ようこそ財力至上主義の教室へ   作:ウメSUN

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二度と行くかよ無人島

 

 

無人島生活3日目、朝。点呼の後、あたしはBクラスの拠点へ、食事を抱えて向かっていた。40人分の食料を一度に運んでいるので、体力、運動センス共々壊滅的な自分には、些か堪える。しばらく歩いていると、開けた土地である、Bクラスのスポットに辿り着いた。木にいくつか括り付けられたハンモック、シャワー室代わりに使用されているテント。ちょっとしたキャンプ場のような見た目だ。始めて来たが、思ったより住み心地が良さそうだ。

 息を切らして到着したあたしを見るなり、Bクラスの、明るそうな男子が近づいてきた。

 

「おっ、Cクラスの辰見ちゃん...だっけ?わざわざお疲れさん。それが今日の朝飯?」

 

「そ...そうだね。今日の朝の分の食べ物だよ...」

 

あたしは、息を切らしたまま、食べ物を彼に手渡す。すると、そんなあたしの状態を心配した彼が声を掛ける。

 

「どうしたんだ?そんな息切らして...?」

 

「いや...結構な量を運んじゃったからさ...疲れちゃって...」

 

「マジで?それだったら、うちのスポットでちょっと休んでいったらどうだ?一之瀬も、みんなも許してくれるだろうし...」

 

「ほんとに...?じゃ、お言葉に甘えさせてもらおっかな...」

 

作戦成功。少し良心に付け込んでるみたいで心がじくじくと痛むが、これで上手いことBクラスに滞在するための口実を作ることができた。

 Bクラスのスポットにあった切り株に座り、持ってきたペットボトルの水を飲む。その間、Bクラスの観察を同時並行で進めていく。Bクラスのリーダー格はもちろん、一之瀬ちゃんだ。だが、そのまま一之瀬ちゃんがリーダー、なんて安直なわけはない。かといって、スポット占有の際や、相手リーダーの指名........やることの多いこの試験のリーダーを、信用できない人間に任せるわけがない。つまり、必然的に一之瀬ちゃんに近しい人物がリーダーの候補だろう。

しばらく観察した結果、ある程度、数名に絞ることができた。普段からの交友関係や、生徒の立ち位置から考えるに、リーダーの候補は「神崎隆二」「柴田楓」「網倉麻子」「白波千尋」この4名のうちどれかである可能性が高いはずだ。前者二人はBクラスの男子陣のまとめ役であることから、後者二人は交友関係からの推測だ。

ともかく、これで情報も揃った。長居してると怪しまれちゃうかもしれないので、さっさとここを去ろうとしたとき、ふと呼び止められる。

 

「ねぇねぇ辰見さん、ちょっと質問してもいいかな?」

 

声の主は一之瀬ちゃんであった。まさか怪しまれたのか?と、内心ではびくつきながら、平静を保って会話を続ける。

 

「どしたの?何か気になった感じ?答えられることなら頑張って答えるけど...」

 

「そう?じゃあお言葉に甘えて...どうして、Cクラスは今回の試験、クラスポイントを得ることを諦めたの?」

 

核心を突いた質問だ。確かに、傍から見ればCクラスは、300前後のポイントが入るせっかくのチャンスをむざむざ棒に振る、変な奴らにしか見えないだろう。オンカジの件を言う訳にもいかないので、良い感じにカモフラージュして答えることにする。

 

「......実はさ、うちのクラスって治安が悪いの。そもそも龍園がトップに立ってるのも、力によるものでさ。だから他のクラスメイトも、結構うっぷんが溜まっててさ...この作戦には、そういう人らのガス抜き的な意味合いも含んでるんだよね。」

 

「ほほう......となると、この食べ物の販売は、どうせクラスポイントが0ポイントなら、プライベートポイントだけでも稼ごうって感じかな?」

 

「まぁ、そういう感じだね...リーダー権の販売も同じ理由かな...」

 

一之瀬ちゃんは、それを聞いてある程度納得したような表情をした。何とか疑念は払しょくできたようだ。

 

「そっか...話に付き合わせてごめんね。」

 

「いやいや、全然全然!どうせ急ぐ用事もないんでね。じゃ、また。何か足りないものとかあったら渡しに行く際に教えてね~!」

 

 

 

 

 

「...というわけで、ある程度は絞れたよ。」

 

「ククク、そんだけ絞れりゃ十分だ。丁度、俺もその辺りだと思ってたんでな。そいつらの内の誰か、ってのはほぼ確実だ。」

 

あたしと龍園は、拠点に戻って作戦会議をしていた。

 

「で、どうやってこの状態から特定するのさ?」

 

「安心しろ、それに関しちゃあ策がある。」

 

それを聞いて、龍園がまたなにか悪巧みをしているような表情をする。どうせかなりの強硬策なんだろうな...一応聞いてみる。

 

「ちなみに、その作戦って?」

 

「深夜に忍び込んで荷物を漁る。」

 

思ってた数倍のものが来た。バレたらペナルティが...そういえばうちは、ペナルティを受けてもポイントが0であるため効果のない、無敵のクラスなのであった。荷物漁りは厳密に言うと暴力行為ではないので、退学ペナルティも無い。......しっかりと計算されたうえでグレーゾーンな事をやっているのが、ずる賢いというか何というか....龍園はAクラスになった後、理想の進路として反社を選んでもおかしくないと思う。

 

「......まぁ、それでいいんじゃない...?」

 

「決行は明後日の深夜、それまでは引き続きBクラスに通って探りを入れ続けろ。」

 

「了解~。そういえば、決行は龍園一人でやるの?」

 

「いや、伊吹も連れていく。俺が女の荷物を漁るわけにはいかねぇからな。」

 

「変なとこで紳士ね......」

 

なんでそこの配慮はちゃんとしてるのさ。おかしいでしょ。そしてさらっと駆り出されることが確定した伊吹ちゃんェ...そんなことを考えていると、伊吹と石崎が船からの食料調達から帰ってきた。ちなみに、当初は石崎一人でやっていたのだが、当人からの「一人でずっと船とを往復し続けるの、ガチで寂しいんすよ!」という意見により、二人一組での仕事になったわけだ。

 

「アンタら何話してたの?......どうしたの辰見、そんな憐れむような視線...何なのよ、肩に手なんて置いて!」

 

伊吹ちゃん、頑張って!

 

 

 

 

 

そして、決行当日、無人島生活5日目の深夜。あたし、石崎、アルベルトの、隠密行動に不適な三人は拠点にて、龍園と伊吹ちゃんの帰りを待っていた。緊張と心配からか、あたし含めて表情が硬くなってしまう。しばらくして、石崎が沈黙を破る。

 

「二人とも、大丈夫っすかね...龍園さんはともかく、伊吹がなんかやらかさねぇか...」

 

「流石に、そんなへまやらかす程間抜けじゃないでしょ~。」

 

「そうだといいんすけどね...」

 

「二人とも結構すばしっこいし、バレそうになってもいい感じに隠れたりしてごまかせるんじゃない?ほら、メ〇ルギアみたいにさ。」

 

そんなことを話していると、アルベルトがポツリと、

 

「Hide in 段ボール...」

 

とつぶやく。それを聞いた石崎はツボにはまったのか、腹を抱えて大笑いしている。

 

「はっはっはっは!!どこのス〇ークだよ!!」

 

 

「誰が〇ネークだって?」

 

 

「「うわぁ!!」」  「Wow!」

 

石崎の背後から、スネー〇...じゃなかった龍園と伊吹ちゃんが現れた。驚きで石崎も笑いが引っ込んでいる。少なくとも、無事には帰って来れたようだ。また、龍園の表情を見るに、リーダーの情報も掴めたのだろう。

 

「お、おかえり二人とも...リーダーの情報はつかめた感じ?」

 

「あぁ、バッチリだ。Bクラスのリーダーは、白波千尋だ。しっかりキーカードも確認してきた。なぁ?伊吹。」

 

「はいはい、ちゃんと見たわよ。ったく、漁ったのはアタシだっての。」

 

どうやら、リーダー権は無事に特定が済んだようだ。となると、次にやることは、この情報をA、Dクラスに売りつけることだ。

 

「で、この情報は、いくらぐらいで売りつける感じ?」

 

「残念だが、写真みてぇな物的証拠は隠密行動の都合上手に入れられなかったんでな...他クラスから見ると、この情報は信ぴょう性が薄い。「毎月50ポイント分の~」みてぇな契約は厳しいだろうから、買い切りで2~300万が売る際の妥当なラインだな。」

 

実際、須藤の暴力事件の件といい、あたしたちCクラスは現状他のクラスから信頼されているとは言えない状況下にある。そんなあたしたちが、「証拠は無いけど他クラスのリーダー情報持ってます!」といったとて、それを簡単に信用する人は少ないだろう。現状ではあくまで「確定とは言えない情報」としての価値しかない、というわけだ。

 

「で、これをAクラスとDクラスに売りつけるってわけね。あたしはどっちのクラスに行けばいい?」

 

 

「Dを頼む。ただ、あいつらは金が殆どねぇ、200万前後で売れりゃ上出来だな。」

 

本当のことをいうと、Aクラスの方に行きたかったが仕方ない。龍園は危険を冒して、この情報を手に入れたんだ。それに比べれば、Dクラスとの交渉なんぞ大したことないだろう。

 

「了解~、任せて頂戴な。」

 

 

 

 

 

 

6日目の朝、Dクラスに食料を届けに行くついでに、交渉をしてしまうことにした。飯を渡した後、櫛田ちゃんに話しかける。

 

「実はさ...耳寄りな話があるんだけど、堀北ちゃんとか平田くんとかって今空いてたりたりする?」

 

それを聞くと、櫛田ちゃんは少し悩んだような表情をした後、話し始める。

 

「......平田くんなら空いてるかな。呼んでこようか?」

 

「ほんとに?ありがとう!」

 

話が終わったあと、櫛田ちゃんは平田くんを呼びにどこかに去っていった。それにしても、なぜ堀北ちゃんに関しての言及がなかったのだろうか?何か理由があるのか...などと考えていると、平田くんがやってきた。案の定、堀北ちゃんは居なかった。

 

「どうしたのかな、辰見さん?」

 

「ちょっと話したいことがあったんだけど...堀北ちゃんは居ない感じ?」

 

「ええと、そうだね、堀北さんはちょっと用事があって...」

 

言葉を濁す平田くん。やはり、何か隠してることがあるようだ。だが、これはこちらにとても好都合だ。甘ちゃんの平田くんだけなら、上手いこと交渉は進みそうだ。

 

「まぁいいや、実はね、Bクラスのリーダーが分かったんだけど......この情報を買ってみない?」

 

「本当かい?Dクラスにとっては、クラスポイントがもらえるチャンスは、あればある程嬉しいんだけど...」

 

「でもお高いんでしょう?、って事だよね?」

 

「......そうだね。うちに金銭的余裕が無いのは、そちらが一番分かっているだろう?」

 

「その節はいろいろと......まぁ、その分の負い目もあるってことで、本来400万ポイントのところを...サービスして200万で売ってあげるよ?」

 

まったくの嘘である。負い目なんざ微塵も感じてはいないし、本来400万で売るつもりでもない。ただ、本来売るはずの価格であった200万を、さも特別価格であるように言っただけだ。サービス、という言葉が効いたのか、平田くんも結構悩んでいる。暫くの思案の後、

 

「ごめん、僕一人の手に負える話じゃないから、他の人と話してきていいかな?」

 

と言った。

 

「いいよいいよ、どうせあたしヒマだし。」

 

と言って、しばらく待っていると、平田くんは櫛田ちゃんを連れて来た。その後、二人でまたしばらく話し合った後、

 

「話し合った結果、いくつか聞きたい事が出来てね、質問を良いかな?」

 

「何?全然いいけど...」

 

「この情報を裏付ける証拠はあるかな?」

 

「それは無いんだよね...手に入れた方法が方法だから、どうしても証拠は無いのよ...」

 

それを聞くなり、二人は何とも言えない表情になる。このメンバーなら上手いことごまかせるか?と思っていたものの、流石にそう簡単では無いようだ。だが、Dクラスの現状を鑑みると、このチャンスはどうしても欲しいだろう。そこを上手いこと利用するしかない。

 

「でもさ、目に見える証拠は無いけど、この情報は9分9厘正しいよ。少なくとも、こっちに嘘をつくメリットは無いしね。」

 

「それはどういう意味だい?」

 

「だってさ、ここで目先の金欲しさに嘘をつくってのは、他クラスからの信用を失うことに繋がっちゃうからね。これから3年間、クラス同士で戦っていくのに、こんな早い段階から信用を失っちゃうと、長い目で見ると大損ってわけ。同盟とかも組みにくくなっちゃうし....」

 

品性と信用は金で買えないのだよ、平田くん。実際、ここで嘘をつくメリットが無いのは本当だ。二人も、これを聞いて納得したような表情になる。

 

「分かった、200万で買うよ。その代わり、もしこの情報が合っていなかった場合、ポイントの支払いはしないという条件でね。それでもいいかな?それと、支払いは食べ物の契約と同じように、ポイントに余裕ができてきてからでいいかな?」

 

「全然良いよ、これで交渉成立だね。毎度あり!」

 

そして、平田くんにBクラスのリーダー情報を伝えた。

 

「なるほど...白波さんがリーダーなんだね。確かに彼女は一之瀬さんと仲がいいし、リーダーにするのも納得だね。ありがとう、この情報は有効活用させてもらうよ。」

 

「それは良かった。じゃ、あたしは帰るね!」

 

 

「待って!辰見ちゃんに、お願いしたいことがあって...」

 

帰ろうとした矢先、櫛田ちゃんに呼び止められる。

 

「どしたの?何か欲しいものとかがある感じ?それとも、今居ない堀北ちゃんについての話?」

 

櫛田ちゃんは、一瞬驚いたような表情をした後、話しはじめる。

 

「そうなんだ...実は堀北さん、昨日あたりから体調が悪いみたいで...熱もあって...」

 

「要するに、解熱剤とかを持ってたら欲しいって感じ?」

 

「そうなの、ポイントなら払うから...」

 

「確かに、最悪だと強制的にリタイアになっちゃうかもだしね...分かった。まずは堀北ちゃんの所に行ってもいいかな?」

 

「ええと、こっちのテントにいた筈だよ...」

 

櫛田ちゃんと平田くんと、連れられてきたテントを開けると、そこには堀北ちゃんがぐったりと横たわっていた。言われてみれば確かに、数日前からうっすらと体調が悪そうであった。堀北ちゃんは、あたしとあたしを連れて来た櫛田ちゃんを見て、露骨に顔を顰める。

 

「櫛田さん...余計なことはしないでと言わなかったかしら...」

 

「そういった言い方は良くないんじゃないかな、堀北さん。櫛田さんは君のことを心配して...」

 

「だとしても、他に方法があるでしょう...!どうして他クラスの辰見さんを連れて来たの...?」

 

「だって、辰見さんが、解熱剤とかを用意してくれるって言ってたから...」

 

「...また、ポイントを毟り取る気なのかしら。」

 

「物は言いようってやつだね。あたしは需要に答えてるだけなの。ただ、この無人島だとその需要に対応した価格はとんでもなく高くなるってだけで。」

 

この熱でもいつもの態度を崩さない堀北ちゃんはすごいと思う。ただ、この状況はそちらが劣勢なのだ。あたしは続けて喋る。

 

「実際言った通り、値段は結構するんだけど...まぁ、60万ぐらいかな。リタイアして30ポイント減るよりはマシなんじゃない?」

 

「ふざけないでくれるかしら...!」

 

「ふざけているのはその体調でリタイアしようとしないそっちでしょ。なんなら今から、堀北ちゃんの体調の事、先生にチクってもいいんだよ?..........うそうそ冗談よ。」

 

ちょっと脅してみたが、堀北ちゃんに射殺さんばかりの視線で睨まれたので慌てて訂正する。すると、沈黙していた櫛田ちゃんが口を開く。

 

「さっきのは冗談だとしても、わたしも薬を買うべきだと思うな。実際、これ以上悪化したら大事になっちゃうかもしれないし...」

 

「......櫛田さん、もとはと言えば貴女が...!」

 

「ポイントの件なら、わたしもクラスの皆を説得するから...」

 

「僕も櫛田さんに賛成かな。たとえ堀北さんが反対しても、僕はそう思う。」

 

ここでの最悪は状態の悪化によるリタイア...となれば、最悪を避けるために薬を買うという選択は安パイだろう。幸い、この二人は思考が安定寄りだ。もうこのまま押し切ってしまおう。

 

「まぁ、あたしも鬼じゃないし?今なら特別に50万で売ってあげよっか?」

 

「分かった。辰見さん、50万で買うよ。」

 

「待ちなさい、櫛田さん...!」

 

「じゃあ、決まりかな。じゃあ、手に入り次第持ってくるね。毎度あり~!」

 

口論を続ける3人をよそに、あたしはテントを後にした。

 

 

 

 

 

そして、無人島試験7日目、結果発表の時間となった。結局あの後、船から薬を無事に取り寄せ、売りつけることに成功した。それを聞いた龍園が、とんでもない笑顔で「ヘマをしたな、スズネェ...」と言っていたのが印象的だった。あと、リーダー情報の方は、龍園がAクラスに300万で売れたらしい。中々やる男である。それ以外は、特になにか問題があった訳でもなく、淡々と過ぎていった。強いて言うならば。

 

「ねぇ伊吹ちゃん...あたし臭ってないよね...?」

 

「......どうかしらね。」

 

「何で目を逸らすのさ!」

 

禄にシャワーを浴びていないので、体臭がヤバくなっていそうなことぐらいだ。一応、川で水浴びなどはしていたので、最低限は大丈夫だろうが...というか、臭うのは伊吹ちゃんも同条件だろう。そんなことを考えていると、真嶋先生が喋りだした。

 

「ただいまより、特別試験『無人島試験』の結果を発表する。まずは4位、Cクラス」

 

これは当然だ。他クラスも何一つ、変に思っていない。

 

「3位、Bクラス、220ポイント。」

 

A、Dクラスからの指名で-100、Cクラスを指名で∔50。ポイントの使用分が30ポイントなので、この結果だろう。Bクラスの面々は、まさかリーダーの情報が漏洩していたとは、とすこしざわざわしている。

 

「2位、Aクラス、320ポイント。」

 

どうにもおかしい。B、Cクラスを指名した分で∔100、ポイントは一切使用していないので坂柳ちゃんのリタイア分を抜いても270ポイント、スポット占有分を加算すればもっといくはずだ。となると、

 

「どこかに指名された...?」

 

ということになるだろう。そして、C、Bクラスがポイントを見た感じ指名していないとなると、必然的に

 

「そして、1位。Dクラス、399ポイント。」

 

「うおおおおおお!!!!!!」

 

こういう事だ。何かしらの方法で、DクラスがAクラスのリーダーを看破したという事だろう。ポイント使用分が40、高円寺くんのリタイアで30ポイント引かれ、3クラスのリーダーを当てて+150、リーダーをどこにも当てられていないためスポット占有分で+19。そういう事であろう。Dクラスはお祭り騒ぎである。

 

そして、結果発表が終わり、あたしたちは船へと戻る。今回の目標である、「プライベートポイントの大量入手」は達成できたので、0ポイントという結果とは裏腹に、あたしたちの気分はそこまで沈んではいなかった。心なしか上機嫌に見える龍園に、あたしは話しかける。

 

「どうよ、今回は作戦通りだった?」

 

「あぁ、十分すぎるぐらいポイントは稼げたさ。」

 

龍園が、不敵に微笑みながらそう言う。実際、今回の稼ぎはとんでもない量であった。...その分、仕事量もとんでもなかったが。そんな無人島生活に浸っていると、龍園があたしたちに、

 

「......お前ら、付き合わせて悪かったな。」

 

と言った。世にも珍しい、龍園からの感謝だ。それを聞いた石崎はすかさず、

 

「全然、俺たちもやりたくてやってたんで!なぁ、皆!」

 

「「「.........。」」」

 

別にそういう訳ではない。が、今回の試験で得たアドバンテージは、この苦労に見合うものであったことは間違いない。というか、一番の重労働であった石崎がこれを言うのがまた、石崎本人の人の好さを感じてしまうところだ。

 

ともかく、長きにわたる無人島試験は、これにて終了となった。

 

「ねぇ伊吹ちゃん、部屋のお風呂、あたしが先に使ってもいい?」

 

「嫌だ。」

 

「そっかぁ...」

 

ただ、念願のお風呂は、もう少し後になるようだ。

 




今回得た収入

毎月の収入・・・+140万ポイント

Aクラスへの物資提供、3クラスへのリーダー指名権提供による分の収入。クラスポイントにして350ポイント分。

単品の収入・・・1090万ポイント

Bクラスのリーダーの情報を売った分で500万、(A300万、D200万)食事提供で540万、(B300万、D240万)堀北の薬代50万
なお、Dクラスからの収入はまとまった金を得てからになる。(下手をすると年単位で遅れる可能性)

クラスポイント

Aクラス 1314 (+320)

Bクラス 916 (+220)

Cクラス 494 (+0)

Dクラス 485 (+399)


今回、櫛田が堀北の体調不良をわざわざ言った理由は、

・ここで薬を買わせる流れにもっていき、「堀北が借金を作った」という状態にして、堀北のクラス内での地位を下げてやろう

というものであり、櫛田は堀北の心配など何一つしていませんでした。
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