集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「油もある程度入手できるようになったし、石鹸作りを始めても良い頃合いじゃないかな?」
錬金が発案したのが石鹸の製造である。
衛生指導をしている狩野先生も賛同し、他転生者達も石鹸で体調不良が緩和できるのであればと賛成したため、石鹸作りが始まったのである。
「でだ、僕達は領民が継続的に作れる材料で作らなければならないから、それを踏まえての材料作りになるけど」
錬金の頭の中には既に幾つか石鹸を作るレシピがあるのだろうが、そこから材料が手に入りやすく、簡単に作れる方法を秋翁に伝えていく。
秋翁が覚えれば、彼経由で知識の伝達がスムーズに行えるからである。
「正直、僕の錬金術を使えば海水から塩を作る副産物で苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を抽出して、油と混ぜ合わせれば石鹸は出来上がるけど、これは皆ができる方法じゃないからね」
それを使わない方法としてカリウムを使う方法がある。
まず海藻を採取して灰に燃やす。
その灰を熱湯に入れて1晩経つと灰汁となり、それを油脂と混ぜ合わせ固めれば石鹸の完成である。
海藻でなくても雑草を燃やして出る灰でも良いが、カリウムが豊富なのは海藻なのでできれば海藻の方が良かったりする。
あとは重曹を使う方法があるが……これも材料の調達が難しいので厳しいだろう。
温泉から採取できる場合があるが、現状無い為、交易で手に入れるか、錬金が海水から作るか、昨夏がネット通販で買うかのどれかになる。
「まぁとりあえず灰汁を使った調合方法として〜」
灰汁と油脂を釜で熱しながらよく混ぜ、溶け出した液体を型に流し込み、それを乾燥させて固めれば石鹸になる。
「ドヤ!」
「おお、すげぇ」
「結構簡単にできる物なんだな……」
出来上がった石鹸で手を洗ってみるが、泡立ちは微妙なものの、確かに汚れは落ちやすい。
灰汁であれば、領民達も衣服を洗う際に使って汚れを落としているので、扱いに慣れているだろう。
「でもこれ欠点があって……」
「欠点?」
「結合が弱くて石鹸が崩れやすい点なんだよね……」
「ああ、なるほど……」
「輸出品には向かないかな?」
「それでも領民の健康が改善するなら作った価値は確実にあるよ! 助かったよ錬金」
「そ、そうかな……えへへ」
俺が手を握って褒めると、錬金も照れくさそうにしている。
昨夏は、
「腐の臭いがする」
と言っていたが気にしないことにしよう。
そんなこんなで3年目も無事に収穫期を迎え、肥料を追加した今年の収穫量は……こちら!
米 面積40町 収穫量1750石(1石150キロ)
他作物面積 120町
小麦 収穫量1000石
大麦 収穫量500石
ジャガイモ 収穫量5000石
サツマイモ 収穫量3600石
甜菜 収穫量960石(砂糖に加工で240石……36トン)
他多数。
現在うちの領民の人口が約2500人なのでまだ米が足りてないが他の収穫量がバグっているので、十分に生きていけそうである。
「今年も飢えなくて済みそうだ……」
支配層である俺達転生者は安堵し、領民達は豊作を大喜び。
今年から始まった税制度だが、米はとりあえず良いからと、甜菜全部とジャガイモ、サツマイモで支払ってもらった事にする。
正味米換金するより、砂糖作っていた方が金になるからな……ジャガイモとサツマイモは酒にもできるし……。
そして冬が始まれば毎年恒例玄武の召喚の儀式である。
「魔法少女を呼びたいw」
「始まったよ玄武の発作が」
毎年毎年召喚しているが、良さそうな女性は家臣達といい感じになって取られてしまっているのを繰り返しているのと、そろそろ家臣達が俺達に子供を産むように求め始めたので、結構みんな危機感を募り始めていた。
で、一抜けしたのが秋翁である。
召喚されたニコさんといい感じになって恋仲に発展していた。
「手が早いことで」
「うるせぇ!」
「拙者、今年こそ彼女を作るでござるよw」
というわけで今回の設定は性別は女性、年齢は20歳未満、この世界の適合率は90%以上、この世界での満足度は90%以上、職業は本当に魔法少女にしたらしい。
「魔法少女って……日朝に出てくる様な世界が殆どじゃないの?」
「甘いですぞw最近の魔法少女は鬱系世界が多かったりするんですぞw」
というわけで今回は一気に10人が召喚される。
「いでよ魔法少女w」
すると本当にフリフリの格好の少女達が現れた。
「おげぇ……」
召喚されるなり少女達はいきなり嘔吐。
そのまま倒れ込んでしまった。
「お、おいおい……やばくね?」
「衛生兵w衛生兵呼んでw」
「狩野先生呼んでくる!」
「いや、俺が診療所に運ぶ!」
俺は念力で少女達を持ち上げると、急いで狩野先生のいる診療所に運び込んだのであった。
「疲労困憊と極度の緊張による体長不良かと。目が覚めたら食塩水飲ませて安静にしていれば数時間後には目が覚めるでしょう」
「それなら良かった」
さっきまでフリフリ衣装であったが、魔法が解けるように解除されると、先ほどまで少女の姿であったが、明らかに20代半ばくらいの年齢になっていた。
「玄武、魔法少女ってこんな年齢だっけ?」
「んんw魔法少女形態は20代未満で、解除されたら20歳過ぎるって感じでしょうかw」
「それ本当に魔法少女なのか?」
「アダルティな魔法少女物もあったもんですなぁw」
とりあえず様子転生者達が順番で様子を見ていると、俺の順番の時に1人の女性が目が覚めた。
「ここは……」
「気がついたか?」
「……貴方が助けてくれたの?」
「いやぁ……助けたとも言えるし、そうでないとも言えるし……」
彼女の名前は新道寺光(しんどうじ ひかり)髪色は金髪寄りの黄色で、彼女の話によると魔法少女と呼ばれる存在になった女性達は地球外生命体の化け物を倒すために奮闘する代わりに、魔法少女であることを強要され、年を取っても少女の姿のままだったらしいが……。
「変身が解けてる?」
「こっち側の事情を話すか」
ここの場所は蝦夷……北海道の南部であり、江戸時代が始まったばっかりで領主としてここの統治を行なっていると説明するが、
「蝦夷? 北海道? 江戸時代?」
どうやら名称が違うし、歴史も違っているらしい。
とりあえず彼女に異世界であること、この世界はそんな宇宙人の様な生命体は居ない事等を説明すると、安心したのか再び気絶するように眠ってしまった。
「これ、起きた人全員にやるのか?」
結局この魔法少女? 達が揃って起きるのは数時間後になるのだった。