《この作品は超低速更新となります》因習村の怪しげな神にTS転生した話 作:大崎 狂花
『今日も色々な捧げ物がきてるよー!』
《おー、今日もあるか。どれどれ・・・・・・》
今日もすみれの祠の前には大量の捧げ物があった。それらは主に野菜やら果物やら、おにぎりやらの食べ物だけど、中にはこの前のアイドル衣装みたいに変な物もある。
それで、今日の捧げ物の中にも変な物があった。
《・・・・・・なんだこれ?》
『これは・・・・・・多分アレだね。男性器を模したアレだね。いわばディル──』
《やめろ言うな!》
そう、今回捧げ物の中に入っていたのは、男性器の形にしたグッズ、いわゆる張形であった。
《なんでこんなものを神への捧げ物にしたんだよ・・・・・・》
『やっぱりすみれちゃんが女の子だからじゃない?』
《いや、だからってこれを捧げ物にするのは普通にセクハラだろ・・・・・・》
『因習村にコンプライアンスなんてないんだよ』
《あってくれよそれは因習村にも・・・・・・》
『あっ、すみれちゃん使う?』
《使わねえよ!》
『私も別にいいかなー』
捧げ物として貰った物は、神として無駄にせず使った方がいいとは言ったものの、流石にこういうのはちょっと勘弁してほしい。
《まあ、とりあえずここに飾っておこうか・・・・・・祠に張形っていうのはなかなか合ってるでしょ。男根崇拝みたいでさ》
とりあえず、それは祠の奥に飾っておいて、2人は捧げられたおにぎりやら何やらを食べた。
さて、人間を待ちながら2人で色々と語り合っている間に夜になってしまった。
《今日はもう人間来ないかなー》
『うーん、多分もう来ないっぽいねー』
しかし、2人の予想に反して人間は来た。
もう暑くなってくる季節だというのに分厚いトレンチコートを着て、マスクにサングラスをしたいかにも怪しげな女性だった。マスクに隠れているので表情は見えないが、なんかはあはあしていて息が荒い。
《・・・・・・なんか、めちゃくちゃ怪しい奴来たんだけど》
『確かに、怪しいね・・・・・・ヤバいな。なんか犯罪絡みとかだったりしないよね・・・・・・』
《は、犯罪!? いや、それはヤバいぞ。そんなのは神と幽霊の手に負えるレベルじゃない。普通に警察案件だぞ・・・・・・》
『だよね・・・・・・』
いくら因習村の怪しげな神といえどもヤバい犯罪者は流石に業務対象外なのだ。
『まあでもひょっとしたら普通に観光で来たという可能性もあるし・・・・・・』
《うん。ここは少し様子を見よう》
2人はしばらく様子を見ることにした。けど、キョロキョロと辺りを探って人目を忍ぶその様子を見れば明らかにただの観光客ではない。
「・・・・・・うん。誰もいないみたいだね」
辺りを探って、自分以外に人がいないことを確かめると、その女性はマスクとサングラスを外した。
『わ、すっごく綺麗な人だねー!』
《確かに・・・・・・モデルとかやっててもおかしくないな・・・・・・》
マスクとサングラスを外して見えた素顔は、なかなかに整っており、そこらのアイドルやモデルなんかと比べても遜色ないくらいの容姿だ。よく見ればトレンチコートの下にある肢体もスラッとしてるし、胸も大きいし、モデル体型だ。
《うーん、ひょっとして有名人だから変装して抜け出してきたとか?》
『あっ、それかも! 夜の森に癒されに来たんだよきっと!』
2人はそんなふうに推測するが、残念ながら目の前の女性が、それは違うと行動で否定してきた。
マスクとサングラスを外して、女性は次にトレンチコートを脱いだのだが────
そのコートの下はなんと、裸だったのだ。
《『・・・・・・は?』》
予想外の展開に、2人は目を丸くして呆気に取られる。
2人のことが見えていない女性は、当然それをよそに、その豊かな胸、滑らかな肌を月光のもとに惜しげもなく晒した。
「あーっ・・・・・・いいなあ。家族旅行でこんなド田舎に連れてこられた時はマジかって思ったけど、都会じゃ出来ないこんな大胆な露出プレイが出来るっていうのは田舎の利点だね!!」
女性は月光のもと、恍惚とした表情で言った。
「あー、やっぱり外で裸になるって気持ちいいなあ・・・・・・これ以上の幸せはないよ・・・・・・」
《やば。シンプルな変態が来ちゃったよ・・・・・・》
『犯罪絡みではあったけど、まさかこっち方面だったとはね・・・・・・』
《まあ、確かに人気のない夜の森とか絶好の露出スポットではあるよな。しかし、村の人から聞いてここがどんなところかっていうのは知ってるだろうに・・・・・・バチ当たりにも程があるだろ・・・・・・》
『ていうか露出できるのが田舎の利点って、田舎舐めるなよ』
ユキは、うわ・・・・・・とドン引いた顔でその女性のことを見ていたが、やがてすみれに向かって聞いた。
『で、どうするわけ? 祟って追い返す?』
《いや、でも向こうもきっと何か事情があってあんなことしてるんだろうし・・・・・・それに、彼女はまだ何もしてないよ。ただ神域で裸になってるだけで・・・・・・》
『それってけっこうなことやってると思うけど・・・・・・』
《でもまあ因習村の神としては普通に業務範囲外かな。私はおまわりさんじゃないし・・・・・・》
『ちょ、あいつ祠に向かってM字開脚とかし始めたんだけど!? なんか広げたりとかし始めたんだけど!?』
《それでもまだ業務範囲外だから・・・・・・》
なんか露出プレイがだんだんエスカレートしてきたが、それでも業務範囲外なのですみれは目を瞑る。
しかし、どうしても見過ごせないことが起きようとしていた。
「あれ? あの祠の中・・・・・・アレがあるな・・・・・・何だろ、男根崇拝ってヤツなのかな・・・・・・」
そう、祠の中に置いておいたアレをその女性が発見してしまったのである!!
「うーんでも、男根崇拝で長い間祠に安置されてたにしてはなんか真新しいし・・・・・・それに何より、この形は、なかなか・・・・・・」
ごくり、と女性は唾を飲み込む。
「ちょ、ちょっと借りるだけなら・・・・・・いいよね・・・・・・?」
女性がそう言って祠のソレを取り出そうとした瞬間
《コラーッッッ!!!》
「うわっっっっ!!??」
流石にそれは看過出来ないと、実体化したすみれの怒声が響いたのだった。
◇
「すいません・・・・・・まさか本当に神様が住んでいらっしゃるなんて思わなくて・・・・・・」
《いや、神が住んでいようがいまいが神域で露出しちゃダメだからね?》
「ごもっともです・・・・・・」
その後。
女性はすみれの前で正座をさせられ、怒られていた。
「本当にすいません・・・・・・受験やら何やらでストレスが溜まってしまって・・・・・・ついむしゃくしゃして・・・・・・」
《完全に犯罪者の供述なんだよなあ・・・・・・》
『それで? すみれちゃん、この子どうする?』
ユキがそう聞いてきた。女性はすみれの目の前で正座して項垂れている。
《んー・・・・・・まあこのまま帰そうかな。業務範囲外だし・・・・・・それに受験とかのストレスでっていうのなら情状酌量の余地はあるし・・・・・・》
「本当ですか! さすが神様・・・・・・寛大なご処置をありがとうございます!」
《お世辞とかはいいから・・・・・・》
「いやー、しかし私の痴態が見られてしまうなんて、まさか思わなかったですよ。まさか見られるなんて・・・・・・そう、私の痴態が見られるなんて・・・・・・見られるなんて・・・・・・ふふ・・・・・・」
《おい、こいつちょっと興奮してるぞ》
『救いようがないねー』
「あっ、その蔑むような目線いいですね! 私、そういうのも好きなんですよ! もっとお願いします! お二方みたいな可愛らしい女の子に蔑まれるなら大歓迎ですから!」
《本当に救いようがないな・・・・・・》
さて、神にも救いようがないとわかったところで、女性は祠の中のソレを指差して言った。
「あの、ところで・・・・・・その、あの祠の中のアレ、貰ってもいいですか?」
《それはダメかな》
「あっ、やっぱり神様も使うんですか? やっぱり神様も女の子なんですねえ」
《違うわ! それに手を出されると流石に祟らざるを得ないからだよ!》
「あ、そっか。アレも一応神様への捧げ物ですもんね・・・・・・」
『祟らざるを得ないって日本語、初めて聞いたな・・・・・・』
・・・・・・
一通り叱り終わって、女性は去っていった。
「それじゃあ神様、幽霊ちゃん、さようなら! また会いましょう!」
それを見送りながら、2人はポツリと呟いた。
《出来れば、もう二度と会いたくはないな・・・・・・》
『そうだね・・・・・・』