君に見せたいこの世界   作:しきょーかい

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当然即時投稿ッ!それが流儀ィィッ!!

出血火傷呼吸の3タグパを作ろうと頭を捻り
火傷呼吸の人格が必要で頭を抱える今日この頃

東部センク……知らない(人格)ですね……
ポニャテッリ家ロージャが火傷振動呼吸であることを祈ろう



第2話

 

日々値段が上がり続ける新聞。契約を解消するべきかと考えつつ、火の国の照りつける陽に顔を顰める。

 

世界に光が戻り、平和になったわけではない。

確かに魔物の被害は減ったが、代わりに山賊による被害が出ている。

そしてエレメントが薄くなっているのか、魔物を殺してもケージの溜まりが少ない。人間を殺すとごく少量のエレメントを全体的に得られるが、あまりにもコスパが悪すぎる。

 

依頼を見ても報酬のエレメント量は少ない。闇の時代の半分以下だ。

舌打ちをして考える。鍛冶にも調合にもエレメントが必要で、質の高いものを作るとなるとエレメントの必要量は質に比例して増加していく。闇竜を何度も殺したおかげでケージは満杯だが、無限ではない。

 

しかも最近はいい噂を聞かない。

各国の王都に拠点を構えてはいるが、使いづらくなることが予想されている。

火の国で何度も起こる、干ばつによる不作、飢饉。

 

毎年恒例のことなので気にしてはいなかったが、今回は被害が大きく時期が悪すぎた。

数千人が死に、武器と防具が足りてしまった。

闇が晴れ、他国に侵攻する際闇の地を経由することが出来るようになった。

つまり、戦争である。

 

さらに火の国の前王は、闇の時代になる前の戦争で地の国の現王に殺されている。

国のため、復讐のため…理由が揃ったなら、あとは行動に移すだけだ。

実際、軍備増強の御触書が出た。これで戦争はほぼ確実に起きる。

鍛冶の依頼も来ていて、エレメントは国持ちのため受けても良いかもしれない。

 

「ただの水だけど、飲むかい?」

 

ありがたく頂く。

この水も今や高級品だ。各地を旅し、水の国で大量に仕入れてきた水で荒稼ぎも出来るだろう。

しかし、それで国に目をつけられるのは勘弁したい。闇竜討伐の功労者として既に目をつけられてはいるだろうが、食糧を目当てに火の国専属の冒険者にされるのは本当に嫌だ。

同業者と争うのは嫌なのだ。普通に強い、5,6人パーティーのため数で負ける、何より上客。

女王の格好は非常に眼福ではあるが……男勝りな彼女に仕えるのは骨が折れる、精神的にも物理的にも。

 

「……戦争か、ようやく平和になったのに、なんで人は争うんだろうね」

「ふむ、難しい問いだな」

 

シーザーはそう言うが、答えは簡単なものだと思う。

それぞれに理由があるのだ。理由を解消することができれば、戦争は起こらないだろう。

解消できるのならば、だが。

 

「それと…少し言いにくいんだけどさ」

 

シビィラが言い淀む。珍しい彼女の姿に驚きつつ、先の言葉を促す。

シーザーと同じようにソファーへ座り、沈み込んでいく感触を味わいつつ耳を澄ませた。

 

「今回の戦争、火の国側で参戦したいんだ」

「……。」

 

沈黙。

シビィラもこれ以上言葉を紡がず、シーザーも一切の反応を示さない。

だが、二人の視線は自分へと集中していた。

 

「…………いや、やっぱり、なんでもない。忘れて———」

 

待ったをかける。

今思えば、シビィラが自分に頼み事をすることはなかった。

新しい斧が使いたい、防具を新調してほしい、今日は休もう、というものはあったが、それは自分のためでなく、パーティー全体の事を考えての頼みだ。ノーカウントだ。

今まで無茶な旅に付き合ってくれたのだから、この程度の頼み事ぐらいこなしてやろう。

 

「あ、あんた……無茶な旅してた自覚はあったんだね…」

「…貴殿、変なものでも食べたか?もしくは飲んだか?謎肉とか濁った水とか」

 

失礼な。

これでも死に急いでるわけではないのだ、しっかり考えての行動だ。

言い返すと、二人共笑った。つられて笑った。

 

「…ありがとう」

 

 

 

———

 

 

 

火の国の関所。ここに来るのは闇竜討伐時ぶりだ。

基本的に海路を使い、反時計回りに(最大効率で)各国を巡るため闇の地には中々踏み入らない。

手始めに見つけた賞金首の首を切り落とし、特別な袋に入れる。

 

参戦は犯罪者でも可能だ。戦果を残せば報酬も出るうえ、ある程度罪が赦される。

国としても、冒険者に狩られずに生き延び続ける凄腕の賞金首(戦力)は逃したくないのだろう。

それが見逃す理由になりはしないが。

 

撫でるように斬りつけただけで、嘘のように斬れる四肢。

これで6000、装備の売却金も合わせれば7000に届くだろうか。

衛兵を呼び、苦悶の表情を浮かべたまま死んだ相手を処理する。誰もその行為に顔を顰めることなく、これが当たり前と言わんばかりに闇の地へと進んでいく。シビィラも、シーザーも同様だ。

 

身勝手な山賊と違い、コンビネーションが出来ていた。軽い気持ちで犯罪に手を染めた元同業者だったのだろうが、容赦はしない。自分が犯罪者に堕ちたとしても、誰も容赦はしないだろう。

 

血を払って、二人と合流する。導きのロープがあるためそう時間はかからないだろう。

深夜になる頃、向こうの関門を守る将軍を闇討ちする。

闇の地に足を踏み入れると、生暖かい風が鉄の香りを運んできた。

 

 

 

———

 

 

 

双撃。

血が舞い散り、汚血を被る。

呆気なく息絶えた地の国の兵士を屍を越え、また別の兵士へと斬りかかる。

地面から突き出てきた、一本の土でできた棘を回避する。

連撃。

重装歩兵の装甲、その隙間に呪いを込めた刃を突き刺す。

いくら物理に強くても、内部から弾ける呪いを防ぐことは出来ない。

乱撃。

一人、全ての攻撃をいなし続ける相手がいた。同業者か賞金首、賞金首ならリストに目を通しているため記憶にあるが、知らないため同業者だろう。向こうはこちらを知っているのか、引き攣った表情だ。

10回の攻撃を全て受け切った相手から、反撃の突きが放たれる。

 

「光の守護」

「終わりだ!」

 

光の結界に守られ、自分への全ての攻撃はシーザーが代わりに受ける。

シーザーの装備は物理と魔法、両方の守備を考えて作った革服と金属鎧の合成品。

並大抵の攻撃では衝撃すら伝わらない。

実際、相手の放った突きはシーザーを仰け反らせるだけで終わった。仰け反らせた事は褒めたい所だ。

残念なことに、褒める事はできないが。

 

光の結界に阻まれた時の不思議な手応えに、突きを放った姿勢のまま硬直する相手。

その隙を逃すわけもなく、シビィラの攻撃が体を縦に分けた。

即死。断ち切るというよりも、力で裂き壊す。

残された袋から目ぼしいものを抜き取り、先へ進む。

 

ガァーガァー……グガッ!

 

日が沈み始め、烏の声が響き渡る。

不吉な予兆を表しているようにも聞こえたが、石礫を投げると泣き止んだ。

何かが弾ける音がした。

 

 

 

———

 

 

 

兵士、冒険者、犯罪者…魔物以外の全てが寝静まる頃。

ほのかに光を放つ光石が関所の位置を示していた。

ここまででいい、そう告げて茂みから出る。

 

「気をつけなよ、いくらあんたでも気を抜いたら死ぬよ」

「ご武運を」

 

二人を背後に、気配を消して忍び込む。

大量の負傷者が寝かされたテントに入り、今も熱心に治療を施す医者の背後に回る。

影に潜んで、闇に紛れて。毒を塗ったナイフを喉に突き刺した。

 

「っ、ぽっ、ぐ、が」

 

声を上げられないよう、突き刺したままぐちゃぐちゃに掻き乱す。

ごぽっ、吐かれた息が血に阻まれ、粘液で出来た泡が弾けるような音がした。

元々激しくなかった抵抗が弱まり始め、目から光が消える。

 

治療のため灯していたであろうランタンの火を消し、テントの中を完全に闇が包んだ。

負傷者の喉にナイフを突き刺していく。残り数本のため、壊れないよう丁寧に。

 

そのまま将軍がいるであろうテントへ向かう。

夜目の効く見張りが数人いるが、気付くものは誰もいない。

テントの前にいる見張りへ喉、心臓、最後にこめかみ。3箇所から血を流して死んだ兵士を茂みに隠す。

テントの中を軽く覗くと、将軍は参謀らしき者たちと会話をしていた。

 

ひと目見ただけで凄腕と分かる重装兵、魔術兵。一人で正面から挑めば確実に死ぬだろう。

正面から挑めば、だが。

 

テントの入口から正反対、重綿花で織られた布は、いとも容易く双短剣の刃で切り裂けた。

将軍の気配が天幕に近づいた瞬間、刃を喉と心臓の場所に置き、天幕越しにそのまま体当たりする。

 

「ごほっ!?」

「「「なっ!?」」」

 

刃はしっかりと突き刺さった。魔物と違って実に脆い。

心臓の方に突き立てた刃をすぐに引き抜き、首を切り落とす。影武者で戦争を続けられては意味がないため首を回収し、人と魔物の骨の欠片を埋め込んだ炸裂弾を放り投げ、駆け出した。

 

ドゴォン!!!

 

「追え!逃がすな!!!」

 

声が聞こえる。再び影に潜み、闇と同化した。

極限まで存在を消し去り、素通りする兵士たちと逆の方向、将軍がいたテントへと戻る。

テントの中には首から下だけの遺体が残っており、誰もいない。

手首を斬り、高そうな小手を回収、小袋の中に入っていた神々しい塗り薬も回収しておく。

見当違いの方を探索する兵を残して二人と合流すると、二人共ホッと、安堵するように息を吐いた。

 

「貴殿にしては随分と派手だったな、暗殺者がどうとか言っていた記憶があるが…」

「ホントだよ、爆弾なんて使って…まぁ、早いとこずらかるよ」

 

帰り道、将軍と同じテントにいた魔術師と遭遇したが3対1、負けるわけもなく無事に勝利した。

全体的にかなり質のいい装備を着ていたため、全て回収できなかった事が悔やまれる。

そんな事を考えつつ、火の国の関所まで駆けた。

 

 

 

———

 

 

 

火の国、王城にて。二人の王と同じ場に立っていた。

一人は3つの目を持った地の国の王、オリオン。

もう一人は長い髪を雑に流し、腰に巨大な王冠をかけた火の国の女王、ガオウ。

 

「降伏だ」

「他愛もないな」

「……フン」

 

たったこれだけの会話だったが、そこにはいくつかの感情が混ざっていた。

ガオウには達成感、優越感。

オリオンには悔しさ、そして好奇心。

ガオウの背後に立ってその短いやり取りを見ていたが、心底恐ろしい。

 

二人は王で、前線には滅多に出ない。それでも圧倒的格上ということが分かったからだ。

3人で戦ったとしても、勝てるかどうか。闇竜討伐は三王に任せても良いんじゃないだろうか。

あと一人…水の国の王は戦えるようには見えないのが問題か。

 

「失礼する」

「あぁ、帰るといい。そしてなぜ負けたのかよく考えるといい。何度でも打ち倒してやろう」

「……。」

 

最後までガオウはオリオンを挑発するようだった。

もし戦闘になった場合、魔術師のオリオンと弓術士のガオウではガオウに分がある。

更にここには自分たちがいる。詠唱を阻害するには十分すぎる人員だ。

挑発に乗らず、背を向けるオリオンに同情に近い感情を抱きつつ、ガオウに向き合う。

 

「貴様らに褒美をやらねばな、領地を…………いらぬか。金とエレメントでいいか?」

 

さり気なく領地を持たされそうになったが、必死に断る。

世界を巡る旅人に土地を任せないでほしい。確実に統治を諦めて荒れること間違いなしだ。

金とエレメントという言葉に何度も頷き、一度礼をしてこの場を去った。

 

 

 

———

 

 

 

「新聞を購入してくださり、毎度ありがとうございます。あぁ、お手紙が届いてますよ」

 

戦争が終わり、数日後。

買い占めた火の国の特産品を地の国に売り捌こうと考えていた頃、一通の手紙が届いた。

差出人はハクオウ。こっそり干し肉をブランド化し売っていたが、それ経由で送ってきたらしい。

丁寧に斧を磨くシビィラも、戦争で発売が遅れた恋愛小説の新刊を読むシーザーも興味はなさそうだ。

ハクオウのものであろう指紋がついた押印を剝がす。いつから押印は指で押すようになったのか。

苦笑しながら中身を取り出し、書かれている文字を読む。

丁寧な文字だな、そう思いながら読み進めていくうちに、自分でも血の気が引くのが分かった。

 

「ん?どうしたんだい?顔色が悪いよ」

「確かに、貴殿———」

 

行かなければ。探さなければ。

金髪の騎士(アレス)は地の国、赤髪の盗賊(ビビット)は水の国、ハクオウは火の国を探し回っている。それでもいないというのなら、心当たりがある場所は一つしかない。

防具を装備する時間すら惜しい、双短剣を持って拠点を飛び出す。

 

「ちょっと!?本当にどうしたんだい!?」

「くっ……シビィラ殿、この手紙を読めば分かるかも……っ」

「貸しな!———…あの馬鹿…!」

 

荷馬車に乗り、二人が追いつくのを待たずに発つ。

闇の地へ、城へ。

今までにないほど嫌な予感がする。こういうときに限って、その予感は当たるのだ。

かつてない恐怖に体が震えるが、手綱は離さない。

王都を出て、振り返る。二人が追ってくる姿が見えた。

 

 

 

===

 

ハクオウだわん

あの時の干し肉、美味しかったわん。ありがとわん

 

早速だけどお願いがあるわん

火の国と地の国の戦争のあと、リンがいなくなったわん

アレスが地の国、ビビットが水の国、ハクオウが火の国を探してるけど見つからないわん

 

もし知ってるか見つけたら教えてほしいわん

一生のお願いだわん

 

===

 

 

 

闇の城前、舗装が剥がれて荒れた道は馬に乗るよりも走ったほうが速い。

道中何度も山賊を返り討ちにしてきたが、城には入ってこない。山賊であっても闇の根源は恐ろしいのだろう。馬にここで待っているよう伝えると、了解したと言わんばかりに止まった。

 

瓦礫を飛び越え、壊れた扉の隙間に入り、果てしなく思えるほどの戦いをした場所へと辿り着く。

そこには、一人の女性がいた。

乱れた自分の呼吸音で気付いたのか、女性は振り返る。リンだ。

 

「あなたは……お久しぶりです」

 

その目は濁っていた。既に闇は晴れたというのに、飲まれていた。

悲壮感、覚悟。この2つの感情が大きく渦巻き、それでいて諦念も混じっているように感じる。

ここで何をしている、仲間たちが心配していた。

そう伝えたが、リンは静かに首を横に振る。

 

「……私は、私達は世界を平和にするために、闇を晴らす旅をしていました」

「闇さえなくなれば、平和になる。そう信じて歩み続けました」

「ですが……闇が消えても、平和は訪れず、人は人同士で争いを始め———」

「———その醜さに、ふと考えてしまったのです。闇を晴らしたのは、本当に正しかったのかって」

 

沈黙。

リンはそれ以上の言葉を発さず、自分も何も言わない。言えない。

戦争に参加し、数十人を殺した自分が何を言ったところで無駄だと、そう思ってしまった。

闇という絶対悪がいたからこそ、人々は協力できた。理解できてしまった。

ここで彼女を止めなければ、手の届かないどこかへと行ってしまう事が分かっているというのに。

 

「———いえ、すみません。……少し一人にしてください」

 

あぁ。

嫌な予感しかしない、それでも、止められない。

生まれて初めて神に祈った。

どうか彼女が幸せになれますように。

 

「…えぇ、私も、あなたが幸せになれるよう、力を尽くします」

 

 

 

———

 

 

 

その日、闇が世界を覆った。

 

 

 




Tips
謎肉…元になるものはそこらにいる。レッツカニバリズム
濁った水…腹壊すぞ

光石…最高級の素材の名でもあり、魔物を寄せ付けなくする物の名でもある。
戦争…光の時代になる。かつ食料不足、水不足、軍事力が一定を超える…などの条件を満たした場合開戦。3つの国を地続きにしている闇の地で行われるため、戦争中は通行不可。
薬や装備の値段が上がり、逆に交易品などは下がる。
関所を守る隊長を倒せば終戦し、そうしなくても一月もすれば終戦する。
敵兵を倒した時にドロップする装備を回収しつつ、倒した分の報酬を受け取る。手に入れた装備を売っぱらい、資金が潤沢になってきたらそろそろ狩るか…♠するのが個人的にはお気に入り。

光の守護…戦技(スキル)についてはまた後ほど
重綿花…ランク4の素材。ランクについてはまた後ほど
呪い…双短剣使いが使えるデバフ。物理攻撃判定だが魔法防御で計算するため意外とダメージが出る。効果として相手の被ダメが増える。一撃で決めたいのなら大体デックスブレイクからこれで下準備。
要するにルイナの煙
領地…戦争において、国を数度勝利に導くと貰える。鍛冶台とか倉庫とか置いとく。
山賊…ゴミ。
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