧になる必要はないのだからな」

 

他の冒険者たちは既に闇の地へ侵入している。

空も地も水も全てが闇で染められ、薄暗く変色された世界。

恩を返すチャンス、そして竜狩りの一助になれるのだ。息を吐いて、荷馬車に乗った。

 

 

 

———

 

 

 

「———パワーアタック! …思ったより弱いね、これなら戦技を使うまでも無かったよ」

「油断するな、闇の地の危険は魔物だけでなく、漂う闇にも潜んでいる」

 

シビィラが不定形の闇の塊を潰し、自分は短い刃を戦士の姿を取る魔物の首に突き立てる。

シーザーの刺突が闇の魔術士を消し飛ばし、巨人の一撃を危なげなく盾で受け止めた。

その隙を逃さず巨人の首を切り、双短剣の刃についた血を払って納める。

 

濃い闇は精神を蝕み、人を狂わせる。

複数のエレメントを混合して生まれる闇は、過去も現在もその力を持って魅了し続け、延々と研究されている。

そして一切の成果が生まれていないのは、この現状が表していた。

全ては闇の城に巣食う根源、闇竜。あれを倒さない限り闇の時代は終わらない。

城にたどり着けるパーティーは何組だろうか。辿り着き、リンたちと合流できる冒険者は何人だろうか。

急ごう。そう声をかけて荷馬車へ戻る。

 

「あんたが言う、愛しの巫女様とやらがどんな人か、きちんと見極めてやらないとね」

「シビィラ殿よりもお淑やかで守りたくなる女性だろうな」

「本当に一度死んでみるかい?」

 

 

 

———

 

 

 

闇の城。

いつ建てられたかも定かではない、それでも形を残し続ける城。

見るだけで鳥肌が立ち、溢れ出る闇の濃さに吐き気すら覚える。

集合場所である城門には出発した時には見なかった顔もあった。他の国の関所から出たパーティーだろう。

そして……光の巫女のパーティー———リンたちが、いた。周囲には赤髪の少女(盗賊のビビット)金髪の青年(剣士のアレス)がおり、懐かしさを覚えつつ一人のガル人を探して、茂みに隠れている彼に話しかけた。

 

「……こんにちは、わん」

 

こんにちは。

挨拶を交わし、懐から数枚の高級干し肉を手渡す。

実際は質は高級品にも劣らないだけの、手作り干し肉だが言わなければ分からないだろう。

料理は自信がないが、非常食を作ることなら負けはしないと胸を張って言える。

 

「…! 本当に、いいわん?」

 

もちろんだ。

ガル人…もとい弓術士のハクオウ。腕力と俊敏の強いガル人において、異常なほどに器用な青年。

彼のくれた干し肉と塗り薬は命を救ってくれた。この程度で返せる恩ではないが、喜んでくれたのなら何よりだ。

 

「ありがとわん、もう返さないわん」

 

赤子を守る母親のように、大事に干し肉を抱え込む姿はシュールだ。

苦笑し、別れの言葉を(また後でと)言って仲間の元へ戻る。

 

「いいのかい?巫女さんに挨拶しにいかなくってさ」

 

確かに声をかけたい気持ちはある。

だが、ここで彼女の顔を見たらこの先自分は使い物にならないという確信もある。

そう伝えると、シビィラは顔を顰め、シーザーはクックックッと声を殺して笑った。

 

「……もういいさ、行くよ!ほら!」

 

一人で斧と荷物を背負い、他のパーティーを追って城へと入るシビィラを慌てて追いかける。

 

「……恋愛小説を読んでみてはどうだ?その鈍感さも少しはマシになるだろうよ」

 

解せぬ。

共に後を追うシーザーの言葉を聞き流し、本当に一人で突撃するシビィラを全力で追いかけた。

 

 

 

———

 

 

 

「——っかり!」

 

息ができない。熱い。

目の前が揺らぎ、ふらつく体を動かしてこの場から逃れようとする。

竜の口から吐き出される魔法の炎。

安息、文明、信仰、浄化、生命。

長い歴史の中で火を象徴するもの。しかし、これは違う。

 

暴力、破壊、災厄、汚染、死。

長い歴史の中で人が火を象徴として用いたもの。生きとし生けるもの全てを汚すもの。

 

「しっかりしろ!前に出すぎだ!!」

「シビィラ殿!下がれ!!」

「離せ!あいつが死ぬかもしれないんだぞ!」

 

遠くから仲間の声が聞こえる。

二人まで身を焦がし、消えゆく必要はない。

炎に焼かれて死ぬというのも案外苦しくないようだ。この腐臭はどうにかしてほしいが。

そして気付いた。傷一つない上に、思考は冴え渡っていることに。

 

「……え?」

「…貴殿、忘れておっただろう。器用すぎて彼の者に状態異常は効果がないと」

「いや、でも、炎に焼かれて…」

「宝具に匹敵する程の防具を制作できるのだぞ、ちと頭は悪いが」

「……。」

 

酷い言われようだが事実、闇竜のブレスは一切効いていない。

腐ったものから出るガス。その影響しか受けていない現実に、シビィラが硬直する。

闇竜も「え?」みたいな顔をして動きを止めている。取り巻きも同様に。

 

「……死ねぇぇぇ!!!ギガアタァァァック!!!!!」

「GYAOOOOOOOOOON!!!!!?????」

 

一撃。

巨大な体を2つに砕き、何度も何度も斧を振り下ろす。

耳まで赤くしたシビィラが全てを破壊するのに、時間はかからなかった。

玉座を始めとした、残った調度品が粉々になって辺りに散らばるが、武器を納めはしない。

塵が再び闇に戻って体を再構築する。

真の意味で闇竜を倒せたものは存在しない。闇が幾度となく蘇生するため、封印するしかないのだ。

 

「本当に倒せないのか、恐ろしいものだな。」

「あんた…今のは忘れてくれ。頼むから本当に…」

 

赤面してそう言うシビィラの肩を叩き、復活した闇竜に向き合うよう指示する。

面白かった。さっきみたいな動きは初めて見た。

 

「うわぁぁぁ!!!」

「貴殿……流石にやめてやれ」

 

シーザーの肩も叩き、シビィラを先頭に取り巻きの掃討を始める。

再び斧を振り回すシビィラを見て笑い、リンが闇竜を封印できるよう弱らせ始める戦いが始まった。

 

 

 

———

 

 

 

43分と少し。玉座の間で戦闘をした時間だ。

シビィラも闇竜も始めは大暴れをしていたが、どちらとも疲れが見え始めている。

何度でも蘇る相手に、それでも戦闘を続けられている理由は三つある。

取り巻きを全滅させて、闇竜一匹になったのが一つ。

 

「デックスブレイク、デックスブレイク、パワーブレイク、スピードブレイク、ガードブレイク」

 

シーザーが闇竜の爪と筋を斬り、鱗を剥ぐ。

継続的に戦闘能力を削ぎ落とし続けているのが一つ。

そして最後に———

 

「ぐうっ!」

 

欠けた爪に引っかかれ、体当たりを食らって押し飛ばされるシビィラ。

傷口に緑色の薬を塗って、桃色の薬を差し出す。

 

「何でこんなに重いのかと思ってたら…薬がこんなに入ってるとはね。」

「……謎に質が高いのが怖いところだな。」

 

未だに尽きない大量の薬。

武器・防具の製作に飽きてきたため合成に手を出し始めたのだ。しかし本気で作った装備を合成するとなると、今の自分では技量が足りない。

 

そして薬を作ってコツコツ鍛えていくことにした。

結果がこの異常な量の薬。

実際の所、一つ一つの質は低いが、器用さを鍛え続けている自分が使えば補える部分だ。

 

「……っ!皆さん、既に闇竜と交戦している方がいます!」

 

背後から聞こえてきた声。忌々しげに唸る闇竜。

勝負はついたが、死なば諸共と考えている可能性がある以上、距離を取ることにした。

革製の装備は魔法防御は高いが、物理防御では金属に及ばないからだ。

死ぬことはないだろう、しかし自ら痛めつけられる高尚な趣味は持ち合わせていない。

 

ヒュン! 一本の矢が、闇竜の眉間に突き刺さった。

 

「この弱り具合なら…もう十分です!下がってください!」

 

シビィラが引き際に前足を砕き、シーザーが腕の半ばまで切り裂き、最後に自分が爆弾を投げる。

闇が再生を促している間は動けない。その間に撤退し、後はリンに任せることにした。

薬を煽り飲み、緑色の塗り薬を傷口に塗り込む。

リンから現れる3つの宝玉。それぞれの大陸に居る竜の結晶。

まばゆい光が辺りを包み———

 

 

 

———

 

 

 

ワァァァ!!!!!

人々の歓声が至る所から聞こえてくる。

手を振っている者もいれば、拍手して迎えてくれる者もいる。

手を振り返せば、声はより一層大きくなった。

 

「本当に、あたし達が力になれるとはね」

「同感だ。本使い(回復役)もいないパーティー、しかも3人でここまで出来るとは…」

 

まったくだ、そう答えつつ周囲の人へ向けて手を振る。

民衆の中には見知った顔もいた上、同業者も複数人いた。

対抗心を目に宿し、睨みつける彼ら彼女らも…いつかこの場に立てるだろうか。

ウィンクを混ぜてみれば黄色い歓声が上がる。なるほど、悪くない気分だ。

 

「ち、ちょっとは手を振るの止めてみないかい?ほら、疲れただろ?」

「シビィラ殿もやってみるといい、悪い気分にはならぬぞ」

「……そ、そうかい?じゃあ、ちょっとだけ」

 

シビィラが手を振った瞬間、一部の勘違いした男が目をギラつかせた。

殺気を集中して放ち、呪い殺すことも辞さないと目で訴えれば静かになる。

彼ら如きがシビィラの姐さんを理解できるはずもない、せめて自分に勝ってからにしてほしい。

 

「……全く反応がないな。はぁ、あたし、人気ないのかな。」

「(声を殺して笑っている)」

「何がおかしいんだい、シーザー。はぁ……」

 

この日、世界を覆っていた闇が晴れた。

全ての国の人々は光が戻ったことを祝う祝祭を開き、それは三日三晩続いたという。

 

 

 

誰も、何処かに潜む闇に気づかぬまま。

 

 




Tips

火の国…砂漠と山地が広大な国土の殆どを占める。遺跡とか火山もある。
地の国…ほぼ森、自然が豊かで奥地には大樹が聳えている。今も成長中。
水の国…至る所に水があり、湿地帯が点在している。離れたところに万年雪が降る雪の地がある。
闇の地…濃い闇で包まれた、闇の根源の住まう地。上記3カ国を唯一陸で繋いでいる。イメージは3つの円があるハンドスピナー、中央が闇の地。城から離れたところに小さな洞窟がある。

1年…1年は3ヶ月、1ヶ月は12日、火・地・水の日で1週間。色々と影響する。

ガル人…ケモケモ。ケモ度は人による。ハクオウは人間の耳の位置に獣耳+尻尾。

エレメント…換金、製作に使う。魔物を寄せ付けなくする光石は、エレメントを使用している。冒険者との交渉、魔物・人間を殺す、依頼の報酬、大会の報酬などで入手可能。
通常のエレメントは気体のようなものであり、放置していれば大気へと溶け込み、濃度が上がる。濃度が上がると、エレメントを摂取して生きている魔物はより手強くなり、粗悪な素材がより良質になる確率が上昇する。
専用のケージによって確保する。ケージ上限はエレメントを用いることで増やすことができる。

主な用途
火エレ…武器製作 地エレ…調合、合成 水エレ…防具製作

器用さ…状態異常の付与率・効果時間、道具の効果、一部の武器の攻撃力に影響する。
デックスブレイク(器用さを下げる)の後にもう一度デックスブレイクをすると効果時間が伸びる。
ちなみに器用さは双短剣に影響を与えているが、弓や弩、短剣と比べると影響度合いは低い。火力に攻撃力、腕力、器用さの3つを参照するせいで大体どれか一つにボロが出る。序盤の格好良い担当、弱い(率直)
しかしロマンに理由はいらない……!
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