STAR WARS WHAT IF   作:tuuuuuuui

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妄想その3


銀河帝国その2

会議室から息を呑む音が響いた。

 

誰も立ち上がらない。

 

誰も声を発しない。

 

ただ、全員の視線がベイダーの手に握られたそれへと注がれていた。

 

銀河皇帝パルパティーン。

 

その首だった。

 

ベイダーはゆっくりと会議卓の先頭へ歩み寄る。

 

足音だけが会議室に響く。

 

そして何の躊躇もなく、首を会議卓の中央へ放り投げた。

 

鈍い音を立てて転がる。

 

悲鳴を上げそうになった者が何人もいたが、誰も声には出せなかった。

 

ベイダーは全員を見渡した。

 

その視線は冷たく、鋭かった。

 

「よく集まった。」

 

短い言葉だった。

 

だがそれだけで空気はさらに重くなる。

 

しばらく沈黙が続く。

 

やがて、一人の男が口を開いた。

 

ウィルハフ・ターキンだった。

 

「皇帝陛下に何が起きたのですか、ベイダー卿。」

 

その声は落ち着いていた。

 

さすがに動揺は隠しきれていないが、それでもこの場で最も冷静な人物だった。

 

ベイダーは答える。

 

「パルパティーンは死んだ。」

 

再び静寂。

 

誰もがその言葉を理解していた。

 

しかし理解したくはなかった。

 

帝国建国からまだ数日も経っていなかった。帝国はパルパティーンそのものだった。

 

その男が突然死んだと言われても受け入れられるはずがない。

 

「わたしが殺した。」

 

今度こそ何人かが顔色を変えた。

 

一人の海軍士官が思わず席から立ち上がる。

 

「なっ――」

 

だが続く言葉は出なかった。

 

首が見えない力によって締め上げられたからだ。

 

士官は苦しそうにもがく。

 

周囲が息を呑む。

 

ベイダーはその男を見ることすらしなかった。

 

やがて士官の身体が床へ落ちる。

 

咳き込みながら必死に呼吸を取り戻していた。

 

誰も助けようとしない。

 

助けられない。

 

その場にいる全員が理解していた。

 

この男は危険だ。

 

そして今、この銀河で最も強い存在なのだと。

 

ターキンが静かに口を開く。

 

「理由をお聞きしても?」

 

ベイダーはしばらく沈黙した。

 

だが答えなかった。

 

代わりに言った。

 

「理由は重要ではない。」

 

「パルパティーンは死んだ。」

 

「それだけだ。」

 

誰も反論できない。

 

確かに目の前に証拠がある。

 

そしてそれを否定できる者はここにはいない。

 

ベイダーは続ける。

 

「帝国は存続する。」

 

「秩序も維持される。」

 

「戦争は終わった。」

 

その言葉に何人かが顔を上げた。

 

ベイダーは会議卓の中央に立つ。

 

かつてパルパティーンがそうしたように。

 

「共和国は腐敗していた。」

 

「無能な政治家たちが銀河を混乱させた。」

 

「だから帝国が生まれた。」

 

その声は次第に強くなる。

 

「わたしは帝国を終わらせるつもりはない。」

 

「銀河に平和をもたらす。」

 

その言葉を聞きながら、ターキンは注意深く観察していた。

 

ベイダーの言葉には嘘がない。

 

少なくとも本人は本気でそう信じている。

 

それは理解できた。

 

だからこそ危険でもあった。

 

「わたしが皇帝を継ぐ。」

 

ついにその言葉が発せられる。

 

誰も驚かなかった。

 

いや、予想していた。

 

問題は反対するかどうかだった。

 

しかし反対できる者などいない。

 

軍を掌握している。

 

ジェダイを滅ぼした英雄。

 

そしてパルパティーンを倒した怪物。

 

誰が敵対できるというのか。

 

長い沈黙の後、ターキンが立ち上がった。

 

会議室中の視線が彼へ向く。

 

彼は一度ベイダーを見つめた。

 

そして胸に手を当てる。

 

「わたくし、ウィルハフ・ターキン。」

 

「ベイダー卿の帝位継承を支持いたします。」

 

その言葉は重かった。

 

帝国軍の最高幹部の一人である彼の支持は、事実上の承認を意味していた。

 

他の高官たちも次々に立ち上がる。

 

「異論ありません。」

 

「支持いたします。」

 

「帝国の安定が最優先です。」

 

次々と賛同の声が上がる。

 

反対意見は一つもなかった。

 

ベイダーはそれを見渡す。

 

当然だと思った。

 

彼らは忠誠心で従っているのではない。

 

恐怖で従っている。

 

だが、それで構わなかった。

 

結果が得られるなら手段は問わない。

 

それが今の彼だった。

 

「よろしい。」

 

会議室が静まり返る。

 

ベイダーはゆっくりと宣言した。

 

「本日をもって、わたしが銀河帝国皇帝の座を継承する。」

 

誰も異を唱えない。

 

「戦争は終わった。」

 

「混乱も終わる。」

 

「わたしが銀河に秩序をもたらす。」

 

その瞬間。

 

会議室の全員が起立した。

 

ターキンが最初に頭を下げる。

 

「皇帝陛下万歳。」

 

それに続くように声が重なる。

 

「皇帝陛下万歳。」

 

「皇帝陛下万歳。」

 

「銀河帝国万歳。」

 

その声は会議室を満たした。

 

しかしベイダーの心には何も響かなかった。

 

歓声も。

 

忠誠も。

 

権力も。

 

何一つ。

 

彼の脳裏にあるのは、ただ一人。

 

最期の微笑みを浮かべたパドメ・アミダラだけだった。

 

銀河の頂点に立った男は、その瞬間、自分が最も欲しかったものだけを永遠に失ったことを理解していた。







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