集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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領内の独自通貨 本間との大口取引

「領民達がやっぱり紙よりも硬貨で保管できる物が欲しいって強く要望が出てるな」

 

「どうする? ジャガイモやサツマイモとかの収益のお陰で金には余裕があるけど」

 

 ある日のこと、領民達から意見を聞いていると、紙とは別に交換できる硬貨が欲しいという願い出で上がっていた。

 

 領民達の殆どが元々蝦夷に来るまでは畿内で生活をしていた人達なので、銭の取り扱いは慣れていたのはあるが、蝦夷で生活する際、銭が一切役に立たなくなっていたので、今までは問題になってなかったが、少しずつ生活に余裕が出てきたし、家臣達に給金を支払う約束をしたが、年賀状を藩札代わりにするよりは、重くても硬貨を使いたいって希望が出ていたのである。

 

「さて、硬貨となるとどんな物が良いか……」

 

 流石にネット通販に現金の取引はやってないので、日本通貨を使うことはできない。

 

「じゃぁ古物で古銭とかを取り寄せる? それとも錬金に作らせる?」

 

「錬金は素材を作ることはできるけど整形はできないはずだろ……銭造りは無理だろ」

 

 ということで、俺達は悩んだ挙句、ゲームセンターのコインを通貨として活用することにした。

 

「ゲーセンのコイン100枚で5000円が相場ね……1枚50円になるわ」

 

「うーん、それだったら十分じゃね? ゲーセンのコインならここの領民達偽造もできないだろうし、ちゃんとした通貨が流通したらうちが交換できるように計らえば問題ないだろうし……」

 

 ちなみに日本……というか日ノ本では金貨、銀貨は豊臣政権時代に出来上がり、徳川政権も新しいのを作っているが、庶民に流通する銭は渡来銭がまだまだ主流であった。

 

「ちなみに渡来銭はネット通販で買おうとすると1枚500円から600円するので、べらぼうに高いです」

 

「だろうな」

 

 渡来銭1貫(1000枚)で現代価値が12万円ほど。

 

 なので1枚120円くらいの価値なので、500円、600円で買っていたら大損である。

 

「商人達が取引で使うような銭がこれだからなぁ……」

 

 偶に船で商人達がやってきて、真珠や装飾品と食料、着物を交換する際はやや商人達に有利なレートで交換しているため、若干銭を支払ってくれることがある。

 

 ただ大陸から流れてくる銭は博多や堺で取引に使われて、江戸に流れてそこでだいたい止まる。

 

 蝦夷まで流れてくる様な銭は鐚銭と呼ばれる誰が作ったのかも分からない私造の銭か、欠けてしまっているような粗悪品。

 

 これを使うくらいだったらゲーセンのコインを使ったほうが価値があるだろう……という判断である。

 

「実際流通させてみて、領民達の反応を伺おうか」

 

 ということで流通を始めた。

 

 領民達は綺麗な銀色に輝き、鷲の模様が描かれたコインを有り難がり、早速年賀状よりも価格が高くなりそうになったが、即効価格調整を入れた。

 

 コイン枚100円くらいとして、

 

 ・ジャガイモ3個

 ・タマネギ3個

 ・サツマイモ2個

 ・ナス3個

 ・長ねぎ2本

 ・お米1合

 

 ここらへんが1枚で買える値段で、

 

 ・味噌1升……10枚

 ・米1石……1000枚

 ・着物1反……50枚

 ・鮭1尾……50枚

 ・鍬1本……15枚

 

 と、日用品や食料類の値段を上から基準をある程度設けた。

 

 そしてコイン10枚から年賀状1枚と交換できるようにして、年賀状に切手が貼ってあったらコイン50枚分みたいに分けたのである。

 

 まだ経済規模が大きくなかったこともあり、混乱はすぐに収束。

 

 領民から真ん中に穴が空いてないから糸を通して纏めにくい……という不満も少し出たが、年賀状と交換してしまえば解決するので、ほぼ不満は出なくなるのであった。

 

 

 

 

 

 

 本間さんが秋の終わり頃に、また船に乗って来てくださった。

 

 大きな船にたんまり布や食材を載っけて……。

 

「約束通り秋に来たでござるよ!」

 

「いらっしゃい本間殿! ちゃんとこっちも商品を用意しておきましたよ!」

 

「いいでござるなぁ……どんな商品があるでござるか?」

 

「例えばこれ」

 

「お、おお!? 椎茸でござるか!」

 

「干し椎茸を大量に用意しておきましたよ」

 

 今年の春から育て始めた椎茸……一部のほだ木からちゃんと椎茸が生えてきて、収穫できたのである。

 

 晴宗による品種改良を施していたので、収穫時には肉厚、干し椎茸にしてもある程度の大きさは保っていたし、干し椎茸を戻す際に出る出汁は絶品であった。

 

 そんな干し椎茸が今年は50キロほど収穫できたのである。

 

「13貫(1貫3.75キロ)も収穫できたでござるか!」

 

「ああ、商品としては良いんじゃないか?」

 

「もちろんでござるよ! それだけあれば米を数万石は買えるでござる!」

 

 お金に直すと数億円になる計算だ。

 

 正直ネット通販を使えば更に稼ぐことはできるが、また邪神に制限されても嫌なので、ちゃんと収穫した分だけ売ることにする。

 

「来年も収穫できると思うので……本間殿と継続的な取引をしたいのですが!」

 

「もちろんでござるよ! 他に商品はあるでござるか?」

 

 他には真珠だったり真珠の装飾された櫛や簪、デストピアの女性陣が作った家具とかを披露する。

 

「家具は船の積載量的に厳しいでござるな……でも真珠や櫛、簪とかは江戸でも絶対に売れるでござるよ」

 

「ならよかった……」

 

「ふむ……これだと値段が釣り合わないでござるな」

 

「今回はツケにしておくので、江戸から酒田に帰る際にまた立ち寄ってもらえれば」

 

 俺は本間殿に欲しい物をリストにして渡しておく。

 

「ふむふむ、油や味噌、それに塩に塩漬けの魚、あとは着物に各種野菜の種でござるか。承ったでござるよ」

 

「着物は質の低いのと高いの両方でお願いしたい」

 

「うむうむ、わかったでござる絹織物を用意させてもらうでござるよ」

 

 本間殿との大口取引を行い、お陰で俺達は家具以外の売れる商品は殆ど完売し、油や味噌、薬味、そして着物を大量に仕入れることに成功したのであった。

 

 もちろんすぐに領民と商品券で交換を行い、領民達は冬を越す準備をし始めるのであった。

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