集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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邪神視点のお話 1 江戸幕府成立

『はい、どうも邪神です! 転生者達は無事に2年目を終えられて良かったですね!』

 

『はい、ここで少々現状を整理していきましょうか!』

 

『まずこっちからヌルゲーになりそうなの……真珠の売買みたいなのは軽く制限かけさせてもらったけど、いやぁチート持った転生者が複数人いるとシナジーでどんどんチートが加速していくね! ただ彼らも人間だから天啓とかで画面の前の神様達には引き続きサポートしてもらいたいけど!』

 

『というわけで天啓を与える神様達にも少し状況を理解してもらいたいので、邪神の僕が皆にアクセスしているわけだけど……』

 

『転生者達の年齢は2年目終了時点で16歳(数え年)、来年から17歳になると思った方が良いね! でだ、ちょっと質問来てたけど、石って単位って何って話……1万石とかね。これはお米の収穫量を表す単位で、1石で大人1人を養える米の量って考えてくれると良いね。だから現在日高藩の収穫している780石が米の収穫量になるけどね』

 

 ちなみに豊臣秀吉の時代から始まった石高での国力計算だが、江戸時代になると米の収穫量だけでなく、経済力や他の作物何かの収量も計算に組み込まれて、実質的な国力が分かるようになってくる。

 

 で、今年始まる江戸幕府から大名と認められる1万石以上の領主に与えられる幕府から決められた石高を表石高……日高藩だと1万石の格が与えられることになるんだ。

 

 じゃぁ実質的な石高は何というかと言うと内高と言われるんだ。

 

 それを元に日高領の内高を僕が計算したところ……現在は2万石強の石高があることが分かっているんだ。

 

 内訳は、

 

 ・農業が約5000石

 ・装飾品や真珠が2000貫(1貫2石計算で4000石)

 ・特殊商品の交易(昆布や鮭、椎茸など)が6000貫強(約1万2000石)

 

 合算すると2万強ということになる。

 

『日高藩だけの国力だけじゃ分かりづらいから、日高藩に関係がある藩で国力を見ていこう』

 

 まずお隣の松前藩……史実だと唯一蝦夷地にあった藩だけど、主産業はアイヌとの交易と昆布の輸出、あと細々とした農業。

 

 表石高は1万石、実質石高は4000石あればいい方。

 

 米の収穫ができないからね。

 

 日高の転生者達のことは余所者として嫌ってるし、アイヌの人々も見下してるから、そのうち痛い目をみるだろうね。

 

 続いて伊達政宗の仙台藩。

 

 表石高62万石、内高70万石。

 

 関ヶ原で加増があまり無かったけど、仙台周辺の土地はまだまだ開発ができる土地故にこれから内高はどんどん上がるだろうね。

 

 最後に徳川家……もう少しで幕府になるけど、その所領はもう少しで天領と言われ、天領の広さは約240万石。

 

 譜代家臣達の領地も併せると400万石以上の領地を持っていることになる。

 

『以上が現状の他藩との国力差だね。転生者達は米の収穫量を早く1万石以上にしたいって言ってるけど、彼ら第1世代のうちにどれだけ国力と人口を伸ばせるかが今後の課題になってくるかな? じゃぁ邪神からのアドバイスはここまでで、転生者達の様子を確認していこうか!』

 

 

 

 

 

「邪神が他の神様に色々説明する初夢を見た……」

 

「俺も」

 

「私も」

 

「僕も……」

 

 3年目が始まり、相も変わらず、開墾生活の日々。

 

 ただ今年の開墾作業は男の住民も積極的に活動していた。

 

 今までは開墾しても共同所有の土地であったが、少し前から、開墾した土地は自分の土地になる……ということで、男達は広い自分の土地を求めて開墾作業を張り切っていたのである。

 

 あと玄武が召喚した少女兵士達が元々強化人間ということもあり滅茶苦茶働いてくれた。

 

 切り倒した木々を普通なら数十人で運ばなければならないところを2人か3人で軽々運んでいってしまう。

 

 他にも、トナカイもどきを普通は使って土を耕していたが、少女兵士達は犂を引っ張って、どんどん地面を耕していく。

 

 まさに人間重機って感じである。

 

「領主様、ここの区画の木材は運び終わりマシタ」

 

「よし、じゃあ木を切り倒すのを手伝ってくれ。俺は倒した木材をどんどん運んでいくから。野生動物には気をつけろよ」

 

「了解シマシタ!」

 

 やっぱりまだ言葉が片言であるが、紅壱が少女兵士達に感情抑制プログラムに対するロックを改造によって外したお陰で、人間らしい喜怒哀楽が徐々に現れて、預かっている家臣達も徐々に打ち解けてきている様子。

 

 まだ現在の日高町の領域から出ていないが、今後は西に範囲を伸ばし、海に面した平地を苫小牧方面に広げていく予定である。

 

 比較的農業や畜産に適した土地なので、耕作地を広げるのにもってこいである。

 

 東側は日高の今の場所から進んでいくと日高山脈にぶつかるため、そこで拡張は行き止まりになるだろうから、西への拡張を続けていくことになりそうである。

 

「そのためにはとにかく人員……人手不足! 玄武に言ってもっとも人手を召喚してもらわないとな!」

 

 それが仙に手紙を送ってもっと人員を送ってもらうか……。

 

 蝦夷に来たがる物好きがどれだけいるかによるがな……。

 

 

 

 

 京にて、朝廷より徳川家康様が征夷大将軍に叙任され、2月に江戸に幕府の開府が行われた。

 

 俺こと仙はまだ当主ではなかったので、父上が代表として臣下の儀を行い、これにて幕府の許しを得て宮永家が大名として認められれたのである。

 

 一応これにて藩が成立したことになるが、藩という言葉は父上曰く、江戸中期に学者達で呼ばれていた言葉らしいので、特に藩という言葉は使わないらしい。

 

 他の領地を呼ぶときは普通に伊達領とか宮永領とかで呼ぶことになるのだとか……。

 

 幕府が成立したから何が始まるかと言うと、この時点では幕府が始まった以上のことは特に無く、強いて言うなら親藩、譜代、外様の枠組みがしっかりしたことくらいだろうか。

 

 特に幕府の政治に関わるつもりは無かったので、俺は呼ばれた時に演奏したり歌ったりすることに留め、コネは作るが、それを行使しようとする動きを殆ど行わなかった。

 

 それを徳川家康様と秀忠様は無欲と映ったのか、前にも増して部屋に呼びつけては演奏を行うことに。

 

 でも江戸城中枢を出入りするので、人の噂には敏感になるのと、茶坊主と呼ばれる江戸城内の環境整備や大名や将軍の接待をする坊主衆に接近し、お金……まぁ賄賂を渡して心証を良くしたり、大名達の前で演奏する際の順番の調整、弁当の手配などをお願いすることが多々有り、茶坊主達もお金が貰えるとなればやる気を出して、俺のマネージャーみたいな活動をしてくれるのであった。

 

 それに伴い、茶坊主経由で色々な情報を仕入れることができ、それによって幕府のガレオン船建造に一口噛むことができたのだった。

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