集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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医者の召喚 椎茸栽培

 召喚された女性達は凄く生き生きと生活しており、秋翁が常識を教えたおかげで周りに馴染むのも凄まじく早かった。

 

「ここでは宇宙人に捕食される心配もなく、自分達の手腕で生きることができる! 他の皆さんも優しいですし、ご飯もペーストじゃなくて、ちゃんと味があるし美味しいです!」

 

 とんでもないデストピアから召喚された為か、現状の過酷な環境でも周りに笑顔を振りまきながら生活することができており、希望が見えてきていた領民達も明るく振る舞う彼女達をいつの間にかアイドルのように扱っていた。

 

 あと家具職人というだけでなく、手先が器用なので小物を作ることや、収容所の建築従事もしていたらしく、建物を建築する腕前も見事な物であった。

 

「錬金さん、錬金さんの能力なら、石をレンガの様にブロック状に整えることはできませんか?」

 

「これだけの工具と材料があれば指定された納屋を作るくらいどうってことはありません」

 

「なるほど……この藁を使って小物を作ることで昨夏さんが異世界と取引して換金することができるのですね」

 

 宇宙人の超パワーや超技術を間近で見ていた彼女達は、俺達がチートを使っても特に違和感を抱かない事がありがたかった。

 

 あとは紅壱が人間も動物の一種なんだから種族的に強化できるんじゃないか……ということを実質強化人間みたいなデストピアから召喚された彼女達を見て思いつき、風邪や寒さでころっと亡くなってしまう領民の子供達を次々に強化を施していった。

 

 動物みたいにすぐには効果は出てなかったが、若干頭が良くなったり、物覚えが良くなったり、手先が器用になったりと個体差はあれど、病気になりにくくなっていき、体調不良になる子供達が激減し、子供達がすぐに死ななくなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 味を占めた玄武は、今度は適合率100%で職業が医者かつこの世界に来た時の満足度90%以上の人物を召喚してみることにしたらしく、どんなのが来るのが祈っていると、30歳くらいの瓶底眼鏡を掛けた囚人服の男性が召喚された。

 

「ここはどこでありますか……あっしはあの収容所で意識を失ったはずでは……」 

 

 どうやら適合率100%はほぼパラレルの日本人が召喚されるっぽい。

 

 言ってしまえば加護の無い転生者と同じ日本人か。

 

「はぇ~、1602年の日本でありますか……つまりあっしはタイムスリップをしたと?」

 

「いやwwwパラレルワールドへの転移じゃw」

 

「パラ? レル? 生憎そんな単語は知らないのですが」

 

「んんw平行世界のことですぞwww」

 

「はぇ~平行世界……確かに蝦夷に宮永なんて大名がいたなんてしらないでありますからな……蝦夷……北海道の大名と言えば松前くらいしかしらないであります」

 

「簡単に説明するとw」

 

 玄武が状況を説明すると、父親の転生者が蝦夷に豊臣秀吉から領地を貰い、関ヶ原後、徳川家康からも領地安堵を約束されて、開発を現在進行系で進めているって感じ。

 

「なるほどであります。まぁ戦国時代末期ってことは理解したでありますが、ここから全国統一を行うでありますか?」

 

「蝦夷って領土的に無理だろwそれにチートで物資を調達するのにも金が必要だし」

 

「それを聞けて安心したであります。あっし戦争に負けて、シベリアに抑留されていた軍医でありまして」

 

 彼の名前は狩野学(かりの まなぶ)元々町医者をしていたが、戦争によって徴兵され中国で戦い、戦争終結までの5年間軍医として従軍した後にシベリアで2年間抑留され、軍医として階級が高かった故にシベリアでは酷い目に遭ったらしい。

 

「両親も空襲で亡くなったって聞いていたし、特に妻子もいなかったので、生き返れただけでも儲けもんでありますな……それにこの時代ならあっしの知識でも役に立つかもしれませんし」

 

 流石適合率100%の満足度90%……医者という本来なら高給取りを召喚するならこれ以上ない人物だろう。

 

 狩野さんには領主お抱えの医者という地位を与え、領民の病気を診てくれるなら他は自由にしていいと伝えた。

 

「薬の調合とかをしたいので、材料の調達と調薬機材一式、あとは食事を要求するであります」

 

「それくらいは必要経費だから全然出すから任せろ」

 

 医者が移住して来たって情報は領民にすぐ伝わり、腹下しだったり、風邪だったり、時には腰痛や凍傷にひっきりなしに来るようになったため、

 

「人手が足りないので、弟子を取ります」

 

 と、読み書きができる武士の若者やデストピアから召喚された少女達の一部が頭が良いからと彼の弟子になり、医学を教わるのであった。

 

 軍医だったため、限られた物資で治療を施すのには長けており、錬金と組んでペニシリンや抗生物質を調薬して、それを作る過程を逆算して錬金術が無くても作れるようにしていったり、麻酔の開発を行ったり、昨夏や晴宗に頼んで現代の薬草の種を頼み、それを北海道でも育てられるように品種改良を行い自前の薬草園を作ったりするのだった。

 

 彼も献身的に領民に接したので、狩野先生として領民から慕われる存在になっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 医者が来てくれたお陰で、医療知識が無かった俺達はとりあえずホッとし、開墾作業に精を出し続け、3月頃……納屋で育てていた苗や苗木を植える時期になっていた。

 

 去年やり方を見て、更に秋には大豊作だったため、領民に現代の農法で田んぼに苗を植える正条植えのやり方を面倒くさいと言う奴はおらず、歌を歌いながらエンヤソラエンヤソラと苗を均等間隔で植えていったり、作物の種を畝を作ってから蒔いたり、秋翁の教育が行き届いていた。

 

 正直、今までの農法との違いに困惑しそうだが、秋翁のチートで技術を育つ理論まで徹底的に叩き込んだのが良かったのだろう。

 

 俺達のチートの中で領民全体の能力向上に役立っているのは間違いなく秋翁である。

 

 あと今年やったことと言えば、椎茸栽培への挑戦だろうか。

 

 北海道南部に自生しているコナラの木を開墾ついでに伐採し、それを椎茸栽培に使う原木として活用する。

 

 本来椎茸の自生する北限は東北までで、北海道には生えてないが、一応菌の保管と時期を見計らえれば、原木栽培は可能である。

 

 まぁ寒冷耐性菌に晴宗が遺伝子操作で改良してくれたけど。

 

 田植えが行われる前に原木の乾燥を施し、3月中頃に昨夏が調達してくれた椎茸の菌を原木に埋め込んでいく。

 

 勿論領民にも手伝ってもらってやり方を覚えてもらう。

 

 一旦横に寝かせて、菌が原木に馴染むようにしてから、今度は菌が内部まで定着するように原木を組み合わせて立てさせる。

 

 横に寝かせるのを仮伏せ、立て掛けるのを本伏せと言う。

 

 あとは風通しの良い日陰で秋まで待てば、椎茸がニョキニョキ生えてくるって寸法である。

 

 ちなみに椎茸は1年目の秋から成ることがあるが、本格的に生えてくるのは2年目の秋からであり、定着していれば春と秋の年2回収穫することができるのである。

 

 で、だいたい4年から5年収穫すると生えてこなくなるので、その前に収穫した椎茸から菌を採取する。

 

 錬金が生きている間は、錬金術によって少量の菌を大量に繁殖させる事ができるが、錬金が居なくなったらできなくなるので、その方法も考えている。

 

 今年ゴムの木を植えたので、5年から6年後にゴムの採取ができるようになる。

 

 そのゴムでビニール袋代わりを作ることで椎茸の菌を繁殖しやすい状態を整えて、温室の納屋に複数個所に分けて育てる。

 

 複数個所に分けておけば全滅は避けられるからだ。

 

 生き残ってちゃんと成長すれば、菌床が真っ白になるので、そこから椎茸菌を採取し固めて、原木に打ち込めば継続的に椎茸の採取が可能になるのである。

 

 あとは椎茸の原木を切らさない様にコナラの木を植林していけば……継続的に椎茸を採取できる環境が整うって寸法だ。

 

「天啓曰く戦国時代から江戸時代でも通じる金策方法の1つらしいからな」

 

 ちなみに今の椎茸の栽培方法は木にナタで切り込みを付けて、切り込みから菌が侵食して生えてくれば成功……みたいな確率10%以下のギャンブルみたいな育て方しか無く、安定して収穫できるようになるのは200年以上あと、相場が下がり、一般人が食えるようになるのは昭和まで待たなければならないのである。

 

 そんな換金性の高い椎茸が大量に収穫できるようになれば……商人達もこぞって領地に来ることになるだろう。




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