集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

39 / 40
大坂の陣

 いよいよ大坂側との交渉が決裂し、豊臣家は全国から浪人の招集を開始。

 

 それに対して幕府側は、全国の大名を招集して豊臣家と戦う事を選択する。

 

 ただ豊臣恩顧の家は江戸にて待機を言い渡される場合もあり、うち事宮永家も大坂冬の陣は江戸にて待機を言い渡されたのである。

 

「ふう……助かった……でも夏の陣はおそらく強制招集だろうな」

 

「確実に豊臣を潰す戦に移行するからな。角栄、うちの戦力はいかほど整っているんだ?」

 

「はい」

 

 江戸藩邸にて待機が命じられていた俺こと仙と父上の成継、そして連絡役の角栄と協議していた。

 

「日高から呼べる戦力は……だいたい300人だな。幕府側が各大名に求めた人員も1万石毎に300人くらいであることを考えるとまぁだいたいそんなもんだろう」

 

「幕府側は20万人動員しているからな……対する豊臣方は10万人……よくもまぁそんなに大量の浪人が居たわな」

 

「そんなに燻ってるならうちに開拓しに来いって言いたいよ……」

 

 そんなことを話していたら大坂に偵察に出ていた家臣が戻ってきて、

 

「豊臣、徳川双方和議を結び、停戦へと」

 

「冬の陣が終わったか」

 

「戦局は以下の通りで」

 

 とりあえず流れは史実通り。

 

 豊臣方が最初堺を占領して兵糧や金銭を奪取。

 

 大坂の町に各大名が置いていた米倉も制圧して奪取し、そこからは籠城して抗戦。

 

 徳川方が城を取り囲み、攻め立てるが、城は落ちず、犠牲がで始めたところで徳川家は外国から輸入した大砲による砲撃を開始。

 

 それにより大坂城の一部が崩れ、それに驚いた豊臣方の淀殿という当主である豊臣秀頼の母親が講和に傾き、諸兵の反対を押し切って講和となったらしい。

 

「講和では大坂城の堀を埋めることを条件に加えた様で」

 

「次で終わりだな」

 

「角栄、悪いけど次招集かかったら出陣になると思うから、浦安……今は堀江だったか。堀江にある下屋敷に兵士になる人員を小分けにして連れてきておいてくれ」

 

「了解」

 

「武具の調達はこっちでやっておくから、それは安心してくれ」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 そして約半年後、再び徳川家は全国の大名に招集を行い、戦国時代最後の戦である大坂夏の陣が始まろうとしていた。

 

「この戦いが終われば、俺達に課された兵役の義務も解除らしいからな」

 

「ああ、領主様に嫁さん紹介してもらうんだ」

 

「俺、別の異世界から召喚された自称サキュバスの女の子達……あの子と仲良くなりてぇ」

 

「この戦で活躍すれば嫁さん選び放題らしいぞ」

 

「武勇伝がある男のほうがモテるかな?」

 

 そう言う元宇宙奴隷の人々と、黙々と行進する男の強化兵士達。

 

 彼らは刀や槍で武装しており、火縄銃は皆無という有様であった。

 

「銃があればよかったんだが」

 

「うちの転生者にガンスミスが現れたらしいが、間に合わなかったからな」

 

 一応日高に居る第三世代の転生者で、銃を作ることができるチート持ちが数ヶ月前に覚醒したのだが、銃の訓練を行う前に戦となってしまったことで、銃……というよりこっちに持ってこられたのは大砲1門だけであった。

 

「銃身が幾つもある大砲って……」

 

「これ1門だけでも局地戦は変わるだろうけどな」

 

 俺と父上が言う様に、その転生者と角栄の息子の相槌が寝る暇を惜しんで作った大砲こそガトリング砲であった。

 

 史実日本では幕末に持ち込まれ、絶大な威力を発揮した連射砲であるが、昨夏と錬金が弾薬の材料を量産し、ガンスミスの転生者と相槌によって一応数万発の弾薬と共に運び込まれたのである。

 

「何とかこれで敵を片付けることができれば……」

 

「どうなるか……」

 

 

 

 

 

 大和国経由で大坂城に向かう道中、大和川と石川の間にある道明寺付近にて豊臣軍が待機しており、そこに諸藩連合が突っ込む形で開戦を迎えた。

 

 俺達は約500人……道中で陣借りを願い出た者達を雇い入れ、人数を増やしていたが、少数であることには変わらず、血縁関係を結び、うちの監督役を担っていた堀田殿と協議した上で、主戦場から少し北西の石川近くにて、豊臣方の敗残兵を川に追い込む作戦に出た。

 

「やってること死体蹴りじゃ」

 

「しー、しゃあねぇだろ。最前線に突っ込まされるよりマシだ」

 

 事実諸藩連合の兵数に押されて、豊臣方は壊滅し、川に逃げようとする者達が押し寄せてきたが、そこにガトリング砲の火力が集中する。

 

 パパパパパパ

 

 破裂音と共に飛び出す弾丸が次々に豊臣敗残兵に襲いかかり、川は死体で埋め尽くされていた。

 

「その銃? 大砲? すごいですな」

 

「この戦が終われば徳川家に献上しますので、堀田殿から取り次ぎをお願いしますよ」

 

「本当ですか、いやぁ助かります」

 

 そして石川を渡り、戦いは大坂城近く、天王寺・岡山へと場所を移すのだった。

 

 

 

 

 

 

 うちの部隊は徳川秀忠様の陣の前に置かれ、正直前には何重もの諸藩や譜代家臣達の陣で守られており、普通ならここを突破されないと思うのであるが、天啓により父上の成継と俺は史実では秀忠本陣まで敵が迫るという情報を神々から受け取っていた。

 

「ここにいる者達も大勢死ぬかもしれねぇな」

 

「それは勘弁願いたいが……」

 

 そうこうしていると、法螺貝や陣太鼓が鳴り響き、戦場全体が騒がしくなる。

 

 徳川家康様の陣の方を見ると、旗が次々に崩されており、本陣も混乱しているのがよく分かるが、こちらの陣にも敵兵が突撃を行い、次々に突破され始めていた。

 

「ガトリング砲を使うか?」

 

「いや、味方と乱戦状態でこれを使えば後で咎められる……兵達を信じよう」

 

 その兵たちはというと……

 

「おりゃぁ! 龍だのドラゴンなどに比べたらなんぼのもんじゃい!」

 

「鉄平出過ぎだ死ぬぞ!」

 

「大丈夫だ! 右近、左近手伝ってくれ! 入れ喰い状態だ! 殺しても殺しても敵が突っ込んでくる!」

 

「おうよ! 前の世界の資本家共に果たせなかった鬱憤をここで晴らさせてもらうぜ!」

 

「綺麗な嫁さん確保するために戦功の糧となれ!」

 

 といい、陣借りの連中は早々に壊滅したが、本隊の300人は負傷しながらも、敵1万人以上の攻撃を誰一人欠けることなく耐え凌いでいたのである。

 

 こちらを崩せないと見るや、敵兵は後退を開始するが、そこにガトリング砲の射撃が始まり、次々に屍を積み上げることになり、それを見ていた秀忠様より日高藩の活躍を大いに褒め称えられることになるのであった。

 

 最終的に大坂城は炎に包まれ、多くの浪人達の命と共に焼け落ち、豊臣家は滅亡。

 

 徳川家の政権を揺るがす存在の排除に成功するのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。