妄想その2
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静寂。
床を転がる首。
銀河皇帝は死んだ。
砕け散った窓から吹き込む風が、玉座の間に漂う煙を揺らしている。
アナキンはその場に立ち尽くしていた。
荒い呼吸。
握り締めたライトセーバー。
その赤い刃だけが暗い室内を照らしている。
パドメ。
その名が脳裏をよぎる。
彼女を救うために全てを捨てた。
ジェダイを裏切り、共和国を滅ぼし、友を失った。
それなのに。
何も残らなかった。
「……」
アナキンはゆっくりとライトセーバーを停止した。
その時だった。
玉座の間の扉が勢いよく開かれる。
数名のクローン・トルーパーが駆け込んできた。
「皇帝陛下!」
叫びながら部屋へ飛び込んだ彼らは、その光景を見て凍りつく。
誰も言葉を発することができなかった。
床に転がる首。
血に染まったローブ。
そしてその傍らに立つアナキン。
一人のトルーパーが震える声で呟いた。
「な、何が……」
アナキンはゆっくりと振り返った。
その眼には感情がなかった。
「パルパティーンは死んだ。」
短い言葉だった。
だが誰も疑わなかった。
目の前に証拠が転がっている。
「銀河帝国の幹部たちを集めろ。」
トルーパーたちは顔を見合わせた。
命令の意味を理解しようとしている。
アナキンは一歩前に出る。
それだけで空気が張り詰めた。
「聞こえなかったか。」
「総督ターキン。」
「各軍司令官。」
「帝国政府高官。」
「全員だ。」
その声には逆らうことのできない圧力があった。
「は、はい!」
「直ちに!」
トルーパーたちは慌てて敬礼する。
そして逃げるように部屋を後にした。
再び静寂が訪れる。
アナキンは足元の首を見下ろした。
ほんの数時間前まで銀河で最も強大だった男。
自分を操り続けた男。
パドメを救えると嘘をついた男。
アナキンはしゃがみ込む。
そしてシディアスの首を掴み上げた。
その顔には、死の直前まで浮かんでいた驚愕の表情が残っていた。
「……終わりだ。」
誰に向けた言葉でもなかった。
アナキンは踵を返す。
黒いローブが揺れる。
長い廊下を進むその姿を見て、行き交う将校や衛兵たちは皆道を開けた。
誰も声を掛けない。
誰も近づかない。
ただ本能的に理解していた。
何かが起きたのだと。
銀河の歴史を変える何かが。
そしてその中心にいるのが、この男なのだと。
⸻
数十分後。
帝国最高司令会議室。
招集を受けた高官たちが次々と席に着いていた。
ざわめきは止まらない。
突然の緊急招集。
皇帝不在。
説明もない。
不安げな表情を浮かべる者もいれば、苛立ちを隠そうとしない者もいた。
やがて会議室の扉が開く。
全員の視線が一斉に向けられる。
そこに立っていたのはダース・ベイダーだった。
そして彼の右手には――
一つの首が握られていた。
会議室から息を呑む音が響いた。