集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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忘年会 ガレオン船の約束

「怒涛の1年目終了……お疲れ様でした……乾杯!」

 

「「「乾杯!」」」

 

 日高にある屋敷にて、転生者達は無事に1年目が終わったことに対しての忘年会を開いていた。

 

「異世界人召喚のチートを一切使えなかったですぞwww」

 

「しゃーねぇだろ玄武。今の状態で呼んだとしてもすぐに発狂するぞ……転生者で高い耐性を神様からの加護があるから何とかなっているけどよ」

 

 転生者達は邪神や色々な神々が見守ってくれているため何とかなっているが、前世の味覚とかに合わせてしまったら、この時代の食べ物なんて殆ど不味くて食えたもんじゃない。

 

 現に現代種で作られた作物はどれも味が凄まじくよく、麦飯でもご馳走に感じるほどであった。

 

 ちなみに今皆で食べているのは麦飯にサツマイモを入れた炊き込みご飯にいい感じに育った豚を屠畜して色々な食材をぶち込んだ豚汁。

 

 それにアイヌの人達と交換して手に入れた鮭である、

 

 アイヌの皆さんにも収穫祭の後に友好の宴を開き、サツマイモやジャガイモの色々な料理を振る舞った。

 

 あと料理の作り方や調味料を毛皮や動物の肉、鮭と交換していたのである。

 

 鮭に関しては現状乱獲とまではいかないので大丈夫だが、そのうち晴宗か紅壱が品種改良や養殖場の整備をするらしいので期待である。

 

「領民達と同等の生活をしているおかげで、領民から反発が少ないのが本当にありがたい。チート使っても神仏の加護で何とかなるし」

 

「私も妖怪扱いされるかと思ったけど、九尾とかも受け入れてもらって……ペット達が活躍してるからかな?」

 

「生活がきつすぎて妖怪だろうがなんだろうが生活をよくしてくれるなら何でもいい状態なんだろうな」

 

 ずずっと俺は豚汁を飲む。

 

 うん、美味い。

 

 体に染みる。

 

「2年目が始まるわけだけど、今年は何をしたいとかある?」

 

「松茸が思ったよりも収穫できたのが良かったわね。現代でも価値あるものが売れると思ったよりも金になるのね」

 

 収穫祭の後、村人総出で松茸狩りが行われ、結構な量の松茸を収穫することができた。

 

 それを売っぱらったら200万円近くになったのである。

 

 まぁ現状松の木の量が少ないので、毎年これくらいが限界そうである。

 

「その松茸を売って得られた金で、ゴムの木を育てるように天啓の指示が入った時は驚いたよな」

 

「遺伝子組換えを行えば寒冷地でもゴムの木栽培ができるっていうのは新しい可能性を感じたわ。将来的には南国の作物も育てられるようになるかもってこだろ?」

 

「バナナ食べたい、ココナッツも飲みたい」

 

 晴宗の遺伝子組換えによって蝦夷の冬を耐えられるゴムの木栽培が始まった。

 

 一応ある程度生育するまでは米を栽培する時に使う納屋の中で、植木鉢で育てているが、その間に遺伝子組換えを何回も行い、寒冷性能を高めていっているのである。

 

 ちなみに植物の遺伝子組換えは1個につき1日1回であるため、何日も遺伝子組換えの作業を行なっていたのである。

 

 晴宗は日中はゴムの木だけでなく、今年収穫した様々な種の遺伝子組換えを繰り返しており、ほぼ日中はそれに費やしていた。

 

「ご苦労さま」

 

「本当だよ。寒冷耐性得るのに1ヶ月近く付きっきりになるとは思わなかったぞ。あとは成長速度だったり、ゴムの出る量が増えるように調整したり……」

 

「ゴムが手に入れば生活はだいぶ楽になるからな」

 

 他には商人経由で鶏をこちらでもゲットし、紅壱が改造を行なって、鳥インフルエンザに感染しなくなるのと、卵を産む頻度の向上、凶暴性を極限まで薄めることにも成功していた。

 

 要約すると飼いやすく、病気になりにくい、卵を沢山産む鶏である。

 

 現在は個体数を増やしながら鳥小屋で飼育しており、雪や北風に当たらないようにしている。

 

 知能も高くしているので、日中放し飼いしても夕方や餌の時間には小屋に戻ってくる様になっていた。

 

 あと狸と九尾が見守っているので基本他の獣は寄り付かないのである。

 

「来年は狼をペットにしたいな!」

 

「狸で十分じゃね?」

 

「いや、本来絶滅した蝦夷狼をペットにできるのは動物飼育に関わっていた者として夢のような話だよ!」

 

「そういうものか?」

 

「そういうもん!」

 

 星獣もやる気満々である。

 

 とりあえず直近で起こったことはそんな感じか。

 

 これからの時期は、俺は再び木々の伐採作業及び切り株の除去を続ける作業だろうし、秋翁は領民に色々な農作業の伝授。

 

 星獣と紅壱は九尾や狸、カワウソの数を増やす。

 

 玄武は帳簿を付けて、昨夏は冬に足りない物の購入や整理。

 

 建成はどんどん増える妖精を使ってウニの回収及び俺の開墾作業の手伝い。

 

 錬金は錬金術で作れる物を増やす。

 

 そんな感じだろう。

 

「よっしゃぁ、2年目頑張るぞ!」

 

「「「「おー!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ガレオン船の建造ですか?」

 

 一方で江戸では仙が仲良くなった伊達政宗から将来的西洋船の建造を行いたい旨が話されていた。

 

「俺は奥州出身だから他国の技術習得に苦労したんだ。鉄砲の普及も俺が子供の頃にやっと伝わってきて……数を揃える頃には関西の織田信長とか太閤とかは大量の鉄砲を使っていてな……出遅れたゆえに技術進歩をうちで何とかしなければと思ってな。まぁもう豊臣も力がねぇし関ヶ原が1日で終わっちまったから太平の世になっちまうだろう。そうなればあとは狙えるのは日ノ本の外じゃねぇかって思ってな」

 

 伊達政宗は外の事を見ていた。

 

 天啓によると将来大船建造の禁というのがまず関西の大名に適用される。

 

 それが1609年のことらしい。

 

 次に1635年に全国の大名に500石以上の軍艦の建造が禁止される。

 

(これを上手く使えってことか? 天啓は?)

 

 天啓によるとガレオン船はあと1世紀半は主力の船であり続けるし、その積載能力は既存の日本船には無い強みである。

 

 なので、うちも技術習得と徳川家に上手いこと規制を掻い潜ることを認めさせれば……将来藩の役に立つ。

 

 それに将来的には清やロシアとの貿易もしたいと思っているので、大型船の技術は必須である。

 

「政宗公、是非うちからもお金や職人をだしますので建造の手伝いをさせてもらっては!」

 

「お、お前さんもやっぱり南蛮船は今後の日ノ本に必要だと思うよな!」

 

「ええ、あとうちの場合江戸に来るのに船じゃないといけませんし……」

 

「それもそうだな! まぁまだ構想段階だから、しっかり計画が決まったら金と人員出してくれや」

 

「はい!」

 

 この約束と仙のことをお気に入りにしていた徳川秀忠の計らいで徳川家が作ることになる中型ガレオン船と政宗が主導した大型ガレオン船の建造にそれぞれ人員を送り、余裕が出てきた日高藩でガレオン船を複数隻建造することになるのだった。

 

 そして大名が大型船の所持を禁止されるようになった際には、徳川家康様より江戸に来るときは船で出入りして良いという約束により参勤交代を船で一気にワープすることで、参勤交代費用を削減(まぁ削減分は幕府に付け届けとして寄付することになるが……)しつつ、所持者を商人に転身した転生者の子供達や江戸の商人が保有し、必要な時に藩に貸し出すということで回避するのだった。

 

 なお、これにより日高藩に関わりがある商人が、日高藩との取引が有利になり、江戸と日高を生き来したり、東廻り航路が急速に発展していく要因になるのは少し先のお話。

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