集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1ヶ月経過 九尾捕獲

 ある日俺に天啓が降りてきた。

 

 現状毎日俺は木を切り倒して、運んで、領民達が細かく切り分けるを繰り返しているが、秋翁に聞けば木材や薪に加工するときに出るおが屑を活用できるんじゃないかって。

 

「これが天啓ってやつか……」

 

 秋翁に聞いてみると、

 

「確かに、おが屑の活用法が……何で今まで思いつかなかったんだろう。確かにあるぞ、活用法が!」

 

 加工する際に出るおが屑を集めてもらい、それを粘土でも木箱でもいいから、中が中空状になっている円柱状の棒状のカタを作る。

 

 それを錬金の力で加熱圧縮すると……。

 

「オガライトの完成だ」

 

 オガライト……おが屑をまとめて木炭の代用品となる物で、昭和頃には風呂を沸かす薪代わりに使われていたり、煙が出にくい性質があるので焼き鳥なんかの飲食店で現在は活用されている代物である。

 

 おが屑を熱圧縮するとおが屑に含まれるリグニンという成分が自然の接着剤の代わりとなり、おが屑同士が結合するのである。

 

 中空なのは圧縮する際にガスが出るので、ガスを逃がすのに中空状がちょうど良いのである。

 

 これを使い始めたことで、薪の使用量は減少し、今まで薪として使っていた木材を別の用途で使うことが可能となった。

 

 それはあばら家だった家々の改築を意味する。

 

 

 

 

 建成が召喚する妖精に秋翁が自身の技能を伝授するチートを使うことで妖精の性能がアップするという裏技を発見。

 

 あとあめ玉を毎日与え続けたら、妖精の数が増えて現在30体。

 

 20体は引き続きウニと海産物収集をさせて、残りの10体と領民を率いて、家の改築に取り掛かった。

 

 ほぼ素人が作っていた屋敷なので、色々歪んでいたりして隙間風が酷かったため、建成が設計図を引き、的確に妖精や念力が使える俺とかが動員されて、どんどん新しい屋敷が組み上がっていく。

 

 断熱材としては木材から作れるウッドファイバー(木質繊維断熱材)を錬金の錬金術で作ってもらい、それを壁にはめ込んでいった。

 

 このウッドファイバー……木材を繊維質にしてから圧縮することで、高い防寒性能と断熱性を両立する性質があり、あと耐久年数も高い。

 

 欠点は木材なので燃えやすい点があるが、現状これ以外の現代でも使われている断熱材が無いので妥協である。

 

 やっぱ設計がしっかりしているのと、妖精がパワーアップしたおかげでどんどんしっかりとした屋敷が組み上がり、15日程度で新しい屋敷が完成した。

 

「どうよ!」

 

「流石建成。凄い」

 

「ただこれから毎日領民の家も作っていかないとか……」

 

「木材はたんまりあるからな。領民を凍死させるわけにもいかないから頑張らないと」

 

「そうだな」

 

 ちなみに建成とかが妖精を使役したり、俺が超能力で木材を浮かせたりしていても、領民達は神仏の使いじゃーって言って拝むくらいで、特に害はない。

 

 というか生活が少しずつ良くなっているため、神だろうが悪魔だろうが何でも使って生き抜くつもりである……逞しいな。

 

 

 

 

 そんなある日、星獣が狐の家族を連れてきた。

 

「狐捕まえたのか?」

 

「うん、犬や狼を探していたんだけど見つからなくて……で、狐が何故か寄付いてきたからテイムしてみた」

 

 今狐は残飯を食いながらコンコンと鳴いている。

 

「よっしゃあ、じゃあ俺の手番やな!」

 

 そういうのは紅壱であり、彼の能力は動物に高い知能と能力を与えること……彼が触れると、狐達の尻尾がブワッと増えた。

 

「うわ、九尾になった!」

 

 体付きも大きくなり、毛並みも金色に近い黄金色に変化。

 

 そして何よりくるんと宙返りをすると狐達は人型……擬人化というべきか……人の姿に化けたのである。

 

「「「ご主人様〜」」」

 

 九尾達は大きなワンコみたいに星獣に抱きついて顔を擦り付けている。

 

「九尾の狐に生まれ変わりました! 皆さんもどうぞよろしくお願いします!」

 

「お、おう……よろしく……」

 

 俺はいきなりの変化に驚いていが、狐を改造すると九尾の狐になり、人に化けて活動できるっぽい? 

 

 あとは獣形態だと背中に人を乗せて素早く移動してくれそうである。

 

 ハンターとしての性能も高く、森に入っては鹿を狩ってきてくれることも多々あった。

 

 屋敷の近くに九尾用の家も建ててあげたら尻尾をブンブン振って喜び、なんか大型犬にしか見えないのであった。

 

 

 

 

 

 

 1ヶ月が経過し、妖精達も慣れてきたのか、ウニの収量も増えてきていた。

 

 あとウニは殻を取り除いてプラスチックタッパーに詰めた方が換金性が高いことがわかり、領民の女性達を駆り出して、ウニの殻向きをやってもらった。

 

 おかげで毎日25万から30万入るようになり、それで領民の防寒具や木材加工をする工具を買っていって毎日金銭が尽きている状況。

 

 だいぶ自転車操業が続いているが、領民達も頑張ってくれているし、建成が隙間風の無い家をガンガン建てているので、領民達も生活環境が少しずつ好転してきていることに喜んでいた。

 

 あと九尾で味を占めたのか、星獣と紅壱コンビは今度はエゾシカを捕まえてきて、使役と改造のコンボで、大柄なトナカイみたいにすることに成功し、トナカイの様にソリを引いて木材を運搬する光景が広がっていた。

 

 食べるものは木の皮などだが、何なら木材もこの鹿もどきはバリバリ食べる。

 

 地中に埋まっている昆虫やウニの殻も食べるので、結構雑食の様であり、農作業が始まったら労力として活用していくつもりである。

 

「領民にも防寒具と農具が生き渡ってきたし、そしたら今度は農地の開墾作業を始めようか」

 

「北海道で育つ米……本当にこの気温で育つの?」

 

「一応更に寒冷耐性は遺伝子組換えで高めるつもりだ。それに普通の米に比べると現代種ってだけでも収穫量は多いが、味も桁違いに美味いはずだからな」

 

 と、晴宗は自信満々。

 

 ちなみに現在防寒具は領民ほぼツナギと目出し帽になっており、誰が誰だか分からない状態だが、寒さで死ぬよりは断然マシと奇抜な服装を受け入れていた。

 

 まぁ暖かくなったら着物に戻るだろう。

 

 というわけで、次は春に向けて農地を作る作業である。

 

 日高……道南では雪解けも他の地域に比べると早い。

 

 といっても時代の影響もあるのか、秋翁曰く、平均気温が北海道の道南という地域を加味しても寒いらしく、あと秋翁が天啓で得られた情報で、この時期の地球は小氷河期で全体の平均気温が低いらしく、それゆえに米の発育不全が起こっての乱世だったり、飢饉が度々発生していたらしい。

 

 それを考慮しても耐えられる米を育てると晴宗は言っていたが……。

 

「正直今後は2つの価値で考える必要が出てくるからな……」

 

 俺が考えるに、江戸……この時代の価値とネット通販で取り寄せる現代品の価値。

 

 正直ネット通販で安いはちみつとか椎茸を大量に購入して転売すれば、ある程度は金になると思うと父上が言っていた。

 

 この時代だとはちみつと椎茸は超高級品。

 

 干し椎茸10キロで城が建つと言われるくらい。

 

 はちみつも同じくらいの高級品だし、あとは砂糖も高級品。

 

 ちなみに昆布も高級品らしいので、この4つを安定して収穫及び採取できる様にすれば金は何とかなるらしい。

 

「結局のところ、俺が領主という立場を失ったらお前らも路頭に迷うことになるだろうし、運よく別の場所に住みつけたとしても、チートは一切使えない生活になると思うぞ」

 

 と、父上は言う。

 

 確かに父上が領主だから俺達は領民や家臣達を動かして自由にやれているが、庇護者を失ったらこの乱世もまだ終わってない時代だと悲惨だろう。

 

「まぁとりあえずここを豊かにできれば江戸時代が本格化しても生き残れるようにはするからさ! 気張っていけよ」

 

「「「おう!」」」




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