集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
夏……ようやく道南は心地よい季節になってきた。
領民達は昆布の収穫に精を出している。
この時期に昆布を大量に収穫して偶にやってくる商人に売ることで父上曰く生計を立てていたのだとか……。
ただそれも今年で終わり!
今年からはチートを使って農業バンバンやっていくぞ!
というわけで、昨夏が使えるネット通販に向けた金策を行っていく。
「というわけでエゾマツを挿し木できるようにしていこうと思う」
秋翁が言うにはエゾマツ……漢字で書くと蝦夷松だが、ここから生える松茸は現代だと超高級品で1本数万円で取引される。
で、松茸の人工栽培ができない理由は、松の木の状態、周辺の土壌の状態、そして天候の3つがいい具合に噛み合わないと生えてこないからである。
松茸は今手元に無いのであれだが、松の木を増やして松茸が育つ環境を夏の間に整えてしまおう……ということである。
で、俺こと角栄がやっているのは過剰に生えた木々の伐採。
建成の召喚した妖精は草刈りをしてもらっていた。
そして松の木の栽培である。
松の木は種から増やすのが一般的で、挿し木だと根っこが上手く生えない事が多いから。
ただうちには品種改良を行える晴宗がいる!
「挿し木……切り取った枝でも根を張りやすい様に改造して……あと松茸が生えて来やすい様に改造すれば……よし」
改造した挿し木を整備した森の中に植えていく。
「あとは既に生えている松の木も松茸が生えて来やすいように改造してっと」
晴宗はエゾマツに触れながらどんどん改造を施していく。
ちなみに挿し木をしたエゾマツが松茸が生えてくるぐらい成長するのは、今から30年後……当分先なので、今生えているエゾマツに期待するしか無い。
で、一番金策に期待できるのはアイヌの人々が交換してくるカワウソの毛皮である。
現代では絶滅しているが、戦国末期のこの時代ではまだ結構な数が生息しており、畑が荒らされないように罠を掛けていると偶に狸と一緒に引っかかっている。
うちでは星獣が目を輝かせて、テイムした後に紅壱が改造を施し、ペット化。
今は20匹くらいの群れを作って、田んぼの中を泳いで昆虫やカエル、畑にいるモグラ、住居近くに住むネズミなんかをよく食べているようで、頼もしい害虫害獣ハンターとして活躍していた。
あと狸は改造したら完全に犬みたいになつき、九尾達と一緒に鹿を追いかけ回したりしている姿がよく目撃された。
で、そんなカワウソの毛皮をネット通販で換金すると1匹50万円近くの値段がつき、完全に闇取引みたいだが、そのお陰で領民達に行き渡るくらい農具を揃えることができたのだった。
夏の終わり頃、父上がここの領地はお前達に任せられるから、外交も兼ねて江戸の屋敷に行くとして旅立ってしまった。
まぁ親父には奥さんと子供を作ってもらって転生者を増やしてもらう作業があるので仕方がないんだろう。
残された俺達で領地を更に発展させていく所存だ。
とりあえず偶にやってくる商人に対して昨夏のネット通販で購入した安物のガラスコップをそれなりの品と偽って転売することで、何とか秋までの食料を調達することに成功し、領民達も若様達のお陰でひもじい思いをしなくて済むと喜んでいた。
田畑を見ると、ちゃんと作物がしっかり育ってきており、基本芋尽くしになりそうだが、まぁそれは仕方がないと割り切る。
開墾したばっかりの痩せた土地は芋くらいしか育たないし、肥料が沢山あるわけでもないからなぁ……。
勿論、家畜化したトナカイもどきの糞や人糞を集めて肥料を作っていったり、魚介類の骨や貝殻を砕いて骨粉を作ったりと来年に向けた準備は進めている。
あと来年に向けた準備は米の苗を育てる窓付きの納屋を建てたり、昨夏に余ったお金で農業書や技術書を買ってもらって、それで色々なやり方を学んだりもしていた。
他には……うちの領地に数人しかいない鍛冶師や大工と協力して色々なストーブや竈を作って冬に備えていた。
例えばこれも昨夏に頼んでドラム缶を買ってもらい、それを使ってTLUDストーブを作っていった。
このストーブは何かというと、大量に炭を作ることができるストーブで、薪を中にぎっちり詰めてから中を燃やすと、空気の入り口が限られているので、ドラム缶の中が酸欠状態になり、結果大量の炭を作れるのである。
炭を作りながら温まる事ができるストーブという感じか。
炭があれば家の中の囲炉裏を使うことができるので、大切な設備である。
炭作りって難易度が結構高いので、比較的簡単に大量の炭を作れるTLUDストーブは画期的なのである。
まぁもっと人数がいて建材があるなら木炭作り用の炉を作っても良いが……。
あとは今年の冬の期間炭作りを錬金に頼り切りだったので、それを少しでも負担軽減するためでもあった。
次にロケットストーブ。
これは薪を使うストーブで、配管がJの字状になっていて、比較的簡単に作ることができるし、高い燃焼率で長く高温を維持できるストーブである。
鉄製もしくはレンガなどでも作ることができ、何なら雪を固めても作ることができるのである。
これは領民達にやり方を教えて、緊急時に暖を取りたい時なんかに使うとよいとされた。
最後に改良かまど。
大正時代に登場したかまどで、従来のかまどに煙突を付けること、ロケットストーブの様に燃焼口をJの字に近くすること、1箇所の燃焼口で3つの釜を同時に炊いたり、調理できるなど日本式のかまどである。
日干しレンガを使うことで簡単に作ることができ、燃焼効率も従来のかまどよりも60%近く高いので、薪や炭の使用量が少なくて済むのもポイント。
煙突があるので煤が酷くなるのも抑えられるので今の環境に適したかまどである。
それを夏の比較的農作業が落ち着いている季節に一気に作り替えていく。
日干しレンガを作っておいて、一気に組み立てて、形を作ったら中を燃焼させてやれば接着する場所も乾いて数時間で組み立てられるって寸法だ。
あとこれによって錬金が欲しがっていた錬金釜が完成し、かまどの上に半分に切ったドラム缶が3つ並ぶという凄いシュールな光景であるが、これにより錬金術の効率が格段に上がり、2時間で100キロ近くの炭と副産物の炭団子を錬金したり、断熱材を大量に錬金したりできるようになるのだった。