集まれ〜江戸時代藩内政シミュレーション〜 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「おお、本当に若様の言うように米が実っている……しかも稲穂がこれほどずっしりと……」
秋になり、領民達は半信半疑であったが、田んぼにずっしりと実った稲穂を見て、多くの領民達が涙を流しながら拝んでいた。
神様仏様若様方と……。
「拝むのも良いが、収穫の時間だ! 米だけでなく芋とかもあるからな! 収穫して保存が効くように加工するぞ!」
秋翁の号令で、皆鎌を持って収穫作業を始める。
勿論俺達転生者も一緒にである。
武士らしくはないかもしれないが、現状身分差なんてあってないようなものだからな。
「こういう時に仙がいてくれれば歌いながら収穫作業が捗ったのにな……」
彼のチートはここで活躍するだろと思うが、そんな彼は今は江戸で色々な大名や徳川家臣団の前で演奏会を開くことでコネ作りに励んでいたりする。
「エンヤコラエンヤコラ!」
掛け声に合わせて鎌を振るい、刈った稲は後ろに置く。
すると後ろで待機していた稲束を集めて、木材で組んだ三脚支柱に掛けて、天日干しを行う。
これを行うことで稲に残った栄養を米に集めることができて、味が良くなるのだとか。
天日干しは約1週間掛けて行うが、その間は小鳥に干してある稲が食べられないようにする必要がある。
そこで登場するのが九尾、狸、カワウソのペット三銃士。
刈り取った田んぼの周囲を駆け巡ることで縄張りを主張して小鳥だったり野生動物を追い払っていく。
稲架掛け(稲の天日干し)をやっている間に芋の収穫作業も同時に行っていく。
大量に獲れたジャガイモとサツマイモがゴロゴロと。
領民達で食べきれない分は昨夏のネット通販で換金していき、調味料や塩、日持ちする食材と交換していく。
領民達から人気だったのは乾麺であり、味噌汁に入れれば腹に溜まるとして喜ばれた。
乾麺くらい作れるようにならないとな……。
他にもカボチャや里芋が収穫されるのであった。
天日干しが終われば脱穀作業。
領民達も時間がかかるだろうなって覚悟していたが、秋翁と晴宗の2人が春頃からコツコツと収穫用の道具を作っていた。
「テッテレー足踏み式回転脱穀機及び唐箕(とうみ)」
某猫型ロボットの真似をしながら晴宗が出した機械は脱穀機と唐箕という選別機である。
まず乾燥させた稲は回転脱穀機を通すことで脱穀をして籾を取る。
この時代の脱穀は唐竿(からさお)という道具を使い、短い竹や木の棒で叩いて籾を藁から落としていた。
この次に来るのが教科書とかでも習う千歯扱きであり、針が並んだ棒に藁を通すことで籾を落とすのである。
それを更に進化させた道具が足踏み式回転脱穀機である。
江戸末期から明治頃に作られたこの道具はペダルを踏むと針が幾つも並んでいる本体が回転し、その上から稲束を垂らすと籾が簡単に取れる仕組みで、特に技術は要らないし、簡単に素早く脱穀することができるのである。
これが更に進化すると、現代のコンバインへと繋がるので、人力だとここらが限界である。
続いて脱穀をし終えたら、籾を集めて唐箕の中に通す。
唐箕はハンドルを回転させることで風を送り込み、しっかり中身が入っている米と虫食いの米、砂やごみ、小石を風の力で分別する装着であり、これも江戸時代に広がったため、戦国末期の今の時代には無い代物である。
ちなみに両者米以外にも麦の脱穀にも使えるので応用性が高いのもポイント。
脱穀と選別が終われば、食べる分だけ精米し、残りは藁で編んだ俵に詰めて保管。
コレで米の収穫作業は終わりとなるのである。
「結果発表ー!」
「「「「はまちゃんか!」」」」
時期や同じ世界から転生したこともあり、芸人やテレビのネタが通じるのでありがたい。
というわけで今年の収穫量の結果発表。
米 面積4町 収穫量150石(1石150キロ)
小麦 収穫量300石
大麦 収穫量200石
ジャガイモ 収穫量1000石
サツマイモ 収穫量650石
他秋までに収穫された野菜
カブ、キャベツ、ナス、瓜、大豆、小豆、里芋、タマネギ、カボチャ、他薬味多数。
とりあえず麦飯にすれば領民達も1日1食は食べられそうである。
来年は全員米を2食食べられるようにするには、田んぼの面積を今の4倍にすればよい。
灌漑設備の増設や用水路やため池の配置など色々やることは必要だが、領民達も希望が見えたと大喜びである。
あと流石のジャガイモ……世界各国の飢えを救ってきた作物は伊達ではない。
米1町で約5.5トン収穫できたが、ジャガイモはその10分の1の面積で4トン近くを収穫できる。
面積当たりの収穫量が半端ない。
まぁジャガイモとサツマイモは領民達も全部は食べられないので2割は換金である。
換金した値段はジャガイモ200石分で、約300万円。
サツマイモが130石分で約200万でフィニッシュ。
だいぶ買い叩かれた感はあるが、まぁ現代で換算だとこんなもんだろう。
まぁジャガイモは1町分作れば260万になることがこれで判明したので良しとする。
そのまま収穫祭に移行し、領民達とどんちゃん騒ぎを繰り返すのであった。
麦藁と稲藁が大量に出たので、収穫を終えて一息ついている間に藁を使って屋根の補強をしたり、草履を編んだり、笠、籠、俵、縄を作ったりと色々活用していく。
これが町とかに近かったらそれらを売ることで副業にできるのだが、ここは他所と隔離された蝦夷の僻地……。
そんな物を買いに来る商人も居ないので、自分達の分を前までは作っていたが、ネット通販だと藁のハンドバックとかが1個1000円で売れるので、領民達に手伝ってもらって現代風の手提げカバンだったりを作ってもらって金稼ぎを手伝ってもらった。
報酬はネット通販で売っている布……化学繊維のやつだと1反(着物1枚分の長さ)で5000円で売っているため買いやすい。
あとは調理器具……鉄製の鍋だったり包丁だったりが鍛冶師が少ないこともあり不足しているので、ネット通販で購入して領民に配っているが、これも領民達が作った小物と交換で渡したら好評だった。
「うちの若様は色々な物を交換してくださる」
「あんな藁の籠で、こんな良い布をくれるんだからありがてぇ」
「絹の布にも負けてねぇんでねえか?」
「確かになぁ! 洗っても縮まねぇし! 何でも神仏に納めることでもらってるらしいぞ」
「確かに……調味料も見たことない物をくださったし……ジャガイモだかサツマイモだかいう芋も大量に収穫できて、米も殆ど年貢として取られなかったからありがてぇ」
俺らいつの間にか神仏の使いってことになっていたが、まぁ領民が反乱起こさないだけマシだろう。
そんな感じで秋が終わっていくのであった。
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