魔法少女のマスコットになったと思ったら、魔法少年(女装)だった話 作:らくべえ09
面白系キャラと美少年のコンビもの。
以前別サイト用に書いていたのに修正を加えたものです(結局投稿はしませんでしたが)。
初めての方は、こちらもよろしくお願いします。
https://syosetu.org/novel/307753/
それはもういきなりやった。
いやほんまに。
「うぎゃああああああああああああっっ!?」
とにかくもう、ドえらい叫び声。
「だじげでえええええええええええ!!」
「こらーっ! 逃げるな、いや逃げるにしてももうちょっと考えるでヤンス!!」
目の前を女の子と、何か
え。なに、これ? どういう状況なん? 夢?
真っ暗、いやいや……赤黒いっちゅうのんかな。気味が悪いちゅうか。
赤黒い空間やね。
わいはその中に立ってた。
「もうやだ、もうやだ、もうやだ!! やめる! おうちに帰るううううううう!! おがぁざああああん!!」
女の子は泣きながら、何やでかいもんに追われてる。
バカでかい。なんかドロドロッとした、いや泥みたいな体。そんで一つ目。
いや、ほんま何やのアレは。
「――何だあれは」
うん? 声がするんでとなりを見たら別の女の子が立ってるやん。
……ぬお!
あ、あなたこそナニモノですか?!
ボーイッシュの黒髪に、鋭い目。
しゃーけど、とんでもない美人、美少女ですがな……。
現実感ないで、このレベルやと。
ちょいハスキーボイスがセクシーやで!
着てる服は地味なジャージやけど。
うーん……。
……まずは現状からや。
わいは、なんや赤黒うて気持ちの悪い場所におる。
なんちゅうか、なぁんにもない。
どっかの採石場みたいや。
そこで、
「ぎゃああああ!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーーーーーー!!」
「こらぁ! 逃げ回ってもなんにもならんわ! 戦え!!」
「無理無理無理無理いいいぃぃぃぃーーーーーーーー!!」
…………。
なんや、これは……。
変な格好した女の子が、ぬいぐるみっぽい小動物と走り回ってるがな……。
妙に生っぽいけど。
その後ろを、でっかい一つ目が追いかけとる。
これは、あれか?
魔法少女的なもんの戦闘シーンを見とるんか?
むう……。
女の子の様子からして、第1話の初戦闘やな!
すると、わいはなんかの魔法少女アニメの転生したんかもしれん!
わいは詳しいからわかるんや。
「――どういう茶番だ」
おとなりの美少女は言い寄った。
うーん、話し方が中性的というか凛々しいで。
王子様タイプやな、百合の香り。
むむ……。
もしかすると、こいつは魔法少女の関係者か、敵キャラかもしれん。
なるほど、確かに現実ばなれしたきれいさや。
わいが美少女を観察してると、
「ふぎゃ!!」
魔法少女はすっころんで、そのまま転がっていく。
小動物、多分マスコットキャラやな――そいつも一緒に……。
んん?
マスコットからなんかが落ちた。
キラキラと光るわっかみたいな……。
ハッ!
ひょっとして変身アイテムか!?
わいがそんなことを考えとると、わっかはピカピカ光りながら……
「こっちにくるやんけーーーー!!!」
わいが叫ぶと同時に、ものすごい光が飛び散って……。
これは……新しい魔法少女誕生か!?
そう思いながら目を開けると、
「えええっ!?」
美少女さんは、ゴスっぽい真っ黒な服に変わっとる。
長いスカートに、頭にリボン。
髪の毛も長くなってるやん。
これは、100%間違いないな!
魔法少女や。
新たな魔法少女誕生やで!
いや、せやけど……。
「でっか!?」
黒い魔法少女は、まるで巨人みたいになっとる。
わいはただ見上げるばっかりや。
巨大ヒーローみたいな魔法少女ってありなんか?
まあ、最近はあるんかもしれんな。
「おい」
黒い魔法少女は鋭い目でわいを見おろしながら、
「こっちがでかくなったんじゃない。お前が縮んだんだ」
「……え?」
そこで、気づいた。
わいの手が、いや全身がこう、動物みたいになっとる!?
「しかし、なんだその姿は。えらく不細工だな」
そう言われても、鏡もないのに自分じゃわからんわ。
せやけど、わいは動物になっても不細工なんかい!
思わずため息を出そうになると、
「な、なんや!!」
わいの体が変形して……空中に浮かんでいく。
しかしこの体はなんや?
なすがままになっとると、わいは黒い魔法少女の右手に装着された……!
ガントレットちゅう感じやで。
小さめで、これやと金属のついた手袋みたいや。
なんや、これ?
ひょっとして、わいはマスコット兼強化アイテムなんか!?
うわ、ビミョーな立場やなあ……。
「なんだ、このふざけた格好は……」
黒い魔法少女はコスチュームを見ながら不愉快そうにしとる。
そしたら、
「ぎゃあああーーーーー!!」
わいは叫んだ。
さっきの光のせいか、一つ目の巨大ゾンビがこっちに向かってきよる。
いや待て、いや待て!
こ、これがアニメなら初登場魔法少女の活躍を期待できるやが……!
「消えろ」
黒い魔法少女は一歩も動かずに、わいの装着されとる右手を突き出した。
すると、
バシュン!!!
紫のビームみたいなもんが指先から飛び出した。
ビームは一つ目をあっさり貫く。
途端に一つ目は泥みたいに崩れ去って、消えた。
……え?
もう終わり?
いや、初戦闘がこんなあっさりでえーんか?
待てよ!?
あっさり倒して油断したところで、奇襲されるかもしれん。
パックリと頭を食い千切られるんやないか?
……。
しかし。
わいの心配はいわゆる、杞憂に終わった。
しばらくたってもなんにも起こらん。
……どうやら、ホンマにやっつけたらしいで。
「……」
黒い魔法少女は、右手を開いたり握ったりしとる。
顔はまったくの無表情や。
「あ、あの……。あなた、も……魔法少女なの?」
逃げ回った女の子がフラフラと近づいてきた。
うーむ……。
なんか、ちゃんと見ると微妙ちゅうか……受け狙いみたいなコスチュームやで。
顔には半分赤いで半分青のバイザーで。
後ろは中途半端な長さのマント。
魔法少女というより、ヒーローもののモブキャラみたいや。
「……まさか、こんなところで新人に会うとはなあ」
お、マスコットがやってきよった。
状況が落ちつきだしてから。
わいはちょっと前のことを思い出しとった。
何でどうして、こうなったかっちゅーと……。