「私、霊能力を手に入れたんですよ!」
前回来た露出狂がまた神域までやって来て、突然そんなことを言い出した。
《何を言ってんだ・・・・・・?》
『あ、でも、実体化してない私たちの姿が見えてるみたいだね』
今、2人は実体化していないのだが、普通にこの露出狂のヤバいやつと会話が出来ていた。
「でしょ!? 霊能力を手に入れたんですよ!」
《なるほどなあ・・・・・・ところで、君はなんて名前なんだ?》
「あっ、これは申し遅れました。時井サクです! お気軽にカスとかざことか呼んでください!」
《いや呼ばないけど・・・・・・》
まあそれは置いといて、ヤバめの露出狂改めサクはどうやら霊能力を手に入れることが出来たらしい。
『なんでまた急に霊能力に目覚めたのかな?』
「それはおそらくこの神域に漂う霊気に肌で触れたからですよ! 文字通り!」
『ああ・・・・・・なんか広げてたりしてたもんね・・・・・・』
祠に向かってくぱあと広げてたりしてたわけなんだから、それはもう霊気を体に取り入れまくったと言っていい。
それでなくてさえこの神域の霊気は妖の忌まわしき気と神なるものの神聖なる気の混じり合った、特殊な霊気なのだ。それを体の中に取り入れたのなら霊能力に目覚めるのも当然と言っていい。
《それで、霊能力を得たのはわかったけど、なんでまたここにやってきたんだ? 私たちは出来れば二度と会いたくはなかったんだが・・・・・・》
「えー!? 私は会いたかったですよ!」
《うん・・・・・・》
「今日ここへやってきたのは他でもない! 霊能力を得た私からの提案があるんです!」
『提案? なになにー?』
「私からの提案、それは・・・・・・ずばり! すみれさん! 私の体に入ってみませんかということです!」
《は?》
何を言ってるんだろうこいつは・・・・・・。
『えっと・・・・・・つまり降霊能力を身につけたってことかな?』
《あ、そういうこと?》
「そう! そうなんですよ! 急に霊能力を得たので、色々と試してみたんですけどなんと! 降霊能力を得ていることが判明したんです!」
なんでも、色々試してたらたまたま部屋にいた幽霊を体に降ろすことが出来たらしい。
「たまたまうちが事故物件で、色々試せる幽霊が部屋にいたのが良かったです!」
《え、サクの家事故物件なの・・・・・・? こわ・・・・・・》
「まあそういうことなんで! 私の体の中に入れば村人と話したり出来ますよ! どうですか!」
《うーん・・・・・・でも、それって実体化して話せばいいんじゃないかな? 夢枕に立つって方法もあるし・・・・・・別にわざわざサクの体に入らなくたっていいような気もするけど・・・・・・》
『確かにねー。現状あんまり必要ないかもしれないね』
「いやいや! でもすみれさんの実体化は神域以外では多分制限があるんでしょ!?」
《え? なんでそれを・・・・・・》
「オカルト系雑誌で見ましたよ! 神域を持つ神様はそこ以外では力を制限されるって! だから、すみれさんの実体化もこの森以外ではそこまで完璧には使えないんじゃないですか!?」
『確かに。すみれちゃんの実体化ってこの森以外の場所では時間制限ついちゃうんだよねー』
すみれの力はこの神域以外の場所では制限されるのだ。だから実体化も、神域以外の場所では時間制限がついてしまう。神域から離れるほど、実体化出来る時間が短くなっていく仕様になっているのだ。
「それに夢の中でお告げをしても、内容忘れられちゃうかもだし! そもそもただの夢だと思われちゃうかもだし!」
《確かに、それはそうだな・・・・・・》
「でしょ!? だからさあ、試してみようよ! それで便利なようならこっちを使えばいいじゃん! ね!?」
《うーん、まあ・・・・・・》
「ほら、入ってきて! 挿入ってきて私の中に! 先っちょだけ! 先っちょだけでいいから!!」
《それは挿入れられる側じゃなくて挿入れる側のセリフなんだよ・・・・・・ていうか降霊先っちょだけってなんだよ》
『いいなー。私もすみれちゃんに挿入れられたーい』
《つかなんでさっきから漢字挿入の方なんだよ》
まあ、とにかくすみれはこのサクの中に入ることになった。
『というか普通にすみれちゃんが中に入れる前提で話してるけど、降ろせるわけ? それって降霊じゃなくて神降ろしじゃん。出来るわけ? 露出狂なのに』
「失礼な! 露出狂だって神降ろしくらい出来ますよ! 露出狂差別ですか!?」
『いや、そういうんじゃなくて神降ろしって身も心も清らかな巫女さんとかがやる類のものであって、露出狂とかが出来る類のものじゃないんじゃないかなと思って・・・・・・』
「失礼な! 露出狂は穢れてるっていうんですか!?」
『いや穢れてるだろ露出狂は』
《まあまあ。まずは試してみようよ。でも、その前にさあ・・・・・・》
「なんですか?」
《サク、服着て》
サクは真っ裸で現れて、今までも全裸で話をしていたのである。すみれは非常に目のやり場に困った。
「・・・・・・いや、これは、あの・・・・・・神様の前でなんらの隠し事はないという、そういう心を表現した儀式的なもので・・・・・・」
《服着ろ》
「はい・・・・・・」
こうして、すみれはこのサクの体の中に入ることになったのであった。
「かわいい女の子が体の中に入ってくる経験なんて、滅多に出来るもんじゃないですからね」
《気持ち悪い言い方をするな》