集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1年目春……栽培開始

 3月……冬の寒さもだいぶ落ち着きをみせてきて、日中はまだ厚着は必要だけど死ぬほど寒いって訳でもなくなってきていた。

 

 で、この時期から本格的に開墾作業を領民と一緒に行っていく。

 

 まず冬の間に伐採していた木々の切り株が色々な場所にあるので、俺のパイロキネシスの力で長時間燃え続ける炎の塊を作り出す。

 

 それを切り株に深い切り込みを入れたら、その中に炎の塊をそっと入れる。

 

 すると根っこの中まで木が燃えていくのであとは燃え尽きたところを軽く崩せば切り株の除去も完了である。

 

 気をつけないといけないのは根っこを伝って地中で延焼する危険性が晴宗と秋翁の2人から指摘されたが、まだ夜になると霜が張って、地中も冷えるため、延焼まではいかないだろうと天啓が入ったので、安心して行えている。

 

 他にも椎茸栽培はこっちの世界で金になるけど、エゾマツから生えてくる松茸を晴宗の遺伝子操作で改造して量産できる様になれば、高値で取引できるんじゃないか……という天啓も降りてきた。

 

 それができれば秋頃の金策がだいぶ楽になる。

 

 現状健康の加護があるからそうそう死ぬことはないだろうが、領民は風邪を引いただけでころっと死ぬため、薬の備蓄とかもしておかなければならない。

 

 事実、俺達が意識を覚醒してから今回の冬を越すまでに10人の子供が亡くなっているので、他人事ではないのである。

 

「ほぼ毎週葬儀があるのは辛いなぁ……」

 

 こんな辺境に来てくれるお坊さんも居ないので、供養は親父の家臣達が行うが……。

 

「とにかくこんな限界生活をなるべく早く脱却しなければ!」

 

 そう言って気合いを入れ直してどんどん開墾を続けていくのであった。

 

 

 

 

 

 俺が開墾作業をしている間に、秋翁と晴宗は農作業の道具を作成していた。

 

 作れる物は作ってしまったほうが良い……というわけで、彼らは短床犂(たんしょうすき)という農具を作っていた。

 

 短床犂とは土地を耕す道具で、普通は牛や馬に引かせることで地面を深く耕し、土地の養分を作物に与えやすくする効果や、肥料を撒いている場合は、肥料の土への吸収を促し、結果作物の収穫量を上げたり、育ちやすくしたり、作物が風で倒れにくくしたりという効果が色々あるのである。

 

 ちなみにヨーロッパではこの犂の事をプラウと呼んでいたりもする。

 

 現代だと日本は耕運機に取って代わられてしまったが、ヨーロッパや大農園だと現役なところもしばしば見受けられる。

 

 そんな短床犂を鹿もどき……トナカイもどきの方がいいか……に取り付け、俺が切り株を焼いたところに投入していき、地面を深く耕していった。

 

 雪解けと同じ時期にやることで、深く耕した際、地中に空間ができ、そこに雪解け水が通ることでより早く雪解けを促進させるのと、地中に水分を生き渡らせることでミミズを繁殖させやすくする効果もある。

 

 それと同時並行で米の苗作りの準備も始めていた。

 

 断熱性に優れた家を作る材料及び、日中は日光をよく吸収することができるようにガラス製の窓を取り付けた小屋の中で、苗作りを始める。

 

 使用する米は現代の北海道で育てられている主要品種の中でも特に寒冷性能が高い『ななつぼし』。

 

 ただ『ななつぼし』は病気に弱い傾向があるため、それに北海道の業務用米である『そらきらら』という収穫量と病気耐性に強い品種の両方をいいとこ取りした品種……宮永1号米(そらななつ)を育てていくことに決めた。

 

 これを根幹米として以後品種改良を続けていくつもりである。

 

 これを水に浮かべて選別した後、浸水をして米に水をたっぷり含ませる。

 

 次に平たい箱の中に掘り返した土を詰めて、その上に種籾を撒いていく。

 

 そしてなるべく部屋の温度が上がるように室温に気をつけながら発芽させ、光をよく当てて緑化させていく。

 

 そしたら夜は暖かく、昼間は風通りをよくして苗を育てて発芽から20日ほどしたら田植えを行える苗の完成である。

 

 これを現状水田にできるように整えてある場所を使って育てていく。

 

 父上達が米を育てるために試行錯誤した痕跡があり、灌漑設備が整っている田んぼが4町分あったので、そこで育てさせてもらう。

 

 植える際は勿論人力の正条植え。

 

 縄の結び目に合わせて苗を田んぼに植えていく。

 

 今回は領民は見ているだけで、殆ど建成が召喚した妖精が行なってくれた。

 

 で、他の土地は野菜や家畜の飼料となる作物を植えていく。

 

 時期は色々ズレるがカブ、キャベツ、トウモロコシ、大豆、小豆、ジャガイモ、タマネギ、カボチャ、ウリなどの和洋混合の様々な野菜を植えていく。

 

 特に秋翁のチートが強すぎた。

 

 領民を集めて技術指導を行えばスルスルと知識を吸収していくので、初めて育てる作物でも、育てられるという自信とそれを用いた料理や加工方法についても頭に入っていく。

 

 おかげで、これくらい育てれば飢えなくて済むみたいな見積もりが立てられるのである。

 

 野菜には相性があり、例えばジャガイモは連作すると病気になりやすくなったりとか色々あるのだが、上手いこと土地を回せば畑を休ませることなく収穫を続けることができると晴宗と秋翁は語る。

 

 だいたいのサイクルは、まずナス科の野菜(ナスやトマト等)を植えた次はヒルガオ科(サツマイモ)を植える、次に豆科を植えて最後にウリ科の植物を植えると、毎年土の栄養素を補完し合って、土地を休ませることなく育て続けることができるのである。

 

 あとはサツマイモが連作障害というか土壌を整える効果は凄く、痩せた土地にまずサツマイモを育てる。収穫したサツマイモの葉や茎を土に混ぜて肥料にして次の年に大地に窒素を補給してくれる豆系の作物を植えて、収穫後枯れた葉っぱや茎を燃やして地面に混ぜれば、この後は大抵の作物は育てられるようになる。

 

 サツマイモ→大豆→ジャガイモ→麦(トウモロコシ可)→サツマイモみたいなサイクルでも普通に何とかなるのである。

 

 作物の相性と土の補完関係を知っていれば、土地が痩せて不作になるということはほぼ無いのである。

 

 まぁそれを言うと、水田で育つ米は連作しょうが二毛作や二期作しょうが収穫した藁の一部を燃やして還元してやれば育ち続けるバランスブレイカーではあるが……。

 

「あと品種改良しないと現状米と小麦の二毛作は北海道だとできないから……後々できるようにはしたいけどね」

 

 と、晴宗が語っていた。

 

 初年度の米の栽培面積は4町(1町テニスコート38面分の広さ)と他野菜の栽培面積が約30町分を栽培することになるのだった。

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