黄泉の行人。ダンジョンに行く。   作:かまくら御前

1 / 6

 描いてる作品が行き詰まったので、書きました。


黄泉の行人。ダンジョンへ

 

  ──燃えている。

 轟々と、村を焼き尽くしていく。原形がないほどに燃えた、死体が地面に多く転がっている。

 

  「ああ...また、死ぬのか...」

 

  ―転生して12年。まだ、生きたかった。

 最後に残っていた少年も死に村には生者がいなくなる。そして、少年が目を覚ますと、目の前には見知らぬ川が見える。

 

 俺は死んだはず。ならあれは...俗に言う、三途の川なのかな。それに、白い玉のようなもの。魂かな?それが、川を渡っているし...でも、なんで俺はまだ、身体があるのだろうか...?まあ、考えても仕方がないか。俺も川を渡ろう。

  魂と共に、川を渡る。渡り切ると、目の前には黒い炎のような者が揺らいでいる。それを見た俺は...

 

  ──美しいと思った。

 

 その炎に触れる。

 

  「がぁ...!」

 

 痛い!痛い!さっきまで、炎で焼かれていたのに、それ以上の痛みを感じる...!同じ炎のはずなのに、まるで、魂まで燃やされているかのような...

 

 あわや、このまま燃やしつくされるかと思った、その瞬間...

 

  ──これ、童。そちらに行くには、ちと早いぞ...  

 

  「は!」

 

 謎の声がし、目が覚める。するとそこには...到底、人とは思えぬ美貌をした女性がいた。

 

  「ぬ、起きたか...危うかったの、後少しで童の魂は、永劫消え去るところじゃった」

 

  「ここ...は。それに...あなたは」

 

  「ここは、童のいた村から少し離れた場所にある、平屋じゃよ。わしが天界から降りて、すぐ目の前に炎が上がっておってな。生き残りがおらぬかと、探しておったところ童を見つけたんじゃ」

 

 炎...そうだ!

 

  「む、村の人達は!いったいどうなっ...!っ」

 

  「これ、安静にせよ...()()()()()()とはいえ、それでも重症なことには代わりあるまい」

 

 火傷が治ってる...?そんなはずは...確かに俺は、焼かれて死んだはず...

 

  「何がどうなって...」

 

  「うむ、それをわしが説明しよう。先ず、結論から言うには、わしが見た限り、童以外全滅じゃ」

 

  「そう...か...」

 

 父さん、母さん、三月...なんで俺だけ、生きて...

 

  「そして、童が生きている理由じゃが...童が一度死んでいるからじゃな」

 

 俺が一度死んでるから...?

 

  「た、確かに...俺は一度死んでる。どうして、貴女が知ってるかは知らないが...なぜ、死んでるから死んでないんだ」

 

  「それは、別の世界で死んでおるからじゃよ。童は何の因果か、元の世界の輪廻から外れ、この世界に来たんじゃ」

 

 ここで、まさかの転生の理由が明らかになった。

 

  「俺の転生の理由は、そうだったのか...」

 

  「じゃから、童の魂はこちらの世界のものではない、だから黄泉が童を拒絶したんじゃ、まったく知らぬ魂が来た故な...」

 

 「ほれ、黒い炎があったじゃろ」そう言われて、ああ、あの炎は俺を追い出すためのものだったのか、と思った。

 

  「俺が生きている理由は、分かった...じゃあ、それを知っているあなたは...」

 

  「わしか?わしは...じゃ」

 

 神、そう言えばミズキが言ってた。『ねえねえ!オラリオには神様がたくさんいるんだって!』『神様ぁー?』『それで、それでね!神の眷属になると、いっぱい!強くなれるんだって!』『はーん。そっか』『ねえ、いつか一緒にオラリオに行って眷属にしてもらおう!』

 

  「神は、オラリオってところに居るはずじゃ...」

 

  「まあ、だいたいはそうじゃな。じゃが、わしはさっき天界から降りてきた逃げてきたばかりでな」

 

  「成る程...」

 

  「それで、提案なんじゃが...」

 

 提案?一体なんだ...

 

  「提案ってのは...?」

 

  「これも何かの運命じゃ。童──わしの眷属にならんか?」

 

  「俺が...あなたの...?」

 

 神の眷属...はは、悪いミズキ、どうやらお前の夢、俺だけ叶えることになりそうだ。

 

  「そうじゃ。わしも降りてきたばかりで、頼れるものもいなくての、童も行く当てがないじゃろう?だからわしの眷属になってはくれぬかと思っての」

 

 「だめか?」と、心配になっている神様を見て...

 

  「なるよ...あなたの眷属。親友の夢を叶えるために...」

 

  「おお...!本当か!それなら早速、っとそうじゃった童の名前を聞いておらんかった」

 

 俺の名前...?そう言えば言ってなかったな...

 

  「俺の名前はココノエ・泉です。よろしくお願いします。神様」

 

  「泉か、よろしくの。わしはイザナミじゃ」

 

 は?イザナミ...!?嘘だろ...日本神話の最高神クラスだろ...!それに...確かイザナミは黄泉の神だったか。だからさっき運命だと言ったのか...

 

  「イザナミ様。あなた、俺の居た世界では相当、位の高い神だったが外界に降りて大丈夫なのか?」

 

  「ぐぅ...!だ、大丈夫じゃ...閻魔の奴に仕事を押し付け...じゃなかった。閻魔が仕事をかわりにやってくれての」

 

 いや、今普通に押し付けたって...

 

  「そんなことはよい!それより...泉はまず傷を治すところからじゃな。」

  

  「っと。そうだ、なんで火傷が治ってるんだ?」

 

 俺の体は、かなり燃えていたはずだが...

 

  「それはの、泉が業火に焼かれたからじゃ。耐性ができたのじゃよ普通の炎にの」

 

  「業火と言うと...あの黒い炎か...」

 

  「魂に耐性ができたんじゃ。あれは、魂を焼くからの。じゃから泉の身体は、業火以下の炎を無力化するんじゃ。故に、火傷なんか負うはずがないじゃろう?身体が火傷をなかったことにしたんじゃ」

 

  「成る程...」

 

  「まあ、安静にしておるといい。身体の傷は治ってはおらぬからな」

 

  「分かった。じゃあ...一度寝る。お休...み」

 

  「うむ、お休みじゃ」

 

  

 

 

 

 

 

 

 

  

  「うん...よし。イザナミ様、体の傷も癒えました」

 

  「そのようじゃな」

 

 あれから一ヶ月、やっと体の傷が癒えた。その間はイザナミ様に看病してもらっていたが、畏れ多すぎて気が気じゃなかった。

 

  「では、恩恵ファルナを刻むとしよう。ほれ、背中を向けよ」

 

 うつ伏せになり、背中を向ける。そして、イザナミ様が血を垂らす。

 

  「これは...」

 

  「えっと...これで終わりですか?」

 

 これで、恩恵は刻めたのか?

 

  「あ、ああ。そうじゃな。少し待っておれ、ステイタスを紙に移そう」

 

 「これじゃ」と、ステイタスが移された紙を渡される。

 

 

  

 『ココノエ・泉 Lv.1

 

  力  I0

  耐久 I0

  器用 I0

  敏捷 I0

  魔力 I0

 

 『魔法』

 【ゴウカ】

 ・不治の炎

 ・対象の選択

  『黄泉の炎を現し世に。罪、肉体、魂、癒えることは無い裁きの炎。美しき炎。顕現せよ。』

 ・追加詠唱 『この身に宿れ、美しき炎よ。は我が裁こう』

  

 『スキル』

 【黄泉の行人】

 ・生と死の気配の知覚

 ・死に近づけば近づくほどステイタスの上昇。経験値増加

 ・炎への完全耐性

 

 【弥生の誓い】

 ・誓いが果たされるまで経験値増加

 ・誓いが途切れると消滅 

 

 

 

  「...なんか、凄いな。これは、良いのか?悪いのか?」

 

  「わしにも分からん。じゃが、悪いことはないじゃろう。それに...人の身で業火を使うのじゃからな」

 

 イザナミ様が言うなら悪くないのだろう。それにしても...

 

  「見事に黄泉にまつわる物だな...」

 

  「まあ、そうじゃろうな。恩恵とは思いや経験が、スキルや魔法に反映される。黄泉に行くなぞ、生半可な経験ではないぞ」

 

 思い...三月との約束。誓いか...スキルに反映される程なのか。じゃあやっぱり、俺は三月のこと...

 

  「好きだったものとの誓いか?」

 

  ──見透かされてる。凄いな、神様は。

 

  「ああ、約束したんだ。困ってる人を助ける“英雄“にって。」

 

  「スキルにまでなるとは、よほど思っていたのじゃな」

 

 そうなんだろう。俺は三月の事が、ずっと好きだったんだ。なら、果たさなくちゃな...

 

  「イザナミ様。オラリオに行けば、強くなれるんですよね?」

 

  「そうじゃな。泉の努力次第では“英雄“になれるじゃろう」

 

 なら、決まっている。

 

  「俺は、オラリオに行きたいです。イザナミ様、お願いします」

 

 頭を下げる。オラリオに行くならイザナミとがいい。それ以外は、何故か考えられない。

 

  「泉よ、わしも元々そのつもりじゃった」

 

  「じゃ、じゃあ...!」

 

  「うむ、くぞオラリオへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「父さん、母さん。いつか、黄泉で会おう」

 

 本当は、ずっと生きてて欲しかった。

 

  「三月...ずっと好きだった。お前の夢叶えてくるよ」

 

 一緒にオラリオに行きたかった。

 

  「この刀、貰うね父さん」

 

 家宝の刀。お父さんが、ずっと大事にしてきた業物。村が焼かれ跡形もなくなっていても、これだけは残っていた。

 

  「イザナミ様。準備が出来ました」

 

  「うむ、では出発じゃ!」

 

 12年。育った村を後にする。

 

  ──行ってきます。みんな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。