楽園に至るには   作:NTT.T

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やっぱ戦闘描写ってむずいなぁってなりながら書いてました。しかもどれだけ頑張っても全然上には上がいるというね。凄いの一言に尽きます。

さて、それじゃあネル戦です。良ければ楽しんでみてください!

それでは、どうぞ!



最強への抵抗

 

……分かってはいたが、やはり今の私では、美甘ネル(最強)には勝てないか……!!

 

それが、この僅かな時間で得た結論だった。……これでも、私は過去に軍に所属していた身だ。故に、体術、銃撃もある程度の練度であると自負している。それに、このキヴォトスで僅かながらでも培った経験は確かにある。……が、それだけでは到底埋まることのない、歴然とした差がそこにはあった。

 

「おらおらどうしたよ!その程度かぁ!?」

 

「くっ……!!」

 

時刻は深夜。月光が廊下を照らし、舞台で踊る者達をより輝かせようとしているかの様に月は輝いていた。

 

……尤も、今は優雅に踊る余裕などないが……!!

 

距離を取ろうと後退しつつ、拳銃で牽制しようとする為に構える。

 

そのまま手慣れた手つきで引き金を引き、ダンダンダン!!とリズム良く銃声が鳴り響く。この程度の攻撃で倒せるほど甘い敵でないのは分かっている。だが、これで少しでも相手に当てる事で怯ませることが出来れば……と、考えながら引き金を連続して引く。

 

───そう考えていたのだが、やはりそこまで甘い敵ではなく。

 

「甘え、な!!」

 

二丁のサブマシンガンに取り付けられている鎖、それを振り回す事で銃弾を確実に防ぎつつ、ネルはこちらに近づいて来た。

 

このままでは確実に接近戦に持ち込まれる……なら!!

 

そう考え、即座に拳銃をホルダーに収納し、刀を鞘から取り出す。

 

「ハッ!!漸く逃げんのもやめるってかよ!!そうこなくっちゃなぁ!!」

 

そう言いながら私の元へ加速するネル。

 

………恐らくだが、ネルが本領を発揮するのは、近距離での戦い。マシンガンによる銃撃や、鎖などによる搦手、兎も角インファイトが得意なのは間違いない。現に、この展開になった瞬間にやる気、戦意が明らかに増した。

 

……果たして、どこまでついていけるか。

 

そう考えながら狙うのは────銃。一先ず、武器を破壊しない事には話が始まらない。……正直な話だが、本気で身体を斬ろうとしてもかすり傷程度な筈だ。なぜなら、あくまでこの武器が開発された目的は『対象を鎮圧するため』だ。元々頑丈なキヴォトス人を殺傷する為に開発された訳ではない。

 

故に、それより脆い武器を狙うのが正解………!!

 

「ハアァァ!!!!」

 

銃と刀が衝突し、金属音が鳴り響く。………やはり硬いな……!!元々私は剣術に長けているわけではないのだ。そう簡単に斬れない事など理解出来ていた、が……!!

 

……確かに、銃弾は切れた。だが、あれはあくまで銃弾の凄まじい速度、そしてXラウンダーの能力を利用した事による先読みがあったからこそ為せた技だ。

 

その頼みの綱のXラウンダーの能力も、使い過ぎれば脳に負荷が掛かる。アレはそう何度もできる芸当では無いというわけだ。

 

やはり想定通りには簡単にいかないのだと痛感しながら刀を握る両腕に力を込めるが……全く動く気配がない……それどころか、押し返され─────馬鹿な……!!

 

「片腕………だと……!!」

 

「テメェの腕力が無さすぎってだけだろ!!それより……片手、空いてるぜ?」

 

「────マズ」

 

私が自身の末路を察したと同時に、ネルはもう片方の銃を私の胴に向け────

 

「ガハッ…………!!」

 

引き金を引く事なく、そのまま銃を鈍器として最大限利用し、私の腹を勢いよく殴って来た。

 

その余りの衝撃に私の身体は吹き飛ばされ、そのまま勢い良く廊下の床へと転がった。

 

「………ぐぅっ……!!」

 

……クソッ、ゲーム開発部は今どうなっている…?鏡は奪取出来たのか……?尤も、通信機が壊れてしまっている以上、それを確認することすら叶わないが…………

 

兎に角、時間を稼がなければ………この最強さえ止められれば、ゲーム開発部がきっと目的を果たしてくれるのだと信じるしかないのだから。

 

そう考えながら私は腹を抱え、立ち上がる。

 

私に背中を向け、この場を去ろうとしたネルは、私が立ち上がるのを察したのか振り返り、好奇の視線を私に向けて来た。

 

「……へぇ、中々やるじゃねえか。てっきりダウンしたんじゃねえかと思って移動しようかと思ってたんだが……面白え。どこまでてめえがやれるか、試してやるよ」

 

そう言いながら、ネルは再びこちらへと目にも止まらない速さで駆けてきた。

 

……やむを得ないな。限界まで……使うとしよう!!

 

心の中でそう決意し、痛む頭を無視しながら────私は、未来を視る。

 

………廊下や壁、挙句の果てには天井をを縦横無尽に駆け、やがて視界からネルが見えなくなる未来が視えた。

 

「アタシのスピードについて来れるか!?」

 

そして、数秒前に視た未来の通りにネルは縦横無尽に、それこそ獣のように辺りを獰猛に駆け─────やがて、姿を消した。

 

つまり、コレが意味しているのは────!!

 

「……っあ゛あ……!!」

 

感覚と思考のままに、もはや自分がどんな言語を発したかも分からないままに、私は背後を見ずに刃を横薙ぎに払った。……そして、勘の通りに背後から急接近してきたネルは鎖を器用に使う事で私の剣を弾き、私の体勢を完全に崩した。

 

「今のは良かったぜ!!けどなぁ……それだけじゃあアタシには勝てねえ!!」

 

そう彼女が言い放つと共に、私に弾丸の嵐が襲い掛かる。───私は膝から崩れ落ちそうになるが、何とか堪え、ネルを睨んだ。

 

「……へっ、まだまだ元気満々ってか?やっぱ面白えな、お前!!」

 

今度は鎖を振り回しながらこちらに向かって来るネル。あまりの速さに鋭い風切り音が聞こえて来る。……当然、目視は出来ない。

 

なら、先を視るまでだ……!!

 

連続してXラウンダーの能力を使い、私は両側から鎖が挟撃、鎖で両腕を捉えられ、攻撃を喰らい意識を失っていた未来を視た。

 

そして私は片腕で即座に拳銃を抜き、鎖が通過する軌道を頭の中で思い出しながら────銃弾で両方の鎖を弾く事に成功した。

 

「なっ────」

 

流石にコレには驚いたのか、ネルは目を見開きながらも銃口を此方へと向けてくるが……私はそれに構わず、目の前の相手に肉薄しようと近付く。

 

予想外の事が起こったと判断した今がチャンスだ。例えネルが接近戦が得意なのだとしても、私が出せる最大火力が振るえるのはその接近戦だ。生半可な攻撃でネルが止まる事はないのなら、その最大火力を持って相手を迎撃し、足止めする他ない。

 

故に、ここは距離を詰めるしか………そう思ったのが、間違いだったのだろう。

 

「────なんちゃって、な!!」

 

ニヤリと笑いながら、ネルは身体を回転させた。

 

その瞬間、背筋がゾクリとした感覚に襲われた。その感覚に従い拳銃を収納、急ブレーキをかけ後退しながら両手で刀の柄を握り締め、私は防御の姿勢を取った。

 

………体が回転すると言う事は、当然ネルが持つ物もその影響を受け、勢いを付けるという事だ。

 

それはつまり────

 

鎖がまるで嵐のような勢いを付けながら、こちらを急襲して来るという事象を生み出すという事を意味していた。

 

遠心力によって増幅されたそのスピードは、力、そして重さへと変わり────私の刀を粉砕しながら、それでも尚止まらない勢いのまま私を壁へと叩きつけた。

 

「────────」

 

……壁に叩きつけられた衝撃、これまでの疲労、更にXラウンダーの能力を短時間で、連続行使した事による反動で意識が飛びそうになる。

 

視界が朦朧とし、体を起こす事が出来ない。……クソッ………まだ、私には、やるべき事が残っている筈だ……!!立て、立たなければ……!!

 

だが、そんな事を願おうとも体は動かず、ただ地に伏せ、彼女を睨む事しか出来なかった。

 

「………マジで根性あるなアンタ。いや、ゼハート(・・・・)。こんだけやられてても尚アタシを睨めるなんてな。………意識が戻ったら、また会おうぜ」

 

そう言いながら、私に銃口を向けるネル。……ここで私はリタイア、か。

 

自分にやれる事はもっとあったのではないかと後悔しながら、私は飛んでくるであろう銃弾を─────

 

 

 

 

 

 

 

「光よ──────!!!」

 

私が攻撃を受け入れようとしたその瞬間、眩い光が私の横を通り過ぎて行った。

 

「おわっと!?…………何だ?」

 

余りの展開に流石に困惑したのか、攻撃を回避し、目を細めながら廊下にある闇を凝視しているネル。

 

そこに、二人分(・・・)の影が見え……やがて、月夜に照らされ、彼と彼女は意気揚々と登場した。

 

 

 

 

 

 

"待たせたね、ゼハート!さて……やっちゃおうか、アリス!"

 

「はい!アリス、任務を開始します!」

 

……全く、派手な登場だな。

 

そう思いながら、私は事の顛末を見届けると同時に、体力の回復に努めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは先生!サポートお願いします!」

 

"うん!……アロナ、演算処理の補助、お願いね"

 

『はい!このスーパーアロナちゃんに任せてください!』

 

そう言いながら、私は『シッテムの箱』の真価───戦場を俯瞰的に見れる機能を使用した。これにより、最適な行動を指示する事が可能になった。

 

……まずは様子見、かな。

 

"アリス!取り敢えず時間を稼いで!"

 

「…………!!了解です!!覚悟してください!チビメイド様!!」

 

「あ゛あ!?誰がチビメイドだって!?ぶっ飛ばしてやるよ!!」

 

「ひいっ……!!怒り状態になってしまいました……!?」

 

"ちょお!?煽りすぎだってアリス!?"

 

……いやでも、今の内に────!!

 

アリスとネルを観察しながら、私はゼハートの元へ駆け寄り、手を伸ばした。

 

"立てる?ゼハート"

 

「………ああ、少しは回復したからな。援護、感謝する」

 

時間をかけながら私の手を握り、ゆっくり立ち上がるゼハート。ゼハートが着ている服は所々が戦闘の余波でボロボロになっていて、傍らには粉砕された刀があるのが分かった。

 

そして、最早使えない刀を拾いながら、ゼハートは壁に寄りかかり、立ち上がった。

 

………頑張りすぎだよホント。でも、こんなにボロボロになってまで、ネルと戦って時間稼ぎしてくれたんだね。

 

"うん。……状況を軽く説明するね。鏡はもう奪還出来たから、取り敢えずモモイ達は部室に帰ったんだ。と言っても、私達も行きたい行きたいって駄々捏ねてたんだけどね"

 

けど、鏡を持っていく子達は複数いた方がユウカ達との接敵にも対応できると思ったから、そのまま帰らせたんだ。……アリスにもそうさせたかったんだけど、いきなり走り出しちゃったからね……ホント、よくここが分かったよ。

 

アリスの直感の鋭さに感嘆を覚えながらも、私はゼハートと話を始めた。

 

「……それは、嬉しいな。………先生、私も指揮のサポートをする。こう見えて、少しは経験があるからな」

 

"………!!うん、分かった!!"

 

そして、戦場から安全に距離を取りつつ、私達は指揮を始めた。と言っても、勝つのが目的じゃない。やるのはさっきゼハートがやってた事の延長。撤退戦だ。

 

だから、ある程度は撤退するためにネルにダメージを与えないといけない。……嫌ではあるんだけどね。

 

後で謝る事を考えながら、私はアリスの指揮に専念し始めた。

 

「………鎖には気を付けた方がいい。アレがネルの接近戦をより強固な物にしているからな。それと、兎も角近づかれない様にするのが先決だ」

 

"……成程ね。アリス!そのままネルを近づけさせないで!"

 

「はい!分かりました!えいっ!!」

 

可愛らしい掛け声とは裏腹に、重量が優に100キロを超えている「光の剣」を振り回すアリス。並の生徒ならこれだけで脅威となるに違いない。

 

けど、仮にも相手はミレニアム最強。危なげなくその攻撃を回避し、バク転をしながら距離を取った。

 

「……馬鹿げた腕力してやがるぜ。その銃身を振り回すとはな……!!けどな、力だけじゃ戦いには勝てねえんだぜ!?」

 

そう言いながらアリスに向かうネル。それに対抗するべくアリスも構えてる……けど多分────

 

「確実に次は回避される。……ここは行動を少し、変えた方がいいだろう」

 

"だよね!アリス、ネルに向かってそのまま突進して!"

 

通信機越しにネルに聞こえない程度の声で、アリスに指示を出す。

 

「………了解です!!」

 

指示の通りに真っ直ぐネルと衝突しようとするアリス。ネルもそれに気が付いたのか、二丁の銃を交差させ、衝撃に備えていた。

 

数秒後、凄まじい衝撃音と共に二人の少女は衝突した。

 

「……ぐっ……!!やっぱパワーはあるみてえだな……!!」

 

「そっちこそです!……なら、全力で────!!」

 

アリスが更に力を強めようとしたその瞬間────ネルが微かに力を弱めた様に感じた。

 

その動作を見て、私はネルが何をしようとしているかを察した。

 

"……駄目だアリス!!それは─────"

 

だが、私の警告が届く前にネルは体にかけていた力を完全に抜き────アリスの体勢を崩す事に成功し、そしてそのまま倒れかけたアリスの横側に立ち、攻撃の体勢をとっていた。

 

「うわぁ!?」

 

「それじゃあまずは一発─────だな!!」

 

ネルの掛け声と共に、アリスに至近距離からの銃撃が炸裂した。

 

「ぐうぅ………!!」

 

"アリス!!!"

 

しまった……!!こうなる事なんて簡単に想定出来た筈なのに………どうする?どうすれば────って、ゼハート!?

 

「……指揮をサポートすると言ったが、やはり私にはこちらの方が性に合っている。それに、体力も多少は回復した。援護に向かう」

 

"ちょっと待ってよゼハート!!怪我がまだ───!!"

 

「………安心しろ、先生。悪いようにはしない」

 

そう言いながら、ゼハートはネルとアリスの元へ駆けて行った。

 

「ってまた来んのかよ、ゼハート!!」

 

「見て見ぬ振りはできないのでな!!」

 

拳銃の引き金を引きながら前へ進んでいくゼハート。けど、それを難なく下がりながらネルは回避した。

 

……けど、これで─────

 

「攻撃は中断させられた。……立てるか、アリス?」

 

「……はい。まだアリスのHPは残っています!……ゼハート先輩は、大丈夫なのですか?」

 

そう私でも分かるくらい、心配そうにゼハートに問いかけるアリス。……でも何となく分かって来たけど、ゼハートなら『大丈夫』って言うよね。

 

「ああ、大丈夫だ。それよりアリス、私に策がある。先生にも伝えたいのだが、通信機を貸してくれないか?」

 

やっぱりそうだよねー……はぁ、後で休ませないと……それにしても、私に何を伝えようとしてるんだろう?作戦会議的な感じかな。

 

「……?はい、分かりました」

 

アリスもどうやら困惑しているのか、首を傾げながら小型の通信機を渡した。……まあ、この距離からでも会話はできるけど、仮に作戦会議するのだとしたら、大声出しちゃ意味ないからね。小声で伝えられる通信機を使うのは正しいと思う。

 

そして、凡そその考えの通りに、ゼハートは私に話を始めた。

 

「先生、聞こえるか?聞こえるなら、私が考えた策を聞いて欲しい。……都合よく、ネルは待ってくれているようだしな」

 

遠くを見ると、腕を組んで待ってくれているネル。………助かるね、ホント。

 

"……うん。聞こえてるよ。それにしても、どんな策があるの?"

 

「何、そう難しい事ではない。私が隙を作る、先生はアリスに指示を出し、その隙を確実に利用してくれ」

 

……………はぁ……絶対これ無理するやつじゃん……

 

"何となく察して来たけど、ゼハートって結構無理するタイプなんだね。治しといた方がいいよ、その癖"

 

「………まあ、善処はする」

 

"……今はそれで良いよ。これから改善すればいいだけだしね。……それじゃあ、作戦開始と行こうか!アリスは取り敢えずそのまま待機!"

 

「りょ、了解です!」

 

そうして、通信機をアリスに返したゼハートは、何度目かの近接戦を挑むべく、走り出した。

 

それに対抗するように、ネルは二丁の銃で弾幕を形成し、回避不可と言えるレベルの攻撃を繰り広げた。けど、ゼハートはそれをまるで意に介さないと言った感じで避けていく。……何であんな動きが……?もうボロボロな筈なのに……

 

「悪いが、そろそろこの戦いも終わりにさせてもらうぞ、ネル!!」

 

「そりゃ、こっちのセリフだ!!………ってお前─────」

 

そして、接敵するその瞬間、ネルが信じられない物を見る目で驚愕したと思いきや────ゼハートの姿が、消えた。

 

……いや、消えたんじゃない!膝から脱力して、ネルの視界から消えて背後に回ったんだ!!

 

私の考察通りに、ゼハートはネルの背後に回り、その体を無理やり拘束した。………眼から、鼻から血を流しながら。

 

"ゼハートッ!?何やってるの!?"

 

「……私の事は良い!!だから早く……アリスに攻撃、を……!!ぐっ…!!」

 

「クソッ……!!離せっ!!」

 

無理やりその拘束から逃れようと、ゼハートの腕を掴むネル。その万力とも言える力で掴まれたゼハートは苦悶の表情を浮かべている。……けど、それと同時に、どこか懇願するような目で私を見ていた。

 

……………そんな目で見つめられたら、私はこうするしかないじゃないか。

 

"……後でお説教だからね!!………アリス、責任は私が取る!!だから───ぶちかましちゃって!!!"

 

「…………分かり、ました!!!ごめんなさい!!──────光よ!!!」

 

 

 

 

 

 

アリスは少し逡巡しながらも叫び、一筋の光が放たれ、ネルとゼハート、二人は光に包まれた。

 

直後、凄まじい衝撃が私を襲い、爆風が鳴り響いた。私は『光の剣』その威力の凄まじさを改めて実感しながら、現在の事態を把握し始めた。

 

"………ど、どうなったんだ?"

 

光が収まり、やがて二つのシルエットが浮かんできた。一人は他に伏せ、一人は辛うじて立っている様子だ。

 

どっちだ?……いや、何となく、頭では理解出来てた。でも、心がそれを納得してくれないだけだ。……まあ、つまり─────

 

「………っづあ゛あ………中々、効く、じゃあねえか………!」

 

ボロボロになりながらも、地に足をつけて立っているネルの姿が、そこにはあった。

 

「……そ、そんな………」

 

"………万事休す、って奴かな……"

 

少し諦観が私を支配しつつも、それでも諦めるわけにはいかないのだと、自分を鼓舞していたところ───

 

「ん?あー、もう大丈夫だ。アタシはここで帰らせてもらう」

 

「……え?」

 

"………ん?"

 

予想外の一言に、私達は困惑せざるを得なかった。あれ?このまま戦う流れになると思ってたんだけど……違うの?

 

「ウチの上司(・・)からの命令でな。依頼は撤回、もうゲーム開発部を迎撃する必要はないってお達しがさっき来た。まあ、ちょっち楽しくなっちまったから戦ってたんだが……アタシももうボロボロだしな。実質先生、アンタらの勝ちみたいなもんだ」

 

"…そっかぁ…………そりゃ良かったよ"

 

思わず私はその言葉を聞いて脱力してしまった。……どうやら、アリスも腰が抜けちゃったみたいだね。

 

「ああ。そんじゃまあ、アタシはコレでお暇させてもらうわ」

 

そう言いながら、私達に背を向けて、手をひらひらと振り帰ろうとネルはしていた、が……思うことがあったのか、足を止めた。

 

「………アンタらの連携、即席にしちゃ良かったぜ。ホントな。……ああ、それとゼハートに言っといてくれよ。中々良いガッツだった、ってな」

 

振り返り、ニカッと快活な笑みを浮かべたネル。

 

"……うん。伝えとくよ"

 

私はそうネルに伝えると、ネルは廊下の闇に、その姿を消した。

 

"………いやー万事解決だね!じゃないよね!?ゼハートー!!!"

 

「ゼハート先輩!!大丈夫ですか!?……駄目です、応答がありません……せめて教会があれば、復活の呪文が唱えられる筈なのに………!!」

 

"き、教会はないけど、医務室ならあるから!!えーっと、ここからどう行けば……!!"

 

色々とパニックになりながらも、私の頼りない土地勘、そしてアロナのサポートを元にして、私達は医療室へと向かったのだった。

 





よし!一旦こんな感じですかね!次回はミレニアム編一章エピローグです。そしていよいよミレニアム編二章が始まり、時間軸が現代へ戻ります。やりたい事もそろそろ出来そうなので、ちょっとだけ楽しみです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!良ければ評価、コメント、お気に入り登録などなどしていただけたら尚の事嬉しいです!

それでは、また次回お会いしましょう!

アビドス過去編の後に何書いて欲しい?

  • ミレニアム編一章(時系列的には過去編)
  • ミレニアム編二章
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