集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
江戸に戻った俺は江戸城から戻った仙と会い、近況の報告を互いに行なっていた。
「とりあえずうちに手伝い普請の要請は届かないはずだ。西軍に所属していた大名……毛利とか豊臣恩顧の大名が狙い撃ちされる予定らしい」
「うちも豊臣恩顧の大名じゃないのか?」
「自ら島流しみたいに蝦夷行きしているから逆に哀れまれているよ。それに江戸で稼いだ金を本領の開発資金に充てているって情報流したら、皆信じてよくしてくれているよ」
「なるほどな……」
仙によると手伝い普請として関わりそうなのは船の建造らしい。
仙が江戸城内で演奏してコネ作ったり、機嫌取りに徹してくれたため、家康様から蝦夷と行き来する船を増やしてはどうかと言われたらしい。
そこで現在家康様が保護しているオランダ商人のウィリアム・アダムスという人物に西洋船を造らせようとしているので、それに噛まないかという話を好意でされたらしい。
「ありがたい話じゃないか」
「ああ、だから船大工を商人達に紹介してもらって雇い入れている最中なんだ」
仙も仙で、蝦夷のことを考えていてくれたらしい。
船大工達に西洋船建造に従事させて技術を習得してもらい、後々本間殿が使う商船や江戸と行き来と本領を行き来する定期便として使えれば良いと思っているのだとか。
「流石に大型商船を江戸に入れるわけにもいかないから、千葉の方に下屋敷を作って、そこに出入りできるようにしたいと思っているよ」
「なるほど……色々考えてるんだな。音楽バカだと思ってたわ」
「流石に江戸城勤務だと自然と情報が集まってくるんだよ」
話は今度大坂の商人との伝手を作れないか……ということになる。
「正直江戸の商人もいいが、色々売買するとなると大坂商人との伝手も欲しいんだが……後々は本間殿と商売を連結させるが」
「一応何人か大坂から来ている商人の支店をうちの屋敷の前に出店させることができているから、そこ経由で伝手を作ることはできると思うぞ。角栄もその商人達と会ってみるか?」
「うーん……今会っても売りできる商品が限られてるし、砂糖が売れるようになってからだな」
「そうそう、砂糖大量に運んでくれて助かるよ」
「おう、使いたいって言っていたが、どうするんだ?」
「うちと関わりある味噌屋に醤油を作ってもらっているから、それを使って甘じょっぱいタレで色々な商品を売ろうと思ってな。うちの家臣達全員何かしら手に職をつけてもらいたいし」
「佃煮とか団子とかか? 唐揚げとかも良いか」
「男が多い江戸だと飯を自炊しないのが殆どだからな。あと大工が多いから、その場で食べられる飯が人気なんだ。砂糖醤油で作る焼きおにぎり、角煮、味玉、芋煮……色々作れると思うんだよな」
砂糖醤油の材料を抑えて、家臣達に商売を覚えてもらうことで江戸藩邸の経営を少しでもマシにする。
現状は養鶏で何とか黒字らしいので、この調子で商売を広げて江戸郊外に纏まった土地を買うことが目標らしい。
「あと藩邸勤務の家臣は銭払いに切り替えた。領地が欲しい奴は日高に送るから」
「そりゃ適材適所だな。こっちはとにかく人手不足だ。じゃんじゃん送ってくれ」
「おう」
数日後、仙の紹介で大坂に本拠地を置く商人と本間殿を含めた5人での話し合いが行われた。
支店長……各店の番頭3人と本間殿、俺の5人である。
挨拶も早々に蝦夷の領地では砂糖の大量生産と真珠の養殖に成功したことを伝え、砂糖を作るときに出る副産物で酒も作っていることを話すと、商人達も色めき立つ。
それを大坂の本店でも扱って欲しいと話すと、砂糖はどれぐらいの生産量があるのか、蝦夷から江戸に持ってくる本間殿の輸送能力などを色々聞かれた結果。
「あっしらの管轄で本間殿に投資を行いましょう。その補填は宮永家が行うというので本当によろしいのでしょうか」
「ああ、本間殿が商売に失敗した際の補填は宮永家が行うゆえに御三方は本間殿にどれだけ投資するか考えていただきたい」
この密約により番頭達は独自の伝手で資金を集めて本間殿に投資を行い、本間殿は少し後に砂糖販売の利益も併せて、大型の船を建造。
大名でも持つ人物は少ない500石以上の船……800石の和船を10隻の運用を1年後に始めることになり、宮永家だけでなく東廻航路……江戸から銚子や仙台を通り、日高、函館、酒田までの海路を開拓。
それにより1年間で100万両の利益を出す大商人へと化けることになり、今回取引した番頭達も店主より稼げるようになりそれぞれ独立。
ちょうどその頃に大坂の陣で大坂が壊滅的な被害を被った後に徳川家が天下普請で大坂の魔改造が行われ、その時に今は番頭の彼らが再建の物資調達を担い、一気に商人として急成長。
この商人3人と宮永家から商人に成りたがった転生者が後々婚姻で関係を構築し、四家の宮が集まったとして四宮と屋号及び苗字を変更する。
この四宮は転生者の未来知識や天啓を元に総額200兆円という莫大な財産を築いた江戸時代最大の商家淀屋とバチバチに殴り合いを行うことになるのだが……それは未来のお話。
本間殿への投資の話し合いも纏まり、本間殿から蚕を幾らか受け取ったことで、俺は一端日高に戻った後に父上から護衛を付けてもらって、西を目指した。
理由としては江戸は男の数が多くて女性を集めるなら西……特に中国地方が狙い目だと仙に言われたのである。
「豊臣秀吉による大陸出兵や西国大名の殆どが改易に伴い、西日本全体がまだ混乱の最中にある。あと大坂は豊臣政権がいまだ権力を握っているが、幕府とは違い治外法権となっているから、遊郭に売られる女性も多いはず……そこを上手いこと交渉して連れて行くことができるんじゃないか?」
というわけで、また船酔いに苦しめられながらも、数日後には大坂に到着し、父上が豊臣政権時に使っていた屋敷を買い戻し、そこを大坂の拠点とした。
「広くはないが、手入れされた良い場所だな……」
「角栄様、本当に性病の娼婦や妊娠している娼婦を娼館から見繕えばよいのでしょうか」
「ああ、買い叩けるなら買い叩いてこい」
連れてきた娼館で遊ばせながら交流を持ってもらい、そこから娼館で妊娠していて商売できなかったり、性病を患っている患者を引き抜いてきてもらった。
あとは町中にいる捨てられた子供達を拾ってきてもらう。
「あの……身籠っていても子供と共に喰扶持が稼げる場所に行けると聞いたのですが……」
「食い物食えるって聞いたんだけど、兄ちゃん武士の方?」
「こんなに集めてどうする気だ?」
いい感じに集まってもらったので、俺は彼らを1人1人転送で日高に連れ去っていく。
日高のメンバーにもこの事は伝えていたので、すぐに転送された人は狩野先生と弟子達が治療を行なっていく。
「あー、梅毒の初期症状が出てるでありますな。この飲み薬を毎日食事の時に一緒に飲むであります。それで治るでありますからな……次の人」
殆どの人が何かしらの病気だったのでガンガン治療していき、女性や子供達を集めて遊郭を作り、治療が終わった後から領民達の慰労を行ってもらった。
そこで何組もの恋仲の男女が生まれ、家庭を作ったり、子供を孕んでいた女性達も子供を産んでから子供を育てるために進んで体を売って新しい家庭を築くのだった。
俺が転送した人数は女性500人、子供数百人にもなり、一気に日高の人口が増えることになるのだった。
この頃は大坂で明治になってから大阪に変わったので誤字では無いので報告は勘弁してくだーさい!