魔法少女のマスコットになったと思ったら、魔法少年(女装)だった話 作:らくべえ09
話の内容を要約するとやね……。
・自分らはいわゆる魔法少女をまとめとる組織。
・その名も魔法協会。通称・『魔協』。
まんまやんけ……。
「ちなみにここは数ある支部の一つ。こぎつね座支部だ」
「ざ?」
「支部名は星座の名前からとっているんだよ。あ、私は支部長をつとめるネギツノという者だ。以後よろしくお願いしたい」
ほう。
ちょっとオシャレやのう。
で、キツネの支部長さんが語る魔法少女の主な仕事というのんが、
・異世界からやってくるモンスターを捕獲、あるいは駆除すること。
・マスコットは魔法少女の補佐をするのが役目。
大体こんなとこやった。
うーん……。
わりとありがちな設定……あんまり斬新でもないな、これ。
まあアニメとかやとこういう組織が裏でなんかしとるのが定石やけど。
ひょっとすると、このキツネが黒幕やないんか?
いや、これもありがちか……。
「ちなみに、あのモンスターたちを我々はファントム・オーガニズム。略して、F・Oと呼んでいる。ま、別にモンスターでも通じるのでそっちでもかまわんよ」
ん-。
あんまりカッコエエ名前やないな。
ビーストとかのほうがええんちゃう?
「で……。つまり、俺たちにその魔法協会とやらに所属しろと?」
「早い話がそういうことだね」
「ふざけるなよ」
美少年は、あっさりうなずいたキツネをものすごい目で睨んだ……。
…………
そばで見てるだけで怖いわ……。
視線だけで人間を殺せそうやがな。
「そんなふざけた話におとなしく従えと? しかも、こんな格好で」
「あー……。そのコスチュームは仕様というかあらかじめデザインが決まってるので。すまないが仕事着だと思ってこらえてくれ。あ、もちろん報酬は出す。福利厚生も可能な限りやっているつもりだ」
「つもり、ね……」
美少年は眼を細めた。
やっぱり殺気立ってて怖いわ。
「そう意地悪なこと言わんでくれ。そこからの企業よりはずっと上だと自負している」
「で……? 巻き込まれたとはいえ、こっちは一匹モンスターを駆除したぞ? それはどうなる」
「うん。それもきちんと出すよ。かなり危険度の高いやつだったからね。報酬も相応だ」
「あのー……」
そこでもわいも口を出す。
「なんちゅうか、魔法少女? の仕事って歩合制なんですか?」
「そうだね。そういうことになる。一番な簡単なものは危険度の低いモンスターの捕獲だが、最低ランクのものなら一匹五千円だ」
ごせんえん。
高いのか低いのかいまいちわからんけど……。
しかし、一日で稼げる額とすれば学生にとってはかなりのもんやで。
「ただ君たちの場合、マスコットである君も人間だろう? だからそれぞれ半分づつになる」
「え? せやけど、わいは特になんもしてないですよ」
「そりゃ自覚がないだけだよ。それに、これは決まりだからね」
「別にかまわない」
美少年が言った。
「それで、今回の報酬とやらはいくらになるんだ」
「うん。50万だから、それぞれ25万円」
「に、にじゅうごまん!?」
えらい金額や……。
つまり、それだけやばい仕事っちゅうことかい。
今さらやけど、怖くなってきたがな……。
「――わかった」
美少年はうなずくけど。
感情のぜんぜん見えん顔や。
いや、やっぱり怖いで。
いきなり拳銃とか乱射しそうやもん。
「とりあえず専用の口座を用意しておくよ。施設外のATMでもおろせるようにするので安心してくれ」
「待て」
説明しとる支部長に、美少年が手をあげる。
「当座の金がいるんでな。俺は現金で、今すぐもらいたい」
なに?
「うん、いいよ」
キツネが言うと、机の上から札束が出てきよった!
「はい、25万。君たちなら、今後もどんどん稼げると思うからがんばってくれたまえ」
札束が美少年のほうへフワフワ飛んでくる……。
「……」
美少年は金を数えてから、
「忘れていた」
そういうなり、黒いコスチュームから制服姿に戻る。
ど、どうやって戻ったんや?
念じるだけでええんか?
うーむ……。
戻れ、戻れ。もとに戻れ……!
わいが強く念じると――
「おおっ! 戻ったで!」
すぐにマスコットから人間に!
意外に簡単やがな。
さてさて、それからや……。
「……しかし、えらいことになったもんやなあ」
「……」
わいらは、施設の休憩所でひと休み中。
すぐに帰る……ちゅう気にもならんかったしな。
「魔法少女とマスコットって……まるでアニメやで」
いやまあ、過去ちゅうか並行世界に精神移動? してる時点でアレやけど。
「
いきなり、美少年はそう言った。
「へ?」
「俺の名前、だよ。お前は?」
「お、おお」
そういうたら、お互いの名前も知らんかったんやな。
「
「そうか。わかった」
「……はあ」
わいは、思わずため息をついてしもた。
「なんだ」
「いやあ、やっぱり現実感ないなあって……」
「だろうな」
「うーん……」
「何が言いたい?」
「いやなあ。言ったら絶対引かれるとは思うんやけど」
「だったら言うな」
「いやいや、それ言うたら話にもならんがな」
そう言いつつ。
「実はコレコレシカジカなんや」
わいは自分の転生? タイムリープ? 的なことを話した。
「普通ならタワゴトだが……。魔法だのモンスターだのが存在するんだ。そういうこともあるかもな」
美少年……いや、溝出はニコリとせずに言った。
「こっちも似たようなものだしな」
「ん?」
「俺は、異世界からこっちに、【溝出間宮】という人間に憑依転生した。信じるか?」
……なんやて?
い、いや。確かにわいも似たような立場やけど。
「普通に考えれば、狂人の妄想だな」
溝出は、ニヤリとカミソリみたいな笑みを作った。
やっぱり、
「俺は――あっちで死んだ。そして、気づいたらこの体に憑依していた」
「う、うーん……」
「最初に俺が思ったことを言ってやろうか? この状態は中二病を超えた妄想じゃないか、だ」
「そりゃまあ、フツーというか冷静な判断、とちゃうかなあ
「あるいは――解離性同一性障害というのを知っているか?」
「えーと……。確か自分の中に違う人格が出てくるとか、そんなんやっけ?」
「そう。溝出間宮という人間が、耐えがたい現状から逃げるために作り出した人格……。そういうことは考えられないか?」
溝出は、わいを試すみたいな笑みを浮かべていった。
「そ、そりゃまあ。うん、ないとは言えんけど……夢のない話やなあ」
「今俺と話しているお前が、溝出間宮の妄想の産物。あるいは精神科医をそう思い込んでるだけかもしれん」
「いやいやいや」
わいは手を振って否定。
「素人意見ですまんけど、自分の正気を疑っとるうちは、大丈夫なんと違うか?」
「ほう?」
溝出はまたニヤリとして、
「なら。とりあえずそういうことにしておこうか」
……はあ。
わいはこれから、こんな癖の強いヤツと一緒にやっていくんか?
やっていかなあかんのか?
不安やのう……。