『おむつをお供えされてたよ〜』
《なんでだよ・・・・・・因習村の人妻女神だと思われてる? 俺》
今日は、祠の前になぜかおむつがお供えされていたらしい。哺乳瓶やら、おしゃぶりやらも置いてあったみたいだ。
《人妻TS女神とか属性盛りすぎだけどな・・・・・・》
『いや、別にそういう意味じゃないみたいだよ、これは・・・・・・』
ユキはそばに置いてあった手紙を読んだ。
『えーっと・・・・・・「そういうプレイ専用の大人用紙おむつです。すみれ様、どうぞご使用ください。ていうか、使ってるとこみたいです」だってさ』
《因習村の村人が神におむつ穿かせようとするなよ・・・・・・ていうか、そんなものどこで手に入れたんだよ。因習村にアダルトショップなんかないだろ》
まあ、そういうことでプレイ用の物らしい。
『穿く?』
《穿かない・・・・・・》
『村人の要望に応えるのも神としての務めじゃない?』
《いや、流石にそれでおむつ穿くのはちょっと・・・・・・まあ、私はこういう道具とか使わない軽めの赤ちゃんプレイでいいよ。赤ちゃんになる方じゃなくて、よしよしする方でね》
すみれは赤ちゃんプレイでここにきた人たちを癒して追い払っている(すみれ視点)が、そこまでディープなところまで入り込んでいく気はないのだ。あくまでよしよしするくらいの軽めのところで・・・・・・
『じゃあこれどうする? 使わないっていうのももったいなくない?』
《もったいない・・・・・・かなあ? まあ確かに無駄にするわけにもいかないか。せっかくお供えしてくれた物だし。でも、どうしようか・・・・・・》
と、2人でその使い途について悩んでいた時だった。
《やってきましたわよ、わたくしが!》
ですわ口調の声が聞こえて、振り向くとそこには例のアイツがいた。
《『・・・・・・誰だっけ?』》
《古典的なネタ!》
《いや、ネタとかじゃなくて・・・・・・本気で誰だっけ?》
《え・・・・・・? あなた、自分が呪いをかけた相手を忘れたんですの・・・・・・?》
《ああそうだ。キリカだ》
古典的なやり取りの末に、すみれは思い出した。この子はキリカ。前にユキを誘拐した妖怪だ。
《キリカ。何しに来たんだ?》
《えっと、今日は謝罪をしに・・・・・・》
《謝罪?》
どうやら、今日はユキに謝罪をしにきたようだった。
《ごめんなさい》
『いや、別にいいよ。そこまで悪い扱いは受けなかったからね』
というか、すみれが勘違いで呪いをかけてしまったから、まあおあいこ・・・・・・というよりギリこちらの方が悪い感じもある。
まあでも、これで和解だ。
《和解ってことで・・・・・・よし、握手しよう》
和解の証としてすみれが握手をしようと近づくと──
キリカはサッと後ろに飛んで距離を取ってしまった。
《シャーッ!!》
めちゃくちゃ威嚇されている。
《あれー? どうしたんだろう・・・・・・》
『いや多分、すみれちゃんが呪いとかかけたからじゃないかな・・・・・・』
すみれが呪いをかけてしまったからだろう。怖がられるようになってしまったみたいだ。無理もない。
《弱ったな・・・・・・私は仲良くしたいんだけどな・・・・・・》
すみれとしては、同じ祀られたる者同士、仲良くしたいところなのだ。でも、これだけ怖がられてたらどうしたらいいかわからない。
《うーん・・・・・・》
どうしたらいいかと考えていると、ユキがニヤッと悪そうに笑ってすみれに向かって囁いた。
『どうかな、ここはこれを使ってみるっていうのは?』
《これ・・・・・・?》
ユキの指差したものは、今日お供えされていた例の赤ちゃんプレイセットだ。
『これを使って赤ちゃんプレイをしよう!』
《・・・・・・は?》
ユキの提案。それはどうやら、赤ちゃんプレイグッズを使って赤ちゃんプレイをキリカにやってみようとのことだった。
《いやお前、それは・・・・・・》
『いやいや、やるべきだよ! 赤ちゃんプレイ!』
ユキは神妙な面持ちで言った。
『あのね、妖怪は妖気の溜まった場所から生まれ出るものだから、お母さんとかいないんだよ。だから、ちょっと強めの赤ちゃんプレイで強めに母性を感じさせたら、きっとキリカちゃんも心を開いてくれるはずだよ!』
トンチキ理論だ。
《なるほど・・・・・・》
トンチキ理論に、すみれは丸め込まれてしまった!
『ちょっと強めの赤ちゃんプレイをしてあげたら、きっとこっちをお母さんだと勘違いしてくれるはずだよ! その隙をついて仲良くなろう!』
《確かにそうだ・・・・・・よし、やってみるか!》
と、いうことで詫び赤ちゃんプレイをすることになった。
《ほーら、お母さんですよー》
《は?》
すみれは正座して、そう言ってキリカを呼び込んだが、キリカは困惑するだけで近寄ってこようとはしない。しかし──
『まあまあ、まあまあ』
《え、ちょ・・・・・・》
キリカはユキに背中を押されて、なんとなくなあなあで流れに身を任せてしまい・・・・・・
《よしよし、キリカちゃんはいい子だねー》
いつの間にかベビー服におしゃぶりをつけ、大人用のおむつを穿いてしまっていた。
《な、なんでこんなことに・・・・・・》
本当になんでこんなことに・・・・・・。
すみれは、しばらくキリカの頭を撫でたり、お腹の辺りを軽くぽんぽんとする。
《キリカちゃんはほんとにいい子だね・・・・・・ママに身を任せて、力を抜いて、リラックスしていいんだよ・・・・・・日頃の疲れなんて、忘れちゃおうね・・・・・・》
そんなふうにされていくうちに、キリカはだんだん、どこかむず痒く、和やかな気持ちになってきた。
(って、何思ってますの!? 気をしっかり持つんですわ、わたくし!)
キリカは抵抗しようとするが
《ミルクを飲もうねー》
そう言って、おしゃぶりを外されると哺乳瓶の吸い口を口に入れられた。
《むむむむ・・・・・・》
一瞬飲まないようにしようかと思ったが、せっかく作ってもらって、ちゃんと人肌くらいに温めてもらったミルクを飲まないのもどうかと思って仕方なく飲むことにした。
《んむ、んむ・・・・・・》
キリカはミルクを飲んでいく。屈辱的だが仕方がない。
さて、キリカはそうやってミルクを飲んでいたわけだが、
(!)
ぶるっと、やがて体を震わせた。尿意を覚えたのである。マズい。
《あの、一旦お手洗いに・・・・・・》
キリカはそう言ったが、すみれはにっこりと笑って
《大丈夫だよー。おむつ穿いてるから、そのまましちゃっていいからねー》
とんでもないことを言い出した。
『そうだよぉ。しーって出しちゃってもいいんだよ?』
ユキもキリカの耳元で囁いてくる。
《ほら、しーしー》
『しーしー・・・・・・』
すみれはお腹の辺りをぽんぽんしながら言って、ユキは耳元で囁いてくる。
《う、うううう・・・・・・!》
キリカは目をぐるぐるとさせ、そして──
《お、憶えてろ、ですわぁ〜!!!》
走って森の外へと逃亡していってしまったのだった。
《あれえ・・・・・・?》
『あー、逃げちゃった』
キリカは結局、漏らしたのかどうか。それは、因習村の神すらもわからないことである・・・・・・。