………ああ。きっとここで終わるんだろうなぁ。
曇り空を見上げる。普段は必要ないくらい暑いのに、今日は少し寒く感じた。
結局、私はただ騙されただけで、あと少しすればきっと全てが終わる。
…………ゼハートくんが『アビドス砂漠は危ない』って、言ってくれたのになぁ……
体は水分不足を訴えかけてくる。酸素を取り入れる為に呼吸は荒くなり、尚止まることはない。……コンパスも忘れたし、ダメダメだなぁ、私。
白き蛇は動きを止め、光が輝き始める。それは破壊の光。目的、いや、使命に不必要なものを排除する為の光。あと数秒もすればここ一帯の砂は溶け、硝子になるだろう。
……馬鹿だったなぁ、私。あんな怪しい人の事を信じて、少しの間だけでも、一緒にいてくれた友達が言った事を、蔑ろにして……
でも、そんな事をしてでも見せたかったの。ホシノちゃんに、奇跡を。
確かに、世界はどうしようもないほど私達に厳しくて、心がすり減って痛くなる事もあった。何も出来なくて、何も果たせなくて……なんでこんなに頑張ってるのかなって思う事もあったけど。
ホシノちゃんと、ゼハートくんと過ごした、学校で、色んなところであの日々は、私にとっては奇跡みたいなものだった。
とっても愛おしくて、優しくて、私の心を包んでくれるような、そんな、優しい思い出。
……きっと、私がそう思ってただけで、ホシノちゃんにはきっとそう思えなかったんだと思う。
だから、私なりに考えたんだ。簡単に返せないような借金を返せば、ホシノちゃんも楽になって、奇跡はあるって、信じてくれるのかなって。
………けど、結局待っていたのは、目の前に立ち塞がるどうしようもない現実だけで、私が思い描いていた
逃げられるのなら今すぐ逃げたい。でも、もう体が動かない。盾に体重を預けて立つのがやっと。私にしては結構耐えられたけど、それもここまで。
………なんて、割り切れないよ……!!
もっと、頑張りたかった。もっと、みんなと一緒に笑っていたかった。砂祭りだってしたかったし、もっと柴関ラーメンも行きたかった………仲直り、したかった!!
こんな終わり方なんて……あんまりだよ………!!
「………いや、だなぁ……」
思わず涙が零れる。雫は何も無かったかのように砂漠に溶け、跡形も無くなった。それは、まるで今抱いているこの感情も意味がないのだと、訴えかけてくるかのようで。
それがどうしようもなく、嫌だった。
そんな感情を読み取る事もなく、白き蛇は光を解き放つ─────
「…………あれ?」
おかしいな?てっきりレーザーみたいなの撃たれそうだったから、死んじゃう前に熱くなったりするのかなぁって思ってたんだけど……
でも、感じるのは、倦怠感と、焼けるような暑さ、そして。
「大丈夫か?ユメ」
「………ホント、いつも私の事を助けてくれるよね。まるで王子様みたい」
「……王子様であるかは分からないが………俺は、お前の友達だ。なら、助けるのは当たり前、だろう?」
「…………うん!!!」
今の私をお姫様みたいに抱っこしてくれて、いっつも優しくしてくれる───大事な貴方の、温もりだった。
◯
……どうにか間に合ったな。
少しの安堵と共に、心の中でそう呟く。
あの光が見えた瞬間、全力で走っていた俺は更に勢いをつけ、なんとかユメを助けつつ、俺も回避することに成功した。
………だが、次回避出来るかと問われれば、正直怪しいと言ったところだろう。
「……ユメ、逃げられるか?」
既に下ろしたユメにそう問いかける。……啖呵を切ったのは良いが、俺に出来るのはせいぜい時間稼ぎだ。
なら、一度ここで離脱してもらうしか………
「……ごめんね。もう、体が、動きそうになくてさ。立ってるのが、やっとなんだ」
申し訳なさそうに、そしてもう限界なのだろう。息を切らしながら顔を歪めたユメ。
「なら、コレを」
未だ佇む白い蛇を警戒しながら、水とコンパスを手渡す。
「今手渡せるのはその二つだけだ。それでなんとかやり過ごしてくれ」
「………ゼハート、くんは?」
「俺はアレを引き付ける」
「……無茶、だよ……!!ゼハートくん……!!」
……きっと、心配してくれているのだろう。動かせないと言っていた体を引き摺りながらも、ユメは俺にそう訴えかけてくる。
「………ああ。無茶なのは承知の上だ。だが、休んでいてくれ。安心しろ。私はアイツに勝とうとしている訳ではない」
ヘルメット団の一員から貰ったARを握り締め、戦闘に移行する準備を整える。それに気が付いたのか、敵も少し動き出した。
「……うん!分かった!それじゃあ───行ってらっしゃい!」
ユメがどんな事を考えていたのか、その言葉だけでは分からなかった。だが、そう伝えられたのなら。
「………ああ。行ってきます」
帰って来なければ、な。
その言葉と、誓いと共に、私は砂漠を駆け始めた。
私の事を警戒しているのか、好都合にも目線は私を追尾する白い蛇。それと同時に、攻撃対象を私に定めたのか、身体もこちらに向けてきた。
一先ず、ユメに攻撃の矛先が向かないように、私に注意を惹きつけなければ………!!
そう思い、敵を攻撃する。が………
「……当然のように、攻撃は効かない、か」
見たところ、損傷しているようには見えない。やはり、あの装甲は相当耐久性があると見て間違いない筈だ。たとえ攻撃が効いていると仮定したとしても、せいぜいかすり傷のようなものだろう。
だが、これで────
『─────────!!!』
「……一先ず、最初の目的は達成したな」
コレでユメに攻撃が行く事はそうそうない筈だ。アレに知性があるのかは分からないが、見たところ機械仕掛けのナニカだ。高度なAIを搭載していてもおかしくはない。
なら、ユメは無視される筈だと、私は考えた。事実、致命傷、と言うよりまともに動けないほど疲労しているユメより、確実に私を排除しなければならないと奴は判断した。
さあ、ここからが正念場だ。
先程の光線、或いはそれに近しい威力のものが来たら最後、躱わすか対処をするしか私の生き残る道はない。
敵の攻撃を見定める。動作の一つすら見逃さないように、確実に相手の攻撃に対処できるように。
瞬間、敵は側頭部にある射出口らしきものから───ミサイルを射出してきた。
狙いは当然、私だ。
直撃しないように、砂に足を取られないようにしながらも、確実に私が出せる全速力で走り抜ける。
普段はしない砂漠での戦闘、慣れることなどありはしないが、慣れなければ間違いなく死ぬ。
思考を巡らせる中、蛇は虎視眈々とその眼を光らせ、確実に私に攻撃を当てようとしていた。
要するに────
「………っ!!追尾式か!!」
確実に先程の軌道から外れてこちらに向かって来ている……!!ならば────!!
数多の可能性を視る。何も出来ずに攻撃が直撃する未来、対処をしようとしても出来なかった未来。
そして────
「─────ここだ」
ミサイルの軌道を予測し、撃ち抜く。
同時に、爆発の衝撃によって他のミサイルも誘爆し、大きな花火を散らした。
私は発生した衝撃波に吹き飛ばされないように身体を保ちながらも、爆風に隠れた敵の動向を探る。
………さあ、次はどうする?
すると、煙を突き破り、再びミサイルが私に降りかかった。
「………芸の無い奴だな!!」
いくら私のXラウンダーとしての力が衰えたとも、同じ攻撃を射抜けない程衰えたつもりは無い!!
先程の経験をもとにして、私はミサイルを2、3個程空中で爆発させ、他のミサイルによる被害を未然に防いだ。
そして、再び煙が出来た。
……何だ?一体何が狙いだ?……いや待て、この音────!!
突如こちらに、轟音が近づいてくるのが分かった。
感覚に身を任せ、即座に走り、受け身を取れるように飛び込む。
すると、煙を突き破り────蛇は私が先程いた場所にその身を突撃させて来た。
「…………成程」
立ち上がりながら、私は考える。
確かに、それが一番厄介な行動だ。私は奴に対抗できる攻撃手段を持ち合わせていない。更に言えば、あの巨躯を用いた質量で攻撃、或いは突撃されれば………どうなるかは、簡単に想像できるだろう。
まず間違いなく、致命傷は負う。そして、致命傷を負うという事は───攻撃の矛先が再びユメに向かう可能性がある事を示唆している。
当然だ。今まではまだ動ける私を警戒しているからこそ私を攻撃しているのだ。なら、そうでなくなれば私を始末し、ユメを攻撃するようになるのは当然の流れだ。
故にこそ、私は攻撃を喰らうわけにはいかない。
………時間を稼ぐのだ。私ではコレは対処のしようがない。撃退も無理だろう。攻撃はまともにやれば通らないのだ。
私の方を振り返り、正面に向き直る蛇。何を考えているかは当然のように分からない。そもそも、何故この様な奴がこのアビドス砂漠にいるかも分かりはしない。
……無駄な事を考えるのはやめろ。今は───!!
「………っ!!もう一回か!!」
再びその身体を質量兵器として用いようとしているのか、私にぶつかろうとしてくる敵。
………どうする?躱わすだけでは意味が無い。いずれ読まれてしまう。
直感だが、その様な気がした。ただ対応するだけでは、いずれ私の対応にすら対処してくる様になると………なら!!!
攻撃を無理矢理通すまで!!
敵の行動を見る。どこに突進してくるか、どの様な軌道かを見る。
地響きが鳴り響く、勢いによって移動の経路にある砂は勢いよく飛び散っていく。
ユメがかなり遠くにいるのが見える。………これなら、大丈夫だ。
「────見えたっ!!!」
私はあと数ミリ左にずれれば、突進が直撃しているという所で躱わしきり───その身体にしがみついた。
「………ぐ、ううぅ……!!」
耐え、ろ……!!こうしてしがみついて………!!コイツの上に、乗る………!!
何とか自身の体重を腕で支え、蛇の上に乗る事に成功した。なら……!!
「……ハァ、ハァ……さあ。ゼロ距離なら、どうだ?」
揺れる地面に体重を預け、落ちない様にしながら、銃を構え、撃つ。狙いは当然、装甲の隙間、必然的に隙が出来る────関節部だ。
『────────!?』
流石に少しは効いたのか、私が乗っても反応しなかった蛇は、痛みから逃げる様に暴れようとした。
それを察知した私は、即座に間接部にピンを抜いた手榴弾を投げ込み、再び砂の大地に降り立った。
『────────!?!?』
蛇は更に身を悶えさせ、その巨躯で地響きを起こしながら暴れた。その余りの衝撃に、辺り一体が衝撃によって上空へ飛んだ砂へと包まれた。
………ダメージは、与え、られたが………
「……もう、そろそろ、限界だな」
肺が酸素不足を訴えるように、痛みが襲ってくる。息が切れているのが分かる。視界が僅かに霞んでいるのが分かる。Xラウンダーの力を行使し過ぎた事による頭痛が、襲い掛かってくる。
何より────
「………攻撃の維持が、このままでは出来ない」
仮にこのまま攻撃を先程と同じ様に続けるとしよう。確かに攻撃は通るだろう。だが、いずれ必ずコレは読まれる。
……銃弾も、無限では無いのだ。このまま攻撃を続ければ、まず間違いなく弾薬切れになる。
手榴弾も、もう無い。そもそも使う事を想定していなかった。たまたま爆発しない様に保持していた物があったというだけの事。
………それに、今あの光線を放たれれば……避け切れる自信がない。
今まではどれも動作が分かりやすかった。突進も、ミサイルも、速度はそこまででも無かった。
だが………あの光線だけは、話は別だ。
先程ユメを庇って避けられたのは、私の体力がほぼ全快だった事。勢い良く助走をつけられた事。そして敵は完全に狙いを定めていた為、攻撃をずらすこともしなかった事が噛み合っただけだ。
今は砲口を冷却している為か、或いは何かしらの狙いがあるのか、あの光線を放っては来ていないが…………
……いや待て。まさか………!!
脳を酷使した事による激痛を無視して、私は未来を視る。
…………!!これ、は………!!まさか……!!
「ユメ!!!今すぐそこから離れろ!!!」
私はその言葉と共にユメの元へ駆ける。
私が視た未来は────ユメが、再び光線を撃たれる未来だ。
砂塵の隙間を縫う様に、光が漏れているのが分かる。恐らく、光線を放とうとしている。
「…………くっ……!!」
駄目だ。このままでは、ユメと共に避ける事までは出来ない……!!私の声が聞こえたのか、ユメも動こうとしているが………立ち上がれていない……!!
……成程、アレを直ぐにやろうとしなかったのは、確実に攻撃を当てる為。疲労で私が弱りきったその瞬間に、私がユメを庇う事を理解して、確実に攻撃を当てる為か……!!
本当に機械がその様な機敏を持ち合わせているかは分からない、私の行動から分析しただけなのかもしれない。
だが、そうなのだとしても────私にとって、最悪の一手である事に変わりは無いだろう。
駆ける、駆ける駆ける────!!!
どれほどの速度で駆けたのも分からない程、どれほどの時間が経ったかも分からないが、私はユメの前へと立った。
「………ゼ、ゼハートくん!!私の事はいいから……!!逃げて!!」
後ろを振り返ってみると、少しは体調が回復したのか、顔色は多少は良くなったが、それでも尚全快には程遠いのだろうユメが、私に叫んでいた。
「………………」
……確かに、逃げるのが得策だろう。分かっている。このままでは、二人とも死に至ると。………人の数だけ数えれば、私が逃げた方が被害が軽微になる事は、分かっている。
………だが。
「………言っただろう。私は、お前の友達だと。友達が死のうとしているというのに手を伸ばさない奴が、何処にいる?」
その言葉と共に、砂に少し埋もれている盾を拾い、構える。
……きっと、アセムがあの時手を伸ばしてくれたのも、何度も訴えかけてくれたのも……私の事を、助けようとしてくれたからだ。
なら、何故それを見た私がそれを実行出来ないなどと宣える?否、出来る筈がない……!!
「私は……守り切ってみせる!!!」
覚悟を決めたと同時に、光が臨界を迎え─────死を齎す光線が、解き放たれる。
盾を構えると、体に流れていた力が盾に吸い込まれ、それを元にして私達を囲う様にバリアが形成された。
瞬間、膨大な質量が私を襲った。
「………ああっ……!!ああ゛っぁぁっ!!??」
駄目だっ……!!バリアが薄い……!!コレでは、持たない……!!
即座にバリアに亀裂が走る。
………やはり、そこまで、容易に耐えられるわけでは……!!
体が衝撃で吹き飛ばされそうだ。この世界で授かった身体能力がなければ、まずここまで踏ん張れなかった。
……だが、それでも耐えられない……!!
体がのけぞる。それに対抗する為に、下半身に必死に力を込める……!!
更にバリアに罅が入る。………駄目、なのか………!!
……私に、力があれば……!!皆を守れるだけの、力があれば………!!
傲慢なのは分かっている。だがそれでも、願わずにはいられなかった。
私の大切な人を、友達を、手の届く人を……助けられるだけの、力が………!!
「………ゼハートくん!」
背中に手が添えられる。力が出せないなりにも、私を支えようとしてくれているのだろう。
「……大丈夫!一緒に生きよう!!頑張ろう!!私も……こんなだけど、頑張るから!!……さっきまでは、心が折れそうだったけど、ゼハートくんとなら────!!」
背後からそんな声が聞こえる。どんな顔をしているかは分からない。泣きそうになっているのか、苦痛に顔を歪めているのか。
ただ一つ分かる事は────ユメが、絶望していないという事だ。
……なら、私も諦めるわけには、いかない………!!
だが、そんな事を誓おうとも、神が微笑むわけでも、都合の良い事が起きるわけではない。現実は何処まで行こうと、残酷で、どうしようもない事だらけだ。
だが、奇跡が起こるとするなら、それは。
これまでに紡いできた、確かな軌跡、絆による物なのだろう。
背後から、とてつもない気配を感じる。そして、その気配は着実に近づき、私の頭上を何かが通り過ぎた様に感じた。
それが、誰かが飛び上がったからなのだと気が付いたのは───
いつの間にか晴れた青空に浮かぶ、桃色を見てからだった。
◯
「…………早く、早く……!!」
執念で体を動かす。今の私は確かに体調が完全に回復しているわけではない。だが、だとしても、この体を動かさなければ───ユメ先輩が、ゼハートが、死ぬかもしれない。
私が起きた直後に、机に置かれていたゼハートの書き置き。
『私はアビドス砂漠に向かう。ホシノも体調が回復すれば向かってくれ。一人より、二人の方が探す効率も上がる。頼むぞ』
何故だろうか。それを見た瞬間にいつもの装備を持ち出し、勢いのままに飛び出したくなる衝動に駆られた。
私はそれに身を任せ、アビドス砂漠に着き、足を進めた。
そして────爆発音が鳴り響いたのが分かった。
「………ユメ先輩!!ゼハート!!」
その音を聞き、私が砂漠を駆けた先に見えたのは────白い蛇と、それに立ち向かおうとしている、満身創痍の二人だった。
………は?
最初に湧いたのは、素直な疑問。そして────怒りだ。
「ふざ、けるな…………!!」
その怒りに身を任せ、敵の近くまで寄った瞬間に────私は足に力を込め、飛び上がった。
けど、これだけじゃ足りない。
そう思った私は、背後に爆発する直前の手榴弾が来る様に投げ───その爆風で更に飛び上がる。
痛い、訳がない。こんな物、ユメ先輩やゼハートが感じた物には遠く及ばない。
光線を発射していた白い機械仕掛けの蛇は、それに気付き、光線を照射するのをやめたが────もう、遅い。
「私、の………私の!!!!」
蛇の頭に着地し、私は─────瞳に、ありったけの怒りを込めて、銃弾を放つ。
放つ、放つ、放つ放つ放つ放つ!!!!
『────────!?!?!?』
足元が不安定になるが、そんな物関係なしにリロードし、何度も何度も撃つ!!
「私の大切な人、達に、お前は何を………!!!」
レンズが壊れる。火花が飛び散る。関係ない。そんなの、関係はない!
ユメ先輩は、おっちょこちょいで、馬鹿で、どうしようもない人で、詐欺にも引っかかるけど……!!私の事を、ゼハートの事を、誰かの事を一生懸命に考える、とても優しい人なんだ!!
ゼハートは、短い間だけど、優しくて、真面目で……私の事を、見てくれた!こんな面倒くさい私を!ユメ先輩みたいに!!
私が大好きだって言った鯨のキーホルダーも、くれたんだ!そんな人達を、お前は……!!
「何を、してるんだ!!お前はああぁぁ!!!」
止めの一撃を放ったと思った瞬間に、爆発が起こる。私はその爆風によって足場を失い、落ちる最中に、あの蛇が何処かへいった事を確認して────
「………………ホシノ」
「……全く。私ならあの高度から落ちても大丈夫だって、貴方は知ってた筈ですよ?なのに、こんな無茶をして………」
……それに、お姫様抱っこなんて、恥ずかしいです。
「……俺達を助けに来てくれて、ありがとう」
けど、その一言が聞けたのが、どうしようもないほど嬉しくて。恥ずかしさなんて、飛んでいってしまいました。
「……うへへ。それは、私の方こそです。ゼハート。こんな私に、奇跡はあるのだと教えてくれて……ありがとうございます」
その言葉と同時に、私は自分の足で地面に立ちました。
向かう先は───ユメ先輩の元です。
……そう思っている筈なのに、足が、進みません。
怖いです。もしも、ユメ先輩に嫌われていたら?だって私は、あんな事を………
「………ホシノ。ユメは、お前の事を嫌ってなんかいない。だから───お前のやりたい様にやれ」
思い詰めていると、優しい声が聞こえました。
「……はい!!」
私はその言葉に背中を押されて、座り込むユメ先輩の元へ行きました。
「……ユメ、先輩。私は────」
「ホシノちゃん!!」
「は、はい!!」
私がその声量に思わず驚きながらも、見たユメ先輩は……とても嬉しそうに、泣いていて。
そして、それを視認したと同時に、ユメ先輩は私に抱きついてきました。
「………ごめん、ね……!!ホシノちゃんの事も、考えずに、あんな事、言っちゃって………!!ありがとうね……!!助けに来てくれて……!!」
私は、その言葉を聞いた瞬間。思わず泣いてしまいました。
「……私も……ごめんなさい………!!ユメ先輩が、どんな風に考えてるかも、知らずに、あんな事を……いって、しまって………!!」
抱きしめる力を強める。………良かった……!!本当に、良かった!!こうして触れ合えて、こうした声を聞けて……!!本当に、良かったです……!!
「……うん……!!帰ろう!ホシノちゃん!ゼハートくん!私達が掴んだ、
「…はい……!!」
私達みんなで掴んだものの大切さを、ようやく理解して噛み締めながらも、私はそう返事しました。
……尚、ゼハートはとっくに限界を迎えていたのか、気絶していたのに気が付いた私達は、慌てながらも、なんとか病院へ運んだのでした。勿論、ユメ先輩も入院させました。
ユメ先輩の盾
アニメでもゲームでも、ホシノが盾を展開していた時にはバリアを張っていました。多分ですけど、神秘を持っている人なら誰でも……というわけではないですが、ゼハートとユメ先輩もこれが出来ると思います。けど、流石にホシノの様に簡単に防ぎ切れる訳がないので、結構苦戦してる感じにしました。
よし!なんとか書き切ったぞ……!!ビナー君とゼハートがどうやって戦うのかマジで想像がつかんかったけど……!!多分こんな風に攻撃を回避しながら攻撃を積み重ねる事でしょう!きっと!
まあ、それでも流石に勝てる訳ないんですけど……暁のホルスがいれば万事解決って事ですよ!
余談ですけど、今までの過去編でゼハートの一人称が『私』だったのは、かつての過去に囚われていた事の象徴です。それからやっと多少は解放されたので『俺』という一人称を使う様になりました。
良かった良かった……いや良くないな。なんで毎回病院に運ばれてるんだ、私の書くゼハートは……?
それはさておき、ここまで見てくださった方々。そして、高評価やコメント、お気に入り登録をしてくださった方々!ありがとうございます!
それでは次回、アビドス過去編エピローグです!気長にお待ちください!
アビドス過去編の後に何書いて欲しい?
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ミレニアム編一章(時系列的には過去編)
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ミレニアム編二章