楽園に至るには   作:NTT.T

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すみません。後1、2話したら過去編やるって話だったと思うんですけど……よくよく考えたら、過去を掘り下げてからやった方が良いかなってなったので、過去編スタートです。

因みに、この時点でゼハートは中学三年に相当する年齢です。

それでは、どうぞ!



追憶 アビドス編
彼を掴んで離さないモノ


 

………夢を、見ている。不思議とそれが分かる。

 

今俺が見ているのは………確かに俺だ。俯瞰して見ている視点だな。

 

これが明晰夢、という奴なのだろうか……

 

それにしても……コレか。この出来事はは苦しくとも、俺がこの世界で歩み出すことが出来た、そのキッカケだ。

 

コレを経験しなければ俺は………今も、罪に囚われていたのだろうな。

 

それにしても、懐かしいな。この世界が自分がかつて住んでいた世界とは別だと認識したのは、確かこの頃からだった事は覚えている。

 

なら、それ以前の俺はどうだったのかと聞かれると……

 

察しの通り、記憶は無かった。恐らくだが……一度思い出して仕舞えば耐えられないと、無意識のうちに理解していたのかもな。

 

微かに記憶があるのは五歳頃だろうか、道端に捨てられていた所を拾われ、そこから長い間、孤児院で生活をしていた。

 

その頃は、かつての記憶などなく、ただ拾われた恩を返すために、孤児院で手伝える事は手伝っていた。

 

なら、なぜ『ゼハート・ガレット』という名前が今世もついたのかと言えば……何でも、名前だけは俺が幼い頃から覚えていたそうなので、同じものになったのだそうだ。

 

今思えば……アレは、己の罪の意識からの逃避、それを己の中で否定していた事の、表れだったのかもしれないな───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば、自分が暗闇に立っていることに気が付いた。

 

夜の暗闇よりも暗い、何も見えない黒だ。

 

……ここには、何度も来たことがある様な気がする。そして、ここへ来る度に、何度も何度も、逃げていた様な気もする。

 

………何かを思い出すのを、恐れている様な気がする。

 

そう。最近は時々、何かを忘れている様な感覚に襲われるのだ。

 

……ああ、そうだ。ここに来た時は、それがより強く感じられた。忘れたくとも、決して忘れてはいけないと、心の中の俺が叫んでいる様な気さえした。

 

微かに何かを掴んだ感覚になった瞬間………無性にここから走りだしたい衝動に襲われる。

 

知らなければならない事実。逃げる事など決して許されない事実。だが、一度知って仕舞えば、取り返しのつかない事実を知ってしまう様な……そんな気がした。

 

だが、その感覚に襲われた瞬間───ふと、自分の手を見た。

 

 

 

 

見て、しまった。

 

 

 

 

────俺の手は、赤で染まっていた。

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

理解が出来なかった。俺は出血などしていない。なら、コレは……

 

動揺しながらも、何処か察していた。……そうだ。俺は────

 

 

 

 

 

 

 

『おいおいゼハート?まさか、忘れたわけじゃないよな?お前がどんな事をやらかしてきたか』

 

 

 

 

 

 

聞き覚えのない(ある)声が聞こえた。憎たらしく、軽蔑していた男の声だ。

 

それと同時に………男は、姿を現した。

 

「………兄、さん……」

 

『相変わらずしょうもない顔してんな。だ、が……お前に相応しい顔って奴だ!お前は、実の肉親を見殺しにして!同僚達を、同志を殺し!その果てに何も得られず、与えず死んだ!そんな奴が幸せそうな顔で生きてるなんて、おかしいもんな?』

 

………ああ、そうだ。思い出した。思い出してしまった。そうだ、俺は、私は、エデンに辿り着く為に数多の命を散らし、その果てに………私は、何を得たのだ?何を……為したのだ?

 

寒気が止まらない、身体が震え、視界がブレる。呼吸すらまともに出来なくなってきた。

 

『イイネイイネェ!!そうだその顔だ!!ちょっと前の何も知らずに【自分は良い事を平然とやってるんですよ?】って澄まし顔でやってたお前より見応えがあって良い!!』

 

『…黙ってないで何か言えよ?つまんねぇなぁ……そうだ!』

 

何かを思いついたのか、兄さんは俺の肩を掴んだ。

 

『ほら、後ろを見ろよ?お前だって本当は察してるんだろ?こんな風にお前に憎しみ、失望、怒り、そんな負の感情を抱いてる奴が………俺だけだと、本当に思ってるのか?』

 

……無理だ(やれ)見たくない(見なければならない)

 

だが、私が葛藤していると───足が、掴まれた。

 

「……ッハァ……ハァ、ハァハァ………!!!」

 

思わず膝から崩れ落ちた。

 

そして────顔を掴まれ、後ろを向かされた。

 

「─────────ァ」

 

『何故ですかゼハート様?私は、貴方がヴェイガンの未来を導くと、そう思ったからこそガンダムを道連れにしたというのに、何故ですか!?』

 

地獄が、そこにはあった。顔の一部が抉れた誰かがいた。全身が焼け爛れ、もはや人と肉塊の区別すら付け難いナニカがいた。四肢のどれかを無くし、苦しみに喘いでいる誰かがいた。

 

まさに屍山血河。その美しくも悍ましい赤に染まりながら、ゼハートは実感してしまった。

 

……彼らは紛れもなく、私が見殺しにした、誰かだったのだと。

 

「ダ、ダズ…!!違う、違うのだ。私は、私はその様な………!!」

 

『まだまだ総司令官を務めるには若かったというわけだな。そもそも信頼するのが間違いだった』

 

『…………私が、命を賭してでも救おうと思った男は……所詮、この程度の男だった、というわけか』

 

「………違う……」

 

『結局何がしたかったんだ隊長さんよー?何にも出来てねぇじゃねえか?アタシらマジシャンズ8を犠牲にして、何が出来たんだ?なんか出来たのか?』

 

『お前のせいで』

『お前がいたせいで』

『信じた俺たちがバカだったな』

『何の為に、私たちは死んだんですか!?』

『何でお前だけのうのうと生きてるんだよ?』

『お前の』

『お前のお前のお前のお前のお前の──────』

 

……無理だ!!耐えられない………!!もう、無理だ……

 

私が犠牲にした死者達に体を掴まれ、怨嗟の声を呟かれていた時に…………私が最後に見殺しにした、私を慕ってくれた者の姿が、見えた。

 

そして、心底□□している様な表情で、彼女は呟いた。

 

『…ゼハート様。何故、貴方は─────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ッハァ!!……ハァ、ハァ…………夢、か」

 

布団から起き上がり、呼吸を整える。

 

………いや、アレがただの夢でない事など、明白だ。

 

「………そうだ。私は『ゼハート・ガレット』……ヴェイガンを導こうとし、数多の同胞を、見殺しにした………大罪人だ」

 

両手を改めて見る。今までは何という事のない普通の手の様に感じていた。私も、ただの子供なのだと。だが………そんな事はなかった。

 

どうしようもない程分かってしまった。私は、この手が血塗られたものだとしても進み、その果てに………何も、成せなかったのだと。

 

何故、私だけ生き残っているのだ………!!私以外に蘇るべき人間はいた筈だ!!だというのに………何故なのだ……

 

……いや、この感情は、隠さなければならない。ここは孤児院で、一度このような私を見れば、心配する者もいる。

 

私は子供などではないのだ。普段通りに孤児院での皆の生活をサポートし、頼られる様なリーダーを演じなければならない。

 

……頼られる様なリーダー、か。笑わせる。私がそのような者になど、なれる筈もないと言うのにな。

 

自嘲しながら朝の支度を済ませ、身だしなみを整えてから、自分がいた部屋から共用スペースまで行く為に階段を降りる。

 

階段から降り、キッチンを見ると、この孤児院の管理者でもあり、私を拾ってくれた恩人でもある人がいた。名前は一応『シスター』と言うらしい。

 

そんな彼女だが、どうやら朝ご飯を作ってくれているようだ。

 

美味しそうな香りがする。思わず食欲がそそられ、子供達もさぞ盛り上がりながらご飯を食べるのだろうと容易に想像できた。

 

少し先の景色に想いを馳せていると、こちらに気がついたのか、彼女は私に話しかけてきた。

 

「ゼハート?相変わらず朝早いね。もっとゆっくりしてても良いのに……」

 

「いや、そういう訳にもいかないだろう……私は、貴女に救われたからこそここに居るのだ。その分の恩は、何か手伝ったりする事で支払わないとな」

 

「……そんな難しく考えなくても良いんだけどね。私じゃなくても、きっと誰だって、あんな顔の子供見たら、何かしたくなるよ」

 

「…………そこまで酷い顔をしていたのか、私は」

 

料理が終わったのか、皿に料理を盛り付けながら彼女は喋る。

 

「そーだね〜……なんかこう、何もかもを失った様な……取り返しのつかない事をしたって感じの顔だったよ。正直、子供がする様な顔じゃないって思ったんだよ?だから、こうして一緒にいてあげたかったって感じ」

 

「………そう、か」

 

……相変わらず、観察眼が鋭いな。たまに彼女の目を見ていると、自分がまるで悪い事をしているかの様に感じる事があった。

 

それはきっと、私が今の今まで忘れていたこの罪を、見透かされるのかもしれないと、思ったからなのだろうな……

 

「ん?と言うか、ゼハートって一人称『私』だったっけ?昨日までは『俺』だった気がするんだけど………なんかあったの?」

 

「………たまにあるだろう。気分という奴だ」

 

「ふーん……そっか。何か言いたくなったら、いつでも言って良いからね」

 

「…………」

 

「………あ!そう言えば、ゼハートって学校行かないの!?ほら、今まで行かせてあげられなかったからさ。ここじゃ教えられない事とかいーっぱい勉強できるよ?」

 

「大丈夫だ。私に学校で学びたい事など無い。この孤児院の経営も大変なのだろう?その手助けでもするさ」

 

「……それは、嬉しいんだけどね……うん、分かった!ゼハートのやりたい様にやったら良いよ!」

 

「ああ、そうさせて貰う」

 

『へっ、正義の味方気取りか?そんな事しても何にも変わんねえのにな?』

 

………幻聴まで聞こえる様になったか。

 

兄さんの声を無視し、料理の配膳を手伝う。

 

テーブルに乗った料理はまさに色とりどりで、ウインナーやベーコンなど、子供が喜びそうな物から野菜たっぷりのサラダなど、栄養面も考えられているのが分かる。美味しそうだ。

 

「さて、それじゃあ食べてて良いよー?私は子供達起こしに行くからさ?」

 

「いや、私も手伝おう。一人でやるよりは、二人の方が効率がいいだろう」

 

「お、嬉しいこと言うねー!ありがとう。それじゃあ、手伝ってくれる?」

 

「ああ、望む所だ」

 

そこから私達は二人で子供達を起こし、皆で食事を食べ終えた後は、各々したい事をしたり、家事の手伝いをしたりしていた。

 

私は、というと……

 

「…………ッハァ……!!ハァ、ハァ……ハァ……」

 

自室の布団に寝転び、胸を押さえていた。

 

駄目だ。このままやり過ごせる気がしない。いつか必ずボロを出してしまう。心配をかけるだと?その様な思い、私が、させる訳には……!!

 

「………少し悪いが、一度外に出るか。気分転換でも、しなければ……耐えられそうにない」

 

私は、向き合わなければならない。己が犯した罪と。だが……果たして、このままやり通せるのだろうか。

 

どうしようもない程死にたい衝動に駆られる。だが、私は生きなければならない。私が、私が死んでしまえば、何の為にここに新たな生を受けたのか、分からなくなる。

 

深呼吸だ。一度冷静になり、いつも通りの私を演じる為に───

 

呼吸を整える。誰にも悟られぬ様に、誰かに心配などかけさせぬ様に。

 

………再び、部屋の外に出た。

 

そして、洗濯物を干していたのか、ベランダに出ていたシスター。手元には空の洗濯物かごがあり、すでに全ての洗濯物を干し終わった事がわかる。

 

「ん?どうしたのゼハート?何かあった?」

 

「……外出許可を貰いたくてな。少し、外に出てみたくなったんだ」

 

「珍しいねー!行き先は決まってるの?」

 

「いや、気の赴くままに歩こうと思っている」

 

「ほーほーなるほど……それじゃあ、コレは必須だね」

 

「………そういえばそうだな。だが、良いのか?」

 

シスターに渡されたのは、一日過ごすには十分過ぎるほどのお金、スマホ、そして拳銃だった。

 

「良いの良いの!ゼハートは頑張ってるし、今まで色々我慢してくれたしね。コレくらい全然使ってくれて良いんだよ?お陰でだいぶここの運営も安定してきたし……寧ろ、強請ってくれたらゼハート用にスマホとか新しいもの買うんだけどなー……」

 

「……流石にそれは、罪悪感が勝つな。それはまた帰ってきてから後の話にしよう」

 

「えー?……分かったよ。それじゃあ、行ってらっしゃい!ゼハート」

 

「「「行ってらっしゃーい!ゼハートー!!」」」

 

「ああ、行ってきます」

 

いつの間にいたのか、子供達の元気な送迎を受けながらも、私は門を潜り、目的地も無いままに足を進めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を気にせず、心を無にして歩いていた。機械的に、ただ前へ進む為の機構と成り下がっていた。そうしなければ、心が耐えられそうになかったからだ。

 

だが、それでも思ってしまう事はあった。

 

人通りの無い路地を進み、時には都市部に出たり、様々な場所を巡った。そのどれもが、私に相応しく無い景色のように思えた。

 

確かに、この世界は異常だ。銃社会が当然の在り方であり、少女達が学校を経営し、実質的な国家を作り上げている。人にとっては生きやすさが変わる事だろう。

 

だとしても……そこにある幸せの形は、私には眩しく見えた。それを見る事ができる唯一の存在が……何故私だったのか、分からなかったのだ。

 

何故私は生きているのか、何故死んだのにも関わらず生き返ったのか、いつまで経っても私は自分を許す事ができなかった。

 

 

 

気が付けば、私は電車に乗っていた。理由は特に無い。ただ、そうだな……強いて言うなら、電車に揺られたかった。

 

この揺れが、不思議と心地よかった。何故そう感じたかは、分かりはしないがな……

 

ガタン、ガタンと、リズムを刻みながら電車は進んでいく。アナウンスが立て続けに流れていく。景色を見ると、青空が広がっていた。

 

綺麗な空だ。………この、心の裡にある泥さえ無ければ、素直に楽しめたのだろう。

 

【次はー終点、終点のアビドスです。お出口は、右側です。ドアにご注意ください】

 

何も考えずに窓の外を眺めていると、いつの間にか終点へと辿り着いていた。

 

「………アビドス、か。来た事はなかったな。丁度良い。一度歩いてみるとしよう」

 

座席から立ち上がり、電車から出る。

 

駅のホームには誰もいなく、少しだけ砂を被った改札を抜けると───寂れた街が、そこにはあった。

 

「…………コレは」

 

酷い有様だ。誰かが住んでいたと思われる家は砂に一部が埋もれ、屋根や壁も崩れ、もはや家としての様相を成していない。

 

何よりも、このような家が、建物が、私が少し見渡すだけで平然と複数あるという事そのものが、この地域が如何に衰退しているかを示す象徴になってしまっている。

 

「……先へと進むか。今はただ、歩きたい気分だ。シスターには後で連絡を入れるとしよう」

 

道路の所々に積もっている砂の感触を噛み締めながら、足を進めていく。

 

そして、10分ほど経過した頃に、少し思った事がある。

 

………暑いな。

 

そう、思った以上にこの場所は暑い。水でも買えば良かったな……だが、自動販売機も見当たらない以上、文句を言っても仕方がないだろう。

 

暑さにやられながらも、先へ進み、一度休憩していると───銃声と、誰かの叫び声が聞こえた。

 

「………!?誰かが襲われている!?」

 

日陰で休む為に路地に居た私は、即座に路地から飛び出し、叫び声がしたと思われる場所まで駆けた。

 

悲鳴をあげた少女がいると思われる道路に出た私は、電柱に身を潜め、少し先の景色を見た。すると──

 

「ひぃん!?ごめんなさーい!カツアゲはご勘弁願いたいですー!」

 

人一人を容易に守れそうな盾を片手に逃げ、浅葱色の髪を揺らしながら走っている少女。その背後には、ヘルメットを被った様子のおかしい少女達が迫っていた。

 

「うるせえ!!私達バリバリヘルメット団の目に入った事が運の尽きだったな!!金目の物をよこせー!」

 

「そーだそーだ!!姉御の言うことには従えってんだよ!!」

 

「だから無理ですってー!!!って痛ったい……!?足挫いちゃったよー……」

 

私が見守っていると、浅葱色の少女は何かに躓いたのだろうか、体を伏せるようにコケた。どうやら、足を捻ってしまい、後がない様子だ。

 

「………助けなければ」

 

このまま見て見ぬ振りをするのは私が許さない。許せない。

 

そうして、足を踏み出そうとするが───

 

『おいおい、今更何しようとしてんだ?まさか、それだけで償える罪だとでも思ってるのか?』

 

兄さん(過去)が、私の足を縛った。

 

「…………それ、は……」

 

正論だった。私は善行を積む事で、少しでもこの罪の意識から逃れたかった。

 

問答を続けているこの瞬間も、浅葱色の少女へ魔の手が迫ろうとしている。

 

それを意にも介さず、嘲るように兄さんは話しかけて来る。

 

『いいかゼハート、お前がやろうとしてるのはただの偽善って奴だ。この世界じゃ、あんな事幾らでも起こってる。そのうちの一つを解決した所で、お前の罪が贖えるとでも?冗談じゃねえ。お前はその手で誰かを殺す事はできても、誰かを助けられた事なんてあったか?無かったよなぁ!?だったらとっとと────』

 

「そうだ」

 

『………ああ?』

 

怪訝そうに、兄さんは目を細める。

 

「確かに、そうなのかもしれんな。私がやろうとしている事は、結局ただの自己満足で、偽善で、他者の事など考えていないのかもしれない」

 

だが───

 

「贖えないからと、目の前で起ころうとしている事を見過ごす事など───出来はしない!!!」

 

その言葉と共に、私は電柱の影から姿を現し、彼女達の元へと走った。

 

音を立てて走ったからか、流石に彼女達も気がついたようだ。

 

「ああ?何だオマエ?」

 

「見ねえ顔だなぁ………コイツからもカツアゲします?」

 

「いいねーそれ!……んじゃ、そう言うわけだからさ?大人しくしてくれや、お兄さん?」

 

にじり寄って来る少女達。

 

「ちょ!ちょっと待ってよ!!その人は関係ないでしょ!?」

 

それを見かねたのか、浅葱色の少女は抗議する。

 

「あー?うっせえよ!!黙っ……てろ!!!」

 

後ろを向き、浅葱色の少女へと銃口を向けた少女達。

 

当然、そんな隙を見逃すはずがない。

 

直後、私は彼女達に一気に近づくと同時に────未来を、視る。

 

「……っ!?しまっ────っ痛ってえ!?」

 

まず、3人いる内のリーダーと思わしき人物の足に自分の足を引っ掛け、体勢を崩す。

 

「っ姉御!?よくも………!!!」

 

「今助けるっす!!」

 

そして、自分たちが攻撃されていると今更理解した少女達は、ゼハートに銃口を向け、発砲した。

 

このままでは攻撃を受けると理解していた私は───

 

「っ痛てててててっ!?お前ら!何私に向かって発砲してんだよ!!」

 

「い、嫌だって、そいつが姉御を盾にしたから………!!」

 

「すいやせん………!!」

 

申し訳ないが、倒れていた少女を盾にし、攻撃を受け切った。

 

その流れのまま。二人の少女達へ、盾にした少女を───力の限り、投げた!

 

「ってうおおおお!?」

 

「待って待って!!??ってうわぁぁ!!?」

 

「ぐえええっ………!!重、い……!!」

 

「誰だ重いって言った奴はー!!!!」

 

「「ひえええ!!!!??」」

 

「………今の内だ!!」

 

少しの罪悪感を感じながら、私は走り、浅葱色の少女へと駆け寄って話しかける。

 

「君!!立てるか!?ここから早く離脱するぞ!!」

 

「………!!う、うん!!」

 

手を差し伸べる。少女は少し動揺しながらも、私の手を握り、立ち上がってくれた。

 

 

そして、彼女の速度に合わせながら肩を組み、彼女達の目が私たちに向いていない隙にその場を離れるのだった。

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……何とか、撒けた、ようだな……」

 

「そ、そうだね………!!ちょっと、流石に、疲れたよ……!!」

 

何とか彼女達から逃げ切り、息を整えるべく、深呼吸をしていた。

 

そんな中、彼女が話しかけてきた。

 

「………ありがとね。私を助けてくれて!私の名前は……って大丈夫!?フラフラしてるけど!?」

 

「………何を、言っているのだ?」

 

何かを話しているのは分かるのだが、声がどこか遠く聞こえる。

 

意識が、朦朧として来る。普段は経験しないような暑さ、そして普段はしないような戦闘を経て、私の体内にある水分、或いは塩分が枯渇していたのだろう。

 

………マ、ズイな、コレ────

 

「………ってええ!?ちょっと待って倒れちゃったんだけど!!ど、どうしよう………!!そ、そうだ!!で、電話………ホシノちゃん聞こえる!?今────」

 

そして、彼女が何を話しているのか分からないまま、私はそのまま意識を失った。

 





やっぱりゼハートって真面目で優しいので、そんな簡単に自分のやらかした事を振り切れないと思うんですよね。なので、こんなふうに苦しんでもらいました。

早く書き切って、ミレニアム一章とか二章やりたいなぁ……

それでは最後に、また次回お会いしましょう!
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