楽園に至るには   作:NTT.T

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ゼハートのレギルス

 

「……馬鹿な!?そんな事が……!?」

 

何故あれが存在しているのだ!?この世界に、EXA-DBが存在しているとでも言うのか………!?

 

シド、それはかつての戦争の記録が残っているデータのような物───つまり、EXA-DBを守護するための存在だ。

 

だが、逆説的に言うなら、EXA-DBが無ければシドが存在する事など、ある筈が…………

 

"………カッコいいんだけどね。流石に喜べないよ、この状況だと"

 

「というか!ゼハートと言い、コイツといい、ロボットみたいな奴来すぎじゃない?!ここミレニアムじゃないんだけど!!」

 

………いや、冷静になれ。対処法を私は確かに知っている。

 

原因など考えるだけ無駄だ。今この場で最も重要なのは───対処法。

 

この無数のユスティナ生徒会の複製(ミネシス)、そして、あのシドにどう立ち向かうか、そこが今最も大事な論点だ。

 

幸いな事に、アイツらはまだ動きを止めている。ベアトリーチェの傲慢さに助けられたな………

 

既に映像は途絶えている。これ以上喋ることなど無いと判断したのだろう……私もこれ以上話したくはなかったから、有り難いとも言える。

 

"………と言うかゼハート?アレが何か知ってるの?"

 

先程の反応から推察したのだろうか、先生が私にそう問いかけて来た。

 

「ああ。と言っても、厳密に言えば異なるのだろうが………」

 

まず、というか根本的な違いだが……シドはここまで小さくは無い。本来ならモビルスーツに相当するレベルの大きさだ。だが、どう見てもこのシドは五、いや七メートルが精々だろう。

 

それに、よく見れば細部の装飾が所々凝っているのが分かる。このような物は見た事がない。

 

尤も、見る余裕が無かったから、という可能性もあるが………

 

「………先生、ここは私が足止めする。もう時間も限りなく少なくなっているのだろう?なら、コレは私に任せてくれ」

 

"……………でも"

 

「駄々を捏ねている場合ではないのだ!!優先順位を考えろ先生!!お前は、ここに何をしに来た!?」

 

"………分かった。でも!無茶は絶対ダメだからね!!許さないから!!"

 

「……感謝する、ゼハート。………どうか、武運を」

 

そう言い残し、先生とサオリ達はこの場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

……ただし、彼女───つまり、聖園ミカだけは残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「………何故、お前はここに残っているのだ?」

 

私がそう問いかけると、彼女は首を少し傾げ、顎に手を置いて考え込み、やがて答えを出した。

 

「んーとね。まず、足止め役は多い方が良いでしょ?後はー……ちょっと気になっちゃったから、かな。貴方の事」

 

「……私の、事が?」

 

「うん。なんか、さっきは何とも思わなかったんだけど………『お前はまだ戻れる』的な事を言ってた時の声がさー……悲しそうに、聞こえたから」

 

「………そうか」

 

………やはり、そう簡単には割り切れない、か。未練がましいな。

 

「…なら、私の昔話でもしてやろう。といっても、余り愉快な話でも何でもないが………お前への教訓にはなるだろう」

 

「え!?いいの!?よーし、何だかやる気出て来たー!!!」

 

………物好きな奴だな。

 

「全く。元気な奴だな、お前は」

 

「………というか、私には『ミカ』って名前があるんだから、ちゃんとそれで呼んで!!良い!?」

 

「ああ、分かった。…………さあ、来るぞミカ。準備は出来ているか?」

 

シドの砲門が此方に向けられる。

 

「そっちこそ!!私のパンチで壊れたりしてない!?」

 

「…それだけ大口を叩けるのなら十分だな。………来るぞっ!!」

 

瞬間、赤黒い光が場を包んだ。

 

その光は敵味方を問わず、ただ破壊の限りを尽くした。

 

Xラウンダーの能力を駆使し、禍々しい光の包囲網を潜り抜けた先にあったのは───辺りが崩れ去り、もはや退路など存在しないほどに埋め尽くされた通路だった。

 

「………何という破壊力だ……!!」

 

破壊力という観点で見れば、間違いなく『教義』と同等……いや、それ以上か。

 

少々侮りすぎたか……だが、これで分かった。形は違えど、アレは間違いなくシドだ。

 

「ちょっと何アレ!?頭おかしいんじゃないの!?」

 

瓦礫を蹴り飛ばし、その場から出て来たミカ。

 

「……ああ、まさかこれほどとはな」

 

だが、どうやらインターバルは存在するようだ。尤も──

 

「また来るぞ!!!」

 

「え!?もう嫌なんだけどー!!!」

 

駄々を捏ねながらも、回避に専念しようとしているミカ。

 

これでは、反撃の隙すら生み出せないというのが現状だな。

 

しかも───

 

「ちょっとゼハート!!空飛んでないでこの……ああもう邪魔!!」

 

地上には、ユスティナ生徒会の複製(ミネシス)が居るという事実が、更にこの場で生存する難易度を上げている。

 

ミカはその圧倒的な力で敵を破壊しながら、いつの間にか回収していたSMGで敵を銃撃していた。

 

その勢い、正に鬼神の如く。

 

……ミカがいてくれて助かったな。この物量なら、私一人では対処不能だった可能性もある。

 

そう思いながら、空中でシドの攻撃を避けつつ、ミカか攻撃されないようにレギルスライフルで複製(ミネシス)の対処をした。

 

……パターンは少し違うが、攻撃手段はやはり、ミサイルか、或いはビームライフルの様なものだけだ。

 

確認していてもそれは………くっ!?

 

「……考え事をする暇すら、与えてくれはしないか……!!」

 

だが、性質は理解した。

 

どうやら何故か、このシドは私にしか殆ど攻撃を仕掛けて来ない。……つまり、ミカなら攻撃を決める事が出来る筈だ。

 

だから………っ!!

 

幾度となく攻撃を仕掛けてくるシド。

 

時に光線は曲がり、網のように変わるその変幻自在な攻撃、その僅かな隙を、攻撃の隙間を掻い潜り、深呼吸をする事で生を実感する。

 

少し横を見ると、光線の熱で抉れ、赤熱化していた壁が辺りにあった。

 

………久しぶりに『死』という感覚と共に歩んでいる気がするな。

 

コレを食らえば、間違いなく甚大な被害があると直感が訴えかけてくる。

 

……ミカがそこまで狙われていないのが幸いだな。私レベルの機動力、そしてシドとの交戦経験が無ければ……この攻撃は回避できない。

 

「………というかゼハート!!何であの……シド?ってやつに攻撃しないの!?このままじゃ先にやられるよ!?」

 

複製(ミネシス)の処理を必死にしながら話しかけてくるミカ。

 

「そうしたいのは山々なのだが……っ!!シドには適応能力がある!!生半可な攻撃をして仕舞えば、今後の攻撃が通用しなくなる恐れがある!!故に、攻撃するなら、そこで決着をつけなければならない!!」

 

「………はあー!!!?何それっ!?滅茶苦茶じゃん!!」

 

そうだ。ハッキリ言って滅茶苦茶という表現が相応しいだろう。

 

適応能力から始まり、ヴェイガンの技術である『見えざる傘』の根源とも言える光学迷彩、曲線を描く光線など、挙げればキリがない。

 

おまけに機動力すら高いのだ。……だが、そもそもこの空間が狭いと言うのも相まって、まともに動けていないのが幸いだな。

 

この空間は縦には広いが、シドからすれば横は狭いからな………完全に運用場所を間違えている。助かったな。

 

それはさておきだ。火力は脅威に値する所がある。どこまで私の知っているシドと同じか判断には困るが……警戒するに越したことはない。

 

「その通りだ!!だからこそ、シドに攻撃するタイミングは私が判断する!合図を出したその瞬間に──ミカ!お前が持つ最高の攻撃で、シドを倒せ!!!」

 

「………分かった!!」

 

……これで、連携は取れる筈。後は、私が隙を作ればいい。

 

かと言って、ミカの側にいるというのは危険極まりない。シドの攻撃に巻き込まれる恐れがあるからな。

 

支援はレギルスライフルに限るだろう。

 

 

 

 

 

 

いや、違うな。

 

 

 

 

 

確かにある。今までは、その選択肢を除外していただけだが………やるしかないか!!

 

「ミカ!!今から十秒!!私のサポート無しでその軍勢をやり過ごしてくれ!!出来るか!?」

 

そう問いかけると、ミカは不適な笑みを浮かべて──

 

「当然!!何なら一分でも何十分でも余裕だよ!!」

 

「……頼もしい限りだな……!!」

 

もう、私に残された戦闘時間も僅かだ………!!ここで、確実に決めるしかない!!

 

シドに攻撃を仕掛けるためには、僅かでも良い、ミカを自由にしなければならない。そのためには、ユスティナ生徒会の複製(ミネシス)を、殲滅するしかない………!!

 

 

 

 

 

 

 

……あの時の感覚を思い出せ、アセムと共に戦い、確かに掴んだ───レギルスの本性を!!

 

 

 

 

 

 

五感の全てを駆使し、空間を把握するために必要な物以外を全て切り捨てる。

 

 

 

 

 

呼吸を、整える。

 

 

 

 

 

私が空中で静止したのを怪訝に思ったのか、はたまた驚異に思ったのか定かでは無いが、今まで以上の密度を持った光線が迫り来る。

 

「……………見える」

 

確かに見える。攻撃の隙が今まで以上に、未来が確かに鮮明に見えるぞ………!!

 

網状に張り巡らされた光線の合間を先程より余裕を持って掻い潜り、挑発するようにシドの周囲を動き回った。

 

すかさず第二波の攻撃とも言えるミサイルが襲いかかるが──ビームサーベルでそれを切り裂く。

 

 

 

 

………空間把握能力が確実にこの短時間で、かつての域にまで辿り着こうとしているのが分かる。

 

 

 

 

「この程度か!?シド!!」

 

 

 

 

五秒経過。

 

 

 

 

だが、此方を漸く脅威であると見做したのか、複製(ミネシス)の銃口が向き始めた。

 

 

 

 

そして、それとほぼ同時にシドの砲門が此方を向き───死の領域が、出来上がる。

 

 

 

 

「………躱し切ってみせる!!!!」

 

 

 

 

銃声が鳴り響き、銃弾が私の四方を囲む──ビームサーベルで刻み、捌ききれないと判断した物はレギルスシールドで防御する。

 

 

 

 

その直後にシドの光線、その一部が私を捉え───右腕部を損傷するが、行動に何ら問題は、ない!!

 

 

 

 

 

 

そして、十秒が経ち────

 

 

 

 

 

 

「掴んだぞ!!レギルスの核心!!」

 

 

 

 

 

 

青く光る複眼が、顕になる。

 

そして、それと同時に、レギルスシールドから溢れてくるは──光り輝く粒子。

 

これこそガンダムレギルスの真骨頂。万物を物ともしない、レギルスをレギルスたらしめる───ビットである。

 

「………行け!!ビット!!」

 

その言葉と共に、私は拡張された空間把握能力を駆使する事でビットを操作し───この空間に存在する全てのユスティナ生徒会の複製(ミネシス)を、殲滅した。

 

仕掛けるなら────間違いなく、ここしか無い!!!

 

 

 

 

 

 

「ミカァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

「………!!うん!!分かった!!」

 

私が呼んだ意図を把握したのか、ミカが上空に飛び上がった直後───ここに来て、ミカにシドの砲門が向く。

 

「………!?ヤバっ……!?」

 

「……マズイっ……!!」

 

………同時に攻撃しようと考えたが───辞めだ!!空中であのままの体勢なら、確実に攻撃される!しかも、あの角度、全ての砲口から放たれる光線がミカの元に集まるようになっている……!!

 

アレが全て直撃するのはマズイ!!

 

スラスターを全力で稼働させ、ミカの前に飛び出す。

 

そして、ミカの手を握り────攻撃に転じられるように、弧を描くように上に投げた。

 

「え!?ちょっと!?」

 

「ミカ!!───後は頼んだぞ!!」

 

言葉の後に、即座にビットでバリアを張った次の瞬間───光が、衝突した。

 

「……ぐっ……!!だが、耐えて、みせる!!!」

 

ビットで構築された光の球ともいえる防御が、貫かれようとしている。

 

神々しい光の隙間から、災いを齎す光が僅かに漏れているのが分かる。

 

このまま続けば、いずれその光は私を焼き尽くすことだろう。

 

………だが、僅かな時間だ!!ミカがシドを直接攻撃するまでの僅かな時間さえ、稼げれば────

 

だが、その僅かな時間さえ、無限に経つことのない時間だと錯覚してしまう程に、限界が差し迫っていた。

 

ああ、痛いな……ビットを制御している脳が焼き切れそうだ。体も、重い……もうとっくに、限界など迎えていたのだろう。自分自身すら騙し切っていただけだ。

 

……意識が今にも途絶えそうになっているのが分かる。今までにないほどの長期の戦闘、そして、因縁(シド)とのこの決戦………意識を手放したい。と弱気になってしまう程だった。

 

 

 

 

 

だが!!

 

 

 

 

 

「それを言い訳にして負けてやる程!!私は甘くは無い!!!」

 

 

 

 

 

意識を無理やり覚醒させる。

 

そうだ、ここで負けて仕舞えば、先生達に危害が加わる恐れがある。何より───ここにいるミカも危険だ。

 

この私がいる限り、そのような目に誰かが遭う可能性など──断じて認めはしない!!

 

決意を固め、防御を力の限り固める。

 

何秒経過したのだろうか、それすら定かではない。だが、確かに時間が経過した次の瞬間────光が、煌めいた。

 

恐らく攻撃はビットで相殺できたのだろう。そのあまりの衝撃に、私は壁に背中を打ちつけ、半ば意識を失いそうになっている中、レギルスが発しているエラー音を聞く。

 

そして、それとほぼ同時に───轟音が鳴り響いた。

 

掠れた視界に映る情報は───ミカが攻撃に成功し、見事シドを地に堕としたという事実を物語った。

 

それを確認し、ミカがシドから離れた事を確認した私は、シドが復帰する前にビットを、僅かな隙間から機体の内部に侵入させ────

 

「これで………終わり、だ」

 

内部から───シドを破壊した。

 

そして───今までに無い規模の爆発が起こる。

 

私はそれを予測し、最後の力を振り絞ってミカをビットで守り、爆発に巻き込まれながら意識を失うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………これって、さっきゼハートが使ってた……」

 

私はあのシド?まあよく分かんないんだけど、聞いてるだけで滅茶苦茶強そうなロボットを地面に叩きつけた。

 

それで、ゼハートが使ってたビット?が中に入っていったと思ったら、突然目の前の敵が爆発した。

 

それがいきなり過ぎたから『駄目かもなぁ』なんて考えちゃって、防御を諦めながら目を瞑って『そういえば痛くないなぁ……』とか『なんか眩しいなぁ……』なんて呑気に考えて目を開けたら───

 

 

 

 

 

さっきの爆発に巻き込まれた筈なのに、私の体に怪我がまるで無い事に気がついた。

 

 

 

 

 

そして、私の体を囲む様に光が漂っていて、少ししたらそれは何も無かったかのように、消えていった。

 

そこで漸く気付いたんだ。『ゼハートがさっき纏っていた物と同じだ』って。だから、ゼハートが守ってくれたんだと思うんだけど………

 

ってそうだ!!

 

「ゼハートは!?」

 

ボロボロになった体を無理やり動かしながら、赤を探す。

 

私が探していた人はすぐに見つかった。けど………

 

「ゼハート、大丈夫!?しっかりしてよ!!」

 

ゼハートは壁にもたれていて、動く気配はまるで無かった。

 

身に纏っていた物は所々にヒビが入り、顔に当たる部分に至っては、顔の一部が完全に露出するレベルで壊れているのが私でも分かる。

 

私は座り込み、その露出した箇所から呼吸音が聞こえるかどうかを確かめた。

 

「………良かったぁ………」

 

呼吸はちゃんとしてる。多分、意識を失ってるだけなんじゃないかな。

 

手当も……してあげたいけど、この上からじゃ無理だよね………結構丈夫そうだし、無理矢理外そうとしたら駄目な気がするし……

 

と、結論づけた私は───背後から、足音が聞こえてくることに気が付いた。

 

振り返ってみると───ユスティナ生徒会、その複製(ミネシス)が、現れていた。

 

流石に少し前の絶望感を感じるような物量では無いけど……見過ごすわけにはいかないよね。

 

「………もう、しつこいなぁ……折角ゆっくり出来ると思ったのにさー」

 

鉛みたいに重い体を持ち上げ、銃を構える。

 

残弾なんて、とっくの前に無くなってる。だから、これはただの威嚇みたいな物。もう体はまともに動く気はしない。さっきの一撃で体力使い切ったからね☆

 

………けど、私の後ろには、身を挺して私を守ってくれた人がいる。私がコイツらに対処出来なかったせいで、先生やサオリ達すら危険になるかもしれない。

 

なら……こんな所で蹲って終われるわけないじゃん!!

 

それに、ナギちゃんにも、セイアちゃんにも。聞きたいことだって、話したい事だって……謝りたい事だって一杯あるの!!だから──

 

「………ここから先は、進ませないよ」

 

不退転の覚悟を決め、少女は立ち向かう。その姿は聖堂の外から漏れた光に包まれた事で、宛ら───天使のようだった。

 

そして、銃口が向けられた、次の瞬間。

 

「…………え?」

 

気が付けば───ユスティナ生徒会の複製(ミネシス)は、霧となって消えていった。

 

まるで、何も無かったかのように。

 

それを確認した私は────

 

「………はぁ……もう疲れたよー」

 

そう言いながら、私はゼハートの隣に座り込んだ。さっきも言ったけど、もうとっくに限界だったしね………

 

「………これで、ちょっとはサオリ達の、先生の助けになれたかな。ちょっとは……赦される、のかな」

 

問いかけても、その答えは誰も教えてくれない。

 

「……そっか。自分で考えるって、自分で歩くって、こういう事なんだ」

 

やっと、ちょっとだけ分かった気がする。………もっと、早く出来たら良かったのかな。

 

そしたら────って、そんなこと考えても意味ないんだけどね。

 

まあ、それはさておき。

 

もうまともに動けないので、寝息を立てながら眠っているゼハートを見守る。………ちょっとだけ、見ちゃおっかな。

 

少し覗き見をしてるみたいで悪気は感じちゃうけど……この後謝るから!!

 

そうして、意を決して覗いてみると────

 

……わーお。

 

「…………さっきは慌てちゃってお顔まで見れてなかったけど……こうやって見ると……結構、その……カッコいい、ね」

 

顔の全体像を見る事は物理的に出来ないけど、こうして見るととてもお顔が整ってるなって思う。うん。

 

「………うん。これ以上見ないようにしよっと!!」

 

なんかこれ以上見たら駄目な気がする。余計意識しちゃう気がする。

 

だって私とちゃんと向き合ってくれて、私の事を何回も助けてくれて、これってまるで、白馬の────

 

「い、いやいやいや!?そんな事ないから!!絶対そんな私チョロくないし!!まだ会って数時間とかだよ!?」

 

………ふう、一旦落ち着こ。うん。

 

何度も深呼吸をし、一度落ち着いた。

 

「………ここまでしてくれなくたって、良かったのにね」

 

貴方はきっと、私なんかを助ける事が目的じゃなくて、他にやるべき事があったんだと思う。

 

だから、あの時私に注意が向いた時も───私を身代わりにして、攻撃すれば良かったと思う。

 

……けど、ゼハートは私の事を助けてくれた。

 

それが当たり前の優しさなんだとしても……嬉しかった。大切にされてるような気がして。

 

爆発した時だってそう。私って結構頑丈だからさ、多分アレも耐えられたと思うんだ。けど………ゼハートは、私の事を身を挺して守ってくれた。

 

多分だけど、ゼハートってそこまで体が丈夫じゃないから、こんなロボットみたいな格好になってると思うんだ。そうしないと、怪我しちゃうからって。

 

そんな体で、私の事を守ってくれた。

 

罪悪感も感じる。こんな私のためなんかにって、そこまで親しくもない私のために何で?って。

 

それでもやっぱり───嬉しかった。

 

だから、これはお礼。………流石に起きてる時は恥ずかしいから、やらないけどね。

 

 

 

 

 

 

そう言いながら、慎重に、壁にもたれかかっているゼハートの頭を、私の膝に置く。

 

 

 

 

 

 

「………やってみたのは良いんだけど……これって休めてるのかな?」

 

顔に集まる熱を逃がすために両手であおぎながら、そんな事を一人で呟く。

 

けど実際気になる。生身だったらその……柔らかいだろうし?寝心地も良さそうだけど……多分これだと、その前に金属に頭が当たっちゃってるから、寝心地悪いんだよね。

 

けど、その………うん!一旦このままで!それに、座って寝るより寝転んだほうがいいと思うし!継続で!!

 

自分の論理に結論をつけた私は、ゼハートに謝った。

 

「……ごめんね、ゼハート。傷付けちゃって」

 

金属特有の冷たさを感じながらも、優しく頭を撫でた。

 

……どんな理由があっても、私はゼハートと戦ったしね。怪我もさせたと思う。もし入院するような事になってたら、すぐお見舞いに行くから!

 

お見舞いするとしたら、どんな物を持っていったら良いのかなーなんて考えてたけど………そういえば、伝えなきゃいけない事は、まだあるよね。

 

そう思った私は───

 

「それと………ありがとね。こんな私を、助けてくれて」

 

……起きたら、今度は面と向かって伝えるから。謝罪も、感謝も。

 

自分の中でやらないといけない事を整理しながら、私はゼハートが起きるまで待つのだった。

 





シド

この世界でも変わらず曲がるビームライフルや圧倒的な物量による攻撃は健在てある化け物。ただ、急遽マエストロがベアトリーチェに文句を言われて作られたため調整が追い付いていない。そのため、機動力などはガンダムAGEのシドと比較すると落ちている。因みに………自己修復機能、光学迷彩、適応能力も当然存在している。

行動目標は『ゼハート・ガレットとの交戦、そして勝利』

はい。という事で、如何だったでしょうか?

個人的なこだわりなんですけど、圧勝ってそこまで好きじゃないんですよね。こういうギリギリの勝利の方が見てて楽しいので、このような形にさせて貰いました。

ミカについては………まあ、本来ならミカを助けるのは先生なんですけど、ここにはゼハートがいるので、こうなるのかな……?って考えながら書いてました。

それでは次回、エデン条約編エピローグです。
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