「くっ……!!キリがないな!!」
そう言いながら、重心移動をしながら、左足を軸に回し蹴りをユスティナ生徒会の
「……だが、かなり数は減って来た!」
"………そうだね。みんなの活躍あってこそだ……!!ヒヨリ、10時の方向、
「は、はい!!分かりました……!!」
その言葉と共に、スナイパーライフル特有の銃声が激戦の中響き渡り、障害を排除した。
………今の所は、かなり上手くいっている。この数日間で多少はレギルスのアップデートが出来たのも相まって、まだエネルギーは残っている。
アップデートが可能だったのは、ここ数日の戦闘データが記録出来たからこそだな。
まあ、エネルギーがまだ残っているのは、単純に俺がエネルギーを消耗しないように、必要最低限の動きで戦っているからという事もあるのだろうが……
まあ兎も角、少しづつこのレギルスでの闘い方も心得て来た。生徒相手ならこの機動力、そして耐久力を活かした肉弾戦。『教義』のような相手にはレギルスライフル、ビームサーベルなどの兵器を用いて火力で勝負……と言った具合だな。
例外はあるだろうが、凡そその通りになるだろう。
……ビットはまだ使えん。いや、ここで使うべきではないと直感が訴えかけて来る。
それに、ここで使ってしまい、気力的にも、レギルスのエネルギー的にも俺が役に立たなくなるという事態は何よりも避けたい。
思考を続け、最善の選択肢をXラウンダーの力を用いて掴み、戦闘に見事勝利していたが───次の瞬間、カタコンベ内の左の壁が突如音を立てて崩れ落ちた。
その轟音はさながら土砂崩れが起きたかのようで、余りの音にこの場で起こっていた戦闘が停止するレベルのものだった。
「やっと見つけたよ!もー、探すの大変だったんだから」
煙の中から聞こえて来る声は、確かに聞き覚えのある声で。
やがて、彼女が腕を払う事で煙は消え去った。
「………聖園、ミカ」
思わず呟いたサオリ。
「仲間外れなんて酷いよね?私も混ぜてよ☆」
「聖園ミカ!!貴様、今更何をしに来た!!」
「撃て、撃てー!!!!」
そう言いながら一斉にアリウスの生徒達が発砲する、が───
「…………馬鹿、な」
「それで終わり?呆気ないなー」
マガジンを全て消費する勢いで放たれた銃弾の大半が直撃したというのにも関わらず、まるで堪えたように見えなかった。
「それじゃあ、今度はこっちの番かな?」
そう言い切り、とてもその見た目から出せるとは思えない速度でアリウスの生徒に急接近し──
「がはっ!?」
その拳を、振るった。
「………じゃあ、次は貴女達の番だね☆」
そこからはまさに、蹂躙と言わざるを得ない闘いだった。
敵が銃弾で攻撃してこようがそんな事お構いなしと言ったように敵を殴り、破れかぶれで肉弾戦を仕掛けて来た敵にも容赦なくその圧倒的なパワーで捻り潰した。
果たして、何分経ったのだろうか………五分程だと思われるが、その僅かな時間で───
「これで邪魔者は消えたね?サオリ?」
アリウスの生徒、そしてユスティナ生徒会の
「けど、その前に────まずは貴方から、かな?」
「っ!!」
即座にこちらに向けられた銃口に反応し、私は彼女の攻撃に対応した。
Xラウンダーの能力を使用し、銃弾の軌道を予測、私やサオリ達に危害が加わる物のみビームサーベルで処理し、後はそのままにしておく。
銃声が響き渡るが────戦況に、変化は無かった。
「へー?やっぱりさっき私にして来た攻撃もまぐれじゃ無かったんだ。やり返してやろーって思ったんだけどなー………」
…どうする?少女にビーム兵器を向ける事は流石に憚られる。出力を下げれば、怪我を抑えられるかもしれんが………このままではキリがない。
サオリ達も着々と限界を迎えつつある。このままでは、アツコの救助が困難になる恐れが出て来る。
………なら、私がここですべき事は────
「先生!サオリ!────後は頼む!!」
"え……!?ちょ、ちょっと待────"
その言葉と共に、俺はミカを先程と同じように彼方へと殴り飛ばし、先生達が見えなくなる距離まで引き離したのだった。
◯
そして、壁に衝突したのか、土煙を出し、瓦礫を吹き飛ばしながら出て来る少女。
「痛ったいなぁ……私、ちゃんと女の子なんだよ?男の子ならもうちょっと加減してよー」
「……よく私が男だと分かったな?何故だ?」
「えー?何で、か………勘、かな☆」
現在、俺は先生とサオリ達が先へと進めるようにと、何とかこの少女から引き離す事に成功した。
………ここから先は、ノープランだがな。
「……改めて聞くとしよう。何故、サオリ達にそこまで復讐がしたい?」
「そんなの、さっき言ったじゃん。私は、全部溢しちゃったの、それが自業自得なんて事は分かってる。けど………」
そこから、自分の心に整理をつけるように沈黙し、再び話し始めた。
「私と同じ境遇な筈のサオリ達が幸せな道に行こうとしてるんだよ?そんなの────見逃せる訳ないじゃん」
「だから、もう何があっても止まらない。自分勝手って言われてもいいよ?だって………私は、魔女だから」
自嘲するようにそう呟いたミカは、下を向き、そこから私の方を向き、話しかけた。
「……もうお話は十分でしょ。私はサオリ達に復讐しないと気が済まないの。だから────消えて?」
……来る!!
彼女はその手に持っていたSMGを────振りかぶり、力の限りこちらに投げて来た。
「なっ………!?」
馬鹿な、攻撃手段を捨てた?先程と同じように銃撃をして来るかと考えていたが………勝負を投げ捨てたとでも?いや待て────彼女はどこに行った?
気が付けば、目の前から少女が消えていた。
そうか!?コレはブラフ────
そう思考し、感覚のまま右から来る攻撃を腕で防御した───次の瞬間、凄まじい衝撃が私を襲った。
「ぐうっ…………!!??」
壁に衝突しなければ、勢いが減衰しなかっただろうと推察出来るほどの威力だった。
………そう何度も食らえば、私が先に限界を迎えるだろうな。
そう考察しながら、瓦礫を吹き飛ばした。
「これでちゃんとやり返せたかな☆じゃあ、一気に畳み掛けるから、覚悟してね?」
「………全く、少々ヤンチャがすぎるな!!」
そう言い、私は上空からレギルスライフルを使った。
恐らくだが、この肉体強度なのだ、そうそう傷付く事はないと判断した。
それに───手加減をすれば、間違いなく負けるのは私だ。
「うわっ!?ちょっと何それ!!」
そう言いながら、驚異的な反射神経で辛うじて躱わす少女。相手の動きを予測するが、それでも回避される。
辺りにある障害物を使われたり、その驚異的な身体能力を駆使され躱わされることもあった。
かなりの時間戦闘を続け、地上戦と空中戦を繰り広げたが……終ぞレギルスライフルが直撃する事はなかった。掠りはしたがな。
……これでも命中精度には自信があったのだが、な。
これではキリがないと判断した私は、一度レギルスライフルで攻撃する事を辞めにし、空中から降りた。
それを確認したのか、少女は────
「やっと終わり?それじゃあ────今度はこっちの番!!!」
そうして、瞬く間に私に肉薄して来た。
左側から私の顎をアッパーしようとして来たのが分かったので、頭を上向きに逸らし、辛うじて回避する。
そして、その勢いのまま上空へと飛び上がり、一回転してから速度を乗せた一撃を彼女の胴へと振るう。
だが、それはお見通しと言わんばかりに彼女は両腕でそれを防御し、勢いを殺しきれなかったのか、少し後退しながら溜息をついた。
「はぁ……ホント最悪、化粧とか髪ももうぐちゃぐちゃだよ……どう責任、取ってくれるの、かな!!」
これまた前の世界では到底人体で出すことの出来る筈の無い速度で、こちらに近づいて来た。
右の拳が胴に振るわれるのが分かったので、その前に左の拳を振るい、衝撃を相殺する。
だが、完全に勢いを殺せなかったのか、お互いに後退する事になった。
「………重い、な」
先程の攻撃から察してはいたが、肉弾戦があまりにも強過ぎる。一撃一撃が砲撃、いやそれ以上に匹敵するのではないかと錯覚してしまう程の物だった。
と、思わず感嘆していた所、目の前の少女は頬を赤く染め、目を見開きながらこちらに話しかけて来た。
「はあ〜!!?重い!?今重いって言った!?信じらんない!!女の子に重いって言葉はタブーなんだって知らないの!?」
「………………すまない」
その様な意味で言ったわけではないのだが………言葉は聞き取り手によって意味が変わって来るからな。仕方の無い事なのかもしれん。
「というか!!さっきから何なの!?私の邪魔ばっかりして………!!こんな所で足止めされてる場合じゃ無いのに………!!」
そこから今まで溜め込んできた物が爆発するかの如く、彼女は言葉を発した。
「私は!!私にはもう………何も残ってないの!!」
「セイアちゃんだって、傷付けるつもりなんて無かった!!ただ、ちょっと痛い目を見てもらおうと思って………!!」
「それで、もう止まれなくなって………ナギちゃんも傷つけそうになって……みんなから嫌われちゃった」
「当然だよね。そんな我儘な子、誰からも、好かれるわけないんだから……魔女って言われても、当たり前なんだよ」
「………なのに、何でサオリ達は幸せになれる道が残ってるの?おかしいよ。絶対おかしい……!!」
「……………だから、ここで復讐できなかったら……私には、私は……!!」
そして、少女は涙を流しながら訴えかける。
「もう、止まれないの!!ここで復讐すら、できなかったら、何のためにここまで来たのか、分かんなくなっちゃう…!!私は、もう……学園にすら戻れない。先生も、ナギちゃんも、そうなったら……誰も、私のことを見てくれない……!!」
「……だから!止めないでよ!!!」
息を切らし、涙を流しながらながら、少女はそう叫んだ。
今更止まる事など出来ないのだと。納得出来ないのだと。何も残ってないのに、サオリ達が報われるのはおかしいのだと。
………何も残っていない、か。
「………それは間違っている。本当に、お前には何も残っていないのか?」
そう問いかけると、少女は言葉を詰まらせ、動揺しながら話し始めた。
「……だ、だって……私は、セイアちゃんに恨まれてて……きっと、ナギちゃんも私の事────」
「本当にそうなのか?お前は、本当に彼女達とそう話したのか?」
「お前の友達は……本当に、そんな事をお前に言うような奴だったのか?」
「……うるさい!!部外者の癖に……!!私達の事を何も知らない癖に!知ったような口を聞かないでよ!!」
……部外者、か。その通りだな。彼女からすれば、私は部外者だろう。
「………そうだな。確かに、私はセイアと軽く話した程度の関係だ。桐藤ナギサとは……話した事すらないな。だが、その短い会話の中でも、確かに分かる事はあった」
「お前は間違いなく、大切に想われている」
「…………え?」
呆然としたように、少女は呟いた。
「私には、お前達がどのような日常を過ごしていたかなど分からない。だが、その日常を語る彼女の目は、とても暖かな物だった。それが、何よりの証拠だ」
「……そ、そんなの嘘、でしょ?だって、いや、でも、本当に……?」
「………お前に提示できる証拠としては薄いのかもしれないが、私は少なくともそう感じた。だからこそ、お前にはまだ戻れる余地がある。お前を待ってくれている友達が、確かにいるのだから」
……私のように、本当の意味で同胞を殺してはいないのだ。なら、まだ戻れる余地はある。
"そうだよ。ミカ"
過去を想起していると、背後から声が聞こえて来た。
"ミカは、まだ戻れるんだ。ナギサもセイアも、ミカの事を恨んでなんかない"
先生が、サオリ達が、いつの間にか後ろにいた。
「………でも、私は悪い子で……また、何かしちゃうかも……」
……後一歩、と言った所か。あとは頼んだぞ、先生。
"そうだね"
「………えっ!?」
ミカが驚くのを無視して、先生は語り始める。
"確かに、ミカは悪い子で、不良生徒だ。でも……最初からそうしようとして動いたわけじゃない、でしょ?その原点には、優しさがあった筈なんだ"
「………うん」
"いいかいミカ?取り返しのつかない事なんて、そうそう起きないんだ。ミカは確かに、誰かを傷つけたのかもしれないけど、殺してなんかない。なら、戻れるさ"
"それにね、ミカ"
「……うん」
"大人っていうのはね?間違えそうになった子供を助けるためにいるんだ。だから───私が、責任を持ってミカの事を見る。当然、ナギサやセイアだって"
「……………せん、せい」
そして、少しの沈黙が場を包み、やがて一つの声が響いた。
「…………ミカ。私はずっと、お前を見ていて、どこか既視感があった。だが───先程のゼハートとのやり取りを見て、漸くそれが分かった」
不躾だが、すまないと謝りながら、サオリは続ける。
「………お前は、私と同じだったんだな」
「希望を抱き、それでもと進み、絶望し………気が付けば、何もかも手遅れになっていた」
「……どうしようもなく憎かった。羨ましかったんだ。何も知らない奴が、平然と幸せを享受していたのが」
「だからこそ、何もかもを滅茶苦茶にしてやりたかった。……それが間違っていると、心の何処かで気付きながら、な」
「………だが、どうやって償えばいいのかさえ、私には分からない。この身を捧げて済むのなら、それでいいが………」
"それはダメだよ?"
「………こう言われる始末だ。だから、私はお前に、先生にどう償えばいいのか、分からずじまいなんだ」
と、ため息をつき、そこからサオリは───
「だから───共に、苦しみながら歩かないか?」
「…………は?」
ミカが思わず呆然とするような事を、言った。
「私は、お前にどう償えばいいのか分からない。お前もそうなのだろう?友達に、今更会ってもいいのかと。どうすれば償えるのかと」
「………その答えは、まだ見つかりそうにない。だがいつか、自分が納得できる答えが見つかるかもしれない」
「道は違えど、その志は同じ筈だ。だから──共に歩む同士として、というのは、どうだろうか?」
「…………ふふっ、何それ」
そう言いながら、ミカは倒れ込んだ。
「なーんか全部どうでも良くなっちゃった。でも………そっか、私、まだやり直せるんだ」
「…ありがとね。先生、サオリ、それから……ゼハート」
少し微笑みながら、ミカはそう言った。
………これにて一件落着、という訳ではないが、どうにか峠は越えられたか。
と、安堵したその瞬間────
『つまらないですね。そのまま踊ってくれてさえいれば、誰もが笑えていたというのに………その、滑稽さに』
耳障りな声が、聞こえた。
「………マダム!!!!いや、ベアトリーチェ!!」
『うるさいですね……耳障りです、サオリ。それにしても、くだらない演目でしたね。そのまま私の思い通りに踊ってくれさえいれば良かったというのに……これだから子供は、救えません』
「………子供は救えない、か。これは傑作だな」
俺は嘲笑しながら、そう言った。
『…………なぜ笑うのです?ゼハート・ガレット』
「いや何、俺の目には───この場の誰よりも、お前が何もかもが上手くいかず、駄々を捏ねている子供のようにしか見えなくてな」
『……………は?』
ベアトリーチェはその一言を聞いて、怒りの余りその言葉しか発することが出来なかった。
俺はその反応を見てほくそ笑み、続きを話す。
「その通りだろう?自分が育てた部下には謀反され、憎悪を用いて何もかもを支配しようとするが……それすら失敗しているのだ」
「大人としてのやり方とやらも失敗し、自分の思い通りに人が動かなければ罵る。お前は神にでもなったつもりか?その態度そのものが子供だと言っているのだ」
「そこまでの恥を晒しながらも尚、威張れるその精神性は俺には到底理解し難い。お前は大人どころか、寧ろ────」
「
『………どこまでも戯言を………!!!良いでしょう、そこまで言うのなら、見せてあげましょう。私の、私の兵力を!!!!』
次の瞬間、ユスティナ生徒の
……それに、見た事がないデカブツもいるな。コレが本気、という訳だ。
「…………すまない。精神を揺さぶれば多少は助けになると思ったのだが……逆効果だったようだ」
"いや!!正直言いたい事言ってくれたから滅茶苦茶スカッとした!!爽快だったねー!!"
「………だね、正直笑いを堪えるのが大変だった」
「大分怒ってるみたいだねー?大丈夫?厚化粧剥がれてない?お・ば・さ・ん?」
『………殺します!!!』
"ちょっとミカ!?やり過ぎだって!?"
「えーだって何かもう見てるだけでムカついたもん。仕方ないよね☆」
「うわぁぁん!!もうおしまいです!!このまま私達滅茶苦茶にされるんですねぇ……!!!」
「…………待て、何か様子が変だ」
そう言うサオリ。
………確かに、少し妙だ。
まるでこれでは、何かに
そう思い立った瞬間だった。
影が、俺たちを包んだ。
それが、遥か先から
ソレは両翼を広げ、大量の砲門をこちらに向けながら単一の瞳を青く光らせ、
「馬鹿な………!?なぜお前がここにいる!?」
その姿は、かつて己が対峙した筈の────
「
因縁と酷似したナニカが、立ち塞がった。
いやー、ゼハートに言わせたい事をこうして描けて私は非常に満足です。
いつかの文化祭で『ピーター・パン』を演じたゼハートが、子供じみたベアトリーチェに『ピーター・パン』と言う……これ以上の皮肉はないでしょう。
……ピーター・パンという物語がこのキヴォトスにあるかは不明なんですが、この世界にはあるという事で、お許しください。
まあそれはさておき、高評価やお気に入り登録など励みになっています!どんどんしてください!
最後に……それでは次回、シド戦です。良ければ楽しみにお待ちください!