Fate/Grand Order 第三部 Script of the Palimpsest 作:白瀬 綴
街灯へ巻きついていたワイヤーが焼け落ち、張力を失った鋼線が路面を叩いた。
先ほどまでベルの逃げ道を支えていた一本だ。獄寺は切れた先端から視線を上げる。看板脇へ二本。アーケードの梁へ三本。シャッターの隙間から伸びる細い線は、途中でナイフの柄へ繋がっていた。
ベルフェゴールは腰を落としたまま、獄寺を見下ろしている。
「ししっ。王子の道、一本壊したくらいで得意そうじゃん」
「誰が得意そうだ!」
「顔」
「前髪で見えてねぇだろうが!?」
怒鳴った直後、獄寺は右へ跳んだ。
さっきまで喉があった高さをナイフが横切る。刃は壁へ刺さらず、柄に結ばれたワイヤーへ引かれて角度を変えた。戻ってくる。
獄寺は左腕を上げた。袖が裂け、刃先が前腕の皮膚を浅く削る。熱い筋が一本走ったが、足は止めない。右手の爆薬を看板の支柱へ投げる。爆発。
爆風と熱が支柱の裏へ回り、隠れていたワイヤーを浮かび上がらせる。銀線が一瞬だけ光を返した。七本。
獄寺の目は、光った七本の接続先を順に追った。
ベルは直感で刃を置く。獲物が嫌がる位置へ、先回りしてナイフを通す。その勘の鋭さは、理屈を並べてから動く相手より速い。
だったら、ベル自身を追わなければいい。
獄寺は壁、梁、看板、街灯へ視線を走らせた。ナイフが曲がる支点。ベルが体重を預ける鋼線。次の刃を引き戻すため、張力を残している一本。
「……そこか」
左手の爆薬が飛んだが、ベルは動かなかった。
爆薬はベルの頬から二メートル以上外れ、アーケードの梁へ当たる。
「下手くそ」
「てめぇを狙った覚えはねぇよ」
火が弾け、梁へ渡っていた二本が同時に切れた。ベルの右足を支えていたワイヤーが沈み、靴裏が十五センチほど落ちる。その時には獄寺が走り出し、右手へ三本の爆薬を挟んでいた。
ベルの胸、腹、肩へ散らす。
「ししっ!」
ベルは左足だけで鋼線を蹴った。身体が斜め上へ抜ける。三本の爆薬が空を切り、その背後で炸裂した。
爆風がベルのマントを押し、身体を右上の着地点へ流した。
獄寺はそこへ四本目を投げていた。
「――っ!?」
ベルが初めて肩を捻った。爆薬が脇腹の横で弾け、爆風がマントごと身体を押す。焼けた布が舞い、ベルは看板の縁へ右手をついて路面へ降りた。
九メートル。獄寺が詰めるには遠く、ベルが刃を回すには近い。前髪の下で、笑みだけが深くなる。
「へえ。王子の行くとこ、読んだ?」
「てめぇの頭ん中なんざ知るか。切った糸と残った糸を見りゃ、飛べる場所くらい絞れる」
「かわいくないなぁ。前はもっとすぐ怒ってくれたのに」
獄寺の眉が僅かに寄り、爆薬を挟んだ指へ力が入った。
「隼人くんって呼べば殺すって言うし、十代目って言えば目の色変わるし。王子、あっちの方が好きだったよ」
ベルの右手からナイフが消えた。獄寺は頭を下げる。一本目が髪を掠めた。二本目は左肩。身体を右へ振る。三本目が脇腹へ来る。
爆薬を一本、胸の前で炸裂させた。近すぎる爆風が制服を叩き、獄寺自身の肺からも息を押し出す。その代わり、ナイフの腹が煽られ、切っ先は肋骨の外を抜けた。四本目が見えない。獄寺は左手を引く。
手首のウォッチを狙っていた刃が、手の甲を浅く裂いた。
「チッ……!」
「ほら。怒った」
ベルが笑っても、獄寺は傷口へ視線を落とさなかった。
手の甲から血が落ちる。左腿の裂傷も熱を持っている。ベルは確実に傷を増やし、動かせる部位を減らそうとしていた。獄寺は息を吐いた。
「悪ぃな」
「何が?」
「今の俺は、怒ったまま考えられる」
獄寺の腰へ並ぶ匣が、嵐の死ぬ気の炎へ応じて次々と開いた。
十六の匣が、獄寺の判断へ応じて攻撃、防御、移動、支援を切り替える。嵐を主軸に、雨、雷、雲、晴の死ぬ気の炎を使い分ける瞬時武装換装システム。
右腕へ、髑髏の口を発射口とする腕固定型火炎放射器――
四本目が防御盤の外から右肩へ回る。獄寺は
「……それ、ずるくない?」
「殺し屋が何言ってやがる!」
ベルが梁を蹴った。獄寺は雲の死ぬ気の炎へ切り替え、一発の炎弾を三方へ増やす。右、頭上、着地先。ベルが左へ身を振った瞬間、晴の死ぬ気の炎を帯びた一射が加速し、マントの端を焼き飛ばした。
「チッ……!」
支点を読み、必要な属性へ切り替える。獄寺の思考が止まらない限り、武装も止まらない。
嵐へ戻した
ベルのナイフが嵐の死ぬ気の炎で赤く染まった。炎は刃からワイヤーへ移り、一本の鋼線から二本、四本へ枝分かれする。
「王子も炎、使えるんだよね」
ベルが指を鳴らすと、正面と右からナイフが迫り、視界の外に残った一本が獄寺の背後へ回った。獄寺は雨の死ぬ気の炎で前方の紅蓮を鈍らせ、雷の防御盤で二本を受ける。三本目は右腿を裂き、膝へ熱い痛みを残した。
その隙へベルがワイヤーを引いて飛び込む。喉へ滑るナイフを右腕の外装で受けたが、左手の刃が脇腹へ入り、布と皮膚を裂いて浅く肉へ沈んだ。
獄寺は踏み込みを止めず、脇腹へ刺さった刃を押し込みながらベルの手首を掴んだ。
「捕まえたぞ、クソ王子」
「ししっ。捕まったの、そっちじゃない?」
背後で鋼線が鳴り、獄寺の右足首へ巻きついた。ベルが指を引くと身体が路面へ落ち、肺から息が抜ける。振り下ろされるナイフへ左手の爆薬を滑らせ、二人の間で炸裂させた。
至近距離の爆風が双方を引き剥がす。獄寺は肩から転がり、脇腹の刃が抜けた。ベルも空中で姿勢を戻したが、頬に細い傷が走っている。
「……王子の顔、切った」
頬を拭った指先へ、赤い血が付いた。
ベルはそれを眺めた。
切れたワイヤーが、からん、と路面へ落ちる。獄寺の荒い呼吸も、焦げた導火線の音も、ほんの一瞬だけ遠のいた。
口元の笑みが、ゆっくりと吊り上がる。
己の血を見た瞬間、天才的な勘と体術が殺意へ研ぎ澄まされる。その異名は――
* * *
マーモンは笑わなかった。ベルの指から遊びが消えた瞬間、フードの奥で目を細める。
「……血を見た」
リボーンは戦場から視線を外さない。
「ここからが本番か」
「さあね。あいつが楽しんでるうちは、止まらないよ」
* * *
「死刑――!」
ベルの指が嵐属性のヴァリアーリングへ触れた。ヴァリアーの精鋭が匣兵器を運用するために用いる高純度リングへ嵐の死ぬ気の炎が灯り、手中の匣へ流れ込む。
指輪から流れ込んだ嵐の死ぬ気の炎が匣の継ぎ目を押し開く。
四方へ割れた匣から赤い炎が噴き上がり、細長い獣が飛び出した。
飛び出したのは、
赤い獣はワイヤーの間へ姿を消し、獄寺の右側へ見せた残光を囮にして頭上から炎を薙いだ。獄寺は左へ飛び、直前までいた路面とシャッターが紅蓮の死ぬ気の炎に削られる。
「瓜!」
獄寺のバックルから嵐猫が飛び出した。瓜はヴィゾーネ・テンペスタへ正面から飛びかかり、前脚と尾が接触した箇所で嵐の死ぬ気の炎が互いを削る。
ミンクが尾を振り抜く。瓜の脇腹から毛と火花が散ったが、前脚は相手の胸から離れない。二匹が押し合う横で、ベルのナイフが獄寺の右肩へ刺さり、
「よそ見」
「てめぇもな!」
獄寺はベルの左後方へ爆薬を投げた。爆炎が支柱へ回り、ワイヤーの支点を一つ奪う。右へ流されたベルの先には、瓜とヴィゾーネ・テンペスタが噛み合う狭い空間しか残っていない。
爆発へ使わなかった小型爆薬が一つ、支柱の陰へ転がった。獄寺は拾わず、次のワイヤーへ視線を移す。
獄寺は脇腹の痛みを呼吸で押さえ込み、低く息を吐いた。
「瓜。来い!」
瓜がミンクの胸を蹴り、獄寺へ跳ぶ。嵐のバックルVer.Xが赤く燃え、瓜の身体が嵐の死ぬ気の炎へほどけた。
Ver.Xの
瓜の身体が嵐の死ぬ気の炎へほどけ、獄寺の胸、腰、脚へ走った。炎はダイナマイトを並べた帯となって身体へ巻きつき、右腕と両脚へ外装を重ねる。目元へ遮光レンズが降り、短い筒状の点火装置が右手へ収まった。先に展開していた
点火装置を噛む。歯へ硬い振動が返り、胸元の導火線が一斉に赤く走った。
一発目はベルを外れ、背後の支点を焼く。二発目は着地点を爆風でずらし、三発目が逃げ先の鋼線を断った。空いた留め具へ、次のダイナマイトが次々と補われる。
「ししっ! 王子を狙わないで勝てると思ってる?」
「だから見てろっ!」
ベルのナイフが胸へ三本。獄寺は一本目をかわし、二本目を右腕の装甲で受けた。三本目が点火装置へ滑る。筒身で弾こうと手首を返した瞬間、右腿から力が抜けた。着地が遅れ、刃先が手の甲を裂く。
「ぐっ……!」
落ちかけた爆薬を、帯の外装が腰元で受け止めた。獄寺はその一本を掴み直し、自分のすぐ前へ滑らせる。
「何――!?」
踵が爆薬を越えた直後、爆炎が背中を叩いた。右脚の外装が熱圧を受け、傷んだ腿ごと身体を前へ押し出す。獄寺は一気にベルの懐へ入り、脇を抜けざま、支柱へ四本目を押し当てた。
爆発。
ワイヤーがまとめて切れ、ベルの身体が初めて路面へ落ちる。金属音が連なり、頭上を覆っていた銀線が一斉に垂れた。
「派手な服着て、やること地味だね」
「一発で吹っ飛ばすだけが爆弾じゃねぇ!」
補充された爆薬へ火を移す間にも、照準コンタクトは残った支点を拾い続けていた。Ver.Xが増やしたのは一撃の威力より、獄寺が選べる手数だった。
ベルは垂れたワイヤーを一度見た。次に、獄寺の身体へ溶け込んだ瓜を見る。
未来で見た形態変化。その原理だけを、自分の殺し場へ置き換える。
「へえ。王子も、繋げてみよっか!」
ヴァリアーリングの嵐の死ぬ気の炎が、ヴィゾーネ・テンペスタへ流れ込む。ミンクの尾がワイヤーへ触れた途端、紅蓮が鋼線を走り、その先のナイフ群まで染め上げた。
匣兵器とワイヤー網を即興で接続した、形態変化擬き。
「ししっ。繋がった!」
ヴィゾーネ・テンペスタが走った。尾の炎がワイヤーを渡るたび、離れたナイフが同時に跳ねる。正面、背後、頭上、足首。高い金属音が重なり、やがて一つの唸りへ変わった。
「う、ぉ……っ!」
正面の刃を右腕で受け、背後から戻る二本へ肩を落とす。頭上の一撃が左肩へ食い込み、低い刃が右脚の外装を削った。火花が散り、亀裂が走る。
ベルが両手の指を開いた。外周の刃が円を描き、その内側へ二つ目、さらに小さな三つ目の輪が生まれる。三層のナイフはワイヤー上を循環し、攻撃方向を絶えず入れ替えた。
「ししっ! 名付けるなら、
獄寺が一方向を爆破すれば、刃は別の輪へ移って死角へ回る。支点を焼いても、ミンクの炎が別の鋼線へ渡り、軌道を繋ぎ直す。肩、頬、右腿。浅い傷が増えるたび、呼吸が短くなった。
「どうしたの、隼人くん!? 王子の冠、全然減らないよ!」
「うるせぇ……! 減らねぇなら――止める!」
SISTEMA C.A.I.の輪状盾が三枚、獄寺を囲んだ。
刃が殺到する。
一周目で一枚目の縁が削れ、二周目で中央へ亀裂が走った。戻り刃が二枚目へ食い込み、三枚目にも赤い火花が散る。ナイフの唸りは止まらない。盾越しの振動が、獄寺の歯を鳴らした。
数秒。
それだけあればいい。
照準コンタクトが、同じワイヤーへ刃が戻る間隔と、炎の接続部、三つの輪が交差する一点を重ねる。
全部を壊す必要はない。
一か所だけ、遅れている。
そこへ通す。
かつて
獄寺は小型爆薬を四本、主爆薬を一本抜いた。
雨の一発が右上のワイヤーへ刺さり、紅蓮を青へ沈める。刃が一枚だけ遅れた。
二発目と三発目が別角度から接続部へ入り、外冠と中冠の間で炸裂する。四発目は晴の死ぬ気の炎で導火線を焼き縮め、内冠の根元へ届いた瞬間に弾けた。
三枚目の盾へ、切っ先が食い込む。
「く、そ……っ!」
亀裂が中央まで走り、穂先が胸へ近づく。
ベルの笑みが深くなった。
「一個だけ穴を開ける気?」
ベルは両腕を引いた。循環していた三層の冠が獄寺の正面へ集まり、ワイヤーが前後へ伸びて三つの輪を同一軸上へ固定する。外冠の刃は正面へ傾き、中冠は逆向きに捻れ、最も小さな内冠は長い穂先へ絞られた。
ヴィゾーネ・テンペスタが尾を振り抜く。嵐の死ぬ気の炎が螺旋状のワイヤーへ流れ込み、外冠と内冠が右へ、中冠が左へ回転を始めた。三層の刃が互いに噛み合い、受け止めた防御を削り、捻り、最後に中心から貫く一本の回転槍となる。
「王子の冠ごと、潰してあげる――!」
ベルが両腕を振り抜いた。
回転槍が突進する。外冠が一枚目を削り砕き、中冠の逆回転が二枚目の亀裂を捻り広げた。内冠の穂先が三枚目へ食い込み、獄寺の胸へ迫る。
獄寺は点火装置を噛み切る勢いで歯を立てた。先行する爆発が外から内へ走り、三層の接続を順に抉る。それでも回転槍は止まらず、三枚目の盾を砕いて内冠の切っ先を胸元まで押し込んだ。
最後のダイナマイトを
「
主爆薬が、四つの爆発跡を一直線に貫く。
内冠の穂先と衝突した。
赤い光が弾け、回転槍は中心から砕けた。
遅れて爆圧が商店街を呑み込む。シャッターが内側へ撓み、看板の留め具が弾け、無数のナイフとワイヤーが火花を引いて路面へ降り注いだ。瓜とヴィゾーネ・テンペスタも炎の縁から弾き出される。
爆煙が、二人の間を閉ざした。
獄寺の耳には、細い耳鳴りしか残っていなかった。
前方に、ベルはいない。
「……!?」
首筋を、冷たい空気が撫でた。
ベルは
「王子の勝ち――!」
獄寺は振り向かない。
「読んでたぜ、クソ王子」
「……え?」
支柱の陰と切れた鋼線の下へ残した小型爆薬。その表面には、瓜だけが拾えるほど薄くマタタビの匂いを擦りつけてある。
爆煙の中を、瓜が走った。
誘導点を踏み、ベルが背後へ立つ角度へ先回りする。小さな身体へ嵐の死ぬ気の炎が膨らんだ。
「瓜――今だっ!!」
瓜ボム。
ベルが振り向く。
「うそ――」
爆発。
右腕が外へ弾かれ、瓜の爪がバトラーウォッチを横切った。亀裂へ衝撃が集中し、硝子に似た破砕音が鳴る。
バトラーウォッチが砕けた。
赤い光が、ベルの指先から漏れる。
獄寺は肩で息をしながら二歩下がる。左肩、脇腹、右腿。傷口が脈打つたび、視界の端が暗くなった。ベルは自分の手首を見た。
「あーあ……」
砕けたウォッチから淡い粒子が浮き、ベルの手首を薄く崩し始めた。
「王子の負けかぁ」
獄寺は返さない。影炎体を倒した時と同じように、身体から離れた粒子が一方向へ吸われていく。色も相手も違う。それでも、動きは妙に似ていた。
「……おい」
「何その顔? 勝ったんだから、もっと喜べば?」
「やるじゃん、隼人くん」
「だから、その呼び方すんなっつってんだろ!」
「ししっ。最後くらい、いいじゃん」
粒子が肩へ届く中、ベルはマーモンのいる方角へ顔を向けた。
「マーモン。報酬、取り逃がしたら許さないから!」
軽い調子のまま、ベルはマーモンのいる方角から視線を外さなかった。
獄寺の喉に何かが引っかかった。人を傷つけ、怒りを見て笑うベルが、消える間際までマーモンの勝利を気にかけている。
ベルが獄寺へ顔を戻す。
「王子を倒したんだからさ。ちゃんとボスの道、開けなよ?」
「……言われなくてもやる!」
「ししっ。そっか」
ベルの輪郭が崩れ、赤い粒子が宙へほどける。それは一筋の流れとなって戦闘領域の奥へ引かれ、獄寺は目だけで行方を追った。
粒子は白い膜の残光へ触れたところで消えた。獄寺はそこで目を止め、疼く左肩を押さえた。
獄寺は歯を食いしばり、XANXUSと綱吉が戦う方向へ顔を向けた。
「十代目……!」
* * *
マーモンは、ベルが消えた場所を見ていた。浮かぶ身体が僅かに揺れる。
「ベルが……」
「負けたな」
リボーンの声は静かだった。マーモンは返さず、XANXUSとスクアーロが残る戦場へ視線を移した。勝つ可能性はまだ消えていない。
そう考える間にも、耳にはベルの声が残っていた。
『報酬、取り逃がしたら許さないから』
ベルは自分の楽しみで戦う。それでも、マーモンが呪いを解く可能性へ手を伸ばした時、同じ戦闘領域へ入った。その事実が、今になって重い。
「……高くついたね」
マーモンが小さく漏らすと、リボーンの目が細くなった。
「まだ続けるか」
「当然だよ。ベルが負けたから引くなんて、一番高くつく。ボスとスクアーロが残っている」
遠くで山本の時雨金時とスクアーロの長剣がぶつかった。三度目の金属音は低い位置で鳴り、直後にスクアーロの怒号が白い膜を震わせる。
獄寺は傷だらけの身体を引きずり、綱吉の戦場へ歩き出した。その背後ではベルのワイヤーが一本ずつ路面へ落ち、最後の銀線が細い音を残す。
その先で、鮫の長剣が燕の肩口へ迫っていた。
【リボーン陣営】
アルコバレーノウォッチ:リボーン
ボスウォッチ:沢田綱吉
バトラーウォッチ:獄寺隼人/山本武
【マーモン陣営】
アルコバレーノウォッチ:マーモン
ボスウォッチ:XANXUS
バトラーウォッチ:ベルフェゴール【敗退】/スペルビ・スクアーロ