魔法少女のマスコットになったと思ったら、魔法少年(女装)だった話   作:らくべえ09

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04、初出動前の打ち合わせかなあ?

 

 

 

 あの時――

 自分は確かに死んだ。

 そういう実感、感触はあった。

 

 満足した死ではなかった。

 未練も不満もあったし、屈辱も恨みをあった。

 

 かといって、泣き喚くような類のものではない。

 

 どこかで、

 

(ああ、これで終わりか)

 

 と、何となく理解もした。

 してしまったというべきなのか。

 

 血液と共に、生命が流れ出して消えていく感覚。

 

 死にたいなどとは思ったこともない。

 死ぬくらいなら、相手を、誰かを殺してやる。

 そう思っていたし、実践もしてきた。

 

 だが、現実は無情に俺に死を与えてきた。

 意識がボンヤリとした、底なしの闇に落ちていく。

 

 寒さと孤独感。

 心地良くはない。

 しかし、恐怖もなかった。 

 

 やがてその意識も消えて――

 

 妙なことに、死んだと意識したのはその意識が戻った時だった。

 いや意識などあったのか?

 暗闇の中に、誰かがいる。

 

 死神か、それとも冥府の裁判官なのか。

 詩人的なことを思ったが、いずれでもなかった。

 

 何となく、年の近い同性だと理解する。

 つまり、相手は少年らしい。

 

 ――誰だ?

 

 警戒しながら手を伸ばす。

 相手は無反応だ。

 

 膝を抱えて、顔を膝にうずめている。

 まるで死にかけの野良犬みたいだった。

 

 ――お前は誰だ?

 

 もう一度問いかける。

 

 その直後だった。

 強烈な光と、肉の重みを感じた。

 

 顔を上げる。

 知らない光景だ。

 いや、知らないはずなのに知っている。

 

 頭の奥から、様々な知識、『常識』が流れ込んできた。

 『最適化』している。

 そんな感覚だろうか。

 

 気づけば、俺は『溝出 間宮』となっていた。

 

 

 

 ・  ・  ・

 

 

 

「……ううううむ」

 

 目を覚ますと、いつも通り? のワイの部屋やった。

 昨夜のアレって……。

 やっぱり夢か?

 

 そんなことを思いながら、ちょっと鏡を見ている。

 うーん。

 いつもと変わらんブサイクやん。

 けど、高校生に戻った……ちゅう現状は変わっていない。

 

 もしかして。

 

 オッサンになってた記憶が夢かもしれんで。

 まあ、それはええとして。

 

 昨夜のことがホンマなら、マスコットになれるはずやん?

 ちょっと試してみると、

 

「うわっ」

 

 わいは、小さいブサイクなタヌキっぽいぬいぐるみたいになった。

 ……夢やないのん?

 驚きながら人間に戻ると、スマホにメッセージが来てる。

 誰やろと思って確認したらやね……。

 

 <溝出――今日放課後に会おう。場所は***>

 

 ……あいつかい。

 そういや別れる時に連絡席交換したわ。

 待ち合わせ場所は、うん、わりと近くのファミレスやな。

 

 

 で……。

 

 

 放課後。

 こうやって戻ってはみたけど……。

 高校生活もあんまり代わり映えせんなあ。

 

 彼女もおらんし、できる気配なし。

 まあ、(いん)の者としてつつましい暮らしや。

 

 変わってることと言えば。

 わいの生活ちゅうより、世の中?

 技術的なもんが全体的に上がっとる感じがするで。

 とはいえ、わいの直接的な生活にはさほど影響しとらんけど……。

 

 約束しとったフェミレスに行ってみると。

 溝出は、すぐに見つかったんやが。

 

「……」

 

 わいは絶句してもうた。

 溝出のヤツは、テーブルに並んだ料理を一人食っとる。

 

 いや、それだけならどうでもええんやが。

 問題はその量や。

 カレーライスやら、サラダやら、ハンバーグステーキやら。

 何人前かもわからんような料理を一人もくもくと食事中。

 

 がっついとる感じはない。

 むしろ、フェミレスに似合わんような優雅さ? 上品さ?

 とにかく、こう……気品みたいなもんがあった。

 

 せやけど、テーブルの料理はどんどんなくなっていく。

 

「来たか」

 

 溝出は食べる手を止めてこっちを見る。

 

「あ、ああ。うん」

 

 わいは脱力したような気分で溝出の前に座る。

 

「もう少し待て。まだ食実中だ」

 

「いやそら、見たらわかるけど……」

 

 わいも一応ドリンクバーを頼んだ。

 緊張でちょっと喉も渇いてるしな?

 

 カルピスとコーラを混ぜ合わせたヤツを飲みながら――

 自然と、溝出の観察することになった。

 

 しっかしなあ……。

 どういう胃袋してるんや、こいつ?

 わいが見ただけでも軽く10人前は食ってるんと違うか?

 

「よう~~食うなあ~~~……」

 

「ああ」

 

 やっと食事を終えたらしい溝出は、水を飲みながら言った。

 

「そんなに食って体壊さんの?」

 

「いいや? むしろまだまだ必要だ。体づくりのためにな」

 

「筋トレでもしてるんか? せやけども……」

 

 こいつの食ってたもんはあんまりそういう感じに思えんかった。

 そういうのは確か……。

 卵の白身だけとか、ゆでたブロッコリーとか、鶏のササミとかやないのん?

 

 いや、よう知らんけど。

 

「少し違うが……まあ似たようなものだ」

 

「ふーん?」

 

 そこで、わいは気づいた。

 溝出のヤツ、店の中でだいぶ注目集めとるわ。

 

 ムチャクチャな量の食事もそうやけど。

 

 それをどけても……こう、マンガみたいちゅうか。

 非現実的な美少年やからのう。

 

「えーと、それで今日は?」

 

「もうすぐわかる」

 

「ほえ?」

 

 わいのスマホが鳴ったのは、溝出が意味深に笑った時や。

 

<MAGI-ASSOCIATION――10分後に**のコンビニ前>

 

 まぎ……? あそしえーしょん?

 

「じゃ、いくか」

 

「ど、どこへ?」

 

「行けばわかる。それと、お前のドリンクバーは俺のおごりだ」

 

 言いながら、わいに千円札を渡してきよった。

 気前がええというんかなあ?

 

 まあ、そういうわけで……。

 

 わいらは男ふたりづれでその場所に行った。

 そしたら?

 

 ……なんやろ?

 

 うまくは言えんけど、こう……なんか妙な違和感がある。

 空気っちゅうか、雰囲気がどっかおかしいっちゅうか。

 

「あそこだ。行くぞ」

 

 溝出が指さしたところには、光の輪っか? みたいなもんが浮かんでた。

 光ってるいうても、ぼんやりとしてて頼りない。

 そう思ってる間にも溝出はズンズン輪っかにほうへ。

 

 しゃーないので、わいもついていくと――

 

「あれ?」

 

 気づいたら、真っ暗な道に出てた。

 いや、この場所見おぼえあるで。

 確か昨日魔法協会へ行った時に通った場所や。

 

 ふーん。

 多分これって転移魔法かなんかやな。

 どっからでも、あの輪っかに入れば魔法協会へ行けるんやで。

 

 これからどないなるんや?

 

 

 

 

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