死者の宴   作:アリス・リリス

3 / 3
―古代人の宴―
~カエサルだらけの立食会~


 

初めて一人で冥界に降り立った。

 

まずは、広場にある掲示板を見に行く。

 

掲示板には、たくさんの宴の案内が貼られている。

 

 

「今日開催の宴は………、『カエサルだらけの立食会』か………。

 

“どなたでも参加できます!当日参加も歓迎です!”。

 

面白そうだ、行ってみよう。」

 

 

 

『カエサルだらけの立食会』は、広場に面した、ヴィラ・プリニウスと呼ばれる建物で行われる。

 

 

人で溢れる大広間。

 

「えー、出席者の皆さん、こんばんは!

 

この立食会の主催者のガイウス・プリニウス・セクンドゥス、通称・大プリニウスです!

 

本日は、かの有名なユリウス・カエサル様をはじめとする“カエサル”の名前を持つ方や、

アウグストゥス皇帝陛下をはじめ、歴代のローマ皇帝(カエサル)をお招きしています。

 

本日は、立食会ということですが、他にも催しものはございます。

 

まずは、お食事をお楽しみください!」

 

 

テーブルには、たくさんの料理………、

 

古代ローマで食べられていたであろう料理や

現代風の料理といった、

古今東西の料理が並べられている。

 

 

「そなたは、日本(ニッポニア)の者か?」

 

威厳のある低い声。

 

振り向くと、そこにはトーガを着た中年の男が立っていた。

 

「はい」

 

「我が名は、ユリウス・カエサル。

 

この“寿司”という料理は、日本(ニッポニア)の料理と聞いているが…」

 

「はい」

 

「我は、食べたことがなくてな…、

食べ方を教えてもらえないか?」

 

「あっ、はい。

 

と言っても、それほど難しいものではありませんが…」

 

「そうなのか!

わざわざすまんな…」

 

「あ、いえ…」

 

「そんなに固くなるな。

ほれ、これはローマ伝統の焼き方をしたパン(パニス)だ。

“同じ食卓を囲めば友人”であろう?」

 

渡されたパン(パニス)を口にした。

 

少し表面が固いが、口に広がる風味は素晴らしいものだ………。

 

 

「………おいしいです!」

 

「だろう?

こういう宴に来ると、世界各国の料理が食べられるから、大好きなんだよ。

 

そなたは、よく宴に参加するのか?」

 

「いえ、今日が初めてです。」

 

「こういう宴は良いぞ。

レクリエーションも面白いからな!

ハハハ………!」

 

 

 

「“カエサル”の皆さま、壇上へお集まりください!」

 

主催者のプリニウスのアナウンス。

 

「では、失礼するぞ」

 

 

壇上の上にたくさんのローマの男。

 

 

「皆さん、ここにたくさんの“カエサル”が集まっています!

 

しかし、どの“カエサル”が最も素晴らしいのか気になりませんか!?」

 

 

オォォ………!

 

 

会場は、熱気に包まれている。

 

 

「ということで、会場をチルコ・ネロニアに変えて、“カエサル”だらけの大競技会を開始します!

 

皆さま、係りの者が案内いたしますので、順番にチルコ・ネロニアに移動してください!」

 

 

 

ーチルコ・ネロニアー

 

 

一万人収容できるという観客席は、いっぱいになっている。

 

「ユリウス・カエサルさまぁ~!」

 

心なしか、女性の黄色い歓声も聞こえる。

 

 

「では、“カエサルだらけの立食会”第二部、“カエサルだらけの大競技会”を開始します!

 

では、神君アウグストゥス様による選手宣誓です!」

 

 

一人の男が壇上に立つ。

 

 

「選手宣誓

 

我々カエサル(選手)一同、スポーツマンシップに則り、正々堂々戦うことを誓う。

 

そして、この競技会を知恵の女神(ミネルヴァ)に捧げる!」

 

 

ウォォ…………!

 

 

「では、第一種目・短距離走です!」

 

 

ふと左手首が熱くなる。

 

(!?)

 

 

シャーマンからもらった腕時計。

 

(よいか、魂と体を分離してから現世で12時間、冥界での6時間に相当する、以内なら再融合できる。

 

しかし、タイムリミットを過ぎた場合、融合できなくなる。

 

この腕時計は、期限の30分前になると熱くなる。

決して忘れるでないぞ…………。)

 

 

(まずい、“時空の門”に急がないと…………。

“清めの滝”で穢れを落とさなきゃ!)

 

 

「すみません、通ります!」

 

 

泣く泣く会場をあとにする。

 

 

(あと20分…………。)

 

 

雲の切れ間から滝が見える。

 

“清めの滝”に飛び込む。

体から黒いもやが抜けていく。

 

 

(あと15分…………。)

 

 

“時空の門”を音速で通り抜ける。

 

 

(あと10分…………。)

 

 

ベッドに横たわる自分の体に飛び込む。

 

 

 

「あ……、なんとか間に合った……」

 

なんとなく気分が悪い…………。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。