勝利の天に星は燃ゆ   作:さゝ0

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 なんとお気に入りが9件も!ありがとうございます!
 そして更新に2週間以上も!すみません!


龍脈

 

 テンスイが"それ"を認識したのは、幼き時分だった。彼はそれが見えるのが当然だったし、他の人間も見えていると思っていた。それは、時に赤く、時に青白く、時に流れのようで、時に粒子のようである、空気中を舞うモノであった。

 ある時、彼は尋ねた。

『この"赤かったり、青白かったりする流れ"のようなモノは何?』、と。

 その時の周囲の反応を見て、聡明な彼は自身が見ているモノは自身にしか視えていないモノであると認識した。そして、自身にしか視えていないモノに、彼は大きな興味を抱いた。

『これは何であり、何故存在し、どういったものであるのか』、と。

 それが、彼が"龍脈"について研究を始めた理由だ。

 

 

 

 

 

 龍脈とは、つまるところ気の流れである。身近なものでは、風水や武術などがそれにあたる。しかし、その流れを正確に感じ取ることのできる人間はほとんど存在しない。ましては、それを視ることのできる人間など、テンスイを除いて存在しないであろう。

 

 テンスイは龍脈についての研究は完全に秘匿している。理由はシンプル、危険な代物であるからだ。彼であっても扱いが難しく、完璧な制御には至っていない。それ以上に問題であるのが、その危険性。小さなエネルギーであれば、運気や力を微量ではあるが高めることができる。しかし、大きなエネルギーともなると地殻変動や天候、更には生態系の変化まで起こせてしまう。

 今はまだ実用段階に至ってないとはいえ、新たな争いの火種となるとテンスイは判断し、研究内容を完全に秘匿することとなった。

 とはいいつつ、龍脈を解き明かそうとしてしまうのは、テンスイのどうしようもない性である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テンスイは、基地内の研究室とは別に、彼自身が地下に建造した秘密研究所の研究室にいた。この研究所は龍脈エネルギーが濃い場所に建てられており、龍脈についての研究をするにはピッタリの場所であった。

 そこで彼は2つの実験を行っており、今、彼の手には拳大の結晶が握られていた。

 

「よし、安定した結晶化になっているね。パワーストーンや例の隕石に龍脈エネルギーを宿せることから、可能だとは思っていたが……。予想が当たったようだ」

 

 彼が行っていた実験の1つは、龍脈エネルギーを抽出し、高純度の結晶とする実験で、それに成功した。だが、これはもう1つの実験の前座に過ぎない。彼は黒くくすんだ色の石を取り出し、もう1つの実験に取り掛かる。

 

「さて、ここからが本番だね。赫星隕鉄とこの結晶……龍結晶を混ぜ合わせ、合金化させる」

 

 赫星隕鉄は南極からテンスイが持ち出した大質量の鉄隕石である。赫星隕鉄と龍結晶の合金化実験であった。しかし、ある問題があった。

 

「しかし、赫星隕鉄は硬度が高すぎるね。恐らく地球のどの物質よりも硬く、靱性もある。だけど、龍脈エネルギーと赫星隕鉄の特性を考えると……」

 

 赫星隕鉄は、とてつもない硬度と靱性を誇っている。更には、落下時に相当な高温になっていたであろうにも関わらず、表面は融解した様子はなく、少し灼けているだけであった。

 

「私の仮説が正しければ強い龍脈エネルギーは物質を軟化させる効果がある。加減を間違えれば鋼として役に立たなくなるだろうが、この比率であれば問題はないだろう」

 

 そうして彼は赫星隕鉄を龍脈エネルギーが漏れ出すヒビに近づけた。

 すると、たちまちに赫星隕鉄は赫く耀き出した。

 

「やはり軟化したか。とは言ってもまだ硬度は高いが……何とか加工できる範囲だ。後は溶解させて、龍結晶と合金化させるだけだね」

 

 

 

 

 

 しばらくして、合金化の工程が終了し、テンスイは銀色に輝く鋼を持ち上げ、軽く叩いた。

 

「うん、硬度も靱性も高いながらも、何とか加工することができるレベルになったね。まあ加工には龍脈を利用しなければならないから、私以外には作れないだろうし、方法も教えないけど」

 

 そう言って彼は、鋼の表面を撫でる。

 

「……赫星鋼、といったところかな。これで何作ろうかな、その前に色々研究しなきゃだけど......しかし、なぜ銀色になったのかは謎だな」

 

 そう呟きながら、彼は研究所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 南極、とある観測所。

 

「……なに?」

「ですから、南極に落下した大質量隕石であるvalstraxXX556045が消失しました」

「……隕石の質量によって海に沈んだという可能性は?」

「その可能性は皆無かと。隕石の落下位置は海に面してない無氷地帯であり、地盤沈下も確認できませんでした」

「バカな!?では隕石が歩いてどこかへ消えたとでも言うのか!」

「まさか。ただ、所内にとある書き置きがありました」

「書き置きだと?」

「はい。

『申し訳ないけど、あの隕石いただいていくね』

だそうです。名前はありませんでした」

「ふざけるなよ!隕石を持ち出しただと?詳細は調べられていないが、ホバ隕石よりも巨大であるのは確かだぞ。質量は100tは下らないはずだ。不可能だ!」

「ですが実際に隕石は無くなっています」

「そもそも、どうやって持ち出したというのだ。確かに常に監視しているわけではないが、あの質量のものを我々の目を盗んで持ち出せるはずがない!」

「それは分かりませんが……ひとまず過ぎたことは仕方ありません」

「くそっ、貴重な研究対象が……!」

 

 龍脈エネルギーによって近づけなかったにせよ、貴重なサンプルを盗まれた研究員は憤慨していた。

 掻っ攫った本人は意にも介していないであろうが。

 その後、隕石の周囲の立入禁止の令は解除され、valstraxXX556045は欠番として扱われた。

 





 ぶっちゃけなんですけれどね、0章はそんな書く気ないんです。最後まで読んでくださってる方ならわかると思いますが、めちゃめちゃ設定の部分ですから。
 面白い文章にするのも難しいし、文字数も少なくなりがち……。理想は7000字前後くらいなのですがね。
 でも後々のこと考えると0章として書き上げた方が良さそうだなー、で書いてます。

 次回はなんと、あのキャラが出ます。今のところNIKKE成分皆無ですからね。多少は面白くなると思います。
 もう少し早めに更新できるよう頑張りますね!
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