集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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角栄 江戸で子馬と子牛を購入する 養蚕の始まり

「本間殿」

 

「角栄様、どうでしたか屋敷では」

 

「うん、父上と話してきた。今後の方針もある程度固まってきたわ。本間殿の方は商品捌けたか?」

 

「真珠の商品は前回の買ってくださった商家を回れば今回も捌けましたよ。砂糖はこれからになる予定ですが」

 

「砂糖なんだが、売る量は気をつけた方がいいぞ。父上は将軍様方に献上する予定だ」

 

「おっと……それは良いことを聞きました。市場に流す時勢を気をつけなければ……」

 

 本間殿は少し悩んでいたが、豪商仲間に砂糖を担保に船を借りようと思っていたらしい。

 

「ふむふむ……それは良いんだが、江戸に来て色々買いたい物があるんだが……」

 

「何をお探しでしょうか?」

 

「蚕を買いたいんだが、飼育しているところはあるか?」

 

「蚕ですか……研究している者がいたはずです。調べてみますね」

 

「ああ、頼む」

 

 あとは子牛の購入である。

 

 馬喰という業者が各地のセリ市にて購入し、江戸郊外で購入することができた。

 

 まだ戦国時代の気質が抜けてないため、戦に向けて馬を準備する者が多かったので、武士が集まる江戸近くでも牛や馬の売買が盛んに行われていたのである。

 

 蝦夷には野生の牛は生息しておらず、どうしても本州から持ってくる必要があった。

 

 子牛くらいなら瞬間移動で一緒に連れて行くことは可能だから、子牛と子馬、蚕を入手して日高に持っていこうと計画していたのである。

 

(まぁ、牛も馬も労働力として欲しいから、肉食は豚と鶏で現状何とかなってるし……)

 

 牛や馬を食うは最終手段というのがこの時代の常識であり、領民達に食わせるとしても家畜として頭数を確保してからである。

 

「本間殿、利益については」

 

「もちろん宮永家と折半でござるよ。宮永家7で本間家が3でござる」

 

 今は本間殿もそこまで金があるわけじゃないので、日高で作った商品を本間殿が江戸に運び、売り捌くことで輸送と販売の賃金として利益の一部を本間殿が受け取る契約になっているが、将来的には日高で領主である俺達や生産者から商品を買い取ってもらう感じにする予定である。

 

 俺が江戸と行き来できるので、江戸の相場から逆算して本間殿に売りつける事ができる。

 

 まぁ御用商人の本間殿はこれからどんどん育てていくつもりなので、なるべく本間殿に利益が出るようにしていくつもりではあるが……。

 

「砂糖の売値がどれくらいになるか憶測でしか語れないでござるが、真珠細工1個が(慶長)小判1両で売れたでござるよ」

 

 錬金が作った大玉の真珠は江戸で売られていたが、京や堺、長崎に持っていけば高値で売れるし、南蛮商人達もこぞって買い求めたので、投機商品として江戸の商人達がこぞって買っていくので、すぐに全て捌けてしまう。

 

 まだ金、銀、銭(銅銭)の値段が安定してなかったので金……小判で計算するが、おおよそ大玉真珠10個で2両と交換になっていたのだとか。

 

 後で分かるが、慶長小判と呼ばれる徳川幕府が最初に作った小判が一番金の含有量が多く、作り立てで状態が良いのも相まって、昨夏のネット通販で換金すると1両で250万の値段が付くことになる。

 

 錬金の作る真珠の原価が5000個で6万円くらいなので酷い錬金術である。

 

 まぁこれによるバタフライエフェクトで日高から真珠を大量に仕入れて、仲介業者を挟みながら明や南蛮商人経由でヨーロッパに持ち込まれ、史実では大量に流出する金銀が逆に日本に流入することになり、幕府の財力が史実より好転するのだが……。

 

 閑話休題。

 

 もちろんそんなに現物の小判があるわけではないので手形で商人達は交換するのであるが、今回真珠を2万個、真珠細工を5000個持ち込んだ為、1万5000両が売り上げとなり、そこから7割が宮永家の利益になる。

 

 砂糖利益無しでも1万両500両がうちに転がり込んで来て、そこから半分の5250両が日高の領地開発分で使える金になる。

 

 残りは江戸屋敷の経営の足しにする。

 

「子牛と子馬と蚕購入できれば……あとは着物類買って、残りは本間殿の船の追加代金にしてください」

 

「助かるでござる。4000両ほど借りるで良いでござるか?」

 

「ああ、じゃんじゃん船を増やして、金回してくれ」

 

「がってんでござる!」

 

 

 

 

 

 

 複数の馬喰(牛馬の販売員)から子牛と子馬を購入し、仮の拠点を設定して、子馬と子馬を日高に転移していく。

 

 子牛も子馬も1頭1両、高くても2両なので、数十頭購入することが出来た。

 

 日高の屋敷に転移すると、家臣達は俺がいきなり現れて驚いていた。

 

「か、角栄様!? 江戸に向かわれたのでは!?」

 

「神仏の加護で転移してきた。ほら子牛を連れてきたぞ。今から沢山連れてくるから、建てておいた牛小屋、馬小屋に連れて行ってくれ」

 

「「「は、はは!」」」

 

 家臣達は大慌てで俺が連れてくる子牛や子馬達を移動させていくのであった。

 

 

 

 

「ふう、疲れた」

 

「お疲れ、どうだった江戸は?」

 

「紅壱か。いや、どこもかしこも建設中の場所が多かったよ。そのうち手伝い普請がうちにも飛んでくるんじゃないか?」

 

 手伝い普請……豊臣政権時代から権力者が、城や水路の整備で大名にほぼ無償で手伝いをさせることで、大名に金を使わせて軍事費などを削る行いである。

 

「うちとんできても人夫(労働者)の提供できないぞ」

 

「江戸とかで高値でも浪人とかを集めるしかないだろうな」

 

「うへ……」

 

 そんなことを話していると子牛と子馬だけでなく蚕は見つかりそうかと言われた。

 

「本間殿が探してくれているから今度持っていけると思うぞ。あと江戸藩邸では養鶏ガッツリやってたわ。今2000羽から3000羽飼育して、去年紅壱が改良した鶏を増やしている最中らしい」

 

「なるほど……で、こっちは牛と馬の改良か」

 

「できるか?」

 

「まぁ農耕だったり物運ぶのにトナカイもどきだとどうしても馬力が足りなかったからな。牛と馬なら大型化してしまえば足りるだろう」

 

「おう、じゃあ頼むわ。俺また江戸で戻ってやらなきゃいけないことあるからさ」

 

「おう、次は蚕頼むわ」

 

 数日後、蚕を入手した俺は日高に持っていき、紅壱が改良することで寒さに強くするのと、採れる糸を蜘蛛の糸並みに丈夫にし、採れる糸の量も数倍に増やすことに成功するのであった。

 

 現状は自生している桑の木の葉で何とかなるが、個体数が増えれば養いきれないとして、桑の木の植林も同時に行なっていくことになるのだった。

 

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