ここは神域なので、けっこう長い間実体化出来る。だから、実体化して宿屋を手伝うことになった。掃除とか、給仕とか、そんなのだ。
そう、手伝うことになったのだが・・・・・・
《・・・・・・なにこれ?》
すみれは、なぜか半袖のTシャツに半ズボンという格好になっていた。その宿屋のマークの入ったエプロンをその服装の上からつけている。宿屋というより、海の家のお手伝いさんみたいだ。
長い髪の毛をポニーテールにしているが、一見すると小学生くらいの男の子のように見えなくもない。
「すごいですね。ちゃんとしたショタに見えますよ。ちゃんとちっちゃいゾウさんがついてそうに見えます」
《ド下ネタやめろ》
村長の瑠璃は淡々と変なことを言う。
「前々から、すみれ様には小さいゾウさんがついてそうなオーラ出てるなって思ってたんですよ」
《なんだよそのオーラ・・・・・・》
「なんか、すみれ様って女性なはずなのに、ショタみがありますよね」
まあ、元男ではあるし、それが滲み出ているのかもしれない。まあ、ゾウさんだって元々ついていたものだから。
《まあ、私に元々ついてたヤツは子ゾウじゃなかったけどね》
『すみれちゃん、見栄張るのはやめよ?』
《いや見栄じゃない・・・・・・はずだよ》
とりあえず、なぜかすみれはショタのコスプレで宿屋を手伝うことになってしまった。
「設定としては、『夏休みを利用して親戚の宿屋を手伝いにきた小学生男子』です」
《別に小学生男子とかにならなくてもよくないか・・・・・・? 普通に小学生女子とかでいいでしょ》
「それは私の趣味です」
《趣味かよ》
瑠璃の趣味だった。
「私はショタに興奮する者です。ショタの格好をしたロリもありだと思っています」
《自分とこの神をロリ呼ばわりするな》
「なんですか。私は本当はショタ(もしくはショタの格好をしたロリ)をペットにして飼いたい派閥なんですよ。ペットにしてないだけでもありがたいと思ってくださいよ。しようかなって思ったけどなんとか踏みとどまってるんですから」
《そもそもペットにしようとするなよ。神だぞ私は》
まあ、そんな感じですみれはこの宿屋を手伝うことになったのだった。
◇
すみれは宿屋の廊下を歩いていく、手には、急須と湯呑みの乗ったお盆を持っている。これは、たった今到着したばかりのお客様へのサービス用だ。到着したばかりのお客様に、手ずからお茶を淹れて差し上げる、というのがこの宿のサービスなのである。
それを持ちながら早足で廊下を進んでいくと
「うわー、膝小僧だ! かわいいー!」
という客の声が聞こえた。
(膝小僧だ、かわいい・・・・・・? どういう意味だ・・・・・・?)
当然すみれの膝小僧のことだがすみれは気づかなかった。
『この宿にはなかなかマニアックなお客さんが泊まってるみたいだねー』
そばに浮かんでいるユキが言う。マニアックとはなんのことかわからなかったが、とりあえず目的のさっき来た客の部屋の前へ来たので、中へと入っていく。
《失礼します。お客様、お茶を持って参りました》
すみれがそう言って入っていくと、客である女性二人組は下着姿だった。
《!?》
すみれは驚愕する。どうやら、この2人は来て早々着替えをしていたようである。慌てて、一旦退出しようとした。
《す、すいません! 着替え中だとは思わなくて・・・・・・すぐ退出します!》
すみれは退出しようとしたけど、瞬時に回り込まれてしまった。
「えー? なにこの子、かわいいー!」
「なになに、お手伝い? えらいねー」
回り込まれ、入り口を塞がれてその姿をまざまざと見せつけられてしまう。
《・・・・・・っ》
「わー、照れてるよ!」
「本当だ! かわいいー!」
《あの、一旦退出するので、着替え終わったらお茶のサービスを・・・・・・》
「えー、別にいいよ! 退出しないで、このままお茶淹れてくれればいいじゃん! 私たちは気にしないし、ね?」
「そうだね。お茶も冷めちゃうしね」
《え、えっと・・・・・・》
まあとりあえず、仕方なくお客様2人が着替えてる中、お茶を淹れることになり・・・・・・
『困ってるふりして喜んでなかった? 鼻の下伸ばしてたよね?』
ユキにジトっとした目でそんなことを言われて、弁明をするのであった。
◇
それから、すみれは一生懸命に宿屋のお手伝いをしていく。途中ショタ好きの客と瑠璃が連合して首輪をつけられそうになったりとか、たくさんお菓子をもらってお菓子で窒息しそうになったりとか、まあそんなことがありつつもなんとか手伝っていく。
そんなふうに色々と手伝っている時。
「ドーン!」
後ろから誰かにぶつかられた。
見ると、小さい男の子だった。この宿屋の客の子供だ。お茶を淹れに来た時に会って、少し話した。
《どうしたの?》
すみれが優しく聞くと
「お兄ちゃん見て! いっぱいとれた!」
そう言って、虫籠を掲げてきた。確かに、カブトムシとかクワガタとかがいっぱい入っている。きっと、あの森の中に入ったのだろう。すみれ草はとってないみたいなので、安全だろう。流石に小さい男の子相手に赤ちゃんプレイは絵面が危ない。
それで、その子は森に入ったせいか、かなり体が汚れてしまっていた。
「もー、こんなに汚して!」
その子の親が怒る。
「もー、全くどうするのよ。こんなに汚しちゃって・・・・・・」
「お風呂入る!」
その男の子は元気に言った。
「お風呂入るって言ったって・・・・・・」
「母さん、そろそろ行こう」
その男の子の姉らしき少女が、そう言って呼びに来た。暗めの緑色の髪に、緑色の目を持つ少女だ。その少女はすみれを見てちょっと驚いたが、すぐに母親へと視線を戻した。
「そうね、もう行かないと・・・・・・でも、困ったわね。この子をお風呂に入れないといけないわ。帰ってくるまで汚れたままっていうのも・・・・・・」
と、そんなふうに困った顔をしている母親に
《なら、僕が代わりにお風呂へ入れて差し上げましょうか?》
そう提案した。
「あら、いいの?」
《ええ。いいですよ》
「なら、お願いしちゃおうかしら」
こうして、すみれは小さい男の子をお風呂へ入れてあげることになった。
「わーいお風呂だー!」
《ちょっと、あまりはしゃがないの。転んじゃうよ?》
「大丈夫だよ! それよりお兄ちゃんも早く──」
男の子はそう言ってすみれの方を見た。そして、なぜか固まった。
《? どうしたの?》
すみれは首を傾げて問いかける。
「えっと、お兄ちゃん・・・・・・はお兄ちゃん、なんだよね?」
《・・・・・・?》
一瞬意味がわからなかったが、やがてハッと気づいた。そういえば、今のすみれは男の子のフリをした女の子だった。元々男だったし、いつも通りに振る舞っていたからすっかり忘れていた。
まあ仕方ない。元々別に強いて隠そうとしていたわけではないしバラしてしまおう。
《あー、実はお兄ちゃんお兄ちゃんじゃなくて、お姉ちゃんなんだ。ごめんね?》
「!!!!????」
男の子はかなりの衝撃を受けた。まさに青天の霹靂だ。そして、一気に顔を真っ赤にした。
「・・・・・・」
(なんか、一気に大人しくなったな・・・・・・)
《それじゃ、洗っていくねー》
すみれの声に、男の子はこくりと頷く。
《あ、前の方も洗うよー》
「!!??」
そして、お風呂上がり
(一応、他の人には喋らないように言っておくか)
別にバレてしまってもいいが、自分が女子であることは一応秘密にしておいてもらおうとすみれはこう言った。
《このことは、2人だけの秘密だから・・・・・・ね?》
「!!??」
この夏、少年の性癖は完全に歪んでしまったのだった。
なんか限界を感じてきましたね・・・これを果たしてどこまで書き続けられるんでしょうか・・・