仮面ライダーGT   作:カッティングカマター

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2014年編#3-2

2014年編#3-2

 

空気は重く、冷たく、澱んでいた。

どこなのか、何がある場所なのか——それを示す手がかりは、この空間には何一つ存在しなかった。ただ果てしなく続く闇が広がり、わずかに漏れる微かな光も、まるで生き物のように暗がりに吸い込まれ、姿を消していく。床も壁も天井もなく、そこにはただ、暗闇そのものが世界を形作っているかのようだった。

そんな闇の中、四つの影が静かに佇んでいた。

それぞれの姿は輪郭すら曖昧で、闇に溶け込むようにして存在しており、まるで元からこの世界の一部であったかのように自然で、それでいて圧倒的な存在感を放っている。重苦しい沈黙が流れ、四人の間には言葉にできない緊張感が張りつめ、空気さえも震えているかのように感じられた。

やがて、その沈黙を破るように、低く、しかし鋭い声が闇に響いた。

「あの夜……矢切を殺り損なったのは、痛手だったな」

最初に口を開いたのは、左端に立つ影だった。体つきは他の者たちよりも一回り大きく、腕は太く、全身からは力任せな荒々しさが滲み出ている。声には抑えきれない苛立ちと悔しさが混ざっており、話しながらも、両手を固く握りしめ、指の骨が軋む音が微かに聞こえるほどだった。

「あの夜、これで完全に終わったものと思っていた。四年前に我々が受けた損害を、一気に取り返す絶好の機会だったのに……まさか、あの男が最後の最後まであれほどの力を振るうとはな。予想が甘かったと言うしかない」

その言葉に応えるように、隣に立つ二番目の影がゆっくりと口を開いた。こちらは最初の者とは対照的に、背は高く痩身で、動きもなめらかで洗練されており、声には感情の起伏がほとんどなく、機械が話しているかのような冷徹さがあった。

「GTは四年前と比べても更に強化されていた。あの戦力は、我々にとって決して無視できない脅威となった。装甲の強度、出力の高さ、機動力、そして何よりも運用システムの完成度——全てが当時をはるかに凌駕していた。もし矢切があと数年生きて、さらなる改良を施していたとしたら、我々は今頃こうして話をしている余裕すらなかったかもしれない」

二番目の影は少し間を置き、暗闇の遠く、自分たちがいるこの場所とはまったく別の世界——人間たちが暮らす明るい世界の方角を見やるように、視線を上げた。

「矢切は結局命を落としたようだが、問題はそのGTが完全に消滅することなく、どこからともなく現れた若いガキに引き継がれてしまったことだ」

「ガキ……ただの若造だと思って侮っていたら、大間違いだ。昨夜の戦いを見ていれば分かる。まだ使いこなせてはいないようだが、GTの力は確かにそのガキの中に宿っており、場合によっては我々に深刻な損害を与える可能性も十分にある」

最初の影がまた口を挟み、苛立たしげに鼻を鳴らす。

「三原め……」

二番目の影がその名前を口にすると、闇の中にさらなる冷たさが漂った。その名前は彼らにとって、憎悪と共に記憶に刻まれた名前であり、四年前の戦いで多くの損害を与えられた原因の一つでもあった。

「奴さえいなければ、とっくに全ては我々の思い通りになっていたはずだ。四年前も、今回も、いつも邪魔をしてくる。だが今回は、矢切が死んだ今、奴にそれほどの力は残っていないはずだ。問題は、あのガキだ」

「どうする? キング」

最初の影が、少し緊張した声で言った。その視線は、四人の中で最も高い位置に佇む存在に向けられていた。

「俺が今度こそブチのめしてやろうか? ただのガキだ。力だけは受け継いでいても、経験も知恵も何もない。真っ向からぶつかれば、一撃で葬ることなど造作もない。そうすればGTも永久に機能停止する。これで全ての障害は消え去り、我々の計画も滞りなく進められるようになる」

力自慢の影は、自分の提案が最善の策であると信じて疑わない様子で、高い位置にいる存在の答えを待った。他の者たちも口を閉ざし、全員の視線がその存在に集中する。

だが、しばらくの間、答えは返ってこなかった。

「………………」

三番目の影は、最初から最後まで一言も発することなく、ただ静かに立っていた。体の輪郭は他の者たちよりもさらに曖昧で、闇に溶け込んでいるように見え、その存在は確かに感じられるものの、まるで最初からこの場にいなかったかのような静けさを保っている。その無言は、同意なのか反対なのか、それとも何も考えていないのか——誰にも分からなかった。

沈黙が続く中、少し高い位置に佇む四番目の影が、ゆっくりと身動きをした。

他の者たちよりも一回りも二回りも大きなその姿は、闇の中で異彩を放っていた。わずかに差し込む光が後光のように背中を照らし、シルエットが鮮明になるたびに、その体の上部には二つの太く長い角が生えているのが見えた。角は天に向かって鋭く伸び、周囲には禍々しいオーラが漂い、見る者全てに畏怖と恐怖を与える。

これこそが、彼らが「キング」と呼ぶ存在——この集団の頂点に立ち、全ての決定権を握る絶対的な支配者だった。

キングはゆっくりと首を回し、自分の下にいる三人の影を順に見渡した。その視線は冷たく、鋭く、まるで氷の刃で体を切り裂かれるような感覚を三人に与えた。

やがて、低く重たい声が闇全体に響き渡った。その声は単なる音ではなく、空間そのものを震わせ、三人の体の芯まで染み込んでくるような力強さを持っていた。

「いや……まだ殺すな」

短い一言だったが、その言葉には絶対的な権威が込められており、誰も反論することなどできなかった。力任せな影は口を開きかけたものの、キングの言葉を聞いてすぐに黙り込み、不満そうながらも従う姿勢を見せる。

キングは続けて語る。

「確かに、今殺してしまえば簡単だ。一時的な脅威は消え、計画も順調に進むだろう。だが、それでは我々が真に求めるものは得られない」

キングの声には、深い知恵と長い年月を生きてきた者特有の重みがあった。

 

「我々の進化の道のりに、奴がどんな影響を与えるのか。敵として倒すべき存在なのか、それとも……他の可能性があるのか。今すぐ結論を出す必要はない。時間はまだ十分にある。まずは、見極める。」

キングはそこまで言うと、自分の下に立つ三人の中で、青い眼光を鋭く輝かせる影に視線を向けた。その影は他の者たちとは異なり、体の一部がわずかに青く光っており、静かながらも高い知性と機動力を感じさせた。

「頼んだぞ」

ただそう一言告げると、キングは再び無言になり、高い位置に佇んだまま動かなくなった。

青い眼光の影は頭を下げ、低く応えた。

「はい……キング。」

その声には忠誠と決意が込められており、主人から任された使命を全うすることを固く誓っていた。

それからしばらく、闇の中には再び沈黙が戻った。四人の影はそれぞれの考えを胸に秘め、ただ静かに佇み、暗闇の彼方に広がる未来を見据えていた。

人間たちが知る由もないこの場所で、恐ろしい計画と、新たな監視の目が動き出した——それは、紫苑がこれから歩む道が、さらに険しく、危険なものになることを予感させるものだった。

(続)

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