集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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御用商人本間爆誕

「本間殿ももう少し後だったら砂糖も用意できたのだけどなぁ……」

 

 本間殿が来た直前に、ちょうど甜菜の収穫作業が始まっていたのである。

 

 収穫した甜菜は綺麗に水で洗い、それを細かくカット。(だいたいサイコロ状かフライドポテト位のサイズに)

 

 そしたら大量の水と一緒に煮詰めていく。

 

 煮詰めていく過程で細胞が崩れて、水に糖分が流出し、切れ目の細かい濾す布を使って何度か濾していき、更に煮詰めて濃縮する。

 

 そしたら徐々に冷やして結晶化させれば砂糖の完成である。

 

 まぁ現状手空きの人員が居ないので、錬金が錬金釜を使って短時間で上質な砂糖を量産し、残った絞り粕は豚とトナカイもどきの餌として活用された。

 

 甜菜の絞り粕が大量に出たことで、今年は家畜の間引きする数は少なくて済みそうである。

 

 で、晴宗が品種改良をしたおかげで1本の甜菜が約1.2キロもあり、その30%が糖分でできているので、そのまんま30%が錬金術を使うと砂糖として抽出することができる。

 

 まぁこれを錬金術無しでやるとなると……10%くらいはロスするだろうがな。

 

 1.2キロの30%……360グラムが1本の甜菜から抽出でき、今年は甜菜が試験導入だったので5反しか栽培してなかったが、約3万本収穫することが出来たので……抽出した砂糖の量は10トン強。

 

「売れるかこんな量!」

 

 ちなみにこの時代砂糖は基本輸入に頼っており、薬として高値で取引され、2キロちょっとで1貫……現代価値12万で取引されていた。

 

 今回の10トン強を計算すると約4000貫換金できる計算になり、現代換算で4億8000万円くらいになる。

 

 10トン程度なら300石の積載量の船(この時代一般的な和船)3隻で運べてしまうので、十分取引できる量である。

 

 まぁ領民達の士気高揚の為に今回は使わせてもらったが……。

 

 というのも、やっぱり甘味がサツマイモを蒸して食べるだけだと限度があり、米を糖化させて作る水飴とかは米がまだ全員に生き渡ってないので論外。

 

 となると砂糖が自然と皆のおやつということになる。

 

 あと寒いので、日常生活でのカロリー消費量が馬鹿にならないので、少しでも脂肪をつけるためや、士気高揚の為に甘味の提供を始めたのである。

 

 というわけで、今領内で作っている物だと小豆を使った餡料理を領民達に教えていく。

 

 特に小麦や大麦は米が作りにくい場所でも育つので、ジャガイモ、サツマイモの次に麦類を育てていた。

 

 で、小麦粉は挽いて粉にし、ほうとうやうどんにして具だくさんの汁物と一緒に食べて、米の不足を補ったりしていた。

 

 この頃まだうどんというのは定着した料理ではなく、どちらかと言うと冷麦状のが殆どで、現代みたいなうどんが定着するのは1630年頃の江戸幕府の体制が整ってからである。

 

 ただ領民達はそんなうどんやほうとうとカボチャや人参などの新しい食材を大量に入れた鍋を食べれば体が熱くなって寒さもへっちゃらと、1年足らずで2日に1度は食べる料理に昇華していたのである。

 

 そんな小麦粉の使い道……他にもパン食を広めれば米が足りなくても腹は満たせるという理由で酵母を使ったパン作りが秋の終わり頃から領民を集めて行われたのである。

 

 家のかまどと鉄鍋を使えば簡単に焼けるパンの作り方を伝授しつつ、その生地の中に砂糖たっぷりのあんこを入れたアンパンや蒸し器を使った餡饅などを領民達に教えたのである。

 

「うんまぁい!」

 

「甘くて美味しい!」

 

「元の世界でもこの様な物は食べたことありません!」

 

 領民達も大絶賛し、更に砂糖を使うことで果実をジャムにするやり方も教えると、自生している木苺を使ったジャムが作られるようになり、砂糖需要が高くなる。

 

 領民価格ということで安く砂糖を交換していき、領民達は砂糖を使った焼き菓子を各々工夫して生み出していくことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 江戸では仙が本間殿より領地の人達(転生者)からと手紙で欲しがった改造した鶏を求めたのが届いていた。

 

 今までは大丈夫だったが、鳥インフルエンザが発生した瞬間にパンデミックになるため、鳥インフルエンザに成らない鶏を求めていたが、そんな鶏が雄雌5羽ずつ届いたのである。

 

 早速既存の鶏と繁殖させて、個体数を増やしつつ、既存の鶏は徐々に家臣が経営するももんじ屋に薬として卸して、江戸の町民に消費してもらったのである。

 

「蝦夷の領地の皆さんには大変稼がせてもらったので、仙様にもこちらをでござる」

 

「おお、助かる!」

 

 本間殿は小判がずっしりと詰まった箱を仙に贈る。

 

 仙も上機嫌になりながら、調子はどうかと聞く。

 

「ええ、ええ! 干し椎茸が高値で売れたおかげで、羽振りは良いですよ」

 

 本間殿は干し椎茸をきっちり江戸の商人達に売り切り、江戸の商人達からは着物を大量に仕入れたのである。

 

 あとは真珠や櫛、簪も江戸の豪商仲間に売りに行き、しっかり売り捌いていたのである。

 

 何なら卸売の約束をして、次の契約も取り付けていた。

 

「本間殿、うちの御用商人でもやります?」

 

「え! いいのでござるか?」

 

「現状うちの本領と生き来をして商売を継続的にやっていこうと考えているの本間殿しかいないですし……うちとしても、本領と連絡手段があると助かるのですが」

 

「ぜ、ぜひやらせて欲しいでござる!」

 

「うんうん、じゃあ互いに出せる材料を詰めていこうか」

 

 仙としては大名家としてバックアップすることを約束し、本間は船の数を増やし、水運での輸送力の向上と、酒田にいる本間一族を集めて、リソースを蝦夷と江戸に集中させることを約束した。

 

 これが以後両家を飛躍させていく日高協定と言われる取り決めであった。

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