という事でミレニアム編二章、始まり始まりです!ここから数話は基本的に先生か他の人視点になると思います。
何でゼハート視点になることが少ないのかと言われると………まあ、何となく察している人もいると思うので、そこはノーコメントで。
それと、お気に入り登録などありがとうございます!
それでは、どうぞ!
ありふれた日常
「という事で、今回はアリス、先生、そしてお兄様がパーティーメンバーです!今日はよろしくお願いします!!」
"うん。よろしくね"
「ああ、よろしく頼む。……それとアリス。今は外だ、出来る限り『お兄様』呼びは控えてくれ。俺の評判が間違いなく下がる」
「分かりました!ゼハート先輩!」
……相変わらず振り回されてるなぁ……なんて事を私は思わず考えてしまう。でも、それは同時に仲良くなった事の証明とも言えるよね!何で少し現実逃避をしながら、私達がどんな状況下に置かれているかを思い出した。
事の発端は数十分前。新しいゲームの開発に取り掛かるべく様々なアイデアをゲームから得ようとしていたモモイ達だったんだけど、中々そう簡単には上手くいかなかったんだ。そごで、部長であるユズが命じたのが───
『取り敢えず外に出てみて色んなところに行ってみよう!』というもの。コレでもしかしたらゲーム開発に繋がるアイデアが得られるかもしれないからとのことだ。……確かに、経験から得られるものはあるよね。と納得したのを覚えている。
「……と言っても、ユズのクエストを達成するにはどうすれば良いのでしょうか……?」
「………確か、ゲーム開発に必要なアイデアを俺たちと探索する事で得る、と言うのが今回の目的だったな」
"うん。そうだね"
……言われてみれば、結構難しいような気もするなぁ。具体的にどんな場所に行けばそんな閃きが得られるのかも分からないし……よし、こういう時は!
"やっぱり前進あるのみ!って事で、取り敢えず考えなしで色んなところに行ってみよっか!"
「……まあ現状、それしか手段はないだろうな。俺も尽力しよう」
「はっ!成程。モモイが言っていました。『分からない時は取り敢えずゴリ押しするのが正義』だと。コレはつまりそういう事ですね!」
"おっ、モモイも分かってるねー!分からない時は取り敢えず行動するに限るんだよ!"
「かと言って、考えなしで行動すれば取り返しのつかない事に繋がりかねないが……まあ、そうならないように俺も気をつけるとしよう」
"ありがとねゼハート。やっぱり頼りになるー!"
「……そうか。そう言ってくれるのは嬉しい、な」
「……………?」
そんな訳で、私達の冒険は始まった。本当に色んな子と会ったなぁ。なんか絶妙に話が噛み合ってないスミレとアリスの会話を聞きながら私とゼハートが困惑したり、アスナに近寄られて困惑してるゼハートを見たりもした。あの時は────
『やっぱりゼハートって押されると弱いタイプなんだ……』
ってなってたのを思い出すよ。カリンがいなかったら多分止まらなかったよねアレ。……こうやって鑑みてみると、ゼハートって苦労人体質なんだろうなぁ、なんてことも考えていた。
他にも、色んな生徒とアリスは交流を深めていった。エンジニア部のみんなとも会ったよね。……ん?そういえば……
"ゼハートはレギルスの調整とかしなくてもいいの?エデン条約の時に酷い損傷を喰らったって言ってなかった?"
私達より前を歩き、興味津々といった具合で辺りを見渡すアリスを見ながら、私はゼハートに話しかける。
「……そうだな。確かにその通りだ。だが、今ではその修理も完全に終わり、更にエネルギー難もかなり改善することができた。コレも戦闘によるデータが取れたからだろうな」
ほうほう。確かに結構戦ってたし、データは取れてそうだよね。仕事がマジで早いゼハートだから納得しかない。
"成程ね。それじゃあ、体の方は?"
結構酷い怪我だったし、ある程度治ったとはいえ後遺症的なものがないかちょっと心配なんだけど……と私は考えていた。
「あれからかなり時間も経った。故に、もう完全回復している。心配は無用だ」
でも、どうやらそれは杞憂で、特にそんなものはないみたいだ。
……そっか。それなら大丈夫だね。と安堵の息を漏らしていると、アリスがこちらに振り返りながら目を輝かせ、ある場所を指差した。
「先生、ゼハート先輩!あそこにゲームセンターがあります!!一刻も早く向かいましょう!レベリングの時間です!」
"ん?あ、ホントだ。こんな所にゲーセンなんてあったんだね。行ってみよっか"
電光掲示板がキラキラと輝き、宣伝をアニメーションと共にしている。それもホログラムのように、空中にそのゲーセンのマスコットキャラクターらしきものが出てくるという、なんかもう凄い感じだ。
にしても結構装飾派手だなぁ……ミレニアムの校舎に近未来感があるのはわかるんだけど、こんなところにも近未来感あるんだ。まあ、ここもミレニアムだからそれは当然なんだけどさ。
「そうだな。先程はゲームを通してアイデアを得ようとしていたのだろう?なら、この場は最適と言えるかもしれないな」
確かにそうだね。ここでなら色んなアイデアが得られるかもしれない。筐体のゲームってコントローラーでやるゲームとはまた違う感じがするからね。
そう思った私達は、ゲーセンに入ることにした。のだが………
「ようやく見つけたぜ、チビ……って何だ、ゼハートに先生もいんのか」
少し聞き覚えのある声が背後から聞こえた。……この声ってもしかしなくても……
"………ネル?"
「どうやらそのようだ。久しぶり………いや、最近は割と会うな。またアリスにリベンジしに来たのか?」
「う、うるせえな!?お前もリベンジの対象に決まってんだろ!!」
「ひぃ……!相変わらずチビメイド様は怖いです!ラスボスの風格があります……」
「誰がチビだよ!?最低でもネル先輩って呼べ!」
「分かりました!チビネル先輩!」
「話通じねえなぁコイツ!!……いや、流石に店前で騒ぎすぎか、ほらとっとと入るぞ。リベンジマッチといこうじゃねえか……!!」
……なんかすんなり話が進んでいくなぁ。なんて少し置いてけぼりになりながら、私はみんなの後についていった。
「オイ!ハメ技は卑怯だろ!?」
レバガチャをしながら全力で訴えかけるネル。でもアリスはそれを無視しつつ、適切な操作をしユズに教えてもらったであろう技術を駆使した。見事────
「……だークソ!また負けちまったー!!」
「やりました!コレで連勝記録更新です!」
「……確か、50連勝はしていた筈だな」
"え?そんなにアリスとネルってゲーム一緒にしてたの?"
ものすごく意外だなぁ。私がここ最近ミレニアムに来れてないのが原因な気がするんだけど、そんなに仲良くなったんだ。
「ち、ちげーよ!たまたまっつうか、なんつーか……」
「ああ。ネルは度々ゲーム開発部に来ては一緒にゲームをしているらしくてな。俺も時々巻き込まれることがあるんだが……見事な負けっぷりだったな」
「何なら初心者のゼハート先輩にも負けてます!ネル先輩はゲームではそこまで強くないんです!」
「うっせーな!!……というか、なんでアタシとそこまで歴が変わらないゼハートとこんなに差ができるんだよ!!おかしーだろ!」
「………まあ、複雑な操作には慣れているからなのだろうな」
複雑な操作……ああ、そういえばやってたね。あの難易度設定ミスってるんじゃないか疑惑のあるあのシミュレーション。
"確かにね。あの難易度がバカ高いシミュレーションであんな事できるんだったら……うん。他のゲームができても当然だと思うよ"
いや、寧ろあんな事が出来るからこそと言った方がいいのかもしれない。そう思うレベルでアレはむず過ぎ。
私に共感してくれたのか、少し身震いをアリスがしていた。……アリスもまあボコられてたもんなぁ……
「……アレは当分やりたくないです。アリスには難しすぎます……!でも、いつかまたリベンジします!」
「………そりゃまた、随分とむずそうな奴があるんだな。……ってそんな事関係ねえんだよ!もう一回だ!アタシが勝てるまでやるぞ!」
「え……?それだといつまで経っても帰れません!」
おおう……!やっぱりアリスって結構言葉鋭いとかあるよね……いつ言われたか忘れたけど『魅力に全ステ振ってる』的な事を言われたし……煽り厨の素質があるなぁ……
いやまあ、そうならないようにしたいけどね。アリスが煽り厨になるとか普通に嫌だし。
「やっぱアタシの事舐めてるよな!?いいぜ、さっきのはまだ全力じゃなかったんだよ……!!ほら、とっととやるぞ!」
アリスの今後の教育方針について考えていると、先程の台詞であったまって来たのか、半ばキレながらアリスに提案、いや命令をした。
「そ、そんなぁ……!!せめてコンボを覚えてください!じゃないと勝負になりません!アリスが教えますから!」
「…………ああ?コンボ?……分かった。で、どうやってやればいいんだ?」
「はい!まずは────」
"……ふふっ。楽しそうだね"
「ああ。アリスは兎も角、何だかんだでネルもゲームが好きなのだろうな。あそこまで熱中できるのがその証拠だろう」
少し前にアリス達から離れ、所にある椅子に座りながら私達は遠くの光景を眺めていた。
"ネルが負けず嫌いってのもありそうだけどね。あの感じは絶対そうだよ"
「間違いないな。ゲーム開発部の誰に負けようとも『もう一回だ!!』と言っているイメージしか俺にはない」
"え?モモイにも負けるの?"
「余裕で負けているな」
……いやまあ、ネルは多分いろんなゲームにおいて初心者だろうから、経験を積んでるモモイに負けるのは当たり前なんだけど、モモイって負けてるイメージしかないからなぁ……
なんだとー!?と少し空耳が聞こえたものの無視した。……そういえば、一つ気になった事があった。
"……そういえば、ゼハートもゲーム開発部でゲームするようになったんだね"
私のイメージだと、いっつもエンジニア部の部室にいるイメージなんだけど、そんな事もないのかな?
「そうだな。最近はアリスに懐かれたのも相まってたまに行くようになった。恐らくまだまだ俺のやっていないゲームはあるのだろうが、それでも充分楽しめた」
"積みゲー滅茶苦茶あるらしいしね……まだまだやってないやつもあったりするんじゃないかな"
有名どころからクソゲーまで、多種多様なゲームが揃ってるのが本当にいいよねー。私も生粋のゲーマーだから、一度沼にハマっちゃったら抜け出せなくなるかも……いやまあ、流石に大人の責任があるから仕事を投げ出すようなことはしないけどさ。
「積みゲー?その単語はよく分からないが……兎も角、俺もハマってしまいそうな程にはゲームというものは楽しい。最近は少し発明すべきだと感じたものもなくなって来た関係上、時間に余裕が出来たからこそだろうな」
"あーなるほど、時間に余裕が出来たからゲームもするようになったんだ。すっごいねー。仕事人って感じ。私なんか仕事がまだ山のようになる事もあるんだよー……"
……駄目だ、トラウマが……!!いくら頑張っても仕事が終わらないあの恐怖、たまったもんじゃないよホント……!!
悪夢という名の過去を思い出しながら頭を抱え、机に突っ伏していると、ゼハートが心配をしていそうな声色で私に話しかけて来た。
「……それは、単純に連邦生徒会が先生に作業を押し付けすぎなだけではないか?いや、そもそも先生一人に負荷をかけすぎな気もするのだが……。そうだな。良ければ、明日手伝いに行ってもいいだろうか」
"え!?いいの!!やったー!これで明日時間が出来るー!"
何しよっかなー。久しぶりに奮発してプラモでも買いに行くってのはどうかなー?……ユウカには怒られそうな気もするけど、最近はそこまでお金使ってないし、許してもらえる事を祈ろう。
「………喜んでいる所悪いが先生。一つ、質問したい事がある」
私が妄想を膨らましていると、ゼハートは普段よりも真面目な顔をして、私に向き合った。
「お前の理想は『全ての生徒の味方』だ。それはこれまでの付き合いで理解できた。……だが、だ。もし、救わなければならない生徒同士が、互いに譲れない信念の元で争っていれば先生、お前はどうする?」
"…………うーん。難しい事を聞くなぁ……でも、私が片方の子を悪いと感じてしまったら、止めようとするんじゃないかな?"
幾ら信念があっても、それがどれだけ考えても駄目だと感じたら……私は止めないと駄目だと思う。大人として。
「なら、その悪いと感じた考えが、極めて論理的で正しく、合理的なものだったらどうする?それでもお前は胸を張って『全ての生徒の味方』として、止められるのか?」
"………それは……多分だけど、それでも私は止めようとすると思うよ。例えその答えが論理的で、正しくても"
ただの直感だけどね。それが本当に正解なのか、そもそもその問いに正解があるのか、私には分からないけど、きっとそうするんだと思う。
「…………そうか。俺の予想通りの答えだったな」
ならば、俺も俺の考えの下で動くとしよう。と、ゼハートは言った。
帰り道、夕陽に照らされながら、私達はミレニアムの校舎へと足を進めていた。私は帰り道こっちじゃないんだけど、生徒の見送りくらいはしたいからついていっている、といった感じだ。
「………長い、戦いだったな」
ゼハートが感慨深そうにそう言った。いや、まさかワンコンボ覚えるのにあそこまで時間が掛かるとは……って感じだったからね。そうなっちゃうのも仕方ないのかも。
「はい。まさかあそこまでコンボに手こずるとは思いませんでした。ですが、ネル先輩が無事コンボを覚えられてよかったです!……それにしても、あんなに明るかったのに、もう日が暮れています。これが魔法なのでしょうか……?」
"んー……魔法に感じちゃうのも不思議じゃないかも。楽しい時ってあっという間に過ぎるものだから"
途中からゼハートがアリスと交代してネルに教えてたりもしたよねー。あの時のネルはもう烈火の如くキレてたけど……楽しそうだったな、と思う。いやー青春してるなー。
なんで少し老人めいた事を考えていると、アリスが私達に質問をして来た。
「楽しい時間は、あっという間に過ぎ去るもの、ですか……なら、モモイ達と一緒にゲームしたりした時に時間が一気に過ぎるのも、そうなのでしょうか?」
"────うん。きっとそうだよ。それだけアリスがみんなと仲良くなったっていう証なんだ"
「そうですか!………それはなんだか、とても嬉しいです!モモイ達はどう思っているのでしょうか?」
「……聞いてみればいい。言葉にせずとも伝わる者もいるのかもしれないが、やはり言葉にするのが一番だ」
"だね。聞きたいことがあったら隠さず聞くのが一番だよ"
隠し事なんて基本よくないからね。例外はあるかもだけど。
「分かりました!今度聞いてみます!………それでは先生、今日はありがとうございました!ゼハート先輩も一緒に帰りませんか?」
「……すまないな。先程用事が出来てしまったのだ。だから、アリスは先に帰っていてくれ」
………ん?用事?そういえばさっき話してる途中で電話がかかって来てたけど、アレのことかな?
「そう、ですか……分かりました!では、また今度会いましょう!」
「ああ。またな。……それでは先生、明日会おう」
"うん。またね"
ほんの少しの会話をしてから、私達はその場で解散した。
……それにしても、気のせいだったのかな。ゼハートが────悲しそうな顔をしてたのは。
◯
自室に帰り、俺は会長と彼女が建てたセーフハウスで会話をしていた。
「それで、アリスの様子はどうなのかしら?」
「………今の所は特に、といった感じだ。覚醒するような様子もない」
「そう。でも、可能性は確かにある。貴方が百合園セイアに見せられたと提言した未来、そして私が観測した未来が合一しているもの」
「それはその通りだ。もはや、時間の問題なのだろうな。………それで、手筈通りに計画は進んでいるのか?」
「ご心配なく。リオ様は淀みなく順調に計画を進めています」
「…………トキ、ポテトチップスをを真顔で食べながら横に立つのはやめてくれないか?シンプルに困惑する」
「む、それもそうですね。以後気をつけます」
………などと言いながらも手を止めずに食べ続けるトキ。……最初の印象を本当に返して欲しいと切実に願わざるを得ないが、そんな事を言ったところで何も変わらないのだろうと諦観が襲ってくる。
「……ごめんなさい。見れば分かる通り、結構マイペースなところがあるの。今度からちゃんと言い聞かせておくわね」
「そうしてくれ。………改めて再確認しておこう。アリスの正体は、世界を破壊する兵器、なんだな?」
そう俺が確認すると、リオは躊躇う事なく、そうだと言った。
「と言っても、今の所起動はしていない以上、彼女達に訴えかけた所で意味がないのは分かっているつもりよ。だから、もう少しだけ観察が必要と言えるわね」
「…………そうだな」
尤も、例え事実を叩きつけられたとして、彼女らが簡単に頷くかは疑問が残るが……彼女はそう信じているのだろうな。合理性を求めれば、アリスのヘイローを破壊する事が最も適切なのだと。
故に、そうする筈なのだと。
「リオ様、ゼハート様」
俺が彼女の思考を軽く読んでいると、トキから話しかけられた。
「……トキ、今俺は会長と会話をしている。後にしてくれないか?」
相変わらずマイペースな奴だなと呆れていると、会長は俺から目線を切った。
「構わないわ。元よりこれ以上話す事もないのだし、時間ももう遅いわ。一度、終わりにしておきましょう」
「………了解した」
そう言い残し、俺はセーフハウスを後にしようとしたのだが、伝え忘れていた事があったことに気がつき、戻ったのだが………
「それでトキ。どうしたのかしら?」
「いえ、ポテトチップスがなくなってしまったので、補給したいなと思いまして」
「……………確か、あそこの棚に入っていた筈よ」
「…………………」
………いや、本当にこれでいいのか?余りにも雰囲気が緩すぎる気がするのだが………トキはやる時は真面目にやる奴なのだと会長には聞かされているが……
と、少し心配になりながら、俺はレギルスの強化内容、それによる作戦の変化などについて話をしにいったのだった。
恐らく大半の人がお察しの通り、この章、ゼハートが敵です。なので迂闊に描写したら楽しみがなくなるなーという事で、先生視点が主になります。
今後の展開をお楽しみいただければ幸いです。それでは、また次回お会いしましょう!
アビドス過去編の後に何書いて欲しい?
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ミレニアム編一章(時系列的には過去編)
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