お久しぶりです。最近は色々と立て込んでいて中々投稿出来なかったんですが、そろそろそれも終わりそうなので、投稿のペースは上がると思います。
良ければ見てやってください。それでは、どうぞ!
"さーて、そろそろ着くかなぁ〜"
そう呟きながら、私はミレニアムの廊下を軽くステップを刻みながら進んでいた。
そんなルンルンな気分で向かっている場所は当然、エンジニア部だ。
なんでエンジニア部に向かっているのかと言われれば…………彼、ゼハート・ガレットくんに会う為だ。彼はこのキヴォトスにおいて唯一の『男子生徒』であり、エンジニア部で活躍している生徒……らしい。流石に気になるよねー。
と言っても、噂というか、モモイ達に聞いただけだからそれ以上は分からない。事前に調べてから行っても良かったけど……それは現地でどんな子なのかを知ってからでも遅くはないし、何よりどんな子なのか会ってみたかったって事もあって、こうして足を進めてるんだよね。
後知ってる事と言えば………黒服が気にかけてるって事ぐらいかな?
私はてっきり、黒服はホシノくらいにしか興味がないのかと思ってたんだけど………どうやら、そうでもないみたいなんだよね。認めるのは癪だけど、黒服が気にかけてるって事はそれ相応の『何か』が彼にはあるって事だと思う。それが何なのかは、これから確かめれたらいいな。
……黒服、何かまた企んでないと良いんだけど……いや、これ以上アイツについて考えるのはやめよう。せっかく気分が良かったのに台無しになるから。
一度考えをリセットしようする為に頬を叩き、再び足を進めると……ミレニアムの子が私に元気よく話しかけて来てくれた。
「あ、こんにちは先生!」
……うん。ちょっと道合ってるか不安になって来たし、一旦聞いてみようかな。
そんな事を考えながら、私はその子に返事をした。
"うん、こんにちは。……いきなり質問して悪いんだけど、この先ってエンジニア部の部室で合ってるかな?"
私がそう質問すると、その子は少し考え込み、私に返事をしてくれた。
「えーっと、エンジニア部の部室、ですよね?それなら……はい、この先であってますよ!」
……良かったー。いや、最近アビドスで迷子になったばっかりだから、迷子にはちょっとトラウマが……ね。いやまぁ、ここで迷子になっても遭難はしないんだけどね。
"そっか。ありがとう。いやー、ミレニアム最近来たばっかだからまだそこまで詳しくなくてね。助かったよ"
「いえいえ!助けになれたのなら何よりです!それでは、また!」
"うん。また!"
一人の生徒に道を教えて貰い、再び足を進める。……早く行きたいなぁ、ゼハートのことが気になるのはそうなんだけど、何より、どんな発明品があるんだろう……気になるー!!なんかロボットとかいたりしないのかな……!!
『………先生!このスーパーアロナちゃんの事を忘れてませんか!?』
妄想を肥大化させていると、シッテムの箱から可愛らしい、子供っぽい声が響く。鞄の中にしまってある『シッテムの箱』を取り出してみると、頬を膨らませながらこちらをジト目で睨んでいる少女の姿が映っていた。
彼女の名前はアロナ。この摩訶不思議な遺物である『シッテムの箱』のOSらしく、戦闘の時はバッテリーを消費してバリアを張ってくれるし、色々と頼りになる子だ。……まあ、時々ポンコツになるけどね。
『先生!聞いてますかー!?』
"ん?あーそうだよね。やっぱりロボットはロマンだよね!"
『そうですか?先生が楽しそうなのは分かるんですけど………って、全然話聞いてないじゃないですかー!』
バレたか……
"ごめんごめん!それに……ほら、もうエンジニア部の部室も目の前だよ!"
『……それもそうですね!』
よし。なんとかアロナの気も逸らせた事だし、早く入ろっかな。
シッテムの箱を鞄に再び収納し、少し服装を整えながら部室のドアの前に立つとセンサーが私を感知したのか、電子音が鳴ると共にドアが開いた。
「ん?お客さんかな?………これはこれは、もしかして君が『先生』かい?」
丁度何か作業をしていたのだろうか、こちらを振り返り額の汗を拭いながら私に返事をして来た紫髪の少女。
"うん。私がその『先生』だよ。ここがエンジニア部で合ってるかな?"
「ああ、その通りだとも。私の名前は白石ウタハ、エンジニア部の部長で、当然ここはマイスター達の集まる『エンジニア部』だ。名前の通り、色んな物を発明しているんだ」
"……うわぁ……!!すっごい色んなものがあるね!!見てるだけでワクワクするよ!"
辺りを見渡すと、数多くの発明品があるのが分かった。その数は膨大で、一体どれ程考えればこれだけの量の発明ができるのか気になる程だった。
私がそんなことを考えていると、ウタハは立ち上がり、こちらに向き直って来た。
「そう言ってくれるなら、マイスターとしても鼻が高いね。でも、見てるだけで満足してて良いのかい?良ければ少し説明でも──────おや、遅かったね、
「ああ、少し
ウタハがそう言うと、背後から声が聞こえて来た。……今ゼハートって言ってたよね?って事は……
誰でもできるような予想をしながら背後を振り返ると………なんか、物凄いイケメンがそこにいた。綺麗な銀髪で、琥珀色の瞳、おまけに身長まで高いし……え?凄いな本当に………前々から思ってたけど、やっぱりこのキヴォトスって全体的にみんなこう、可愛いしかっこいいよね。不思議だなぁ……って、そんなこと考えてる場合じゃ無いか、自己紹介くらいは済ませとかないと。
少し自分を自戒しながら、私は彼に話しかけた。
"ううん、そんな事はないよ。……所で、君もエンジニア部の生徒って事で良いのかな?"
凡そ分かっている事実ではあるけど、警戒されたくないし、知らないふりをしとこうかな。なんてことを考えながら私も話をし始めた。
「そうだな。俺の名前はゼハート・ガレット、エンジニア部所属の二年だ」
やっぱりそうなんだ……
"私は『先生』だよ。よろしくね"
「ゼハートも聞いた事ぐらいあるだろう?あの先生だよ」
ウタハがそうゼハートに伝えると、ゼハートは少し考え込んで、心当たりがあったのか少し表情をハッとさせて私に話しかけて来た。
「………それはまた、随分な有名人が来たものだな。残念ながら、ここに客人をもてなせるような設備は整っていないのだが、大丈夫か?」
"ううん、全然大丈夫だよ!それに、君たちがどんな物を作ってるのか気になってここに来た訳だしね!"
「そうか、それなら何よりだ。ここで開発された物は沢山あるからな。飽きさせないようなものばかりだろう」
"だね!見てるだけで楽しいよ!………後は、ロボットとかあったら尚良いんだけどなぁ」
欲望を呟いてみると、心当たりがあるのか、ウタハは口を開けて私に話しかけて来た。
「ロボットかい?それなら、ゼハートが今作っている物がそれに当たるんじゃないかな。後は……この、雷ちゃんかな。戦闘する時なんかはこれで支援したりするんだ。と言っても、流石に戦闘は門外漢だから、それ以上の事はできないけどね」
いつの間にかウタハの側にいた小さいロボット。………おお……こんな感じのロボットもいるんだ!確かにこれはこれでアリかも!
なんてテンションを心のうちであげていると、少し聞き捨てならない言葉があったことに気がついた。
"……ん?そう言えば、ゼハートもロボット作ってるんだっけ?どんなのどんなの!?見せて欲しいなぁ……!!"
「テ、テンションが高いな……まあ良いが、残念ながら完成はしていない。殆ど完成はしているが未完成のものだ。それでも良いか?」
"当然!ロボットなんて男のロマンだからね!見たいに決まってるじゃん!"
早く早くー!!
心の中で騒いでいると、ウタハが私の気持ちを汲み取ってくれたのか、頷きながら返事をしてくれた。
「そのロマンを求める気持ちは私にも分かるとも。と言うより、このエンジニア部自体が『ロマン』を求める部活だからね。分かって当然とも言えるね。……よし。ならゼハート、案内してやって欲しい」
「ああ、了解した」
その言葉と共に、ゼハートからこちらだと言われたので少し部室の中を歩いて行くと………何やら、布で覆われている物があることに気がついた。
それの前に私達が立つと、ゼハートが話し始めた。
「実の所、ロボットと言ったが厳密には違ってな。ウタハの雷ちゃんの様な自律式のロボットではなく、体に纏うアーマーの様な物なのだ」
"ほうほう、成程ね………それはそれで良いね!……ん?って事は、ゼハートがこれを纏うって事なの?それとも、誰かに注文されて作ってるとかなのかな?"
少し疑問に感じたので、質問してみることにした。
「前者の想定が正解だな。これは、俺が戦う為に必要な力なのだ」
"戦う為に?"
「ああ。………高望みしすぎていると言われてしまえばそれまでだが、俺は手の届く範囲で誰かを助けたい。これは、その手をより遠くまで伸ばす為の力なのだ」
……誰かを助ける為に伸ばす手を、より遠くまで、か。
"優しいんだね、ゼハートは"
「……そう言ってもらえるのは嬉しいな。だが、俺は決して優しいわけではない」
そうかな?
「疑問が顔に出ているぞ、先生。………恐らくだが、先生は目に留まったすべての生徒を助けようとするタイプだろう?例えそれが、無謀な挑戦であっても」
"うん。だって、それが先生である私の役目だからね"
これに関しては即答できる。まだまだ経験は浅いけど、今までもそうして来たし、これからもそうすると私は思う。これだけは譲れないんだ。
「だろうな。何となくだが、先生もそうなのだろうと感じていた。……似たような奴を、俺は見たことがあるからな」
少し視線を遠くに飛ばしながらそう語り、再びゼハートは口を開けた。
「だが、俺は違う。全てを救うことに忌避感があるわけではない。救えるのなら、全てを救いたい。だが、もし必要ならば、誰かを切り捨ててでも他の誰かを救う選択肢を取る。………俺は、そういう人間なのだ」
"そっか。確かに、そういう考え方もあるよね。………よし、暗い話は終わりにして、一回ゼハートが作ってる奴見せてよ!さっきからずっと気になってたんだー!"
ここばっかりは意見が分かれるところだし、そんな簡単に変わるわけでもないからね。………どちらが正しくて、どちらが間違っているのかは、私には分からないし。
「………それもそうだな。それでは、お披露目としよう」
そう言い、覆われていたベールを取り払うと……言葉で形容するのは難しいけど、カッコいい紅いアーマーがあった。
「この強化装甲を、俺は『ガンダムレギルス』と名付けている。凡そ完成はしているのだが、このシールドにあたる部分の機構がまだ完成していなくてな」
左手に取り付けられているシールドを指差しながら、ゼハートはそう言った。
"………凄いなぁ……!!カッコいいし!しかもこれを着て戦うんでしょ!うわぁ……!!"
ヤバい。マジで感動してるよ私。戦隊モノみたいに『変身!』とか言って装着とかしたら……もう、想像が捗るね!素晴らしいです!
"……ふぅ……何とか落ち着いたよ。所で、このレギルスを装着するのは最高だとして、どうやって戦うの?"
「……満足してもらえたようで何よりだ。このレギルスで想定されている戦闘方法は、基本的に対人戦だ。高い機動力を活かした肉弾戦を行う」
"……肉弾戦、かぁ。てっきりビームとか撃つのかと思ってたんだけど、そういうわけでもないのかな?"
アリスのスーパーノヴァみたいな超火力とまではいかなくても、ビームくらいならありそうだなって思ってたんだけど……足元にそれっぽい銃あるし。
その疑問にはすぐゼハートが答えてくれた。
「そうだな。このモビルスーツ……ではなかったな。強化装甲にはビーム兵器も搭載されているが、人に使う事はそうそうないだろう。火力の調整は出来るが、それでも高出力だ。人に向ける物ではない」
"成程、確かにそうかも"
よくよく考えたら、そうそう人に向かってビームなんて放たないか。……それにしても、肉弾戦か。基本的にみんな銃を使って戦ってるから、戦闘してる所を見たら物凄く新鮮さを感じそうだね。
「と言っても、そんな芸当が出来るのはエンジニア部の中ではゼハートぐらいな物だけどね」
いつの間にか私の左横に立っていたウタハが私にそう話して来た。
"え?そうなの?"
「先生。よく考えてみて欲しい。そもそもこれの中に入って戦闘を行うのはあくまでゼハートだ。つまり、機動力や耐久力、攻撃力に補助が入ったとしても、そこには必ずゼハートの意思が介在しなければならない」
"……まあ、言われてみればそうだね。でも、それってそんな不思議なことかな?"
説明を受けてもいまいちピンと来ないので、私はウタハに質問した。
「要するにだ。これを使いこなすには高い空間把握能力、そして体術が必要になるということだ。私達のような一介のマイスターには無理だが…その2つをゼハートは両方持ち合わせている。……正直な話、C&Cに所属していても遜色ないレベルだ」
"……なんか、そう言われてみると凄い気がするね"
確かに、これを身に纏っても中にいる人がまともに戦えないと意味ないもんね。……私には多分無理だなぁ……ん?
"その、C&Cって何なの?部活かな?"
聞いたことないな?所属っていうからには部活なんだろうけど………
「cleaning&clearingの略称でね。言ってしまえば、メイド服を着た武装集団って所だと解釈してくれたらいい」
"………メイド服を着た、武装集団?"
なんか、あんまり想像できないけど、武装集団って言うからにはきっと強いんだろうなぁ……
「そうだね。武装集団というだけあって、かなり強い。もしゼハートがそこに所属していれば………執事服でも着ていたんじゃないかな。きっと似合ってる筈さ」
私の心を読み取ったのか、ウタハが私にそんな事を伝えて来た。
"……確かに"
絶対似合ってるよ!振る舞いが所々なんかこう上品だし、カッコイイし!私が女の子だったら絶対惚れてるよ!………いや、流石にそこまでちょろくはないか。
少し冷静になりながらも、私はウタハの一言に同意した。
「…………そうだろうか?いまいちピンと来ないが……?」
けど、当人はどうやらそれにピンと来てないみたいだね………そこまで自信過剰なタイプじゃないんだね、やっぱり。
少しゼハートについて考えていると、ウタハがここで話を切り出して来た。
「すまないね。私から話題を切り出しておいて何だが……話を切り替えさせてもらうよ、先生。先生は何でも、指揮をする時にタブレットを使うそうだが、それは本当かい?」
"ん?ああ、この『シッテムの箱』の事かな?"
そう言いながら鞄の中からシッテムの箱を取り出した。
「おお……これがそのタブレットなのか。すまない、良ければ少し触ってもいいだろうか?マイスターとして、少し仕組みに興味があってね」
"………えーっとね。本当に残念だと思うんだけど、このタブレットって、厳密に言うとタブレットですらない、連邦生徒会もよく分かってない物みたいなんだ。それも、私にしか使えないみたいでね"
「む、そうか。それは少し残念だが、仕方がないか。なら、起動だけでもさせてみてくれないか?どんなふうに稼働しているか見てみたいんだ」
"…………実は、もう稼働してるんだよねコレ。多分私にしか見えないんだと思う"
「…………残念だ」
少し肩を落としながらウタハがそう呟いた。……まあ、見せてあげたいのは山々なんだけどね。
ウタハに少し同情していると────
「ん?ウタハには見えないのか?」
「ん?」
"…………え?見えてるの?"
『何とー!?』
嘘でしょ?他の生徒でアロナを認識できた子なんて居ないんだけど………
「あ、ああ。………不思議な空間に、少女がいるのが見えるが……ウタハには見えないのか?何なら、先ほど喋っていたぞ?」
「………何も見えないし、何も聞こえないね。暗転したままの画面だよ」
『えーっと、私の声が聞こえてるんですかね?私はアロナって言うんです!よろしくお願いしますね!』
ホログラムとして登場したアロナは、ゼハートに向かってペコリとお辞儀をして挨拶をした。
「ああ、よろしく頼む。俺の名前はゼハート・ガレットと言うんだ。良ければ覚えてくれ」
『はい!アロナはスーパーOSなので、記憶力もバッチリです!しっかり覚えておきますね!ゼハートさん!』
「………元気な子だな、先生」
"……う、うん。元気で、いつも頼りにしてるんだ。私の自慢の相棒と言ってもいいかもしれないね"
『流石にそこまで褒められると照れちゃいますよー先生!えへへ』
アロナが頬を赤く染め照れながら私に話しかけて来たのを横目に、私は少し考え込んでいた。
………どういう事なんだろう。今まで私はアロナは私以外には認識されない物だと思ってたんだけど、そんな訳でもなくて、例外はあるって事なのかな?
私がまだこのキヴォトスに来てそこまで時間が経ってないからその例外を知らないだけで、本当は他の子も見られるとか?
……………ひょっとしてだけど、黒服がゼハートに興味を持ったのって、こういう側面がある事を知ってたからなのかな?
………考えても分かんないし、一旦放置でいいかな。
けど、少し気になったので少し時間が経ってからやって来たコトリ、ヒビキと名前を紹介してくれたエンジニア部の子達に画面を見せてみても、やはり何も見えないし、聞こえなかったそうだ。………ますます謎だなぁ……
色々と謎が深まるばかりだったが、エンジニア部の子達と交流を深められて満足な私であったのだった。
取り敢えず先生とゼハートを会わせられたので、次回は鏡奪還戦とかになると思います。正直ミレニアム編一章をそこまで長く書くつもりはないので、すぐ二章に行けると思います。気長にお待ちください。
それでは、また次回お会いしましょう!
アビドス過去編の後に何書いて欲しい?
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ミレニアム編一章(時系列的には過去編)
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ミレニアム編二章